悪名 (1961)
朝吉(勝新太郎)とモートルの貞(田宮二郎)という二人のヤクザがタッグを組んで悪辣なヤクザたちを相手に大暴れする姿を描いた大映製作の全十五作にも及ぶ人気任侠アクションシリーズの記念すべき第一弾作品。原作は、様々な新聞や雑誌で連載された今東光の同名小説である。監督は、田中徳三。
本作の魅力は、何といっても勝扮する昔気質で義理人情を重んじる一方で見かけによらず酒が飲めなくて涙もろいという大阪は八尾の村上朝吉親分と田宮扮する近代的でドライな雰囲気のモートルの貞というまったく対照的な二人による息ピッタリのコンビぶりである。上方のお笑い演芸に通じる掛け合いの面白さと武器を使わずにしっかりと体を張って魅せつけるアクションが観る者を魅了させる。第一弾である本作では、朝吉と貞は当初は敵対関係ということで二人が激しいバトルを繰り広げるシーンが観られる。このバトルの後に貞が朝吉の凄さに参ってしまうと同時に人柄に惚れ込んで弟分となり、最強タッグが誕生する。
脇を固める役者たちも素晴らしい。ヒロインでヤクザたちの手によって離島の遊郭に売り飛ばされてしまう遊女の琴糸役の水谷八重子(当時は水谷良重)をはじめ、モートルの貞の親分で後に彼と袂を別つことになる吉岡組長役の山茶花究、十分の貫禄で観る者を圧倒させる女親分役の浪花千栄子、朝吉と恋仲になるお絹役の中村玉緒というようにそれぞれが好演している点も見所である。
シリーズ化するにつれて娯楽映画としての面白さが段々とパワーアップし、朝吉とモートルの貞(第三弾以降は、貞と瓜二つの弟の清次)のボケとツッコミ風の会話とアクションはもちろんのこと、カレーライスを美味しそうに食べる朝吉、本作の代名詞の一つでもある河内音頭、関西ならではのお笑いタレントの出演が印象深い。
本作は、13年後に東宝で『悪名縄張り荒らし』としてリメイクされ、朝吉役には勝が再び登板し、モートルの貞を北大路欣也が演じた。また、2001年には朝吉役に的場浩司、モートルの貞役に東幹久で二度目のリメイクがなされた。
【85点】
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悪名 販売元:ポニーキャニオン |
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