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2009年1月

ヘルライド

アメリカの有名な暴走族“ヘルズ・エンジェルス”の影響で1960年代末から70年代初期にかけて多数のバイカー・アクション映画が製作された。中でも有名なのは、やはり『イージー・ライダー』であり、その他の作品は単なるB級娯楽映画として映画史から忘れ去られていったのである。日本ではこれらの作品は殆どが未公開であり、劇場公開及びDVDやビデオ化された作品はごく一部である。そんな日本でもこの手の作品が70年代に製作され、岩城滉一主演の『暴走族』シリーズや暴走族“ブラック・エンペラー”の実態に迫ったドキュメンタリー『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』(76)は意外と知名度が高い。

バイカーアクション映画に多数出演してきた伝説の役者兼監督のラリー・ビショップが監督、主演、脚本、製作の四役を務め、そしてこのジャンルの作品をこよなく愛するクエンティン・タランティーノが製作総指揮を務め、昔懐かしのバイカーアクションを再現させたのが本作である。

暴走族“ヴィクターズ”のピストレロ(ラリー・ビショップ)、ジェント(マイケル・マドセン)、コマンチ(エリック・バルフォー)は、敵対する“シックス・シックス・シックス”のメンバーに仲間のうちの一人を殺害されたため、復讐を果たすべくこのグループのボスであるビリー(ヴィニー・ジョーンズ)を追う。

B級らしさが遺憾なく発揮されており、まさに本格的だ。単純明快なストーリー、適度なバイオレンス・アクション描写、随所に散りばめられた露出度高めのセクシー描写、84分の上映時間という具合にB級娯楽映画のツボをしっかりと押さえられていることは大いに認めたい。だが、簡素化されたストーリーを敢えて複雑化させる、売りモノであるバイオレンス・アクションにパンチが効いていないがために面白さが発揮されずに盛り上がらないといった問題点が面白さを大幅にパワーダウンさせており、非常に残念だ。それでもこれこそがB級娯楽映画に相応しい作風だとも言えるが、どうせやるなら娯楽に徹してド派手な見せ場をふんだんに取り入れ、ストーリーはあってないようなものにしてテンポよく仕上げて欲しかった。

B級映画でもあると同時に本格的なアウトロー映画でもある。ワルな中年男たちによる暴力、殺し、ドラッグ、不純な性交が蔓延している。ワルの匂いがスクリーンから漂ってくるような感じでアウトローの世界観をしっかりと形成しており、その魅力を存分に満喫できる。

アメリカでは二週間で打ち切りとなった本作。日本では“二週間限定”や“レイトショーのみ”といった形態があるもののどちらにも当てはめずにストレートに公開している。恐らくタランティーノ効果だと思うが、もし本作にタランティーノが関わっていなかったら未公開のDVD・ビデオスルーになっていたのかも知れない。面白いか否かは別として、本作のような掘り出し物、お気軽系、暇潰し系のB級娯楽映画はファンのために今後もドンドンと公開した方が良いだろう。

タランティーノの『グラインドハウス』企画の延長上のような感じの男性向け作品。バイク好きやアウトローの世界に憧れている方にオススメだ。

【60点】

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カタストロフ/世界の大惨事

世界各地で起きた数々の大惨事映像を寄せ集めて紹介するドキュメンタリー作品。

大惨事のメニューは、フロリダでのハリケーン、飛行船ヒンデンブルグ号の大爆破、F-1レースでの選手死亡、高層ビル大火災等々。これらの映像の殆どは、かつて報道番組でも紹介されたものである。

本作は悪趣味系モンド映画に該当する作品であり、本作を知る多くの方々もそのように捉えているようであるが、実は意外と真面目な事故・災害ドキュメンタリー作品という感じの作風である。だから、悪趣味系にしてはあっさりとした淡白な出来栄えとなっている。

