ドーベルマン刑事
「週刊少年ジャンプ」で連載されていた武論尊&平松伸二の同名人気漫画を深作欣二監督&千葉真一主演で実写化したアクション作品。
沖縄は石垣島の刑事・加納錠治(千葉真一)は、殺害された地元の家出娘の遺骨を引き取るべく上京。だが、彼は芸能界の陰謀めいた汚点に巻き込まれてしまう。
本作は、漫画になる前の主人公・加納のプロローグ篇として製作されたものものであり、したがって原作のイメージとは随分違った作風に仕上がった。千葉扮する加納は、ある事件でロープを装着してビルの外窓を蹴破って人質を救出し、犯人を逮捕する。この一件で皆から“ターザン刑事”と呼ばれるが、“ドーベルマン刑事”と呼ばれたのはただ一度だけ。これなら最初からオリジナル脚本で『ターザン刑事』にしておいた方が良かったのではと思えるほどだ。他にも加納は黒豚を連れ回していたりととにかく原作ファンからすれば激しいツッコミを入れたくなるような変なオリジナリティー要素が観られる。原作とは別物と割り切って観れば面白く思えるだろう。
見所はやはり千葉の体を張ったアクションだ。先述した“ターザン刑事参上描写”にお得意の空手格闘アクション、44マグナムぶっ放しの銃撃戦が観られる。派手さは感じられないものの面白さは感じられ、バイオレンスアクションの雰囲気を醸し出しているので深作監督らしさを少しでも感じられる。
脇役たちの存在感も忘れられない。まずは、スター候補として売り出し中の歌手・美樹(ジャネット八田)は、元ソープ嬢でシャブ中という設定が強烈でシャブを欲しがる姿はインパクトが強い。次に美樹をバックアップする元ヤクザのマネージャー・英盛(松方弘樹)は敵キャラらしさが丸出しであり、最後に加納と対決する。この二人の存在が大きく、ストーリーを面白く昇華させている。他にも関西ストリップ興行の関係者・木下(川谷拓三)と加納にベタ惚れするストリッパーの小袖(松田英子)が変なヒモと情夫の関係でコメディー要因としてしっかりと笑わせてくれたりとキャラクター描写は抜群で他のキャラに関しても皆が印象的で忘れられない。
ちなみに原作は80年に黒沢年雄でTVドラマ化(タイトル『爆走!ドーベルマン刑事』)され、96年に竹内力でVシネマ化され、三度に渡って実写化された。
【50点】
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ドーベルマン刑事 販売元:TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) |
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