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2008年6月

風速40米

北海道大学工学部の学生である滝颯夫(石原裕次郎)は、父親(宇野重吉)が経営する工務店がライバル会社に乗っ取られそうになっていることを知る。台風の中、遅れをとっているビル建設工事に颯夫と友人の四郎(川地民夫)がアルバイトスタッフとして作業に取り組んでいるときにライバル会社の連中がこれを妨害するために乗り込んでくる。颯夫と四郎は、数名の敵を相手に大バトルを繰り広げる。

石原裕次郎の魅力を全面的に押し出した作品は多々存在する。本作もその内の一本に該当する。序盤から軟派なヤンキー学生を相手に殴る蹴るの大暴れ、川地民夫と踊りながら歌う「ソーラン節」、ナイトクラブで歌う「山から来た男」、最大の見せ場となる台風による激しい暴風雨の中での格闘アクション、同名主題歌をバックに北原三枝と二人でモーターボートに乗って綺麗な青い海を渡航するラストシーンという感じで最初から最後までアクション、歌声、好青年と呼ぶに相応しいキャラクター描写といった裕次郎の魅力がとことん発揮されており、どれをとっても印象的だ。また、実際の台風の中で撮影されたというエピソードも有名だ。

他にも父親役の宇野重吉をはじめ、義母役の山岡久乃、義妹役の北原三枝、ライバル会社の社長役の金子信雄、友人四郎の姉でフランス帰りのシャンソン歌手の渡辺美佐子といった脇を固める役者たちの好演も忘れられない。

【70点】

風速40米 DVD 風速40米

販売元:日活
発売日:2002/09/27
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エクスタミネーター

ベトナム還りのジョン(ロバート・ギンティ)は、戦地で自身を助けてくれた友人マイケル(スティーヴ・ジェームズ)が街のヤンキーたちの手によって半身不随にされたことにマジギレし、街の悪党どもを戦争の経験を活かして私刑しまくる。

主演のロバート・ギンティとジェームズ・グリッケンハウス監督の名を世間に知らしめた80年代バイオレンスアクションの代表作と言うよりも駄作。

当時、“人肉ミンチ”や“焼きゴテリンチ”といった残酷なバイオレンスシーンが売りモノとして話題を呼んだが、いざ蓋を開けて観るとこれらのシーンはかなり的外れの陳腐な出来栄えだった。冒頭で観られる戦地の捕虜の斬首シーンは、当時は観る者にかなりの衝撃を与えたが、今ではこれを超えるようなシーンはいくらでも存在する。凄まじく酷い魅せ方が出来るようなシーンを巧く活かすことができていないため、肩透かしと空回りの連続という具合だ。グリッケンハウス監督の演出力の乏しさがあからさまになっているのである。

本作で面白いシーンと言えば、まずはオープニングで夜の山を背景に大爆破炎上が起こり、主人公ジョンが吹っ飛んで来るシーンとそれに続いて連打される大爆破シーンだ。爆破アクションだけはパワフルな勢いを感じさせ、かなり見応えがある。次は、ジョンが番犬と悪戦苦闘し、番犬を殺した後に軽く洗顔するが、その顔がいかにも辛さ満点という感じでこれがまた強く印象に残る。

四年後には、再びギンティ主演で続編『エクスタミネーター2』が製作されたが、日本では劇場未公開のビデオスルーとなった。また、テレビ東京は本作と一切関係がないギンティ主演の娯楽アクション作品を洋画劇場で放映する際は、この『エクスタミネーター』の名称を勝手に利用して勝手にシリーズ化させてしまったのである。日本でロバート・ギンティと言えば、“エクスタミネーター野郎”として記憶している方々も少なくはないようだ。

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コブラ/フランコ・ネロ 殺しの罠 (日本未公開)

コブラと呼ばれる凄腕の元麻薬捜査官ラリー(フランコ・ネロ)は、かつての事件で敵の罠にハマってしまったことがきっかけで職を辞し、今では私立探偵として活躍している。だが、かつてのボスから自身の宿敵が絡む事件の調査を依頼され、復讐を果たすべくジェノバへと赴く。

