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2008年9月

愛に向って走れ

エディ(ジョン・シュナイダー)は、船を買うための金と息子の病気の治療費を稼ぐためにフロリダからテキサスに越し、前職よりも給料が良い油田に就職する。一生懸命に働いていた彼は、現場監督と地元警察が組んで不正に給料を天引きしていることに腹を立てて対立し、その上に無実の罪を着せられて投獄されてしまう。面会に訪れる愛妻と逃亡計画を企てたエディはついに脱獄し、妻子が待つメキシコ国境を目指して逃走を続ける。逃走途中で暴行されているテキサス州知事の姪ジリー(リー・パーセル)を助ける。ジリーが助けてくれたお礼としてエディの逃亡に協力するということで二人で目的地へと向うが、敏腕刑事マーザック(カーク・ダグラス)が執拗に追い詰める。

日本では劇場公開後、何度もTVの洋画劇場で放映された作品である。アクション映画ではあるもののロードムービーの要素を強く押し出しているのが特徴的である。80年代の作品であるものの作風からは70年代の低予算娯楽アクション作品の雰囲気がほんのりと漂ってくる。これが魅力の一つとも言えるのである。

アクション映画としては地味な感じであり、変に期待しすぎると肩透かしを喰らわせられること間違いなしだと言える。それでも決して面白くない作品ではないことだけは事実だ。エディが逃走の途中で男二人と女一人の三人組にいたぶられるサディスティックなバイオレンス描写やラストのカーチェイスといった印象的な見せ場を用意していることによって面白くなっていると捉えることができるからである。特にカーチェイスが一番面白さを満喫できるシーンである。使用されるアップテンポなBGMが場面と良くマッチしており、ごく普通だと思えるようなシンプルなカーチェイスにスピード感とテンポの良さを醸し出させて面白さをグッと引き出しているのである。この音楽と場面の抜群の絡み合いが最後の最後で大味の面白さを堪能させてくれると同時にクライマックスに相応しいシーンに仕立て上げることに成功しているのである。

本作は、今となっては古き良き時代のB級娯楽アクション映画としての面白さを存分に味わえる作品だ。何度もTVで放映されたということに関しても観れば納得できるだろう。

【60点】

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刑事キャレラ 10+1の追撃

エド・マクベイン原作の刑事サスペンス小説「87分署」シリーズの「10+1」を舞台をフランスのニースに置き換えて映像化した作品。

ニースの街でライフルによる連続殺人事件が発生。キャレラ刑事(ジャン=ルイ・トランティニャン)は捜査に乗り出すが・・・・・・。

ニースの街並の活写は優雅で鮮やかな印象を与える。そこにエンニオ・モリコーネのゆったりとしたテーマ曲が流れる。場面と音楽が巧く絡み合っており、落ち着いた雰囲気をしっかりと醸成させている。これが劇中で描かれる殺人描写やキャレラ刑事の活躍以上に印象深い。

ジャン=ルイ・トランティニャン扮するキャレラ刑事の活躍ぶりを一匹狼刑事のように描いている。当時の刑事モノ作品では一匹狼刑事を主役にした作品が多々観られた。その殆どがアウトロー的なイメージでアクションを魅せつけるという格好良さが売りであった。キャレラ刑事の描き方は、刑事サスペンスということもあって格好良さや迫力等を無駄に追求することなくあくまでも地味目で自然体な感じの比較的大人しい系である。映画だから少しぐらいは派手に暴れ回って格好良さをアピールしてみても良かったのではないかと思えるほどだ。

サスペンスとしては、殺された人々の繋がり等が分かってくる後半でしっかりと面白さが味わえ、全体的に言えばまとまりがあって描き方も十分良い。

本作は、あくまでもサスペンス作品。キャレラ刑事のアクションを期待すると間違いなく面白くない作品と思えるだろう。

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アーティスト:エンニオ・モリコーネ
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ゾンビ・コップ

死体蘇生装置でゾンビとして蘇った宝石強盗団を相手に彼らの手によって殉職し、同じような形で蘇ったロジャー(トリート・ウィリアムズ)とダグ(ジョー・ピスポコ)の両刑事が激闘を繰り広げる姿を描いた作品。

