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2008年10月30日 (木)

メキシコ無宿

危険屋稼業のジョー(宍戸錠)がメキシコから来た男・ペドロと友達になり、一緒に仕事をする。だが、ペドロは業務中に事故で死亡する。死に際にメキシコで土地を奪われた上に殺人の濡れ衣を着せられたことを告げられたジョーは、ペドロに代わってメキシコへ赴き、潔白を証明するべく村の悪党たちに挑戦する。

日活無国籍アクションである本作は、このジャンルの特色である西部劇テイストをさらに強調するためにメキシコで大ロケーションを敢行した。とにかくメキシコの街並の活写が何よりも魅力的である。射しかかる陽光、メキシコ革命記念日の盛大なパレード、いくつかのサボテンが立ち並ぶ乾いた大自然といった特色が随所に散りばめられており、メキシコの特徴をしっかりと押し出している。

肝心なアクションシーンは、内容やストーリー展開と相俟って西部劇らしく仕上がっており、ジョーが魅せつけるガンアクションが最大の見所である。

劇中で公用語のスペイン語で会話しているメキシコ人キャラ同士が途中で日本語(吹替え)で会話していたりというようなことが多く観られ、これが観る者を不自然に思わせ、興醒めさせてしまう。本作の決定的な痛手だと言い切れる。

本作は、荒唐無稽なイメージが強い日活無国籍アクション作品の中でも最も異色さを発揮した作品だと言える。

【45点】

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2008年10月27日 (月)

ゲット スマート

諜報機関“コントロール”本部が犯罪組織“カオス”に襲撃され、全エージェントの顔や身元がバレてしまう。唯一敵にバレなかったマックスウェル・スマート(スティーブ・カレル)が分析官からエージェントに昇格する。憧れの役職をゲットしたスマートはエージェント86となり、整形手術をしたばかりの凄腕美女エージェント99(アン・ハサウェイ)とタッグを組んでカオスに挑む。

『007』シリーズのパロディーが満載の往年の人気TVドラマ『それ行けスマート』(65~70)のリメイク映画版。監督は、コメディーテイストを得意とするピーター・シーガル。

本作の面白さは、やはりコメディー描写と気合の入ったド派手なアクションシーンだ。コメディーに関しては、日本のTVお笑い番組で観られるようなコントに近いものがあり、ゆるやかなおとぼけギャグを随所に散りばめている。これが結構分かりやすく描かれているので単純な面白さが味わえて笑わせてくれる。アクションシーンは、爆破やカーアクションといった見せ場を迫力を追求して魅せつけてくれる。特にクライマックスは見応え抜群の出来栄えであり、ここでも笑いをしっかりと追求している点が素晴らしい。コメディーとアクションという二大要素の絡み合いが最高潮に達する瞬間は、強烈なインパクトを与えてくれると言っても良いだろう。

豪華なキャスト陣によるキャラクターも注目すべきポイントである。主役・カレルと準主役・ハサウェイ以外の脇役キャラの活躍は本当に面白い。凄腕スパイのエージェント23をプロレス出身のアクションスターであるドウェイン・ジョンソン(ザ・ロックから改名)が演じる。彼の近年の出演作は未公開だったが、本作で久々に日本のスクリーンに戻ってきた。それも単館系ではなくてロードショー大作としてだからファンにとっては嬉しく思えるはずだ。同じくプロレス出身で今も現役で活躍しているダリープ・シン(身長はなんと230cm!!日本ではジャイアント・シン名義で同じく230cmのジャイアント・シルバとの巨漢タッグで新日本プロレスのリングで暴れまわった。二人の仲は悪く、試合中に度々仲間割れしていた。)が敵役を好演。彼はシーガル監督のリメイク版『ロンゲスト・ヤード』でデビュー。プロレスラーが大挙出演しているこの作品で当時日本でも人気者だった格闘家のボブ・サップと絡んでいたことが今でも忘れられない。本作では『ロンゲスト~』以上に彼のキャラクターを巧く描き上げることに成功しており、今後もシーガル監督作品の常連役者として活躍するような予感すらした。他にもアラン・アーキン、テレンス・スタンプ、ジェームズ・カーン、TVドラマ『HEROE』でお馴染みのマシ・オカが顔を揃えており、さらにビル・マーレイがカメオ出演している。