イタリア製ポリスアクションとして知られている作品ではあるが、実質的に言えば探偵アクションである。

監督はイタリア製娯楽映画の職人エンツォ・G・カステラッリ。本作では、サスペンス要素を全面に押し出している感があり、肝心のアクションはフランコ・ネロが魅せつける格闘シーンが主体となっており、地味で控えめな感じだ。それでも港町の倉庫街を舞台にした追跡劇、銃撃戦、ドラム缶数個の爆破シーンといった描写は、刑事アクションらしい仕上がりで面白い上に印象的だ。

本作のもう一つの見所と言えば、やはりラリーと息子の親子愛を描いたシーンだ。二人が野球のバッティング練習をして戯れるシーン、サンドウィッチを頬張るシーン、二人で地元に帰ってずっと一緒に暮らすことを約束して熱く抱擁するシーンは、本作の売りモノであるアクションやサスペンス以上に印象的であり、親子の強い絆がじっくりと伝わってくる。その息子が敵一味に拉致されそうになり、敵に金的を喰らわせてその隙に逃げるが、すぐさまトラックに跳ねられ、死んでしまう。息子の悲惨な死に大粒の涙を流す悲しさいっぱいのラリーの泣き顔が今でも目に焼きついている。

パオロ・ヴァジルの音楽がサスペンスやアクションとうまく絡み合っており、ムードを一段と盛り上げることに成功している。

結果的に言えば、本作は普通に面白いB級娯楽アクション映画である。

【70点】

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ゲシュタポ卍<ナチ>収容所

鬼畜系変質者のユダヤ人収容所々長と元女囚が収容所の廃墟で再会する。この二人の姿とかつて収容所で行われていた残虐非道な女性虐待の模様を交互に描く。

ナチ収容所での女性虐待を描いた悪趣味系残酷エロス作品『イルザ』シリーズの第一弾『ナチ女収容所 悪魔の生体実験』(76)の影響を受けており、それと同時に『愛の嵐』(73)と『ソドムの市』(75)のテイストを盛り込んだ作品。亜流モノを得意とするイタリア娯楽映画は、エロス作品においても亜流モノを作り出したのである。

残虐性を追求した描写の連発に関しては、残酷描写がお得意のイタリア製娯楽映画らしい出来栄えだ。それにしても見所となるエロスとクレイジーかつサディスティック丸出しのハードコアバイオレンス描写は、強く印象に残るほどドギツく描かれたシーンが二、三あるが、演出が凡庸でまだるっこいため、巧く活かすことができていない。『イルザ』シリーズに比べるとはるかに劣っているのだ。時折、芸術かぶれしたシーンも観られるが、変なシーンが多いためか正直悪いとは思えない。このシーンを観ていると、チェザーレ・カネヴァリ監督は悪趣味エロス作品を撮らずに少しでも努力してマトモな作品を撮った方が良かったのではないかと思えたほどだ。後半になるにつれて面白さが大幅にパワーダウンしてしまい、これが実に痛すぎるのである。

女囚映画を極めたい方にオススメしたい作品だ。

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広域暴力 流血の縄張

警察の暴力団取締りが強化される中、関東桜田会は解散する。だが、下部団体の中でも昔気質な特色を持つ大野木一家はこれに異議を唱えた。その間に関西連合会が東京進出し、大野木一家は数々のトラブルに巻き込まれる。その後、両組織は和解して手打式を行ったが、式の終了後に開かれた総長賭博によって大野木一家は借金を背負うハメとなる。大野木一家の幹部である勇治(小林旭)と代貸の矢頭(中丸忠雄)は、金策に奔走するのだが・・・・・・。

小林旭が当時の日活の新たなる路線“ニューアクション”に挑戦した一本。前年に公開された旭主演の同ジャンル『縄張はもらった』(68)同様に暴力団組織の集団抗争を描いている。本作はアクションシーンがかなり控えめであり、その分ストーリー展開に比重が置かれている。しかし、このストーリーが少々ややこしさを感じさせるのがマイナスだ。やはりこの手の作品は、見せ場となるアクションを多めに用意して魅せつけてくれる方が面白いのである。

