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2007年11月

ナチ女収容所 悪魔の生体実験

ナチスの強制収容所々長イルザ(ダイアン・ソーン)が第三帝国に対する奉仕を理由に捕虜たちに拷問に拷問を重ねた極悪非道な独自の研究を開発する。

映画史上に残る最低・悪趣味映画と称される本作は、プロデューサーのデビッド・フリードマンをはじめ多くのスタッフが偽名を使って参加した。主演は、バストが一メートルを超える爆乳女優のダイアン・ソーン。当時42歳で低迷していた彼女が鬼畜変態丸出しのサディスティックな女所長イルザをこれぞ最大のチャンスと言わんばかりに精魂を込めて熱演し、これが見事なハマリ役となった。だが、作品そのものが酷評の集中砲火を浴びせられたことと同様にキャラクターと本人を同一視されて痛い目にあってしまったのである。

本作は現実に基づいて製作されており、この事実に対しても相当驚愕させられる。もちろん、イルザのモデルとなった人物も実在したのである。その名はブッヒェンバルト収容所々長の妻イルゼ・コッホというこれがまた相当な鬼畜女だったのである。

製作に費やした期間は、なんとたったの一週間だけである。劇中のセットは、TVドラマ『0012/捕虜収容所』(別題『OK捕虜収容所』、65~71)で使用されたものをそのままレンタルしたとのことだ。

内容はまさにエログロナンセンスのオンパレードである。とにかくサディスティックで血生臭く、痛々しい場面の連続で実に正気の沙汰ではない。狂気とド変態のムードが存分に感じられるため、胸糞が悪くて気が滅入ってしまうほどだ。

エロ酷いシーンが続く中でも比較的まともなシーンと言えるのがクライマックスであり、捕虜の女連中が男連中と一致団結して収容所関係の連中と対峙する。これがアクション映画としての面白さを発揮しており、銃撃戦や爆破シーンが取り入れられていて見せ場の一つとなっている。その出来栄えはいかにもB級と呼ぶに相応しい感じではあるものの見応えはそれなりにあって良い。

散々な悪評とは裏腹に世界中ではヒットを記録した本作。その後、『アラブ女地獄 悪魔のハーレム』(76)、『シベリア女収容所 悪魔のリンチ集団』(77)という続編も製作され、同趣向の作品も多く製作された。中でもクエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスによる『グラインドハウス』(07)プロジェクトのフェイク予告編『ナチ親衛隊の人狼』は、本作の大ファンであるロブ・ゾンビがオマージュの意味を込めてパロディー満載で描いたものだ。本作が与えた影響の大きさは凄いとしか言いようがない。

SM系AVマニアの中でもとりわけへヴィー中のへヴィーに該当する超アブノーマルな方にはとりあえずオススメしたい作品であり、変態系悪趣味映画を語るには欠かせないこと間違いなしということを実感させられた。

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ディテクティヴ

ジャン=クロード・ヴァン・ダムが再び日本のスクリーンに帰ってきた。05年に公開された『レクイエム』(04)以来、彼の新作はビデオ・DVDスルーだったためもう劇場でヴァン・ダムの活躍は観られないのかと一ファンとして不安になったが、2年振りに新作『ディテクティヴ』が劇場公開されることとなって誠に嬉しい限りだ。

舞台は悪が蔓延る街、フレンチクォーター。ストウ刑事(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)はかつては正義感の溢れる熱血漢であったが、今となってはドラッグと酒に溺れたダーティーな一匹狼刑事。そんな彼が元相棒で麻薬ギャングの大物キャラハン(スティーブン・レイ)を追って囮捜査を遂行していた。女性刑事を囮に使い、成功したかのように思えたが、キャラハンに逃げられ、女性刑事は殉職。孤立無援となったストウ刑事は、キャラハンを追い詰めていく。

ジャン=クロード・ヴァン・ダムがダーティーヒーローというこれまでとは一味も二味も違った役に挑戦。彼ならではのマーシャルアーツ仕込みの格闘アクションを堪能できなかったことが非常に悔やまれる。たった一度の投げ技、ごく普通のパンチとキックを少々、あとは拳銃片手に銃撃戦といった具合でファンにとっては物足りないと思えることに違いない。だから、本作ではアクションスターとしてのヴァン・ダムに期待せず、汚れ役という部分に注目すべきだ。ドラッグ、酒、夫婦仲も最悪という具合に落ちぶれ、挙句の果てには敵の一味に捕らえられ、痛めつけられた上に頭部に銃弾を喰らって半年間の昏睡状態に陥るという汚れた上に更なる大ピンチが重なったストウ刑事が復活し、敵と戦うという展開は現実離れしているようではあるが興味深い。

作風は、ノワール色の強いクライム作品という感じが基本的なベースとなっており、そこに地味なアクションシーンが見せ場として取り込まれている。展開はもたついている上にまだるっこさを感じさせてしまいこれが痛手となる。結果的に言えば、ヴァン・ダムファン向けのB級娯楽作品である。

本作を観る限り、四十代後半のヴァン・ダムは今後もアクションを控えめにして演技の部分を強調して活躍するような感じがする。それでもヴァン・ダムには次回作でも是非とも頑張っていただきたい。あの華麗なる回し蹴りを再び観たいと同時に新たなる役柄にも挑戦して更なる飛躍を遂げていただきたい。

