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2008年7月

バスタード

宝石強盗に成功したジェイソン(ジュリアーノ・ジェンマ)は、腹違いの兄アダム(クラウス・キンスキー)から宝石と女カレン(マーガレット・リー)を奪われた上にアダムの専属医師によって右手を不能にさせられる。ジェイソンはアダムに復讐するべく右手で射撃の訓練を開始するが・・・・・・。

マカロニウエスタン風の現代アクション作品。バイオレンス描写はマカロニならではの酷な描き方となっていて強いインパクトを与える。特にクラウス・キンスキー扮するアダムがマーガレット・リーの緑色の下着を脱がせるシーンには度肝を抜かされる。冒頭の宝石強盗シーン、パトカーとのカーチェイスの描き方はあっさりしすぎているためあまり面白味が感じられないので残念だ。ジュリアーノ・ジェンマが警官二人を射殺する際のガン裁きは見事であり、魅力的だ。

主役ジュリアーノ・ジェンマ以外のキャストも興味深いポイントだ。クラウス・キンスキーはお得意の悪役であり、活躍は控えめでありながらも存在感だけはバッチリだ。ジェイソンとアダムの母親マーサ役にはハリウッドの大女優リタ・ヘイワースが扮しており、彼女の出演がかなり異色だと思える。酒好きの母という少し変わった役柄をしっかりと好演しており、面白くて忘れられない。ジェイソンの女カレンにマーガレット・リー、ジェイソンを助けた女牧場主でやがて彼と親密な仲になるバーバラにクローディーヌ・オージェという二人の美女のセクシーさが魅力的だ。

最後はジェンマとキンスキーが一対一の対決をするのかと思いきや、大地震によってキンスキーが絶命する。これによって二人の対決が観られなくなった。二人の対決を描いていればもう少し面白くなっていたはずだ。肩透かしを喰らわされたような感じがして少々残念だ。結局はリタ・ヘイワースの活躍でラストを迎えるのだが、このラストシーンを観て思えることと言えば、さすがはハリウッドの大女優、イタリアの二大スターをしっかりと喰ってしまったなということだ。

【60点】

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ゴキブリ刑事

暴力団すなわち“ゴキブリ”を非情な手段で蹴散らそうと奮闘する鳴神涼刑事(渡哲也)の姿を描いたハードボイルドタッチのポリスアクション。

原作は新岡勲の同名劇画であるが、映画の方は原作の設定や作風等に捉われずに独自の世界観を形成させた。

鳴神刑事を演じるのは渡哲也。刑事役と言えば渡哲也というイメージが強い。そんな彼が初めて本格的な刑事役を演じたのが本作であり、非情さをとことん発揮させたダーティーでアウトロー丸出しの一匹狼刑事を好演した。渡哲也=刑事役だけでなく渡哲也=角刈り+レイバンのサングラスというヴィジュアル的なイメージも本作で確立され、石原軍団ファンの間では本作は後に渡がTVドラマで演じる『大都会』(76~79)の黒岩頼介刑事や『西部警察』(79~84)の大門圭介刑事の原点だとよく言われている。また、渡が鳴神刑事を超えるほどのアウトロー刑事である黒岩竜を演じる東映映画『やくざの墓場 くちなしの花』(76)ともリンクされている。鳴神刑事役は、企画段階では藤岡弘、が演じる予定だったらしい。原作のイメージを考慮すれば藤岡が相応しかったかもしれないが、今となっては渡が演じて良かったと言い切れる。もしも藤岡が演じていたら、TVドラマ『特捜最前線』(77~87)のアウトロー的な情熱さを感じさせる桜井哲夫警部補(時には警部であったり)の原点とも捉えることができてそれはそれで面白く思えたことだろう。

製作に石原プロが関わっていることもあってご自慢のアクションシーンを存分に堪能できる。『大都会』や『西部警察』ほどのド派手な描き方ではないもののダイナミックで見応えのある面白いシーンに仕上がっているので素直に良いと言える。

