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ゴキブリ刑事

暴力団すなわち“ゴキブリ”を非情な手段で蹴散らそうと奮闘する鳴神涼刑事(渡哲也)の姿を描いたハードボイルドタッチのポリスアクション。

原作は新岡勲の同名劇画であるが、映画の方は原作の設定や作風等に捉われずに独自の世界観を形成させた。

鳴神刑事を演じるのは渡哲也。刑事役と言えば渡哲也というイメージが強い。そんな彼が初めて本格的な刑事役を演じたのが本作であり、非情さをとことん発揮させたダーティーでアウトロー丸出しの一匹狼刑事を好演した。渡哲也=刑事役だけでなく渡哲也=角刈り+レイバンのサングラスというヴィジュアル的なイメージも本作で確立され、石原軍団ファンの間では本作は後に渡がTVドラマで演じる『大都会』(76~79)の黒岩頼介刑事や『西部警察』(79~84)の大門圭介刑事の原点だとよく言われている。また、渡が鳴神刑事を超えるほどのアウトロー刑事である黒岩竜を演じる東映映画『やくざの墓場 くちなしの花』(76)ともリンクされている。鳴神刑事役は、企画段階では藤岡弘、が演じる予定だったらしい。原作のイメージを考慮すれば藤岡が相応しかったかもしれないが、今となっては渡が演じて良かったと言い切れる。もしも藤岡が演じていたら、TVドラマ『特捜最前線』(77~87)のアウトロー的な情熱さを感じさせる桜井哲夫警部補(時には警部であったり)の原点とも捉えることができてそれはそれで面白く思えたことだろう。

製作に石原プロが関わっていることもあってご自慢のアクションシーンを存分に堪能できる。『大都会』や『西部警察』ほどのド派手な描き方ではないもののダイナミックで見応えのある面白いシーンに仕上がっているので素直に良いと言える。

バイオレンスの面でも強いインパクトを与えるシーンが幾つか観られる。中でもこれは絶対に必見と言えるシーンが二つある。まずは、鳴神と後輩刑事の武井(地井武男)が三人のチンピラヤクザを逮捕して取調べをするが、これが人権無視のハチャメチャ行為であり、観ていてかなりハラハラさせられる。次に苅谷俊介扮するチンピラヤクザが床屋で散発している時に鳴神が突然現れ、このチンピラに熱湯シャワーとトニック剤をぶっ掛けて軽くいたぶり、挙句の果てには剃刀で片眉を剃り落としてしまうというシーンは一度観たら忘れられないほどの強烈な描き方となっている。

後に続編も製作され、第二弾『ザ・ゴキブリ』(73)は若干スケールアップされているので本作よりも面白い作品に仕上がっている。第三弾『ゴキブリ IN U.S.A』という企画があったものの結局は実現されることはなく、二部作で打ち止めとなってしまったのである。

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コメント

この映画には苅谷さんが出演されていたのですね。
これは是非観なくては。
タイトルは「対ゴキブリ」という意味だったんですね~。ずっと不思議に思ってました。

投稿: とらこ | 2008年7月29日 (火) 12時36分

とらこ様

コメント、誠に有難うございます。

苅谷俊介さんの役柄、かなり美味しいです。
かなりインパクトが強すぎます。

続編『ザ・ゴキブリ』にも同じような役柄で出演されてますが、そんなに美味しい役柄ではないです。それでも苅谷さんの出演は、かなり嬉しく思えます。

苅谷さんの著書「土と役者と考古学」でもこの『ゴキブリ刑事』について触れていますね!ごくわずかですが。

投稿: サニヤン | 2008年7月29日 (火) 12時55分

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