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2006年9月

シャドー55

ハイウェイ・パトロール担当のスモーキー(ジャック・ヴァセク)とエド(エド・エムブラムス)はスピード違反者に対し、反則切符すら切らず、訓戒だけで許してしまうという不真面目な警官。ある日、二人はベンツの違反者に対しいつも通り訓戒する。その時、違反者は高級車のローン滞納者から強制的に車を回収するというアルバイト話を持ちかける。二人は公休日にそのアルバイトに取り組むが、自動車窃盗をやらされていることに気づき、追われるハメになってしまう。

H・B・ハリッキーによる自主製作映画『バニシング IN 60”』(74)の撮影監督を担当したジャック・ヴァセクがハリッキー同様に主演、監督、脚本、製作を手掛けた自主製作映画であり、70年代に量産されたカー・アクション映画の一本である。

まさに自主製作らしい出来ばえとなっている。ストーリー展開はもたついており、演出もかなり凡庸なため、テンションの低い仕上がりである。見所はやはりカー・チェイスであるが、スリルやスピード感が殆ど感じられず、かなりの物足りなさを感じさせる。見応えのあるシーンとして見せようとはしているものの、迫力や面白さを発揮できていないのである。

本作は『バニシング IN 60”』の足元にも及ばなかった。ジャック・ヴァセクはH・B・ハリッキーを超えることはできなかった。そんなヴァセクは本作から十一年後、『激突!L・A・コネクション』を手掛けるが日本では公開されず、ビデオストレートとなった。

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地獄で眠れ

南米のある国で非人道的な生体実験で国民を惨殺するドクターを取材しようとしたジャーナリストがドクターによって拷問死する。ジャーナリストの友人である元殺し屋のホランド(チャールズ・ブロンソン)はドクターとその一味を殺すべく南米に赴く。

残酷な拷問シーンをはじめ、グロテスクな映像が見受けられるが、スプラッター作品のようなハードタッチなものではない。ホランドが知人から手に入れたドクターに関する被害者家族による証言ビデオで血も涙もないドクターの冷酷さを伺える。その証言内容は想像するだけでもおぞましすぎるほどの過激すぎる行為である。

年を重ね、老いが目立つようになったブロンソンではあるが、彼が見せるアクションシーンは健全さをアピールしている。決して派手な活躍とは言えないが、タフなアクションスターとしてのイメージをそのまま映し出していると言える。そんなブロンソン扮するホランドは、これといったピンチに陥ることもなく次々とドクター一味を蹴散らしていく。明らかに好都合主義的な展開である。

銃撃戦、カー・チェイス、爆破シーンといった見せ場はあるものの、アクション映画の核とも言える爆破シーンは迫力さを巧く出し切れていれず、かなり残念である。

単純明快なストーリー、凡庸なアクション演出といったB級テイストを存分に発揮させたバイオレンスアクションである。

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マックス!!! 鳥人死闘篇

驚異的な身体能力をフルに活かすパフォーマンス集団“YAMAKASHI”のメンバーが大活躍するアクション映画。

YAMAKASHIメンバーはロンドンでトレーニングに明け暮れていた。ジムのオーナーであるレオ(ロラン・ピエモンテージ)の提案でタイはバンコクにジムを開設。トレーニング中、キエン(チョウ・ベル・ディン)とツ(エロディ・ユング)が率いる地元のストリートギャング集団に襲撃される。その後、YAMAKASHIメンバーは中国マフィアと日本暴力団の大抗争に巻き込まれることとなる。

ビルとビルの間を飛び跳ね、ビルの壁をよじ登るYAMAKASHIメンバーの凄さは、『YAMAKASHI』(01)で初めて描かれ、多くの人々を魅了させた。本作では格闘シーンでもキレ味の鋭いバトルを見せつけた。これらのアクションシーンはCGやスタント、ワイヤーを一切使わずすべて生身の体当たり演技である。少し前に公開された『アルティメット』(04)同様、最近のフランス製アクション映画は合成技術等を殆ど使わず、肉体が許す限りのパフォーマンス的要素を巧妙に利用している。

ラストの大人数が一斉に繰り広げる大バトルシーンは最大の見せ場となる。それは戦国武将たちの合戦を彷彿させるほどの激しい勢いを感じさせ、目まぐるしくて複雑だと思えるが最大のインパクトを与える。大バトルの途中、スローモーションを利用し、クラシック風のBGMが流れるが、闘いの美学を追求したかのような映像に仕上がっている。

バンコクを舞台に中国マフィアと日本暴力団が抗争を巻き起こすという設定はかなり現実離れしており、荒唐無稽な内容である。それだけに筋立ては単純明快なものである。だから何も気にせず、YAMAKASHIメンバーの超人ならぬ“鳥人”ぶりを気楽に堪能すべきである。

