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2008年11月

巨大蟻の帝国 (VHS邦題『巨大アリの帝国』)

放射性廃棄物がいくつかのドラム缶に詰められて海へ投棄され、リゾート地の海岸に漂着。ドラム缶から垂れ流れた物質に無数のアリが接触する。やがてアリは巨大化し、この地を訪れていた人々を襲撃する。

監督兼製作は、バート・I・ゴードン。彼は巨大生物をネタにしたパニック作品を得意としている。本作の前年には、巨大化したネズミ、ハチ、ニワトリ等が人々を襲撃する『巨大生物の島』(76)を手懸けたのである。原作は、『巨大生物の島』同様にH・G・ウェルズ。

本作の見所は、やはり巨大化したアリ軍団による襲撃、喰い掛かるシーンだ。魅せ方に関してはそれほど悪いことはない。雰囲気に相応しい音楽を巧く使って恐怖感を煽り立て、スリリングに描いている。だが、それ以外のシーンが冗漫な感じで少々の退屈を感じさせてしまう。結果的には、これぞまさにB級モンスターパニック作品だと言える出来栄えである。

終盤で観られる砂糖製造工場でメスアリのフェロモン噴射で人々を洗脳するシーンは、バカらしく思えて珍妙だ。

『ジョーズ』(76)の大ヒットによってその亜流モノが次々と量産されてきたが、本作もそのうちの一本に該当する。汚染物質によって生物が異変を起こすということもこの手の作品の特徴的なポイントである。

上映時間は90分足らずである。くだらないシーンも多いが、面白い見せ場がしっかりと用意されているのでそれなりに良いと思う。

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世界最強の格闘技 殺人空手

東映の空手アクション映画で悪役として活躍したプロ空手家・大塚剛が1973年に九州を拠点に設立した“プロ空手”。大塚と彼の元に集まった強者たちの姿を追ったドキュメンタリー作品。

本作の見所と言えば、何と言って珍妙なシーンの数々だ。漫画やアニメのキャラクターのような風変わりな名前の選手たちが魅せつけるクレイジーな行動が笑いを誘い、面白い。

まずは、大塚による猪豚殺しだ。襲って来る訳でもない猪豚に大塚が拳と手刀を叩きつけ、とどめにサイで一突きと如何にも動物虐待を堂々と披露する。次は、バッファロー・弁慶というスキンヘッド男が修行のついでに魅せつけるマムシ殺しだ。マムシを発見した弁慶が手にとって地面にバチバチと数回に渡って叩きつけ、その生き血を吸い尽くす。これがインパクト大の強烈シーンなのである。弁慶の顔からはクレイジーな形相がとことん伺え、一度観たら忘れられないほど印象深い。

他にも日頃は生肉店勤務の紅幸司が売り物である肉を素手で掴み、握力強化トレーニングに励むというツッコミ所と呼ぶに相応しいシーンや博多の飲み屋で金を支払った選手が突然数名の地元愚連隊に喧嘩を売られて店外で大乱闘を繰り広げたりといった珍プレーと呼ぶに相応しいシーンが試合シーンと同時に魅せつけられる。前半だけでもこのようなレアな面白さを満喫することができる。

その後は、試合シーンや過酷な修行シーン(木に吊るされた選手が数名の選手に棒で叩かれまくったりというリンチまがいのトンデモナイ修行内容が観られる。)が紹介される。

後半の内容は、大塚が自信の強さを証明するべく香港、マレーシア、ネパールの三国武者修行の模様を追う。この後半でも珍妙でインパクト大の強烈なシーンが観られるが、中でも最後のネパール篇では問題視されるような究極にトンデモナイようなシーンを魅せつけてくれる。それは、クライマックスの大塚と仮面男の一戦であり、仮面男は大塚の一撃によって命を落とすというものである。挙句の果てには火葬されるところまで魅せつけてくれるのである。とにかく本作はかなりぶっ飛んでいる。

最後の最後までプロ空手の狂った恐ろしさと強さをアピールしたことによって大塚剛の空手は世界最強の格闘技であることを証明したのである。

本作はドキュメンタリーであるが、ツッコミ所の多い珍プレーの数々や小林恭治の「鍛錬を怠った選手は廃人となってしまう」といったリアリティーを欠いたナレーション等から考えてみるとどう観てもフェイクドキュメンタリーだと思える。最初からドキュメンタリーとしてではなく、大塚主演の空手アクションドラマとして製作していた方が良かったのではとないか思える。本作をドキュメンタリーにしたのは、同年に製作された大山倍達の極真空手を記録した『地上最強のカラテ』の影響だと考えられる。同時にイタリア製モンド映画の影響も少なからずあるようでもある。