主演の小林旭が助演の中丸忠雄に喰われてしまっている部分が多いということが旭ファンにとっては少々残念だと思えるだろう。旭が印象に残るほどの大活躍をするのは、やはり後半のアクションシーンだと言える。また、ニューアクションの人気者である藤竜也と岡崎二朗が中盤までにフェードアウトしてしまう点も残念だ。

夜の新宿の街並の活写、旭のエンコ(小指)詰めシーンの巧妙な照明の使い方、女二人による熱気溢れるレズビアンシーンといった長谷部安春監督の冴えた演出は、高く評価したい。

本作は、『広域暴力』シリーズの第一弾作品として企画されたが、シリーズ化が実現することはなかった。後年に旭が東映で主演を張った『日本暴力列島 京阪神殺しの軍団』(75)もこれと同じような結果となってしまったのだ。両作品の他の共通点を挙げると、人気役者の途中フェードアウト(『京阪神殺しの軍団』では伊吹吾郎が!!)とアクションを期待して観ると肩透かしを喰らわせられることだ。

【50点】

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ゼブラ軍団

ベトナム戦争で活躍した8人編成の特殊部隊“ゼブラフォース”がジョンソン中尉の指示で麻薬シンジケートを次々と襲撃する。

ゼブラフォースのメンバーは全員白人であるが、組織側を混乱させるために襲撃する際は巧く黒人に変装する。黒人のマスクがとにかく上出来であり、観ていても隙や不自然さをまったく感じさせないほどである。特殊メイク担当のリック・ベイカーの才腕が見事に発揮されているのだ。

本作の見所は、もちろんゼブラフォースによる襲撃シーンである。マシンガンを武器に組織の連中を始末して金を強奪するシーンが随所に散りばめられている。しかし、これらのシーンは派手さや勢いの良さがあまり感じられず、平凡な描き方となっているのでかなりマイナスだ。ラストの見せ場となるアクションシーンではカーチェイスやカークラッシュ、手榴弾による爆破、壮絶な銃撃戦という具合に工夫を施しているもののこれらも盛り上がりに欠けており、面白味が感じられない。他にも寄り道をしているためにもたついてしまっている部分が多く、退屈な印象を与えてしまう。チャールズ・アルデンによる音楽は、使い方も巧くてムードがしっかりと醸成されていているが、肝心のアクションシーンがことごとく破綻しているため、良いBGMがほぼ台無しになっているのだ。

結果的に言えば、凡庸なB級娯楽アクション映画である。ド派手なアクションを好む方にとっては、かなり物足りない内容であるが、上映時間は90分も無いので暇潰しに観る分には良いかも知れない。

11年後には続編『野獣部隊ゼブラ’87』が製作されたが、日本では劇場未公開のビデオスルーだった。

【40点】

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ジャガーNO.1

“ジャガー”というコードネームを持つ諜報員クロス(ジョー・ルイス)が世界各国の指導者を暗殺する麻薬組織の壊滅司令を受け、組織の首領エステバンを追跡する。

主演のジョー・ルイスは、正真正銘の空手世界チャンピオン。そんな彼の空手仕込みの格闘アクションが随所に散りばめられており、これが見せ場となる。

また、世界各国でのロケも本作の特色の一つでもあり、その中には日本の東京も含まれている。東京でのシーンで印象的なのは、黒い空手着に身を包んだクロスが墓地で黒いスーツに蝶ネクタイ姿の多数の敵を空手技はもちろん、刀まで駆使して蹴散らすシーンであり、これがほのかに武士道を感じさせる。次に香港ロケでは、アクションシーンは無いものの香港カンフーアクション映画の雰囲気を巧く醸し出している。ここでしっかりと格闘シーンを描くべきであった。そうすればもっと面白くて良い感じに仕上がっていたのではと思うと本当に残念だ。ラストのスペインの古城を舞台にした格闘アクションは、本領が発揮されていて観る者を釘付けにさせるほど面白く仕上がっている。