上映時間は110分。飽きさせないように工夫を施してはいるが、それでも少しダレてしまう部分があったことがマイナスであり、この無駄を省いていればもっと良かっただろう。結果的に言えば、本作は面白い作品であることに違いはないのである。

【80点】

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2008年10月20日 (月)

マニアック・コップ(『地獄のマッドコップ』、日本未公開)

ニューヨークで猟奇的な殺人事件が多発する。その犯人は巨漢の警官だった。事件の濡れ衣を着せられた警官ジャックは調査の結果、かつて人権無視の捜査が原因で刑務所に入獄し、囚人たちから半殺しにされた模範的で実直な警官が捜査線上に浮かび上がる。

製作総指揮を『エクスタミネーター』(80)等の迷作娯楽アクション映画の職人ジェームズ・グリッケンハウス、脚本及び製作をラリー・コーエン、監督をウィリアム・ラスティグというB級娯楽映画の三強が手懸けた本作は、80年代を代表すると言っても過言ではない傑作ホラー作品。

単純化されたストーリー、サスペンス描写、ホラー映画ならではの残酷で血生臭い殺人シーン、ラストのポリス・アクションらしい大掛かりな見せ場といった演出は面白さがしっかりと味わえる出来栄えだ。派手さはあまり感じられないもののツボが押さえられているからこそ面白いと言える。無駄な部分を極力排除して80分強の時間でまとめているので観易くて気楽なB級娯楽映画として仕上がっている。

本作は日本では劇場未公開だが、アメリカ本国では大ヒットを記録した。その後、二本の続編が製作され、こちらは日本でも劇場公開された。

【65点】

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2008年10月17日 (金)

カリフォルニア・キッド (『連続殺人警官』、日本未公開※TV映画)

ある田舎町では暴走車の取締りに対して異常な執念を見せる悪徳保安官(ヴィック・モロー)が牛耳っていた。彼に弟を殺された男(マーティン・シーン)が愛車の34年型フォードクーペに乗ってこの町に現れ、復讐を挑む。

本作の魅力の一つは、やはり主人公が乗り回す34年型フォードクーペだと言える。黒いボディーにファイヤーパターンのピンストライプという仕様が実にカッコいい。大変古いクラシックアメ車にも関わらず今観ても憧れてしまうほどだ。昨今、極限までにチューンナップされ、デザイン等がカッコいいスポーツカーが激走する作品がチラホラ観られるが、その原点が本作ではないかとも思えたほどだ。山道でドリフトするシーン等からもそういった感覚を漂わせている。ちなみに本作のタイトルは、この車を表現する言葉として世界中でも用いられているのである。

次の魅力は、今となっては本当に豪華だと言い切れる異色のキャスト陣だ。マーティン・シーンを筆頭にヴィック・モロー、「パパス&ママス」のミシェル・フィリップス、そしてニック・ノルティが顔を揃えている。

弟を殺された男と悪徳保安官との闘いという構図でストーリーが展開される単純明快な勧善懲悪モノで車の魅力を全面に押し出した作風だ。監督は娯楽映画の職人リチャード・T・へフロン。彼ならではのツボをしっかりと押さえた演出は、低予算のTV映画ということもあって派手なアクション映画ではないもののしっかりと面白さを醸し出すことに成功していると言える。ルチ・デ・ジーザスの音楽も絶妙であり、車が激走するシーンをしっかりと盛り上げると同時にカッコ良さと面白さを倍増させている。

上映時間は70数分程度で分かりやすい内容だからサラッと観られる。このお得感は、本当に嬉しいこと間違いなしだ。本作こそ珍しくて貴重な作品の一つであることに違いはないだろう。

【70点】

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2008年10月15日 (水)

