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2009年1月28日 (水)

チェ 39歳 別れの手紙

カリスマ的な革命家、エルネスト・チェ・ゲバラの生涯を描いた二部作の後編。

ベニチオ・デル・トロ扮するゲバラがフィデル・カストロと袂を分かち、ラモンという名の男に変装してボリビアに入国。この地で処刑されるまでを描く。

前編ではゲバラのヒーロー像をメインに“勝”のイメージで描いてきたが、後編の本作ではゲバラの“負”の部分を描く。

前編同様に音楽は殆ど排しており、この静寂な感じが緊張感を張り巡らせる。さらにドキュメンタリータッチの筆致が観る者をグイグイと惹きつかせる効果を発揮させている。プロデューサーのローラ・ピッグフォードは、「前編がアクション大作なら後編はサスペンス」と言っており、こういった演出がサスペンスらしさを醸し出しているのである。

忠実かつ丁寧に描かれていることはわかるが、やはり当時の政治的状況等の予備知識が備わっていないと難解し難いという点も前篇同様。硬質で小難しく、中だるみする部分も少々あるので133分の上映時間がキツく感じるという方も少なくはないだろう。

『チェ』二部作は、チェ・ゲバラのことが大雑把に理解できるという感じなのである。

【65点】

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2009年1月26日 (月)

マンマ・ミーア!

ブロードウェイをはじめ世界各国で上演され、現在でも多くのファンに支持されているミュージカルがついに映画化された。監督はミュージカル版同様にフィリダ・ロイド。製作には名優トム・ハンクスも携わっている。

舞台はギリシャのリゾート地、カロカイリ島。この島で小さなホテルを経営するドナ(メリル・ストリープ)は、父の存在を一切知らない娘ソフィ(アマンダ・セイフライド)と二人暮し。ソフィは翌日にスカイ(ドミニク・クーパー)との結婚式を控えており、式では父と一緒にヴァージンロードを歩きたいと思っている。ドナの昔の日記を見つけ出したソフィは、そこに記されているサム(ピアース・ブロスナン)、ハリー(コリン・ファース)、ビル(ステファン・スカルスガルド)という三人の母の元カレにドナを差出人とした招待状を送った。ソフィは、この三人の中から自身の父親を探し出そうとするが・・・・・・。

全編がABBAのヒットナンバーに彩られ、曲に合わせて歌って踊る。これが本作の見所だ。楽曲は「ダンシング・クィーン」、「SOS」、「チキチータ」、「マネー、マネー、マネー」といった代表曲を中心に約20曲が使用されている。中でもメリル・ストリープが歌って踊る「ダンシング・クイーン」のシーンは最大の見所の一つであり、観る者をゴキゲンな気分にさせてくれる。また、ピアース・ブロスナンの下手っぷりが伺える「SOS」も忘れられない。とにかくABBAのヒットナンバーが作品をハイテンションで盛り上げているのだ。

ロケ地であるギリシャの風景活写も印象深い。きらめく陽光が綺麗な青い海に射しかかり、キラキラと輝く黄色い海に変わる。大自然を活かした色彩は鮮明であり、観る者の気分をさらに良くさせる。このギリシャでのロケは、映画だからこそ実現できたものであり、これが作品の質を高め、優雅な雰囲気を醸成させることに成功したと言える。

ドナ役のメリル・ストリープをはじめ、ソフィ役のアマンダ・セイフライドら主要キャストはミュージカル初挑戦とのことだ。歌やダンスの上手い下手は関係なく、キャストの面々が大いに歌って踊って演技して笑わせてという具合に思う存分楽しませてくれるのである。中でもドナが若い頃に組んでいた三人組のボーカル・ユニット「ドナ&ダイナモス」のメンバーであるロージー(ジュリー・ウォルターズ)とターニャ(クリスティーン・バランスキー)の存在が大きい。特にロージーはコメディー色の強いキャラクターであり、その強烈な個性を発揮させた演技は本当に面白いため、笑わずにはいられない。

ラストの結婚式のシーンは、軽いドタバタ喜劇のようなタッチで描かれ、さらに驚くような結末も用意されている。最初から最後まで面白さに満ち溢れたミュージカル作品である。

近年のミュージカル作品は二時間を越えるモノが多いが、本作の上映時間は108分で比較的短めだ。面白いシーンを多く取り入れ、ダラダラと長引かせずに巧くまとめあげることに成功している。だから、楽しい一時があっという間に過ぎたと思える。