冒頭で観られる機関車同士の衝突による大爆破、豪華客船の大爆破、ビルの爆破倒壊といったアクション映画の見せ場のようなシーンのダイジェストに圧倒され、この調子でテンポ良く凄まじい衝撃シーンが次々と紹介されるのかと期待しすぎると肩透かしを喰らうこと間違いなしと断言しても良いほどだ。

終盤で観られる高層ビル火災でビルから投身する者が続出し、地面に倒れている遺体は実に痛々しい。本作を悪趣味系の視点から観ると、ここでやっと売り物である悪趣味テイストが若干だけ発揮されたという感じなのである。

尊い人命の喪失を見せ物にしている作品でもあり、それを考えるとまさに不謹慎そのものであり、後味もかなり悪い。本作の悪趣味はこの点からひしひしと感じ取れる。

ちなみに本作は、ボストンでは公開後の三日間に渡って174人もの失神者を出させ、世界各国では上映禁止、上映反対運動、シーンのカットがなされたりといった悪名高い武勇伝を残した。それとは裏腹にカナダでは大ヒットを記録したのである。様々な意味で凄い伝説的な作品だと言える。

【35点】

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花と嵐とギャング

“キング・オブ・カルト”と称される石井輝男監督が新東宝倒産後、初めて東映(厳密に言えばニュー東映)で撮った本格的和製ギャング・アクション映画で後に「ギャングシリーズ」として九本の続編が製作された。

凄腕の女傑として知られる安宿のオーナーであるまさ(清川虹子)と長男の香港ジョー(鶴田浩二)、次男の正夫(小川守)、長女の佐和(小宮光江)とその亭主であるスマイリー健(高倉健)で構成される悪党一家が存在した。スマイリーは、仲間のツンパ(沖竜次)から彼を蹴落とすべく計画している銀行強盗の指揮を任される。スマイリーは嫌がる正夫をはじめ、分け前倍増目的でお互いが犬猿の仲である楽隊(江原真二郎)とウィスパー(曽根晴美)らを仲間に加えて入念に計画を練る。その後、計画通りに銀行を襲撃し、成功したかのように見えたが・・・・・・。

本作の見せ場は、銀行強盗シーンとラストの銃撃戦である。前者はサスペンスタッチで緊迫感を漂わせていて観る者をハラハラさせ、その後の展開を気掛かりとさせる。しっかりと意外な展開を用意して面白さに工夫を施して磨きを掛けていることも今となっては珍しくないが面白いことに違いはない。後者は、高原での大銃撃戦であり、これが一番の面白さである。高原を舞台にしたことによってギャングアクションから西部劇アクションへと雰囲気が変わってしまうが、これはこれでアクション映画としての面白さを巧く引き出していると捉えることができるので良いと言える。このシーンを観る限り、当時の日活アクション映画の売り物の一つであった“無国籍アクション”に対抗するためにこのような描写を追求したと思える。高倉健、鶴田浩二らが魅せるガン裁きは本当にカッコよく、日活アクション映画の小林旭、宍戸錠、二谷英明らと良い勝負をしている。

他にもモノクロ映像、登場人物のファッション、小道具の拳銃、バーのセット、BGMのジャズ音源等がお洒落なムードをほんのりと醸成させており、今観るとレトロな味わいが魅力的でこれを存分に堪能できることが良い。古いからと言って侮れないポイントの大きな一つだ。

主演の高倉健と石井監督は本作で初めて顔を合わせたのである。この出会いから四年後、石井監督が新東宝時代から企画していた『網走番外地』(65)を健さん主演で完成させ、健さんはトップスターの座をモノにした。

【55点】

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謹賀新年。

新年、明けましておめでとうございます。

2009年、本年も多くの映画レビュー及び関連ネタ、動画等を紹介します。

そして、私が映画レビューの連載を担当している「映画ジャッジ」(http://www.cinemaonline.jp/)&「エンタジャム」(http://www.enterjam.com/)も宜しくお願い致します。

映画好きの皆様もこの一年間、多くの映画を観まくりましょう!!

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