ドーベルマン刑事

「週刊少年ジャンプ」で連載されていた武論尊&平松伸二の同名人気漫画を深作欣二監督&千葉真一主演で実写化したアクション作品。

沖縄は石垣島の刑事・加納錠治(千葉真一)は、殺害された地元の家出娘の遺骨を引き取るべく上京。だが、彼は芸能界の陰謀めいた汚点に巻き込まれてしまう。

本作は、漫画になる前の主人公・加納のプロローグ篇として製作されたものものであり、したがって原作のイメージとは随分違った作風に仕上がった。千葉扮する加納は、ある事件でロープを装着してビルの外窓を蹴破って人質を救出し、犯人を逮捕する。この一件で皆から“ターザン刑事”と呼ばれるが、“ドーベルマン刑事”と呼ばれたのはただ一度だけ。これなら最初からオリジナル脚本で『ターザン刑事』にしておいた方が良かったのではと思えるほどだ。他にも加納は黒豚を連れ回していたりととにかく原作ファンからすれば激しいツッコミを入れたくなるような変なオリジナリティー要素が観られる。原作とは別物と割り切って観れば面白く思えるだろう。

見所はやはり千葉の体を張ったアクションだ。先述した“ターザン刑事参上描写”にお得意の空手格闘アクション、44マグナムぶっ放しの銃撃戦が観られる。派手さは感じられないものの面白さは感じられ、バイオレンスアクションの雰囲気を醸し出しているので深作監督らしさを少しでも感じられる。

脇役たちの存在感も忘れられない。まずは、スター候補として売り出し中の歌手・美樹(ジャネット八田)は、元ソープ嬢でシャブ中という設定が強烈でシャブを欲しがる姿はインパクトが強い。次に美樹をバックアップする元ヤクザのマネージャー・英盛(松方弘樹)は敵キャラらしさが丸出しであり、最後に加納と対決する。この二人の存在が大きく、ストーリーを面白く昇華させている。他にも関西ストリップ興行の関係者・木下(川谷拓三)と加納にベタ惚れするストリッパーの小袖(松田英子)が変なヒモと情夫の関係でコメディー要因としてしっかりと笑わせてくれたりとキャラクター描写は抜群で他のキャラに関しても皆が印象的で忘れられない。

ちなみに原作は80年に黒沢年雄でTVドラマ化(タイトル『爆走!ドーベルマン刑事』)され、96年に竹内力でVシネマ化され、三度に渡って実写化された。

【50点】

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2008年10月 8日 (水)

僕らのミライへ逆回転

未だにビデオテープしか置いていないレンタルビデオ店でフレッチャー店長(ダニー・グローヴァー)から店番を任されたマイク(モス・デフ)。彼の幼馴染で風変わりな男ジェリー(ジャック・ブラック)が発電所でいたずらをやらかし、自身が電磁波を浴びてしまう。これが原因で店のテープの映像が抹消されるハメとなる。マイクとジェリーは、消えてしまった映像を勝手に自主製作する。

ミシェル・ゴンドリー監督が映画に対する愛を込めて遊び心を活かせて作り上げたのが本作だ。

見所は、やはりマイクとジェリーが作ったパロディー風リメイク映画だ。ネタになっている作品はハリウッドの大作映画ばかりであり、『ゴーストバスターズ』(84)をはじめ『ラッシュアワー2』(01)、『ロボコップ』(85)、『2001年宇宙の旅』(68)、『ライオン・キング』(94)等である。パロディー作品によくありがちなおバカな感覚はあまり感じられず、これらの作品に対する敬意が込められていることが感じられた。製作過程の描写は本当に面白く、ハチャメチャ感が笑わせてくれる。また、いかにも安っぽい作品を撮っているがそこから本当の手作りの良さが伝わってくる。これらの自主製作作品が客に大ウケして店が儲かってくる。本当に信じられないような不思議感覚が観る者をさらに楽しませてくれる。

映画に対する愛が最高潮を達するラストでは感動を与えてくれる。ノスタルジックな雰囲気が感動を彩っているとも言え、これがまた味わい深くて重厚な出来栄えとなっている。ラストの前に現在のハリウッド製大作映画に対する批判が描かれていることも重要なポイントなのである。

単にコメディーとしての面白さや笑いを追求しているだけではないことが良質な仕上がりとなっている。

【70点】

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2008年10月 6日 (月)

