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2008年11月28日 (金)

巨大蟻の帝国 (巨大アリの帝国)

放射性廃棄物がいくつかのドラム缶に詰められて海へ投棄され、リゾート地の海岸に漂着。ドラム缶から垂れ流れた物質に無数のアリが接触する。やがてアリは巨大化し、この地を訪れていた人々を襲撃する。

監督兼製作は、バート・I・ゴードン。彼は巨大生物をネタにしたパニック作品を得意としている。本作の前年には、巨大化したネズミ、ハチ、ニワトリ等が人々を襲撃する『巨大生物の島』(76)を手懸けたのである。原作は、『巨大生物の島』同様にH・G・ウェルズ。

本作の見所は、やはり巨大化したアリ軍団による襲撃、喰い掛かるシーンだ。魅せ方に関してはそれほど悪いことはない。雰囲気に相応しい音楽を巧く使って恐怖感を煽り立て、スリリングに描いている。だが、それ以外のシーンが冗漫な感じで少々の退屈を感じさせてしまう。結果的には、これぞまさにB級モンスターパニック作品だと言える出来栄えである。

終盤で観られる砂糖製造工場でメスアリのフェロモン噴射で人々を洗脳するシーンは、バカらしく思えて珍妙だ。

『ジョーズ』(76)の大ヒットによってその亜流モノが次々と量産されてきたが、本作もそのうちの一本に該当する。汚染物質によって生物が異変を起こすということもこの手の作品の特徴的なポイントである。

上映時間は90分足らずである。くだらないシーンも多いが、面白い見せ場がしっかりと用意されているのでそれなりに良いと思う。

【45点】

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2008年11月21日 (金)

世界最強の格闘技 殺人空手

東映の空手アクション映画で悪役として活躍したプロ空手家・大塚剛が1973年に九州を拠点に設立した“プロ空手”。大塚と彼の元に集まった強者たちの姿を追ったドキュメンタリー作品。

本作の見所と言えば、何と言って珍妙なシーンの数々だ。漫画やアニメのキャラクターのような風変わりな名前の選手たちが魅せつけるクレイジーな行動が笑いを誘い、面白い。

まずは、大塚による猪豚殺しだ。襲って来る訳でもない猪豚に大塚が拳と手刀を叩きつけ、とどめにサイで一突きと如何にも動物虐待を堂々と披露する。次は、バッファロー・弁慶というスキンヘッド男が修行のついでに魅せつけるマムシ殺しだ。マムシを発見した弁慶が手にとって地面にバチバチと数回に渡って叩きつけ、その生き血を吸い尽くす。これがインパクト大の強烈シーンなのである。弁慶の顔からはクレイジーな形相がとことん伺え、一度観たら忘れられないほど印象深い。

他にも日頃は生肉店勤務の紅幸司が売り物である肉を素手で掴み、握力強化トレーニングに励むというツッコミ所と呼ぶに相応しいシーンや博多の飲み屋で金を支払った選手が突然数名の地元愚連隊に喧嘩を売られて店外で大乱闘を繰り広げたりといった珍プレーと呼ぶに相応しいシーンが試合シーンと同時に魅せつけられる。前半だけでもこのようなレアな面白さを満喫することができる。

その後は、試合シーンや過酷な修行シーン(木に吊るされた選手が数名の選手に棒で叩かれまくったりというリンチまがいのトンデモナイ修行内容が観られる。)が紹介される。

後半の内容は、大塚が自信の強さを証明するべく香港、マレーシア、ネパールの三国武者修行の模様を追う。この後半でも珍妙でインパクト大の強烈なシーンが観られるが、中でも最後のネパール篇では問題視されるような究極にトンデモナイようなシーンを魅せつけてくれる。それは、クライマックスの大塚と仮面男の一戦であり、仮面男は大塚の一撃によって命を落とすというものである。挙句の果てには火葬されるところまで魅せつけてくれるのである。とにかく本作はかなりぶっ飛んでいる。

最後の最後までプロ空手の狂った恐ろしさと強さをアピールしたことによって大塚剛の空手は世界最強の格闘技であることを証明したのである。

本作はドキュメンタリーであるが、ツッコミ所の多い珍プレーの数々や小林恭治の「鍛錬を怠った選手は廃人となってしまう」といったリアリティーを欠いたナレーション等から考えてみるとどう観てもフェイクドキュメンタリーだと思える。最初からドキュメンタリーとしてではなく、大塚主演の空手アクションドラマとして製作していた方が良かったのではとないか思える。本作をドキュメンタリーにしたのは、同年に製作された大山倍達の極真空手を記録した『地上最強のカラテ』の影響だと考えられる。同時にイタリア製モンド映画の影響も少なからずあるようでもある。