バイオレンスの面でも強いインパクトを与えるシーンが幾つか観られる。中でもこれは絶対に必見と言えるシーンが二つある。まずは、鳴神と後輩刑事の武井(地井武男)が三人のチンピラヤクザを逮捕して取調べをするが、これが人権無視のハチャメチャ行為であり、観ていてかなりハラハラさせられる。次に苅谷俊介扮するチンピラヤクザが床屋で散発している時に鳴神が突然現れ、このチンピラに熱湯シャワーとトニック剤をぶっ掛けて軽くいたぶり、挙句の果てには剃刀で片眉を剃り落としてしまうというシーンは一度観たら忘れられないほどの強烈な描き方となっている。

後に続編も製作され、第二弾『ザ・ゴキブリ』(73)は若干スケールアップされているので本作よりも面白い作品に仕上がっている。第三弾『ゴキブリ IN U.S.A』という企画があったものの結局は実現されることはなく、二部作で打ち止めとなってしまったのである。

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探偵マイク・ハマー 俺が掟だ!

40年代末から50年代初頭にかけてアメリカで人気を呼んだミッキー・スピレイン原作のハードボイルド小説「探偵マイク・ハマー」シリーズの中の「裁くのは俺だ」を映画化した作品。

私立探偵マイク・ハマー(アーマンド・アサンテ)は、ベトナム戦争の頃に片腕を無くしてまで自身を助けてくれた友人ジャックの射殺事件の調査を開始する。マイクと秘書ヴェルダ(ローレン・ランドン)は、ジャックが通っていたセックスクリニックの院長シャーロット(バーバラ・カレラ)やベトナム戦争時代に洗脳活動を行っていたロメロ大佐(バリー・スナイダー)が事件に関与していることを突き止めるのだが・・・・・・。

とにかくアクションとエロスによる見せ場が満載でサービス精神旺盛な出来栄えとなっている。アクションに関しては、カーチェイス、銃撃戦、爆破シーン、格闘シーンという具合にしっかりとツボが押さえられいる。迫力は大作アクション映画に比べるとパワーダウンするが、観る者が面白く思えるような描き方がなされているのでそれだけでも十分良い。ラストシーンで観られる地雷やリモコン仕掛けのマシンガンといったトラップが満載の要塞風敵アジトは見モノであり、そこで繰り広げられるアクションの数々はインパクトが強い。エロスに関しては、セックスクリニックでの乱交パーティーを思わせるようなシーンが第一の見せ場となり、第二の見せ場となるのがマイクとシャーロットの情熱的なベッドシーンだ。これらのシーンは、一つ間違えていれば完全な18禁ポルノ作品になっていたと思えるほどだ。本作の最大の魅力は、この二大サービスなのである。

本作のもう一つの魅力と言えば、やはりビル・コンティによる音楽である。特にオープニングとエンディングで流れるメインテーマ曲が最高にカッコよく、オープニングのクレジット映像とよくマッチしていて粋な印象を与える。他のBGMもアクションシーンをしっかりと盛り上げていて良い。BGMはエロスシーンでも効果を発揮している。先述したマイクとシャーロットの情熱さ満点のベッドシーンで使用されるBGMは、曲そのものが既に情熱的であり、場面と音楽が見事に絡み合っていて100%の情熱度を存分にアピールしている感じで忘れられないほどの強烈な印象を与える。

原作はハードボイルド小説であるが、マイク役にハードボイルドのイメージとはほど遠いラテン系顔のアーマンド・アサンテを起用していることをはじめ、作風そのものがハードボイルド色が殆ど感じられないやや軟派なB級娯楽映画のテイストで彩られているので結果的には本来の目的とはまったく違った方向の作品となってしまったのである。それでも観る者を飽きさせないように工夫が施された演出で成り立った純粋なB級娯楽アクションとして思いっきり楽しめるのでそれだけでも十分だ。また、本作はマニアの間ではかなり評判が良い作品であり、DVD化やサントラ盤のCD化を望む声が多い。

