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摩天楼ブルース

喧嘩が原因で半年間の停職処分を食らった二等航海士のトミー(ジャン・マイケル・ヴィンセント)は、知人に安アパートを紹介してもらい、所在地であるニューヨークはロウアー・イーストサイドというスラム街に辿り着く。美容師のマーシャ(テレサ・サルダナ)に恋をし、住人たちと交流を深めながらも次の船が来るのを待つ。薄汚いが平和なこの街もエンジェル(ルディ・ラモス)率いるソウルというギャング団によって治安が悪化する。市民は、ソウルに対して不安を募らせ、警察も手を焼いている。ソウルの魔の手はトミーにも及び、友人までもが悲惨な目に遭う。ついに怒りを爆発させたトミーは、ソウルの卑劣な行為を阻むために戦いに挑む。

ジョン・フリン監督の地味なバイオレンス・アクション。ストーリーは日本の仁侠映画そのものであり、これは『組織』(73)、『ローリング・サンダー』(77)同様に監督の嗜好が本作でも活かされている。悪の行為に我慢を重ねた主人公が耐え切れなくなって懲らしめに向かうという理屈抜きの勧善懲悪モノは、娯楽アクション映画に適した題材である。そこに恋愛模様や友人たちとの温かさを感じさせるふれあいを存分に取り入れている。アクションやバイオレンスという肝心なポイントがやや控えめに描かれているため、恋愛や友情のイメージが強く感じられる。人間らしい優しさと非人道的な極悪行為を交互に描き善と悪のバランスを平行に保っている。

ジャン・マイケル・ヴィンセントは、本作でも一本気な好青年という印象を与える。彼の初主演作『爆笑トラック’76』(75)で演じたキャラクターとほぼ似通った部分があり、作品内容も日本の仁侠映画を意識しているという部分では同じだ。そんなヴィンセント扮するトミーとテレサ・サルダナ扮するマーシャとの恋愛描写は、実に純粋かつロマンティックに描かれており、女性なら共感を抱くこと間違いなしの微笑ましいシーンである。

ラストはトミーと仲間たちが一致団結してソウルに立ち向かい、恐れ慄いていた住人たちも彼らの勇気ある姿勢に感銘して協力する。そして一人一人の正義と勇気のパワーが実を結んで悪の退治に成功する。すこぶる気持ちの良い余韻が残り、スカッとするラストシーンだ。

東京JAP(現在も一線で活躍している赤坂泰彦がドラムを担当)の同名タイトルのヒット曲は、この作品に影響されたのかとつい思ってしまう。

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