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2009年2月27日 (金)

ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー

人気格闘ゲームの二度目の実写映画化。今回の映画化はジャン・クロード=ヴァン・ダム版の続編でもなく、人気キャラクターのチュンリーを主役にしたオリジナルストーリーである。

裕福な家庭で両親の愛を注がれ、ピアニストになることを夢見ていたチュンリー(クリスティン・クルック)は、ベガ(二ール・マクドノー)率いる犯罪組織シャドルーの連中に父を拉致されてしまう。十年後、チュンリーは父の行方を追うことを決意し、厳しい修行を重ねてシャドルーに挑む。

監督はジェット・リー主演の『ロミオ・マスト・ダイ』(00)や『ブラック・ダイヤモンド』(03)を手懸けたアンジェイ・バート・コウィアク。本作は低予算ということもあって見せ場となるアクションは地味な感じであり、終盤で観られる建物の爆破シーンも不発しているため残念な結果となっている。コウィアク監督の腕が鈍ってきたこと、低予算では陳腐なアクションしか描けないことが明らかとなったのである。良いポイントを挙げれば、随所に格闘シーンを中心としたアクションを散りばめて退屈させないような作りにしたことだ。

原作であるゲームが格闘モノということで作品も格闘に焦点を当てたものかと思いきや、チュンリーをサポートする男ゲン(ロビン・ショウ)に会うべくバンコクに赴き、この地で様々な出来事に遭遇したり修行したりといった冒険映画的な要素や一方でシャドルーを追跡するナッシュ刑事(クリス・クライン)と相棒の女刑事の活躍をポリスアクション風味に描いたりと他ジャンルの特徴を取り入れてストーリーに幅を利かせている。これが格闘のイメージを薄れさせて単なる普通のアクション映画という感じにしてしまったのである。

ありきたりなストーリー、がんばってはいるものの盛り上がらないアクション、知名度が低いキャスティングというように完全なB級娯楽アクションとして仕上がったのである。

【60点】

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2009年2月24日 (火)

スラムドッグ$ミリオネア

『トレインスポッティング』等で知られるダニー・ボイル監督のイギリス製ボリウッド映画。ヴィカス・スワラップの原作「ぼくと1ルピーの神様」をもとに『フルモンティ』のサイモン・ボーフォイが脚色した。

ボンベイのスラム街で育った無学の青年ジャマール(デヴ・パテル)が人気クイズ番組『クイズ$ミリオネア』に出場し、難解な問題を次々と正解させる。だが、彼は不正容疑で警察に逮捕されてしまい、刑事から拷問同様の取調べを受けながらも無実を訴え、番組出演の経緯を語りだす。

本作はかなり親しみやすく、興味をそそられる作品だと言える。その原因は、『クイズ$ミリオネア』である。イギリスでスタートしたこの番組は世界80ヶ国で放送され、日本でもみのもんたの司会で2000年にスタートし、7年間と長きに渡って放送された人気番組である。劇中で観られる『ミリオネア』はBGM、クイズのルール内にある“ライフライン制度”、司会者が言い放つ「ファイナルアンサー?」、スタジオの雰囲気も日本で放映されたものと同じである。この番組を知る者であれば、すんなりと作品の世界へと入り込めると思う。

作品そのものが一つのクイズ問題である。冒頭で“なぜジャマールはここまで正解することができたのか?”という問題が出題され、四つの選択肢が出される。観る者に対してこの作品への参加を促しているような感じであり、ユニークな面白さが感じ取られる。

物語は番組の収録スタジオ、警察署内、ジャマールのかつての空想という三つのシーンで構成され、それぞれが巧妙に絡み合って展開していく。複雑かと思えるが、これが意外とわかりやすく描かれており、“なぜジャマールは問題を正解できたのか?”、“なぜ番組に出場したのか?”ということが徐々に明らかになっていく。作品そのものがクイズ問題だと先述したが、このストーリー展開が問題の解説にあたるものだと捉えても良いだろう。

ジャマールを取り巻く二人の重要人物であるジャマールの兄サリーム(マドゥル・ミッタル)、女友達のラティカ(フリーダ・ピント)がドラマを面白くさせる活性剤の如く活躍する。ひたむきで純粋なジャマールと金に対する欲が深く、悪の道へと走ってしまうサリーム。この対照的な兄弟のキャラクター描写が印象的だ。三人が辿った険しくて過酷な幼少、少年少女時代は観る者を圧倒させることは間違いなく、壮絶としか言いようがない。三人の目線で貧困、犯罪といったインド社会の病んた部分を浮き彫りにする。リアリティーを追求した克明な描き方で観る者に厳しい現実を訴えかけているのである。