散弾銃<ショットガン>の男

一匹狼の流れ者・良次(二谷英明)が魔の山と人々から恐れられている鷲霊山に敢えて登り込み、アルプスで殺された恋人の仇を討つために悪党に挑む。

監督は鈴木清順。彼ならではのケレン味のある演出を好むファンは今でも多いが、本作ではそういった特色は殆どといっても良いほど発揮されておらず、あくまでも当時の日活アクションの主流でもあった西部劇テイストの無国籍アクションとして描かれている。中盤で良次がギターを爪弾きながら挿入歌「ショットガンの男」を歌うシーンでのバックの背景からは清順らしさが伺え、これが後の清順作品の原点とも思えた。

二谷が魅せつける数々のアクションが面白い。敵にパンチとキックを喰らわせ、巴投げまで披露している。そういった格闘アクションも印象深いが、やはりショットガンのガン裁きが最大の見所であり、魅力をとことん感じさせる。アクションシーンの中でも肝心なのは銃撃戦であり、これが一番面白さを感じさせてくれるので本当に良い。

オープニングとエンディングで流れる二谷歌唱の主題歌「夕日に立つ男」は、まさに男心をくすぐらせる歌詞が魅力的であり、男臭さをほんのりと感じさせる二谷のイメージとマッチしていると言える。

【50点】

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2008年10月 2日 (木)

東京残酷警察

アメリカ資本で製作された日本映画“TOKYO SHOCK”シリーズの第二弾。監督は、シリーズ第一弾『片腕マシンガール』(08)で特殊メイク、造形を担当した西村喜廣。

舞台は近未来の東京。自らの肉体を改造した新種の殺人ミュータント“エンジニア”たちが残酷極まりない無差別殺人事件を多発させていた。これに対抗するべく警察は民営化され、“東京警察株式会社”となって最強武装化し、エンジニア対策を強化させる。女性刑事ルカ(しいなえいひ)は先陣を切ってエンジニアたちに立ち向かう。

本作はスプラッター系ホラーであるが、様々なジャンルの面白さが取り入れられている。スプラッター以外にもモンスター系ホラーの要素も取り入れられ、“警察”というタイトルに相応しい刑事アクションの要素もごくわずかではあるが観られる。他にも時代劇アクション、コメディーテイスト、エロスとごった煮状態となっている。中でも特筆すべきポイントは、劇中で何度も映し出されるCM映像だ。これがコメディーとしての面白可笑しさを発揮しており、誠にバカらしい内容であるが笑わせてくれて強烈なインパクトを与えてくれる。「警官募集」、「ストップ・ザ・腹切り」、「リストカット専用カッター」(夜回り先生の水谷修がこれを観てどう思うのかが気になってしまった)等の劇中CMを監督しているのは井口昇や山口雄大といったこれまた凄いお二方である。娯楽に徹した魅せ方は、素直に良いと言える。

本作の特色は、とにかく殆どのシーンが血みどろの大流血絵巻だ。血飛沫が飛び散りまくり、これでもかと言わんばかりにドクドクと血が溢れ出まくる。残酷極まりない悪趣味丸出しのグロテスク描写がとことん連打されているのである。暴走しすぎてブッ飛びまくった映像は狂気に満ち溢れすぎており、バカになり過ぎているため荒唐無稽の限度を超越している。この衝撃と驚愕の連発は、本当に凄すぎるとしか言いようがない。それでもこれらの描写がテンポを良くさせており、斬新な映像へと仕立て上げていると言えるのである。スプラッター度は既に100%を越えているのでこの手の作品のコアなファンにとっては嬉しく思えるはずだ。

ここまで描くことができたのは、やはりアメリカ出資のおかげだと言い切れる。現在の日本映画界では間違いなく作ることができないということは、わかり切っていることだ。本作のような作品がアメリカを頼らずに製作することができたとしたら、60年代や70年代にプログラムピクチャー体制で量産されたような情熱的で面白い娯楽映画が再び普及され、日本映画界が本当に活性化されるだろう。

主演のしいなえいひ(椎名英姫)は、本作で三年ぶりに完全復活したのである。板尾創路、菅田俊、堀部圭亮、坂口拓といった脇を固めるメンツも異色だ。

エログロナンセンスの三拍子が揃った低俗で過激すぎる内容の本作は、R指定を通り越して20歳未満禁止のX指定になっていることにも納得だ。B級娯楽映画の面白さを遺憾なく発揮している点を高く評価したい。

【85点】

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