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2007年10月

ブラッド

LAウィークリーの記者セイディー(ルーシー・リュー)は、取材をしていたカルト教団の連中に拉致された挙句に殺害される。やがてヴァンパイアとして甦ったセイディーは、カルト教団に復讐を挑む。

サム・ライミ率いるゴースト・ハウス・ピクチャーズが製作したセクシー系アクション・ホラー作品。従来の吸血鬼作品のイメージを払拭した作り方も新鮮味を感じさせる。ダークな雰囲気をしっかりと醸成させた照明の使い方も巧く、これがスタイリッシュな映像へと引き立てていて実に魅力的である。

セイディーは自身がヴァンパイアであることや人を殺すことに対して苦悩を抱き葛藤するが、この心理描写とルーシーの演技は見事だ。クールかつセクシーな雰囲気を漂わせる黒い衣装とダーティーな部分を前に押し出した人物設定が女ヴァンパイアのキャラクターを確立させ、観る者に印象付ける。また、ルーシーの裸身も随所に散りばめられているが、エロスの要素は結構控えめだ。これは、エロスに期待した人やルーシーのファンにとっては少々物足りないと思われるかも知れない。

復讐に挑むセクシーなヒロイン、地味なアクション、血生臭さが漂うシーン、ロバート・フォスターの出演といったいかにもB級な娯楽作品という感じが強い。ポー役のマコ(マコ岩松)にとっては、本作が遺作となった。

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デス・プルーフinグラインドハウス

ハリウッド映画界のオタクタッグであるクエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスが60年代から70年代のB級映画専門劇場「グラインドハウス」の世界を現代に復活させた。それは、各々が一本のB級テイストの作品を撮り、ニセ予告編を混ぜて二本立て形式で公開するという企画だ。日本ではこのアメリカ公開版を一週間限定で上映し、その後はディレクターズカット版として分けて上映するという形式を取った。

『デス・プルーフ』はクエンティン・タランティーノ監督作品でカート・ラッセル主演。全体的には若い女性キャラクターが多く登場するガールズムービーであり、シドニー・タミア・ポワチエ(名優シドニー・ポワチエの実娘)、ヴァネッサ・フェルリト、ジョーダン・ラッドらが活躍するスプラッター系ホラーの前半とその14ヶ月後の出来事を描いたトレイシー・トムズ、ゾーイ・ベル、ロザリオ・ドーソン、メアリー・エリザベス・ウィンステッドらが出演するカーアクションの後半という感じで前後でジャンルも異なれば女性の登場人物も異なるという二部構成と言っても良い設定は、まさに一本で二本分観たというお得な感覚すら感じてしまう。

夜のバーに集まる女性客を不気味なシボレーに乗ったサイコ風スタントマンのマイク(カート・ラッセル)がこの車を武器に襲い掛かる。このシンプルなストーリーこそ単純明快な娯楽映画に必要な要素だ。

女性キャストによるガールズトークをはじめ退屈さを感じさせるシーンが多く、これが展開をダラダラとさせる。だが、魅せる部分はしっかりと魅せており、刺激的で血生臭いスプラッター描写に激しいカーチェイスと豪快なカークラッシュという具合にツボはしっかりと押さえている。B級娯楽作品らしい描き方を忠実に踏襲しているのだ。

劇中に登場するバーのセット(タランティーノの私物であるジュークボックスも注目点)や照明、出演者の衣装に劇用車もかなりお洒落であり、スタイリッシュな映像に仕上げるためのエッセンスとなっている。映像にはグラインドハウス上映作品によく観られがちだったキズやノイズをあえてつけてみたりときめ細かく再現されている。

登場人物の口から出る数々のカーアクション作品のタイトルというように本作でもオタクぶりを発揮させたタランティーノ節が炸裂する。それと同時に足フェチという新たな一面も魅せつけた。タランティーノはかつての作品でも監督意外に出演や脚本を担当してきたが、本作では撮影も担当した。長身かつ美脚の美女を舐め回すかのようなカメラワークが足フェチらしさを存分に発揮させている。

ついつい吹き出してしまう可笑しなエンドクレジットまでB級テイストを最大限に発揮させていた本作。タランティーノの前作『キルビル』二部作もグラインドハウスで上映されたジャンル映画にオマージュを捧げた作品だったが、今思えば本作の予兆を感じさせる作品だった。

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デス・プルーフ in グラインドハウス Music デス・プルーフ in グラインドハウス

アーティスト:コースターズ,ドジー・ビーキー,ミック&ティック デイヴ・ディー,ピノ・ドナッジオ,ウィリー・デヴィル,トレイシー・トムズ,エディ・ベラン,エイプリル・マーチ,ジャック・ニッチェ,スミス,エンニオ・モリコーネ,エリ・ロス
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Death Proof Music Death Proof

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天使の復讐

縫製工場に勤務する聾唖の若い女性ターナ(ゾー・タマリス)が帰宅途中に不気味なマスクを装着した男に銃で脅され強姦される。ショックを受けながらも自宅へたどり着くが、不法侵入した強盗犯にも銃で脅され強姦される。その際、文鎮で犯人の頭部を殴りつけ、とどめにアイロンで撲殺。拳銃を入手したターナは、トラウマによる極度の被害妄想と男性に対する不信感に心神を衰弱されながらも街中の悪そうな男を射殺するという独自の復讐をはじめる。

強姦されたターナが恐怖と不安を抱き、被害妄想に囚われる姿をサスペンスタッチで描いており、これが実に巧い。暗い性格を作品全体に漂わせてダークな世界観を見事に形成している。