ミュージカルファンはもちろん、ABBAのファンも必見の作品だ。特にABBAファンは、『ミュリエルの結婚』(94)と合わせて楽しんでみても良いだろう。

【75点】

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2009年1月24日 (土)

ヘルライド

アメリカの有名な暴走族“ヘルズ・エンジェルス”の影響で1960年代末から70年代初期にかけて多数のバイカー・アクション映画が製作された。中でも有名なのは、やはり『イージー・ライダー』であり、その他の作品は単なるB級娯楽映画として映画史から忘れ去られていったのである。日本ではこれらの作品は殆どが未公開であり、劇場公開及びDVDやビデオ化された作品はごく一部である。そんな日本でもこの手の作品が70年代に製作され、岩城滉一主演の『暴走族』シリーズや暴走族“ブラック・エンペラー”の実態に迫ったドキュメンタリー『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』(76)は意外と知名度が高い。

バイカーアクション映画に多数出演してきた伝説の役者兼監督のラリー・ビショップが監督、主演、脚本、製作の四役を務め、そしてこのジャンルの作品をこよなく愛するクエンティン・タランティーノが製作総指揮を務め、昔懐かしのバイカーアクションを再現させたのが本作である。

暴走族“ヴィクターズ”のピストレロ(ラリー・ビショップ)、ジェント(マイケル・マドセン)、コマンチ(エリック・バルフォー)は、敵対する“シックス・シックス・シックス”のメンバーに仲間のうちの一人を殺害されたため、復讐を果たすべくこのグループのボスであるビリー(ヴィニー・ジョーンズ)を追う。

B級らしさが遺憾なく発揮されており、まさに本格的だ。単純明快なストーリー、適度なバイオレンス・アクション描写、随所に散りばめられた露出度高めのセクシー描写、84分の上映時間という具合にB級娯楽映画のツボをしっかりと押さえられていることは大いに認めたい。だが、簡素化されたストーリーを敢えて複雑化させる、売りモノであるバイオレンス・アクションにパンチが効いていないがために面白さが発揮されずに盛り上がらないといった問題点が面白さを大幅にパワーダウンさせており、非常に残念だ。それでもこれこそがB級娯楽映画に相応しい作風だとも言えるが、どうせやるなら娯楽に徹してド派手な見せ場をふんだんに取り入れ、ストーリーはあってないようなものにしてテンポよく仕上げて欲しかった。

B級映画でもあると同時に本格的なアウトロー映画でもある。ワルな中年男たちによる暴力、殺し、ドラッグ、不純な性交が蔓延している。ワルの匂いがスクリーンから漂ってくるような感じでアウトローの世界観をしっかりと形成しており、その魅力を存分に満喫できる。

アメリカでは二週間で打ち切りとなった本作。日本では“二週間限定”や“レイトショーのみ”といった形態があるもののどちらにも当てはめずにストレートに公開している。恐らくタランティーノ効果だと思うが、もし本作にタランティーノが関わっていなかったら未公開のDVD・ビデオスルーになっていたのかも知れない。面白いか否かは別として、本作のような掘り出し物、お気軽系、暇潰し系のB級娯楽映画はファンのために今後もドンドンと公開した方が良いだろう。

タランティーノの『グラインドハウス』企画の延長上のような感じの男性向け作品。バイク好きやアウトローの世界に憧れている方にオススメだ。

【60点】

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2009年1月22日 (木)

カタストロフ/世界の大惨事

世界各地で起きた数々の大惨事映像を寄せ集めて紹介するドキュメンタリー作品。

大惨事のメニューは、フロリダでのハリケーン、飛行船ヒンデンブルグ号の大爆破、F-1レースでの選手死亡、高層ビル大火災等々。これらの映像の殆どは、かつて報道番組でも紹介されたものである。

本作は悪趣味系モンド映画に該当する作品であり、本作を知る多くの方々もそのように捉えているようであるが、実は意外と真面目な事故・災害ドキュメンタリー作品という感じの作風である。だから、悪趣味系にしてはあっさりとした淡白な出来栄えとなっている。