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侠客道

関西のある街で任侠道を全うする昔気質の暴力団石田組と悪辣な暴力団寺光組が対立していた。寺光組は大組織の城西会をバックにつけ、石田組を吸収して更なる勢力の拡大を狙うが、組長の石田(石丸健二郎)と若頭の伊吹(安藤昇)はこれに大反対。抗争は更にヒートアップする。そんな折、かつて石田の世話になった検察官の中上(天知茂)が東京から来阪するのだが・・・・・・。

本作は、スーツ姿で拳銃を主な武器とする現代ヤクザの抗争劇をアクション色を押し出して描いているが、基本となっているフォーマットは従来の任侠ヤクザ映画のテイストである。

元ヤクザの映画スターとして有名な安藤昇。ヤクザ時代の安藤は従来の任侠ヤクザの堅苦しく思えるしきたりに捉われず、粋なファッションセンスに拘る一面があったりといった時代の最先端を行く異色のヤクザとしてカリスマ的な存在であった。そんな安藤が本作では任侠ヤクザならではの掟に忠実で義理人情に厚い侠客を好演。衣装は、安藤のイメージを崩すことのないようにシンプルな黒スーツをしっかりと着させた上で侠客らしくするために着物を着させている。イメージ通りとは違った安藤の姿が興味深く、これが魅力の一つとなっている。

脇を固める役者たちのキャラクター設定及び描写が強く印象に残り、これがまた面白い。まずは一番の重要人物である天知茂扮する検察官の中上は、かつて石田に大学卒業の面倒まで見てくれたにも関わらず、娘の織江(小畠絹子)に求婚した際に組員の手によって小指を切断された一件でヤクザを腹の底から嫌って再会した伊吹や石田を煙たがり、暴力団壊滅だけを目標に突っ走る。次の重要人物は、小池朝雄扮する石田組組員の北見だ。ある事がきっかけで石田組から敵対する北見組に寝返り、石田をドスで刺殺し、その後は寺光組の傘下団体として自身の組織を創設しようとする。この二人の男がストーリーを面白くさせていると言っても良いだろう。

鈴木則文監督の演出が結構気が利いているので観ていて普通に面白く思える。寺光組々員が車に乗って銃を乱射しながら石田組事務所を襲撃し、その際に伊吹がガソリンを撒いて車を炎上させるシーンにはじまり、街での両組織の大バトルシーン、北見組発会式に乗り込んだ伊吹が寺光(渡辺文雄)と北見の命を取るクライマックスといった見せ場作りは巧く、アクションとバイオレンスの面白さを存分に満喫できる。特にクライマックスで伊吹が北見らを追い詰めるシーンのカメラが伊吹の目線で捉えているというような工夫を施した映像作りも評価すべきポイントだ。鈴木監督ならではのナンセンスなコメディーテイストやセクシーサービスは味わえないが、これらをふと思わせるようなシーンは多少は観られる。

安藤昇の異色的な魅力がとことん発揮されている本作。劇中では安藤歌唱の同名タイトルの主題歌が聴けるが、これがまた男の中の男らしさを感じさせてくれる。CD化されていないため、本編で存分に味わうことをオススメしたい。

【75点】

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ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!