【65点】

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カラテ大戦争

東坊徹源(大滝秀治、モデルは大山倍達)が創設した極限流空手(もちろん極真空手)。その師範である大神達矢(真樹日佐夫)は、日本空手協会(通称:日空協)の荒木会長(安部徹)と政治家の相馬(金子信雄)による企てである空手世界進出の先兵として香港のカンフー、タイのムエタイに挑戦する。

原作は、月刊少年マガジンにて連載されていた梶原一騎と極真空手創始者である大山倍達の「世界ケンカ旅行~空手戦争」。本作で梶原は製作にも携わっている。

東映の空手アクション作品と香港カンフー作品の影響下で松竹と三協映画(創設者の一人が梶原)が協同製作した格闘技系スポ根ドラマ。

主演は梶原の実弟であり、極真空手のプロで作家の真樹日佐夫。彼を主役に据えたのは、恐らく空手の凄さをリアルに追求して描きたかったからだろうと考えられる。現在ではVシネマ作品をメインに多数出演しているが、本格的な演技は本作が初めて。彼のセリフは、なんと声優によって吹き替えられていたのである。これも本作の凄いポイントだ。

見所は、大神の修行シーンや格闘シーンであるが、特に格闘シーンにおいてはスローモーションで克明に描いてみたりといった魅せ方に工夫されているものの東映の空手アクション作品のようにアクション面に重点を置いていないこともあってやや平凡だと思える。それでも最大の見せ場である対カンフー戦や対ムエタイ戦は格闘技のショー的要素がしっかりと追求されているため案外楽しむことができる。

ドラマ描写はかなり陳腐なものであり、大神と東坊の娘・礼子(夏樹陽子)の一連の絡みは特にそうだと言っても良いだろう。中でも大神がムエタイの猛者・キングコブラとの一戦(本当に戦ったとのこと)の前夜に突然、礼子から貧乳を曝け出して「抱いて」と言われて夜を共にするシーンは失笑モノだ。

劇中に中国からの出稼ぎでクラブ歌手をやっている陳鈴蘭という女性が登場する。演じている白泳泳は、なんと梶原の元妻なのである。しかも「カンフーエレジー」という歌まで披露しているのである。とにかく彼女の活躍ぶりも注目ポイントだ。

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吼えろ鉄拳

アメリカ帰りの空手使いの青年・日野原譲次(真田広之)が父母と双子の兄・透(真田=二役)を殺害した叔父・一輝(成田三樹夫)に復讐を挑む。

真田広之の主演第二弾作品である本作は、まず第一に何と言ってもバラエティーに富んだ豪華かつ異色のキャスティングが魅力的で面白い。まずは、表向きは実業家であるが裏ではドラッグで稼いでいる譲次の叔父を成田三樹夫が演じ、圧倒的な存在感を醸し出している。次にマジシャンだが実は麻薬Gメンという太刀川を千葉真一、譲次の姉で盲目の空手使いの千尋を志穂美悦子が演じている。JACにおける真田の大先輩である二人がご自慢の格闘アクションを披露しており、こちらも大きな注目ポイントだ。

他にもJACメンバーが多数出演しており、中には後にTV特撮ヒーロー番組『巨獣特捜ジャスピオン』で主役として活躍する黒崎輝も出演しており、彼が結構良い活躍ぶりを魅せつけてくれる。そして、プロレスラーのアブドーラ・ザ・ブッチャーとグレート小鹿、殺人空手でお馴染みの大塚剛といったプロ格闘技のホンモノが顔を揃えている。彼らの暴れっぷりが真田の華麗なアクションを盛り上げていると言っても良いだろう。

キャストの中でも一番驚かせてくれるのがやはり大木こだまの存在だ。近年、「チッチキチー」のギャグでプチブレイクし、全国のお茶の間を沸かせた上方漫才界の大御所であるこだま師匠の若き日の姿が観られるのである。彼の役柄は、譲次の財布を奪う三宮の三吉というスリ常習犯の青年である。真田とこだま師匠の絡みは、今では本当に珍しくて貴重だと断言できる。とにかく必見だ。

全体的にケレン味のある漫画チックな演出が娯楽性を存分に堪能させてくれる。随所に散りばめられた格闘アクションはすこぶるテンポが良く、ユーモアの要素も取り入れられているため実に面白く仕上がっている。中でもクライマックスは荒唐無稽なアクションの面白さが最大限に発揮され、しっかりと醍醐味を感じさせてくれる。これらは、鈴木則文監督の見せ場作りの巧さと娯楽に徹底した潔い作り方によるものだと言える。

真田が歌う主題歌「青春の嵐(ハリケーン)」も今となっては貴重だ。未だCD化されていないため、本作で歌声をじっくりと味わって頂きたい。

【80点】

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