冒頭で観られる機関車同士の衝突による大爆破、豪華客船の大爆破、ビルの爆破倒壊といったアクション映画の見せ場のようなシーンのダイジェストに圧倒され、この調子でテンポ良く凄まじい衝撃シーンが次々と紹介されるのかと期待しすぎると肩透かしを喰らうこと間違いなしと断言しても良いほどだ。

終盤で観られる高層ビル火災でビルから投身する者が続出し、地面に倒れている遺体は実に痛々しい。本作を悪趣味系の視点から観ると、ここでやっと売り物である悪趣味テイストが若干だけ発揮されたという感じなのである。

尊い人命の喪失を見せ物にしている作品でもあり、それを考えるとまさに不謹慎そのものであり、後味もかなり悪い。本作の悪趣味はこの点からひしひしと感じ取れる。

ちなみに本作は、ボストンでは公開後の三日間に渡って174人もの失神者を出させ、世界各国では上映禁止、上映反対運動、シーンのカットがなされたりといった悪名高い武勇伝を残した。それとは裏腹にカナダでは大ヒットを記録したのである。様々な意味で凄い伝説的な作品だと言える。

【35点】

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2009年1月16日 (金)

チェ 28歳の革命

カリスマ的な革命家として現在でも世界中の多くの人々に愛されているエルネスト・チェ・ゲバラの半生を描いた歴史ドラマ。前編と後編に分けた二部作という力作として仕上がり、上映時間を合計すると四時間を超えてしまう。

その第一部である本作は、ゲバラとフィデル・カストロとの運命的な出会いからキューバ革命戦争での活躍までにスポットを当てて描いたものだ。

監督はスティーヴン・ソダーバーグ。主人公であるゲバラを演じるのはベニチオ・デル・トロ。デル・トロは、同監督の『トラフィック』でも製作を務めたローラ・ビックフォードとともに製作も担当している。デル・トロとビックフォードがゲバラの映画化に興味を示していたのは、『トラフィック』よりも前からであった。そして、映画化が決定してからはソダーバーグ監督とビックフォードは三年間にも及ぶ徹底したリサーチを重ね、デル・トロはゲバラになりきるべく25Kgも減量したりといった本格的な役作りに挑戦した。ビックフォードは、もともとは第二部『チェ 39歳 別れの手紙』のみを製作しようとしていたが、これだけでは観る者に理解し難いと思い、第一部である本作を製作したのである。

本作は、あくまでもゲバラという一人の革命家のヒーロー像をメインに描いている。そのためなのか、劇中で描かれるキューバ革命戦争やそれ以前の状況、時折挿入される国連での演説やインタビューのシーン等が分かりにくい。これが本作の最大のマイナスポイントだ。また、ゲバラは誰からも愛されているヒーローであるにも関わらず国連では批判され、嫌悪感丸出しで罵声を浴びせられていたりするシーンが観られ、なぜなのかということが説明不足であるため、本当に意味不明に思えた。他にも退屈させるシーンも多々あるため、132分の上映時間が本当に長くて厳しい。

ビックフォードは、本作を「大掛かりな戦闘シーンもあるため、アクション大作でもある」という。確かに戦闘シーンは爆破シーン等も観られ、戦争アクションらしい出来栄えとなっている。だが、このシーンをアクション映画の観点から観たところで単純に面白いとは思えない。それは、ゲバラの真実を描くためにこの戦闘シーンが必要であったためであり、これをリサーチした結果に基づいて忠実に描いただけで決してこのシーンを娯楽アクション映画として面白く魅せつけるために力を注いでいないからである。

本作を観るにあたっては、前もって予備知識が必要だと言える。ゲバラを詳しく知っているという方には面白いかも知れないが、そうでない方にとっては難しいはずだ。

【60点】

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2009年1月12日 (月)

ザ・ムーン

1969年から1972年のアポロ計画で二ール・アームストロングら12人の宇宙飛行士が月に到着してから今年で四十年目となる。ちなみに、この12人以外に月をはじめとする地球以外の天体に到着した者は今のところ誰一人もいないのである。

この四十年を記念にロン・ハワード監督がプロデュースし、デビット・シントン監督がメガホンを取ったドキュメンタリー映画が完成した。シントン監督にとっては、これが長編映画初挑戦なのである。