結果的にはもたついている部分が多く、アクションシーンも殆どパンチが効いていないため、思いっきり退屈さを感じてしまうユルユルのB級娯楽アクション映画という出来栄えとなった。クリストファー・リー、バーバラ・バックら豪華キャストも各国のロケも実にもったいないと思える。誠に残念だ。

【35点】

No1

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ラスト・ラン 殺しの一匹狼

逃走専門ドライバーのハリー(ジョージ・C・スコット)は、8年間のブランクを経て最後の大仕事としてある組織の秘密を知る若者リカルド(トニー・ムサンテ)とその情婦クローディ(トリッシュ・バン・ディバー)を逃走させるという任務を遂行する。

とにかく地味なイメージが強い作品であるが、愛車(BMW)を念入りに手入れするハリー、リカルドを護送車から脱走させる際に観られるトラックの爆破、メインの見せ場となるBMWとジャガーのカーチェイス、サイケデリックなムードで描かれるリカルドとクローディのベッドシーン、生意気すぎるリカルドを軽く痛めつけるハリーといった個々での印象的なシーンがしっかりと並べられている点は、素直に良いと思う。それにしても売り物であるカーチェイスが盛り上がりに欠けるという点は、かなり致命的なダメージだと断言できる。誠に残念な結果だ。

ジェリー・ゴールドスミスによる音楽が作品のムードを巧く引き出していて良い。テーマ曲は、息子を亡くした上に妻に逃げられた中年男ハリーの哀愁を漂わせる。ラストのアクションシーンで使用される躍動感を感じさせる軽快なBGMは、サスペンスの雰囲気をしっかりと醸し出し、このアクションシーンをしっかりと盛り上げている。音楽に関しては高い水準を誇っている。

中年男ハリーの悲哀な末路が忘れられないB級カー・アクション作品だ。

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悪名 (1961)

朝吉(勝新太郎)とモートルの貞(田宮二郎)という二人のヤクザがタッグを組んで悪辣なヤクザたちを相手に大暴れする姿を描いた大映製作の全十五作にも及ぶ人気任侠アクションシリーズの記念すべき第一弾作品。原作は、様々な新聞や雑誌で連載された今東光の同名小説である。監督は、田中徳三。

本作の魅力は、何といっても勝扮する昔気質で義理人情を重んじる一方で見かけによらず酒が飲めなくて涙もろいという大阪は八尾の村上朝吉親分と田宮扮する近代的でドライな雰囲気のモートルの貞というまったく対照的な二人による息ピッタリのコンビぶりである。上方のお笑い演芸に通じる掛け合いの面白さと武器を使わずにしっかりと体を張って魅せつけるアクションが観る者を魅了させる。第一弾である本作では、朝吉と貞は当初は敵対関係ということで二人が激しいバトルを繰り広げるシーンが観られる。このバトルの後に貞が朝吉の凄さに参ってしまうと同時に人柄に惚れ込んで弟分となり、最強タッグが誕生する。

脇を固める役者たちも素晴らしい。ヒロインでヤクザたちの手によって離島の遊郭に売り飛ばされてしまう遊女の琴糸役の水谷八重子(当時は水谷良重)をはじめ、モートルの貞の親分で後に彼と袂を別つことになる吉岡組長役の山茶花究、十分の貫禄で観る者を圧倒させる女親分役の浪花千栄子、朝吉と恋仲になるお絹役の中村玉緒というようにそれぞれが好演している点も見所である。

シリーズ化するにつれて娯楽映画としての面白さが段々とパワーアップし、朝吉とモートルの貞(第三弾以降は、貞と瓜二つの弟の清次)のボケとツッコミ風の会話とアクションはもちろんのこと、カレーライスを美味しそうに食べる朝吉、本作の代名詞の一つでもある河内音頭、関西ならではのお笑いタレントの出演が印象深い。

本作は、13年後に東宝で『悪名縄張り荒らし』としてリメイクされ、朝吉役には勝が再び登板し、モートルの貞を北大路欣也が演じた。また、2001年には朝吉役に的場浩司、モートルの貞役に東幹久で二度目のリメイクがなされた。

【85点】

悪名 DVD 悪名

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