エドガー・ライト監督が、サイモン・ペッグとタッグを組んでヒットさせたゾンビ系ホラーのパロディ作品『ショーン・オブ・ザ・デッド』は、日本未公開のビデオ・DVDスルーだった。

ポリスアクションのパロディ作品である本作も、世界中でヒットしたものの日本では劇場公開どころかビデオ・DVD化も未定であったため、これに危機感を抱いたファンによるネット上での署名運動によって、ようやく劇場公開が実現となった。

ロンドンの勤勉実直な熱血警官ニコラス・エンジェル(サイモン・ペッグ)は、その完璧な仕事ぶりを上司たちに煙たがられ、田舎町のサンフォードの所轄署に左遷されてしまう。平和であるはずのこの町で突如恐ろしすぎる殺人事件が多発する。ニコラスは、刑事モノ映画マニアの頼りない警官ダニー(ニック・フロスト)とタッグを組んで捜査をするのだが・・・・・・。

かつてのポリスアクション作品のパロディによって生み出されたライトなコメディータッチと、ツボを押さえた上に気合の入ったアクション描写が最高に面白い。パロディに関してはポリスアクションだけに留まらず、『ショーン・オブ・ザ・デッド』に続いてのゾンビ系ホラーに西部劇、特撮怪獣映画まで幅広く網羅されており、クエンティン・タランティーノ監督顔負けの映画オタクぶりを感じさせてくれる。

中でもダニーがスーパーマーケットで『バイオニック・マーダラー』(82、日本未公開)と『ポリス・ストーリー3』(92)のDVDを手に取って嬉しそうにしているシーンや、ダニー宅の部屋の一室にDVDがぎっしりと並んだ棚があり、その中からダニーがかなり気に入っている『ハートブルー』(91)と『バッドボーイズ2バッド』(03)をニコラスと二人で観るシーンは、マニアパワーが全開という感じで印象深い。

アクションに関しては、スーパーマーケットでの銃撃戦やカーチェイス等が見せ場として用意されており、見応え抜群の迫力を感じさせてくれる。また、ごく普通のシーンでさえも拘りのある斬新な映像で魅せつけてくれるので、テンポもかなり良くて全体的にノリの良い仕上がりとなっている。

本作は飽きたりダレたりすることなく思う存分に楽しむことができるため、あっという間の2時間だと思える。面白く魅せつけてくれるエドガー監督の腕前を高く評価したい。

とにかく無事に公開されたことだけでも、非常に嬉しくて有難いという気持ちで一杯だ。署名運動を立ち上げて下さった関係者の皆様、私以外の署名参加者、そして公開を決定して下さった配給会社の皆様に心の底から感謝したい。

最後に個人的なことだが、サイモン扮するニコラスを観ていると日本のTV刑事ドラマ『特捜最前線』(77?87)の誠直也扮する吉野竜次巡査部長を思い出してしまった。ヘアスタイルが似ているということだけだが・・・・・・。

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レッドライン

不動産金融業で成功したダニエル・サデックが自身のポケットマネーとコレクションしている高級車を投じて製作したカーアクション映画。

歌手志望の美女ナターシャ(ナディア・ビョーリン)は事故死した親父譲りの抜群のドライビングテクニックを持っているが、親父の事故死が原因でレーサーだけはなりたくないと強く思っている。だが、違法なカーレース賭博に興じる金持ち男連中の一人であるインフェイス(エディ・グリフィン)に腕を買われたナターシャは、危険な世界へと巻き込まれるハメとなる。

カーマニアにはたまらない数々の高級車、舞台となるアメリカ西海岸、BGMの殆どがヒップホップ系という具合に『ワイルド・スピード』シリーズを意識した作風となっている。見せ場のカーチェイスはCGに頼らず、実際のスタントだけで描いており、これが売り物とされている。スピード感と迫力を追求し、画面分割等を駆使したりと拘った魅せ方をしていて普通に面白いとは思えるものの、本作以上に面白いカーアクション作品は他にも多く存在するため、少々物足りないと思える。古き良き時代のアクション映画のような手作りの良さと工夫を施していることに対する努力は大いに認めたいが、ご都合主義の甘くてぬるい脚本が大きなマイナスポイントとなっているので残念だ。