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処刑軍団ザップ

全裸で不気味な儀式を行う“サタンの息子たち”を名乗るヒッピー集団が儀式を覗き見していたシルヴィア(アイリス・ブルックス)を強姦。シルヴィアの祖父が連中に復讐するが、ドラッグを飲まされると同時に負傷。ついにシルヴィアの弟であるピートが復讐に乗り出し、狂犬病の犬の血液を混入したミートパイを連中に勧めて食べさせた。連中は狂犬病を発症して人々を襲い出し、襲われた者も狂い出して人々を襲う。

最初から最後まで狂った作品だ。ストーリーも狂犬病患者を小馬鹿扱いしているようで時折酷い印象すら覚えてしまう。サタンの息子たちが侵入する廃屋でのネズミ大量発生に数匹のネズミを串刺しにして丸焼きにした焼き鳥ならぬ焼きネズミと不快かつ下品な描写も一度観れば忘れられないほどのインパクトを与え、かなり悪趣味で馬鹿げている。狂犬病に感染した人々は水を恐れ、水を掛けられるとかなり嫌がる。これを観ているとさらにに馬鹿らしく思え、ついつい笑ってしまうほどだ。音楽も単調な電子音やアタック音が多く、これがまたヘンな感じだ。本作はホラー作品であるものの怖さを殆ど感じさせず、とにかくクレイジーな雰囲気ばかりが印象に残る。だが、クレイジーな要素が本作の面白さである。終盤で狂犬病患者たちが家や車の中にいる主人公たちを襲う描写は、ゾンビ系ホラー作品らしく恐ろしいムードをしっかりと醸成させており、この部分は素直に褒めるべきポイントだ。とにかく最低、不快、お馬鹿、クレイジーと罵りたくなるような気持ちにさせられるB級バイオレンス・ホラーである。

本作は、間違いなく好き嫌いがはっきりと分かれる作品である。個人的には、B級娯楽映画として存分に楽しむことができた。ホラー映画マニア、悪趣味映画好きは必見だ。

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メッセンジャー・オブ・デス

コロラドの田舎町で一家九人が二人組の男にショットガンで惨殺される。その現場には、旧モルモン教徒のシンボルである復讐の天使の絵が残されていた。知り合いの警察署長と共に現場に足を踏み入れた新聞記者スミス(チャールズ・ブロンソン)は事件の謎を追い、その真相が明らかになっていく。

チャールズ・ブロンソンとリー・J・トンプソンが七度目のタッグを組んだ作品。67歳のブロンソンがライフルで棺を撃ち抜き、カーアクションに挑み、敵にパンチとキックを喰らわす。絶頂期の精彩は欠いてはいるが、年齢に応じたアクションを魅せつけており、年老いてもタフなアクションスターであることは正直に認めることができる。

冒頭の一家九人を殺害する際のサスペンスタッチの描写、中盤での現代に甦った西部劇という感じの銃撃戦や力任せで暴力的なカーアクションが本作の見所となり、これが結構面白い。それ以外は凡庸な演出で面白みをあまり感じられない。カーアクションの最後には爆破も観られるが、トンプソン監督は爆破シーンの撮り方が本当に下手なため迫力を出すことができず本当に残念だ。

結果的に言えば名コンビの第七弾作品は、ラッキーセブンではなかったのである。

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ローグアサシン

FBI捜査官ジャック(ジェイソン・ステイサム)とトムは、謎の殺し屋ローグ(ジェット・リー)を追跡し、銃撃戦を繰り広げるが逃げられてしまう。その後、トムは家族とともに殺害されることに。三年後、ジャックの前に再びローグが現れる。ジャックは復讐を誓うが、ローグが中国マフィアと日本暴力団の抗争に関与していたことからこの抗争にFBI勢も加わって壮絶な戦争と化す。

ジェット・リーとジェイソン・ステイサムというマーシャルアーツに長けた東西のアクションスターの対決が売りの娯楽アクション作品。二人は『ザ・ワン』(98)で共演していたが対決することはなかった。本作ではその二人の対決が実現したが、結果的には期待外れの薄っぺらい対決となった。メインとなるのは原題が“WAR”すなわち戦争ということで中国マフィア勢と日本暴力団勢の抗争だ。そのために二人の対決は終盤近くで観られるものの持ち前のキレ味の鋭い格闘アクションも控えめで面白さが半減しており持っている実力を存分に発揮できないままの消化不良で残念な感じだ。二人の出演作品でアクション指導を担当したコリー・ユンのアクション演出にも期待したが腕を振るうことができなかった。リーとステイサムの対決よりもリーと暴力団組長役の石橋稜の刀対決が印象的でこちらがかなり面白かった。刀を片手に華麗なアクションを魅せつけるリーの姿も珍しくて興味深い。また、石橋稜が魅せつける立ち回りもその巧さに驚愕させられ、感心させられた。

本作でも間違った日本の描き方を堂々とやってしまっている。女体盛りや忍者姿のヤクザといった描写が観られるが、これだけは今後も続きそうだ。ジェイソン・ステイサムが話す日本語も下手ではないが何故か笑いを誘い出す可笑しさが感じられる。

終盤ではローグとジャックの真相がサスペンスタッチで描かれる。この真相の結果におもいっきり驚愕させられ、これが本作の最大の面白さであることを実感できる。このシーンまでに派手なアクションシーンをはじめとした様々な面白さがあるのでこれを満喫したあとにおもいきって楽しむことをオススメしたい。

石橋稜扮する柳川シロー組長は、実在したヤクザで“殺しの軍団”と称された柳川組の柳川次郎親分(東映映画『日本暴力列島 京阪神殺しの軍団』の小林旭扮する花木勇をはじめ多くの映画で彼がモデルになっている)を意識したのかと思えた。外国映画に登場する日本の暴力団組員は英語も話せるということもあってインテリヤクザだとついつい思ってしまう。

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