ターナがアイロンで殴り殺した男を浴槽に移して小型ノコギリで切断するシーンは、猟奇的でおとなしい女性の心に潜む憎悪が存分に感じ取られ、これが恐怖を倍増させる。また、街中のダニ男たちを次々と拳銃をぶっ放して射殺していく姿が見所となるが、これはまさにチャールズ・ブロンソン主演の“デス・ウィッシュ”シリーズ第一弾『狼よさらば』(74)の女性版とも言える。この設定だけでなく、殺人を犯したことによるショックからトイレで嘔吐するシーンは、『狼よさらば』と全く同じである。だから、本作を観て『狼よさらば』を思い出す方々も結構いるのではないだろうか。

ラストのパーティー会場での壮絶なシーンはスローモーションが効果的に活用され、これがバイオレンスのレベルを高め、大殺戮絵巻と呼ぶに相応しい描き方で観る者に強烈なインパクトを与える。クライマックスで十分に見応えのあるシーンを魅せつけているという点を高く評価したい。

悲しみに始まり悲しみで終わる地味なB級バイオレンスアクションの佳作である。一時間二十分弱の上映時間だから暇つぶしには持って来いだ。

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ブラック・ハンター (日本未公開)

元アメフト選手で賞金稼ぎのトラック・ターナー(アイザック・ヘイズ)は、相棒のジェリーとともに追跡していた売春業者のボスであるゲーターを射殺。ゲーターの女で多くの美人娼婦を仕切るドリンダは、二人に対する復讐を成功させるべく各組織に条件付きでターナーとジェリーの殺害を依頼する。やがてゲーターを敵視していた大ボスのブル(ヤフェット・コットー)がこの殺害計画に加担する。ターナーは、命を狙われながらも激闘を繰り広げる。

『黒いジャガー』(71)のテーマ曲を大ヒットさせたソウル・ミュージックのアーティストで“ブラック・モーゼ”と称されるアイザック・ヘイズが主演した70年代ブラックスプロイテーション作品。

トレードマークとも言えるスキンヘッドにヒゲ顔、時折魅せる半裸姿やグラサン姿は、実にコワモテそのものであり、同時にワイルドなイメージを与える。そんなヘイズがマグナム44をぶっ放して暴れまわる姿は、まさに黒人版『ダーティハリー』とも思える。タフでアウトロー的な魅力を放つ賞金稼ぎの男を体を張った激しいアクションと強烈な風貌を活かして熱演した。

カーアクション、格闘シーン、激しい銃撃戦といった見せ場が盛り沢山であり、バイオレンス色の強いアクションに仕上がっている。派手な演出ではないが、テンポよく描かれた上にパンチの利いたシーンに仕上がっているので面白さを感じ取ることができる。

劇中の音楽は、ヘイズが全曲を手懸けており、本業であるミュージシャンとしての実力もしっかりと作品に活かされている。カーチェイスのシーンで演奏時間が九分弱の長めの楽曲「Pursuit Of The Pimpmobile」が使用され、車での追跡劇にマッチしたこのサウンドがシーンを盛り上げ、観る者をハラハラさせる。

結構面白い出来栄えなのに日本では劇場公開されず、ビデオスルーのみだった。

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スウィッチブレイド・シスターズ

クエンティン・タランティーノが最も敬愛するパム・グリアを主演に迎えて70年代ブラックス・プロイテーション作品にオマージュを捧げた犯罪映画『ジャッキー・ブラウン』(97)が米国で公開された直後、日本ではパム主演、ジャック・ヒル監督のブラックス・プロイテーションの傑作『コフィー』(73)が初公開された。同時期にタランティーノは自社レーベル“ローリング・サンダー”からジャック監督のズベ公アクション『スウィッチブレイド・シスターズ』をリバイバル公開し、日本でも『コフィー』公開直後に初公開された。ちなみに80年代のビデオ・ブームの頃には、『デッド・エンジェル』名義でビデオがリリースされていた。

ズベ公グループの抗争がエスカレートし、そこに政治思想グループも加担する。挙句の果てには一般市民をも巻き込む壮大な市街戦へと発展する。

鑑別所に入獄した主人公とその仲間たちがサディスティックな女看守と激しいバトルを繰り広げるといった女囚映画ならではのエロティックな要素を取り入れたシーン、ライフル銃をぶっ放すヤンキー集団が現れるスケート場での大乱闘、最大の見所となる市街戦、仲間割れした二人の主人公が子分たちの前で小型ナイフ片手に繰り広げるタイマン勝負といった見せ場が巧く散りばめられており、アクション映画としての面白さを存分に満喫できる。特に市街戦で登場する装甲車は、低予算であることがまるわかりの質素な出来栄えではあるが、観る者に最大のインパクトを与えると同時にアクション映画としての面白さを倍増させる。タランティーノがB級娯楽アクションの巨匠と称するジャックの職人芸とも言える腕前が最大限に発揮されている。

登場人物のファッションも注目するべきポイントであり、これがまた観る者に強いインパクトを与える。ホットパンツ、革ジャン、ブーツ、アイパッチといったポップな雰囲気で漫画チックな印象を与える衣装は、80年代のアクション映画に登場するファッションセンスをかなり先取りしているかのようにも思える。また、各々のキャラクターの個性もしっかりと描かれている点も素晴らしい。

本作は75年にアメリカで製作、公開されたが、日本でも70年代初頭を中心にこの手のズベ公作品が大量生産されていた。東映からは池玲子、杉本美樹の『女番長』シリーズや『恐怖女子高校』シリーズ、大信田礼子の『ずべ公番長』シリーズ、日活からは梶芽衣子や和田アキ子が主演を務めた『野良猫ロック』シリーズ、夏純子の『女子学園』シリーズや『不良少女魔子』、大映からは八並映子の『高校生番長』という具合に各社で製作された。現在でもこれらの作品はコアなファンを中心に語り継がれており、DVD化を望むファンも多い。

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