アクション、水着姿のセクシー美女が大挙登場、上映時間95分、有名と言えるほどのスターの出演はなしという具合にB級感覚は本格的。そんな本作を楽しむには、細かいことを考えず、最初からB級娯楽アクション作品として単純な気持ちだけで観ることをオススメしたい。そうすれば、普通に面白いと思えるだろう。

本作は、『ワイルド・スピード』シリーズを超える作品と宣伝しているが、明らかに『ワイルド・スピード』シリーズを下回っている。出来が悪くてもなお可愛いというが、そんな一言がお似合いの作品だ。

【45点】

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バニシング (ダーティ・デカ まかりとおる)

ローマを舞台に警察特捜部に所属するトニー(レイモンド・ラブロック)とアルフレッド(マルク・ポレル)の若手刑事二人が暗黒街のボスであるバスクイニを非情な捜査で追い詰める。

冒頭で女性のバッグをひったくりした犯人をトニーとアルフレッドがバイクで追跡するバイクチェイスが観られる。車と車の間を猛スピードですり抜けたり人を巻き込みそうになったりするような暴走ぶりは、危険な香りを漂わせた上にスピーディーに描いているため、かなり面白く仕上がっていて観る者にスリルと興奮を堪能させてくれる。当時のこの手の作品ではカーチェイスが主流だったが、本作では乗用車ではなくバイクという点が一見変わっている。でも、今となってはバイクチェイスを描いたアクション作品は多く存在するので特に珍しいことはない。

何といってもトニーとアルフレッドの度が過ぎたアウトロー刑事ぶりが魅力的だ。犯罪者には手錠を掛けることはなく、絶対に射殺してしまう。そして、事件に関係のある女の家に無理矢理侵入し、すぐさま性行為という具合にとにかくやり過ぎている。そんな彼らのハチャメチャな活躍は、痛快さが満点で実に面白い。主人公二人の描き方がこのような感じなので登場する敵キャラたちも凶悪犯丸出しで描かれている。冒頭のひったくり犯も立てこもり犯三人組もバスクイニとその手下たちもみんな極悪バイオレンスを魅せつけている。とにかくバイオレンス描写は徹底された描き方となっているため、さすがはイタリア製娯楽映画だと納得できる。それにしてもテンポはかなりゆったりとしていることが多くてマイペースな感じだと思えてしまうことがマイナスポイントとなるが、荒唐無稽ならではの面白さを思う存分に味わえるのでそれだけでも十分に良いと思う。

監督はルッジェロ・デオダートで後に『カニバル/世界最後の人喰い族』(76)や『食人族』(81)といったカニバル系ホラーを世に放つが、本作でもその予兆を感じさせるような悪趣味なシーンがごくわずかではあるが観られる。

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マーキュリーマン

タイ製アクション映画と言えば、生身の体を張った格等系のイメージが強いが、本作はアメリカンコミックが原作のハリウッド製SFヒーローアクションを意識した作品だ。

正義の感情で任務に当たり、スタンドプレーばかりして同僚から目を付けられている消防士チャーン(ワサン・カンタウー)は、アメリカに憎悪を抱くテロリストのウサマ・アリ(アノン・サーイセンチャ)脱獄騒動に巻き込まれた際にチベット秘宝“太陽の護符”を胸に突き刺される。その瞬間、チャーンは護符のパワーによって重力を操り、高熱を発揮する超人マーキュリーマンとなった。太陽の護符と同等の秘宝“月の護符”を入手したテロリストは、チャーンから太陽の護符を奪うため、母親を拉致して挑発する。マーキュリーマンは、極悪非道なテロリスト軍団と激闘を繰り広げる。

本作は、ハリウッド製SFヒーローアクション作品のようにVFXを駆使すると同時に従来の生身の格闘アクションをプラスして描いている。さらに近年目立っている中近東のテロをネタにした作品のテイストを取り入れている。こうしたことによってアクション映画としての面白さが最大限に発揮されている。