【65点】

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2008年11月20日 (木)

ウォー・ダンス/響け僕らの鼓動

ウガンダ北部のパトンゴ避難民キャンプで暮らす子供たちが年に一度だけ開催される全国音楽大会に向けて練習する姿と大会終了後までを記録したドキュメンタリー作品。

アチョリ族が暮らすウガンダ北部。そこは、20年以上に渡って反政府武装組織LRA(神の抵抗軍)による殺戮、襲撃が住民たちを恐怖のドン底に陥れ、多くの避難民を生み出してきた。特に幼い子供たちは、LRAの連中によって拉致され、少年兵や慰安婦にさせられていた。この非人道的かつ残酷な真実をドミニク、ナンシー、ローズの三人の少年少女にスポットを当てて浮き彫りにしていく。

本作の主役である彼らは、皆同じようにLRAによって恐怖の目に晒され、心に深すぎる傷をつけられ、人生の一部を痛めつけられた。彼らの口からは想像を絶するようなトンデモナイ残酷実体験が語られる。深刻な顔をアップで捉え、暗い曇り空で覆われた大自然を映し出したりと彼らの暗い過去を映像でもしっかりと伝えている。これらが観る者の良心を痛ませ、辛さと悲しさが心を疼かせる。

そんな彼らも音楽とダンスに打ち込んでいるときはかつての悲惨な出来事を忘れ、笑顔でいることができる。木琴の腕前に大きな自信を持つドミニク、殺された父に歌の才能を認められたローズ、ダンスを得意とするナンシーが全国大会優勝に向けて厳しい練習に一生懸命励む。これは、身も心もボロボロになった彼らが人生の汚点を晴らすためでもある。同時に大会に出場し、練習の成果を発揮して優勝することで将来の夢を大きく切り開いていくためでもある。大会で良い結果を迎えるラストは、本当に清々しくて気持ちの良いシーンだ。彼らにとっては音楽とダンスが唯一の癒しの手段ということと不幸すぎる出来事を経験したことを覆したいという思いがあったからこそ厳しい練習に耐えることができ、よって良い結果を勝ち取り、一つの大きな幸せを掴むことができたと考えられる。

ちなみにこの大会で北部の最大危険地帯であるパトンゴの学校が出場したのはこれが初めてであり、記念すべき出来事であった。最後にマイナスイメージで捉えられていたパトンゴの子供たちでもこんなに素晴らしいことができるのだと自信を持って語るシーンは、観る者に大きな勇気と希望を与えてくれる。

とてつもなく辛い思いをしている人は、好きなことに打ち込んで素晴らしい結果を導き出し、今後の人生を大きく切り開いてみてはどうだろうか・・・・・・。本作はそんなことをメッセージとして伝えているのである。

【85点】

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2008年11月12日 (水)

ダイアリー・オブ・ザ・デッド

ペンシルヴェニア州の山奥で大学の映画学科の学生たちが卒業用作品としてホラー映画を撮影していた。しかし、彼らは撮影中に「死体が甦り、人々を襲撃している」というニュースをラジオ放送で知る。その後、学生たちはその真実を目の当たりにする。このトンデモナイ状況を生存者たちに伝えることを使命とした学生たちは、危険が迫り来る中、ビデオカメラで撮り続ける。

ゾンビ映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督の待望の最新作は、何とドキュメンタリータッチのゾンビ映画として仕上がった。この手法は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)をはじめ最近ではパニック作品の『クローバーフィールド/HAKAISHA』(08)、『REC/レック』(07)でお馴染みであるが、ゾンビ映画では本作が初めてである。手持ちカメラで捉えた主観映像は臨場感が溢れ、緊迫感も醸し出されていて観る者にリアルな恐怖を感じさせる。

ロメロ監督作品と言えば、社会派テイストが特徴だ。本作では情報化社会をネタにしている。それは、誰もが情報手段を駆使できるようになったことからメディアが安易化していくことを訴えたものである。他にも人と人が殺しあう戦争もネタにしている。

本作は低予算で撮影日数も短期間、有名スターの出演もなしという具合にインディーズ作品を意識したような出来栄えとなっている。娯楽色はあまり感じられず、数あるこの手の作品と比較すると地味な感じあることは否めない。それでも前半の病院内でのゾンビによる襲撃をはじめとする見せ場はしっかりと盛り込まれており、ゾンビ映画らしさだけは忘れることなく描かれていることが救いだと言える。

巨匠による新感覚ゾンビ映画は、ファンなら必見だと言える。興味のある方は、娯楽色を期待しないことだ。

【70点】

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2008年11月11日 (火)