ボイル監督の映像センスも誠に素晴らしい。序盤のジャマールと多くの子供たちが二人の監視員に追われてスラムの街中を駆け回るシーンでは手持ちカメラを駆使して走る子供たちを追い、自由なアングルで捉えている。カメラワークと歯切れの良いカッティングがスピーディーでアップテンポな威勢の良いシーンに仕上がった。それと同時にマイナスなイメージを抱きがちなスラム街を魅力的に魅せつけ、人々の生活風景等を生き生きとしたプラス思考のイメージで映し出している。その後に描かれるイスラム教徒虐殺の暴動シーンでは衝撃的なバイオレンスの中に幻想的で不思議な感覚を取り入れている。とにかくボイル監督は最高の腕前を遺憾なく発揮しており、その才能は凄いの一言に尽きる。

クライマックスでは感動と衝撃が交錯し、最後にすべてを包み込むかのような感じでケレン味溢れるダンスシーンが観られる。最後の最後にインド映画の最大の特色を持ってきて大いに楽しませてくれるという点は非常に好感度が高く、胸のすくような醍醐味を感じさせてくれる。

本作は、単なるジャマールのサクセスストーリーではない。観ている限りでは単純で平凡な夢物語のような感じではあるが、根底に描かれているジャマールとラティカの恋模様、主要キャラクター三人の過酷かつ壮絶なドラマ、社会背景の描写がしっかりと描かれているからこそ膨らみのある豊かなドラマとして成り立ち、見応えのある重厚な作品へと仕上がったのである。

【90点】

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2009年2月23日 (月)

2009年度アカデミー賞!!

2009年度アカデミー賞の結果が発表されました。

作品賞は、『スラムドッグ$ミリオネア』でその他8部門に輝いた!!

そして、我が国日本からは『おくりびと』が外国語映画賞、短編アニメ賞に『つみきのいえ』とWで受賞!!これは、凄い!!現代の日本映画、本当に捨てたもんじゃないですね~!!

以下、受賞結果です!!

【作品賞】
『スラムドッグ$ミリオネア』

【主演男優賞】
ショーン・ペン  『ミルク』

【主演女優賞】
ケイト・ウィンスレット  『愛を読むひと』


【助演男優賞】
ヒース・レジャー  『ダークナイト』
 

【助演女優賞】
ペネロペ・クルス  『それでも恋するバルセロナ』
 

【外国映画賞】
『おくりびと』 (日本映画)
 

【監督賞】
ダニー・ボイル 『スラムドッグ$ミリオネア』
 

【脚色賞】
『スラムドッグ$ミリオネア』
 

【オリジナル脚本賞】
『ミルク』
 

【撮影賞】
『スラムドッグ$ミリオネア』
 

【編集賞】
『スラムドッグ$ミリオネア』
 

【美術賞】
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
 

【衣装デザイン賞】
『ある公爵夫人の生涯』
 

【メイクアップ賞】
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
 

【録音賞】
『スラムドッグ$ミリオネア』
 

【音響編集賞】
『ダークナイト』
 

【視覚効果賞】
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
 

【歌曲賞】
“Jai Ho” 『スラムドッグ$ミリオネア』
 

【作曲賞】
『スラムドッグ$ミリオネア』


【長編アニメ賞】
『ウォーリー』
 

【短編アニメ賞】
『つみきのいえ』


【長編ドキュメンタリー賞】
「Man on Wire」
 

【短編ドキュメンタリー賞】
「Smile Pinki」


【実写短編賞】
「Spielzeugland (Toyland)」

『スラムドッグ$ミリオネア』、日本ではみのもんたが司会したクイズ番組を知っている方なら馴染みやすいと思えます。なおかつ、内容はかなり面白いです!!今は亡きヒース・レジャーが助演男優賞を獲得にも驚かされました!!個人的に期待している『レスラー』のミッキー・ロークが主演男優賞を逃したことが悔やむが、この作品をきっかけにスターの座へと返り咲いたことが嬉しい。 

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2009年2月20日 (金)

シリアの花嫁

中東の複雑で難解な社会状況を背景に花嫁とその家族の一日を描く。

モナ(クララ・フーリ)と自身の親戚で人気スターのタレルの結婚式が挙げられる今日。この日がモナにとって最高の一日になるはずなのだが、彼女や姉のアマルは悲しそうな表情。それは、タレルが住むシリアに行くと二度と家族との再会がありえないからだ。モナが住むゴラム高原・マジュダルシャムス村はイスラエル領でシリアとの間には国境線が敷かれている。この国境線は肉親をも分断してしまう。意を決したモナと家族は国境線に到着するのだが・・・・・・。