マーキュリーマンの見た目は、『スパイダーマン3』(07)に登場した黒色スパイダーマンを思わせる。コミックが原作の作品ではないため、『スパイダーマン』シリーズを意識して作られたと思う。そんなマーキュリーマンがムエタイ風の攻撃で敵を蹴散らす姿は、ハリウッド製SFヒーローアクションにはない新味な面白さが感じられる。また、鋭いキレ味で描かれているため、スカッとした最高に良い気分にさせてくれる。マーキュリーマンが飲酒運転するドライバーや婦女暴行魔をやっつけては新聞に取り上げられるシーンは、まさに正義のヒーロー参上という感じでこれがまた気持ち良さを存分に味わえる。

やはりどうしてもハリウッド製SFヒーローアクションと比較してしまうが、比較すれば多少パワーダウンしていることだけは否めない。それでも存分に楽しむことができる面白い作品であるためそれだけでも十分良いのだ。

チャーンの妹(元は弟)役として『ビューティフル・ボーイ』(03)で半生を描かれたオカマのキックボクサーとして有名なパリンヤー・ジャルーンポンが出演している。マーキュリーマンの活躍と同時にパリンヤーが魅せつける格闘アクションと演技も是非とも注目していただきたい。

【80点】

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ローリング・サンダー

ベトナム戦争で8年間の捕虜生活から帰還した空軍少佐レーン(ウィリアム・ディベイン)は、自身に贈られた銀貨を狙ったメキシコ人窃盗団に右手首を粉砕された上に妻子を殺害される。堪忍袋の尾が切れたジョニーは、かつての戦友ジョニー(トミー・リー・ジョーンズ)とともに復讐するべく敵地に乗り込む。

本作は、脚本のポール・シュレイダーが『タクシー・ドライバー』(76)同様のベトナム戦争後遺症をネタにしながらも自身のお気に入りである日本の任侠ヤクザ映画のテイストを踏襲したバイオレンスアクション作品。

ウィリアム・ディベインが度胸の据わった寡黙な男を好演。作品そのものがドライで静寂なタッチで描かれていることが多いが、時にはレーンの激しいアクションが観られたりという具合に静と動を巧く描き分けている。耐えに耐えたレーンが怒りを爆発させて敵に立ち向かうという展開は、まさに鶴田浩二、高倉健、若山富三郎らが活躍した東映の任侠ヤクザ映画そのものだ。グラインダーで砥ぎすまされた義手の爪と銃身を切り詰めたショットガンを武器に戦友ジョニーとタッグを組んでエルパソの売春宿に潜伏している窃盗団を蹴散らしに向かうクライマックスでバイオレンスアクションとしての面白さが一気に大爆発する。手応えのある強烈なバイオレンス描写はまさに上出来であり、観る者の気分をスカッとさせる。

クエンティン・タランティーノ監督にとっては、何度も繰り返して観たというほどの大のお気に入りの作品であり、彼が創立した配給レーベルの社名は本作からそのまま頂いたものであると同時に作品そのものも本国でリバイヴァル上映させた。

ちなみに監督のジョン・フリンが二年後に製作したジャン=マイケル・ヴィンセント主演作『摩天楼ブルース』(79)も本作と同趣向のテイストの作品である。

アメリカの寡黙な男もやはりかっこよく、男性の男心をしっかりと揺さ振らせてくれる。本作のウィリアム・ディベインは、鶴田浩二、高倉健、菅原文太、渡哲也らとかなり良い勝負をしている。個人的には、アメリカン男気系アクション映画スターのチャールズ・ブロンソンと競演して寡黙演技合戦をやって欲しかった。

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重犯罪特捜班 ザ・セブン・アップス

ニューヨークでギャング団のボスがニセ警官によって次々と拉致される事件が発生する。バディ刑事(ロイ・シャイダー)率いる特捜班セブン・アップスが非情の捜査を開始する。

