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2007年7月

スーパー・ガン (ブラック・ガン)

ナイトクラブのオーナーであるガン(ジム・ブラウン)は、黒人過激派団BAG(ブラック・アクション・グループ)に所属する弟をキャぺリ(マーティン・ランドー)率いる白人犯罪組織の一味に殺害される。ガンは弟の仇を取るために組織に挑む。

70年代ブラックスプロイテーションの傑作。60年代半ばからアクション作品を中心に活躍してきたジム・ブラウンが当時流行していたジャンルに挑戦したのが本作である。アメフトで培った体力を武器に自らもスタントに挑戦し、体当たりの激しいアクションを魅せつける。ブラックスプロイテーションを代表するB級アクションスター、フレッド・ウィリアムソンもジムと同じくアメフト出身者ではあるが、人気や知名度ではジムが遥かに上であることは言うまでもない。

物語の前半は展開がもたついているために少々の退屈さを感じさせてしまうが、ガンの弟が殺されてからはテンポがアップすると同時にパンチの利いたアクションも多く観られ、作品の本領が発揮される。ラストはガンが敵の倉庫に乗り込んで壮絶な銃撃戦を繰り広げるが、一味に捕らえられ、リンチ制裁を食らわされて大ピンチに陥る。その後は弟の同志たちに救出され、再び凄まじいバトルが再開。それが本作の最大の見せ場であり、激しすぎる銃撃戦は見応えも十分であり、さらに爆破シーンも観られたりととにかくパワフルなアクション演出が盛り込まれており、娯楽映画としての醍醐味を存分に堪能できる。荒々しい映像からは男性向け作品ならではの暑苦しくてギラギラしたエネルギッシュな雰囲気も感じ取られる。そんな男臭さが漂う描写も魅力の一つである。

ジムは、この作品をきっかけにブラックスプロイテーション・スターの仲間入りを果たし、『シンジケートキラー』(72、日本未公開)とその続編に当たる『マシンガン用心棒』(73、日本未公開)では両親を何者かによって殺害された元グリーン・ベレー隊員、スローターを演じ、このキャラクターがブラックヒーローとして認められた。ブーム終了後に製作された70年代ブラックスプロイテーション同窓会とも捉えることができるような作品『ザ・リボルバー 怒りの38口径』(82、日本未公開)、『ホットスタッフ』(96、日本未公開)にもしっかりと出演した。

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スモーキン・エース 暗殺者がいっぱい

人気マジシャンのエース(ジェレミー・ピヴェン)はギャングたちに気に入られたことで渡世に足を踏み入れたが、派手に振舞いすぎたことによってピンチ状態に陥る。そんな折、エースはFBIから大物ギャングを逮捕するべく証人として司法取引を行う決断を迫られる。ギャングたちはこれを黙って目を閉じるわけにはいかないということでエースの首に多額の賞金を懸け、それを目的としたスゴ腕の殺し屋たちが世界中から集い、タホ湖畔のホテルの最上階に潜伏しているエースを狙ってやって来る。だが、そこにFBIも加勢したことにより壮絶な攻防戦が繰り広げられる。

登場人物が多いことが特徴の一つである。色々な意味で個性的なキャラクター設定はケレン味のある面白さが良い。個性的なのは劇中のキャラだけを言っているのではなく、それらを演じているキャストにも言える。ジェレミー・ピヴェン、ベン・アフレック、アンディ・ガルシア、レイ・リオッタ、ライアン・レイノルズ、人気R&Bシンガーのアリシア・キーズ(本作で映画デビュー)、ラッパーのコモンといったバラエティーに富んだ豪華キャスティングは実に魅力的であり、作品に華やかさを存分に彩っている。劇中での人物関係が複雑化していることによってストーリーをもやや複雑化させてしまい観る者をややこしくさせているのが難点だ。