社会派テイストでもある本作が小難しくておカタい内容にならなかったのは、モナの家族を描き分けたからだと言える。モナの姉・アマルは妹の身を案じて世話をするが、そんな彼女も家庭ではうまくいっていない。長兄ハテムは父親と気まずい関係。そして父親ハメッドは親シリア派でかっての政治活動が原因で投獄された経験があり、未だに警察から目をつけられている。モナを取り巻く彼らの描写がホームドラマとしての面白さを醸し出しており、見所の一つだと言える。

終盤でややこしく思えた家族が一つになってモナの結婚式のために国境線に向かう。だが、到着すると通行手続きに関するトラブルに見舞われてしまう。このシーンは第二の見所であり、“この先どなるのか?”、“うまく結婚式を挙げられるのか?”という感じで観る者を気掛かりにさせ、サスペンス風味を漂わせた面白さが味わえる。

愛、団結、勇気に彩られたドラマ。この三つのテイストが劇中で描かれる不条理、悲哀、複雑を包み込んで最後に感動を生み出す。ラストシーンは音楽が感動を誘い、最高に良い余韻が残る。この音楽の使い方は秀逸だ。

地味な小品のイメージが強い作品であるが、味わい深いドラマとして仕上がっているため捨て難い傑作だと言える。

【70点】

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2009年2月17日 (火)

チェンジリング

1928年のロサンゼルスで実際に起きた事件を映画化。監督はクリント・イーストウッドで今回は出演はせず、もっぱら裏方に徹した。元々はロン・ハワードが監督を務める予定だったが、スケジュールの都合で降板したためイーストウッドが登板することとなった。

電話会社に務めるシングルマザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)は、一人息子のウォルター(ギャトリン・グリフィス)と二人暮し。ある日、急な仕事から帰宅したクリスティンは、留守番をさせていたウォルターの姿がないことに気づく。探し回っても見つからず、警察に通報する。五ヵ月後、ロス市警のジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)からウォルター発見の知らせを聞いて駆けつけたクリスティンが見たウォルターは、外見が全く違う少年だった。

アンジェリーナ・ジョリーが闘う普通の主婦を演じる。アクション作品では武器と肉体で敵に立ち向かってきたアンジー。本作では、息子誘拐事件の背景で描かれる腐敗した警察、不当な権力に不撓不屈の精神と息子に対する愛情を持って心で闘う。警察側から精神異常者として無理矢理に精神病院に収容されたりと理不尽で酷すぎる目に遭いながらも屈服することなく信念を貫き通して悪に立ち向かう姿が好印象だ。

劇中で描かれる不条理な悲劇は観る者を心底苛立たせ、これらの出来事が実際に起きていた、行われていたと思うと驚愕させられると同時に益々腹が立ってくる。

文芸作品のような格調の高い雰囲気、二転三転するストーリーで見応えのある重厚な作品に仕上がっている。観る者をグイグイと惹きつける衝撃的な内容は、142分の長さを感じさせない。悪徳警部ジョーンズ役のジェフリー・ドノヴァン、クリスティンに助けの手を差し伸べるグスタブ牧師役のジョン・マルコヴィッチといった脇役陣も良い芝居をしていて印象的だ。

不当な権力、汚職に手を染めて腐敗する政府。これらは現代社会でもチラホラと問題になっているため、永遠のテーマだと言える。イーストウッド監督は、80年前の事例を引き合いに出して現代の人々にこの事実を叩きつけ、今後このような問題に直面したときに個人、社会はどうすればよいのかを考えさせる。

【85点】

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2009年2月14日 (土)

7つの贈り物

『アイ・アム・レジェンド』、『ハンコック』とお得意のSFアクションが続いたウィル・スミス。そんな彼が再びドラマ作品に挑戦した。二年前に主演した『幸せのちから』のガブリエレ・ムッチーノ監督と再びタッグを組んで「贖罪」をテーマにした感動系人間ドラマだ。

ベン・トーマス(ウィル・スミス)という男は、かつての過ちが原因で心に傷を持っている。彼が見知らぬ七人の他人に人生が永遠に変わるような贈り物を渡そうと行動する。

複雑な心情を抱く主人公ベンの心理描写が巧みであり、ウィルが悩んだり、涙を流したりと巧く表現した演技も抜群だ。特にウィルのこのような姿が観られるのは実に珍しく、役者としてさらにレベルアップしていることがわかる。

“ベンの過去に何があったのか?”、“贈り物を渡す相手が何故七人の他人なのか?”、“贈り物とはいったい何か?”といったことが気掛かりとなり、このようなミステリー作品的な要素が観る者を惹きつける。同時に七人の他人のうちの一人である心臓病を患う女性エミリー(ロザリオ・ドーソン)とのラブストーリーも用意されている。