カーチェイスが語り草となっているポリスアクションの名作『ブリット』(68)、『フレンチ・コネクション』(71)を製作したフィリップ・ダントーニが製作、監督を手懸けたサスペンス系ポリスアクション。見せ場はもちろん中盤で描かれる約10分間のカーチェイスであり、これがなかなか気合の入った出来栄えだ。バディがハンドルを握る車が敵の車を追い詰める、子供たちが縄跳び等をして遊んでいる所を激走し、危うく轢き殺しそうになるシーンはまさにスリル満点の描き方となっている。次に一台のパトカーを巻き込んでのカーチェイスとなるのだが、これが刑事アクションらしい面白さを感じさせる。ゆるやかな坂道を二台の車が軽くジャンプするシーンは、ダントーニ監督が『ブリット』で描かれたあの有名なカーチェイスシーンをもう一度やってみたくて再現させたかのように思える。締め括りは、バディの車がトラックの荷台の下に突っ込んで車体の上部が跡形も無く崩壊し、バディは軽症を負う。とにかくカーチェイスシーンは、スピード感とハラハラドキドキ感を存分に満喫できる見応え抜群のシーンとなっていてとても印象深い。

ロイ・シャイダーが脇役として出演した『フレンチ・コネクション』と本作には、共通点がある。まずは、舞台がニューヨークであること。次にロイが演じる主人公のファーストネームがバディであること。『フレコネ』ファンにとって本作は二番煎じ、またはロイが続編『フレンチ・コネクション2』に出演できなかったため本作こそロイにとっての『フレコネ2』と言われている。

タイトルのセブン・アップスは、7年以上の刑期に該当する犯罪者という意味である。

本作の特捜班は、アウトロー的な刑事ばかりで構成されている。ついつい日本のTV刑事ドラマ『非情のライセンス』(73~80)、『大都会』(特にPARTⅡ、Ⅲ、77~79)、『西部警察』(PART-Ⅲまで、79~84)、『大激闘マッドポリス’80』(17話より『特命刑事』に改題、80)、『ゴリラ 警視庁捜査第8班』(89~90)を連想してしまう。

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殺人者にラブ・ソングを

60年代アメリカの人気TVドラマ『アイ・スパイ』(65~68、02年に劇場用映画としてリメイク)のビル・コスビーとロバート・カルプが私立探偵タッグを結成してスクリーンに登場した。ロバート・カルプは主演すると同時に監督も担当し、監督デビューを飾った。また、後に数々の娯楽アクションの傑作を放つウォルター・ヒルが本作で脚本家としてデビューした。

メリー・ジェーンという女の捜索を依頼されたヒッキー(ビル・コスビー)とボッグズ(ロバート・カルプ)は、調査に乗り出すが、行く先々で手掛かりとなる人物が殺害され、警察からも怪しまれる。二人は独自の手段で解決させようと奮闘するのだが・・・・・・。

私立探偵二人組を渋いイメージで描いたハードボイルドタッチのサスペンスアクション。一匹狼の私立探偵の活躍を描いたハードボイルド作品はよくありがちではあるが、二人組という点は比較的珍しいとも思える。個人的には、二人組の凸凹ぶりが面白いバディムービーとして描いた方が良かったと思う。

見せ場となるアクションシーンは、ラグビー競技場での銃撃戦、夜の駐車場での銃撃戦と車一台の爆破、クライマックスでの敵がヘリに乗って上空からマシンガンを乱射し、ヒッキーとボッグズがコルトで撃退し、ヘリが爆破という具合に描かれている。その出来栄えは、ごく普通という感じであり、迫力があまり感じられず、盛り上がらないため面白味が無い。特にヘリ爆破シーンの描き方は、明らかに誤魔化しているような感じがして酷い。

演出そのものがもたついているため、100分以上の上映時間を長く感じさせると同時に退屈させられる。ダラダラとした冗漫な仕上がりだ。

【40点】

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