実際に月面着陸した12人の宇宙飛行士のうちの10人のインタビューとNASAの貴重映像の数々を交えて構成し、アポロ計画の真実に迫る本作。その大きな見所は、やはり一部が初公開となるNASAの映像ライブラリーだ。四十年もの間、冷却保存されていた映像の数々がデジタル処理化され、鮮やかな映像となって観る者の前に次々と映し出される。そのどれもが貴重映像であるため、観る価値だけは大いにありだと断言できる。スケールは実に壮大であり、緊迫感や迫力が伝わってくる映像は圧倒的であり、見応えはとにかく抜群だ。地学や宇宙科学、天体に興味を抱いている者にとっては、かなり美味しすぎることに間違いはないはずだ。

これらの映像と10人の説得力のある証言が観る者に疑似体験させるような作り方がなされており、この点からも映画としての面白さが伺える。10人の証言からは当時の苦労話や月から帰って来てからはどのように変わったのか等が伺えるため、非常に興味深い。貴重映像に次いでの注目すべきポイントなのである。

ラストは、この手の作品によく観られがちな近年の環境問題を訴えたメッセージがしっかりと用意されており、観る者に疑似体験させた上で改めて環境問題に向きあえさせようとしているのである。また、アポロ計画捏造説に対するコメントも用意されており、実際に月の地面に足を着いた彼らが口にする内容はインパクトが大きくて印象深い。

アポロ計画に興味のある者は、本作を観て知識に磨きをかけることをオススメしたい。そうでない者は、驚かされる貴重な映像を存分に堪能することをオススメしたい。

【70点】

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2009年1月 9日 (金)

花と嵐とギャング

“キング・オブ・カルト”と称される石井輝男監督が新東宝倒産後、初めて東映(厳密に言えばニュー東映)で撮った本格的和製ギャング・アクション映画で後に「ギャングシリーズ」として九本の続編が製作された。

凄腕の女傑として知られる安宿のオーナーであるまさ(清川虹子)と長男の香港ジョー(鶴田浩二)、次男の正夫(小川守)、長女の佐和(小宮光江)とその亭主であるスマイリー健(高倉健)で構成される悪党一家が存在した。スマイリーは、仲間のツンパ(沖竜次)から彼を蹴落とすべく計画している銀行強盗の指揮を任される。スマイリーは嫌がる正夫をはじめ、分け前倍増目的でお互いが犬猿の仲である楽隊(江原真二郎)とウィスパー(曽根晴美)らを仲間に加えて入念に計画を練る。その後、計画通りに銀行を襲撃し、成功したかのように見えたが・・・・・・。

本作の見せ場は、銀行強盗シーンとラストの銃撃戦である。前者はサスペンスタッチで緊迫感を漂わせていて観る者をハラハラさせ、その後の展開を気掛かりとさせる。しっかりと意外な展開を用意して面白さに工夫を施して磨きを掛けていることも今となっては珍しくないが面白いことに違いはない。後者は、高原での大銃撃戦であり、これが一番の面白さである。高原を舞台にしたことによってギャングアクションから西部劇アクションへと雰囲気が変わってしまうが、これはこれでアクション映画としての面白さを巧く引き出していると捉えることができるので良いと言える。このシーンを観る限り、当時の日活アクション映画の売り物の一つであった“無国籍アクション”に対抗するためにこのような描写を追求したと思える。高倉健、鶴田浩二らが魅せるガン裁きは本当にカッコよく、日活アクション映画の小林旭、宍戸錠、二谷英明らと良い勝負をしている。

他にもモノクロ映像、登場人物のファッション、小道具の拳銃、バーのセット、BGMのジャズ音源等がお洒落なムードをほんのりと醸成させており、今観るとレトロな味わいが魅力的でこれを存分に堪能できることが良い。古いからと言って侮れないポイントの大きな一つだ。

主演の高倉健と石井監督は本作で初めて顔を合わせたのである。この出会いから四年後、石井監督が新東宝時代から企画していた『網走番外地』(65)を健さん主演で完成させ、健さんはトップスターの座をモノにした。

【55点】

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2009年1月 1日 (木)

謹賀新年。

新年、明けましておめでとうございます。

2009年、本年も多くの映画レビュー及び関連ネタ、動画等を紹介します。

そして、私が映画レビューの連載を担当している「映画ジャッジ」(http://www.cinemaonline.jp/)&「エンタジャム」(http://www.enterjam.com/)も宜しくお願い致します。

映画好きの皆様もこの一年間、多くの映画を観まくりましょう!!

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