衣装、セット、照明が活かされたことによってスタイリッシュな雰囲気を醸成した映像へと仕上がっており、随所に痛々しくて血生臭い残酷なバイオレンス描写が散りばめられている。この点は、最近のクライム作品の傾向である。

スピーディーでアップテンポな展開やハードなアクションとバイオレンスはまさにハイテンションと呼ぶに相応しい。特に終盤で観られるホテル内での大銃撃戦は本作の最大の見せ場となり、迫力満点で見応えも抜群のシーンとなっており、これが作品をハイテンションからクレイジーへと変貌させたのである。この見せ場以前からすでにイカれ気味だったが、そのヴォルテージを全開にしてしまったのだ。

とにかく漫画チックでケレン味のある演出が本作の持っている面白さである。“ハイパー”、“ハイテンション”、“クレイジー”という形容が相応しいと言えるバイオレンスアクション・エンターテイメント。ストーリーや複雑な人物関係はあまり気にせず、狂気でいっぱいのアクションとバイオレンスを存分に堪能すべきだ。

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ごろつき

当時流行していた“スポ根”モノと仁侠映画のテイストを織り交ぜた痛快娯楽アクション。

炭鉱夫の勇(高倉健)は、キックボクサーを目指して幼馴染の一郎(菅原文太)と共に上京。昼はジムで練習に明け暮れ、夜は上京したての頃にお世話になった昔気質のテキ屋の親分、浅川(石丸健二郎)の紹介で流しとして歌う。だが、浅川親分と一郎が新興暴力団の唐沢組長(渡辺文雄)に殺されるハメとなる。堪忍袋の尾が切れた勇は復讐心を燃やし、ドスを片手に殴りこむ。

高倉健が炭鉱夫やキックボクサーというこれまでに演じることのなかった役柄に挑戦。だが、結局はこれまで通りのヤクザ役同様の描き方となるが、キックボクシングの世界チャンピオンが侠客顔負けの殴りこみをかけるというアイデアは、正直面白いと言っても良い。

巨匠マキノ雅弘の遊び心が伺える演出も面白さの一つである。流しの手伝いをする勇と一郎が客のリクエストに応えて「網走番外地」や「唐獅子牡丹」を歌うシーンや当時の人気キックボクサーで“キックの鬼”こと沢村忠のカメオ出演、勇が犬の睾丸にサロンパススプレーをぶっ掛けるというナンセンスなギャグといったツボを押さえた見所を散りばめているのである。

主題歌「望郷子守唄」は、本作の4年後(72年)に同名タイトルの作品(もちろん健さん主演)が製作・公開され、こちらの主題歌としても使用された。

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人間解剖島 ドクター・ブッチャー

ある病院の遺体安置室で発生した猟奇的な事件を目撃した女医、ローリー(アレクサンドラー・コール)は、仲間たちと共にその謎を追って南米の孤島に辿り着く。だが、ローリーたちを待ち受けていたのは島に棲み付くゾンビと食人族による悪夢だった。

序盤から遺体の手首を切断するといったショッキングなシーンが観られ、その後も心臓を抉り出したりとグロテスク描写は徐々にヒートアップする。ヘンなゾンビや食人族、マッドサイエンティストが現れてからはグロテスク描写が最大限に発揮され、残酷さもレベルアップする。特にクロースアップで捉えた食人族が人肉を喰うシーンは、かなり強烈でエグ過ぎる。

カニバリズム、ゾンビ系スプラッター、ヒロインの裸体(三度ほど着替えるシーンやラストの不気味な変態儀式など)といったいかにもクレイジーな悪趣味要素が存分に取り込まれており、残酷さと血生臭さと品の悪さを追求しているだけとしか思えないが、B級娯楽ホラー映画としては良いと思える。上映時間は90分足らずでストーリーも至ってシンプルなため暇潰しに観る分には良いだろう。単純にスプラッターやゾンビが好きな方々なら楽しめると思うが、あまりにも最低な内容であることからごく普通の映画好きには本作の面白さを汲み取れないだろう。

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