カラテ大戦争

東坊徹源(大滝秀治、モデルは大山倍達)が創設した極限流空手(もちろん極真空手)。その師範である大神達矢(真樹日佐夫)は、日本空手協会(通称:日空協)の荒木会長(安部徹)と政治家の相馬(金子信雄)による企てである空手世界進出の先兵として香港のカンフー、タイのムエタイに挑戦する。

原作は、月刊少年マガジンにて連載されていた梶原一騎と極真空手創始者である大山倍達の「世界ケンカ旅行~空手戦争」。本作で梶原は製作にも携わっている。

東映の空手アクション作品と香港カンフー作品の影響下で松竹と三協映画(創設者の一人が梶原)が協同製作した格闘技系スポ根ドラマ。

主演は梶原の実弟であり、極真空手のプロで作家の真樹日佐夫。彼を主役に据えたのは、恐らく空手の凄さをリアルに追求して描きたかったからだろうと考えられる。現在ではVシネマ作品をメインに多数出演しているが、本格的な演技は本作が初めて。彼のセリフは、なんと声優によって吹き替えられていたのである。これも本作の凄いポイントだ。

見所は、大神の修行シーンや格闘シーンであるが、特に格闘シーンにおいてはスローモーションで克明に描いてみたりといった魅せ方に工夫されているものの東映の空手アクション作品のようにアクション面に重点を置いていないこともあってやや平凡だと思える。それでも最大の見せ場である対カンフー戦や対ムエタイ戦は格闘技のショー的要素がしっかりと追求されているため案外楽しむことができる。

ドラマ描写はかなり陳腐なものであり、大神と東坊の娘・礼子(夏樹陽子)の一連の絡みは特にそうだと言っても良いだろう。中でも大神がムエタイの猛者・キングコブラとの一戦(本当に戦ったとのこと)の前夜に突然、礼子から貧乳を曝け出して「抱いて」と言われて夜を共にするシーンは失笑モノだ。

劇中に中国からの出稼ぎでクラブ歌手をやっている陳鈴蘭という女性が登場する。演じている白泳泳は、なんと梶原の元妻なのである。しかも「カンフーエレジー」という歌まで披露しているのである。とにかく彼女の活躍ぶりも注目ポイントだ。

【45点】

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2008年11月 5日 (水)

吼えろ鉄拳

アメリカ帰りの空手使いの青年・日野原譲次(真田広之)が父母と双子の兄・透(真田=二役)を殺害した叔父・一輝(成田三樹夫)に復讐を挑む。

真田広之の主演第二弾作品である本作は、まず第一に何と言ってもバラエティーに富んだ豪華かつ異色のキャスティングが魅力的で面白い。まずは、表向きは実業家であるが裏ではドラッグで稼いでいる譲次の叔父を成田三樹夫が演じ、圧倒的な存在感を醸し出している。次にマジシャンだが実は麻薬Gメンという太刀川を千葉真一、譲次の姉で盲目の空手使いの千尋を志穂美悦子が演じている。JACにおける真田の大先輩である二人がご自慢の格闘アクションを披露しており、こちらも大きな注目ポイントだ。

他にもJACメンバーが多数出演しており、中には後にTV特撮ヒーロー番組『巨獣特捜ジャスピオン』で主役として活躍する黒崎輝も出演しており、彼が結構良い活躍ぶりを魅せつけてくれる。そして、プロレスラーのアブドーラ・ザ・ブッチャーとグレート小鹿、殺人空手でお馴染みの大塚剛といったプロ格闘技のホンモノが顔を揃えている。彼らの暴れっぷりが真田の華麗なアクションを盛り上げていると言っても良いだろう。

キャストの中でも一番驚かせてくれるのがやはり大木こだまの存在だ。近年、「チッチキチー」のギャグでプチブレイクし、全国のお茶の間を沸かせた上方漫才界の大御所であるこだま師匠の若き日の姿が観られるのである。彼の役柄は、譲次の財布を奪う三宮の三吉というスリ常習犯の青年である。真田とこだま師匠の絡みは、今では本当に珍しくて貴重だと断言できる。とにかく必見だ。

全体的にケレン味のある漫画チックな演出が娯楽性を存分に堪能させてくれる。随所に散りばめられた格闘アクションはすこぶるテンポが良く、ユーモアの要素も取り入れられているため実に面白く仕上がっている。中でもクライマックスは荒唐無稽なアクションの面白さが最大限に発揮され、しっかりと醍醐味を感じさせてくれる。これらは、鈴木則文監督の見せ場作りの巧さと娯楽に徹底した潔い作り方によるものだと言える。

真田が歌う主題歌「青春の嵐(ハリケーン)」も今となっては貴重だ。未だCD化されていないため、本作で歌声をじっくりと味わって頂きたい。

【80点】

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