マックス!!!鳥人死闘篇 DVD マックス!!!鳥人死闘篇

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ユナイテッド93

2001年9月11日、アメリカ全土をはじめ世界中を震撼させた史上最悪の事件が勃発した。それが9・11世界同時多発テロである。民間航空機四機がハイジャックされ、そのうちの二機は世界貿易センタービルに激突。もう一機はペンタゴン国防総省に激突。最後の一機であるユナイテッド93便はホワイトハウス激突を目的としたが、ペンシルバニア州に墜落。本作はユナイテッド93便内の出来事を中心に描いたものである。

本作を製作するに当って、遺族の方々や関係者たちに綿密な取材を遂行。取材で得た証言に基づき、実際の出来事に近い状況を再現。それだけに丹念な出来ばえであり、被害者、テログループ、各管制塔関係者の描写や事態の展開を克明に描いたドキュメンタリータッチな仕上がりである。

先入観を持たせないためなのか、本作には有名なスターが一人も出演していない。出演者は実際の93便の乗客の年齢等をしっかりと考慮した上で選抜された役者たちと本職のパイロット、事件当時に関わっていた管制官が起用されている。キャスティング面でもリアリティーを追求するための工夫がされている。

機内で家族の事や今後の予定を話すパイロット、乗務員、乗客が突然、テロという悪夢を目の当たりにし、あまりの恐怖に震え上がり、泣き崩れるシーンは実に痛々しく、見ている我々もゾクゾクするほどの恐怖感を覚えた。一方、各管制塔の関係者が切羽詰った極限状態で翻弄するシーンは臨場感と緊迫感に満ち溢れた厚みのある描写である。

終盤のシーンは被害者である乗客たちが一致団結し、勇気と知恵を振り絞ってテロリストに真っ向から挑むシーンはパワフルであり、ごく普通の人々である彼らの勇敢な姿が印象に残る。だが、残念ながら93便は墜落し、彼らは命を落としてしまったが、ただ犬死にしたのではない。愛する家族を思い、全員無事に還れることを祈りながらも死を覚悟してテロという巨悪と戦ったのである。

本作はテーマが重いと思われるかもしれないが、テロに対するプロパガンダ要素や政治性、社会性を追求した堅苦しい作品ではない。だからといって娯楽要素満載の商業用映画でもない。このようなことが二度と起きないように、そして忘れてはならないというメッセージを映像という形で残したものだと捉えたい。

ユナイテッド93 DVD ユナイテッド93

販売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
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スーパーフライ (1972)

麻薬組織の大物、プリースト(ロン・オニール)の活躍を描いた70年代ブラックスプロイテーション映画の代表作。本作と同ジャンルの名作『黒いジャガー』(71)で知られるゴードン・パークス監督の実子、ゴードン・パークスJr.の監督デビュー作でもある。

ロン・オニール扮するプリーストはクールな衣装に身を包んだ麻薬の売人、すなわち“プッシャー”であり、ドラッグ、金、女に不自由のない豊かな生活を送っている。だが、彼の本来の理想は不安と絶望的危機感を抱え込んだハーレムの貧民街を抜け出し、本当の自由を手に入れることである。ハーレムで生きる黒人たちの心情と夢を代弁していると捉えられる。また、セリフの中には黒人は白人の奴隷として酷い目に晒されていたことを強調しているようなものもある。劇中に登場する白人警官を悪党として描き、対抗するプリーストたちの姿は、かつての黒人奴隷による人種問題を真っ向から批判しているかのように思える。

本作を語る上で重要となるのはやはり音楽と言える。ソウルミュージックの旗手、カーティス・メイフィールドが手掛けたスコア及び歌唱曲がスタイリッシュかつクールな映像をファンキーなムードに仕立て上げている。カーティス自身がナイトクラブで歌う「プッシャーマン」、プリーストと恋人のジョージア(シーラ・フレイジャー)がベッド代わりのバブルバスで見せる大胆なラブシーンで流れる「ギブ・ミー・ユア・ラブ」等が印象的である。当時は作品同様にサントラ盤も大ヒットしたのである。

翌年にロン・オニール自身がメガホンをとった続編『SUPERFLY T.N.T.』が製作されたが、日本では劇場、ビデオ、DVD、TV共未公開である。再びブラックスプロイテーションブームが訪れた90年には、製作を務めたシグ・ショアがメガホンをとってリメイクされた。こちらは今となっては大スターであるサミュエル・L・ジャクソンが脇役で出演している。

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販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
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