ポリスアクションとゾンビ系ホラーの要素が巧く絡み合っていて面白く仕上がっている。そこにナンセンスなセリフ回しがコメディー要素として加味され、三つのジャンルのテイストが味わえる。

アクションに関しては、マシンガンによる銃撃戦や爆破シーンがしっかりと用意されており、迫力も感じられるため素直に見応えのある面白さが感じられると言える。ゾンビ系ホラーとしては、単にゾンビが出てくるだけであってその独特な恐ろしさはあまり味わえない。だが、中華料理店での北京ダックや豚丸焼きが死体蘇生装置によって蘇って主人公二人を襲撃するシーンはグロテスクなモンスター系ホラー作品としての恐ろしさが発揮されていたりという具合に違ったホラー作品としての面白さが味わえる。ゾンビを主体にしているのだからゾンビの恐ろしさや気味悪さをもっと強調した方が良かっただろう。コメディーとしては、笑いのツボを外しているような感じがするため面白さを汲み取れず、これがマイナスポイントの一つで明らかに蛇足だと言える。結果的に言えば、ポリスアクションとゾンビ系ホラーの二大要素だけで良かったと言える。

他にも出来の悪いツッコミ所が数ヶ所ほど見受けられ、これが作品のレベルをダウンさせている。本作を楽しむためには、このような細かい部分やマイナスポイントを気にしないことだ。見せ場を巧く作り、構図やストーリーを簡素化させているため頭を空っぽにして単純な気持ちだけで観ればその面白さは十分に味わえる。

本作の前年には殉職刑事がロボットとして蘇って悪に立ち向かう『ロボコップ』(87)が大ヒット。本作は恐らくこの影響によって製作されたとも捉えることができる。SFではなくホラー、殉職刑事を一人ではなく二人、笑いも追求という具合に類似性を払拭して差別化を図っていることは明らかである。

面白い上にバカになりきった内容であるため、B級娯楽映画としての出来栄えは完璧だ。ラストシーンの主人公二人のナンセンス度100%のセリフがバカの決定打となっており、強く印象に残る。とにかく暇潰しには持って来いの作品であることに違いはない。

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今日も僕は殺される

VFX界の巨匠と称され、数々の名作の特殊メイクを担当してきたスタン・ウィンストンの最後のプロデュース作品である本作は、毎日殺される青年の姿を描いた不条理なサスペンス・ホラーである。

イアン・ストーン(マイク・ヴォーゲル)はアイスホッケーの名選手であり、恋人ジェニー(クリスティーナ・コール)との関係も絶好調で充実した生活を送っていた。イアンが試合で敗北を喫した夜、帰宅途中に倒れている人物を助けようとしたその時、その人物に線路に押さえつけられ、あっという間に電車に轢かれて死んでしまう。死んだはずのイアンが目を覚ますと会社員としてオフィスにいる。そこには恋人であるはずのジェニーが単なる同僚として勤務している。その後、イアンのもとにグレイ(マイケル・フィースト)という謎の男から「君は狙われている」と告げられる。

とにかくユニークな設定と独特のストーリーが興味深い。主人公が毎日殺される理由と謎が注目すべきポイントだと言え、これらを理解するためには登場人物のセリフが重要で外せないことが言える。理由と謎が解明されるまでの描き方や展開も面白い。

監督はCM界出身のダリオ・ピアナで長編映画の監督は本作が初体験である。そんな彼がサスペンス・ホラーに相応しい斬新な映像をとことん魅せつける。映像作りは秀逸であり、緊迫感や恐怖感をしっかりと醸し出した演出も素直に良く出来ている。これは、ダリオの腕前に加えてスタン・ウィンストンらの大きなバックアップがあったからこそだと断言できる。

低予算であるが、アイデアを活かせて魅せるべき部分をしっかりと魅せているのでしっかりと面白い作品に仕上がっている。87分という短めの上映時間がこれまた観易く思えて良い。ホラー好き、サスペンス好きは何が何でも必見だ。

【75点】

今日も僕は殺される デラックス版 DVD 今日も僕は殺される デラックス版

販売元:ジェネオン エンタテインメント
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