ストーリーが進むにつれて謎のヒントとも言える映像が少し映し出され、終盤に向けて徐々に解明されようとする。そして、ラストシーンでは衝撃的なシーンが待ち受けており、これが観る者をとことん驚愕させ、背筋が凍るようなゾクゾク感を味わわせる。同時に気になっていた謎の全貌が一気に明らかになる。このラストシーンで大きな面白さが味わえるが、後味が悪く思える点がマイナスだ。

【70点】

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2009年2月13日 (金)

三国志

『レッドクリフ』二部作の勢いに便乗したかのような作品で監督は、ダニエル・リー。

原作は「三国志演義」に基づいたもの。主人公は『レッドクリフ』ではフー・ジュンが演じた趙雲であり、アンディ・ラウが扮している。また、映画版ならではのオリジナルキャラクターとしてサモ・ハン扮する平安、マギーQ扮する曹嬰が登場する。この二人が作品を更に面白く昇華させ、二大スターの活躍ぶりと美味しい役柄は注目度が高いと言える。

本作は、単なる『レッドクリフ』の二番煎じ的な駄作ではない。アクション色を前面に押し出した作風で随所には見せ場となる合戦シーンが散りばめられている。アクションの出来栄えは水準が高く、非常に面白く仕上がっている。歯切れの良いカッティング、スローモーションの多用、流血シーンが奏でだすバイオレンス、アクロバティックなバトルという具合に魅せ方が巧妙で迫力をしっかりと追求できている。アクションシーンがここまで面白く仕上がったのは、サモ・ハンによる演出があったからこそだと言っても良いほどだ。

他にも大人数のエキストラ、立派な衣装やセットが作品のスケールを大幅にアップさせており、これだけでも十分な見応えがある。

中盤あたりから突然二十年後のことが描かれたりというようにストーリーに緻密さが欠けたりするが、もともとはアクションを売り物にしているような作品なので細かいことを考えずに観れば面白さはしっかりと味わえるはずだ。

【70点】

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2009年2月11日 (水)

モトリー・クルーのディザスター! アルマゲドン危機一発

地球に衝突しようとする小惑星ショーン・コネリーを破壊するべく立ち向かう選ばれし七人のスペシャリストと一体のオカマロボの姿を描いたクレイ・アニメ・コメディー。

タイトルのモトリー・クルーとは、大物ロックバンドの名称であり、メンバーが粘土製人形となって劇中に登場し、本人たちも声の出演を果たしている。また、『ホステル』二部作でお馴染みのイーライ・ロス監督も声優を務めている。

『アルマゲドン』をメインにディザスター作品のパロディーが盛り込まれており、そこに過激かつストレートな下ネタ系ギャグがこれでもかと言わんばかりに連発される。とにかく悪ノリ爆発でやりすぎているのである。ここまで過激にやりきれたのはクレイアニメだからこそであり、実写でやられるとかなりキツいものもある。誠に低俗で道徳観のカケラもない究極のおバカ映画である。

おバカに徹していることは十分にわかるが、肝心な笑いの要素が消化不良状態となっていることが残念だ。エロ・グロ・汚いの三拍子が揃った下ネタは、新味がない上にあまり捻りが利いていないがために爆笑できるほどの面白さが味わえない。本作と同じような過激なブラックユーモアを追求した作品は多く存在し、心の底から笑えて面白い作品は結構存在するので本作のような平凡な下ネタ満載ギャグではビクともしないのである。それでも、過激なおバカ映画は好きではあるものの滅多に観ないという方にとっては、下ネタてんこもりに驚かされ、そこそこ笑えるかも知れない。笑えるか否かは別として、掘り出し物、珍作としては観る価値はありかもだ。

本国アメリカでは上映禁止となったいわく付きの作品。日本では、レイトショーのみの公開で公開日の約一ヵ月後にDVDがリリースされるとのこと。スクリーンで観たいという日本のおバカ映画ファンにとっては、劇場公開は嬉しいこと間違いなしだろう。

【45点】

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2009年2月 5日 (木)

ラスト・アメリカン・ヒーロー

“暴れん坊レーサー”と称された伝説的レーサー、ジュニア・ジョンソンの青年時代を描いた青春系スポーツ作品。原作は、ニュージャーナリズムの旗手、トム・ウルフが雑誌「エスクァイア」に執筆していた「ジュニア・ジョンソンこそアメリカ最後のヒーローだ!」。

ジュニア・ジャクソン(ジェフ・ブリッジス)は、父が密造するウイスキーを車で配送することが日課である。連日、パトカーの追跡を逃れているうちにドライビングテクニックを上達させたジャクソンは、父が逮捕され、金が必要になったことがきっかけでデモリション・ダービーに出場し、賞金を獲得する。さらに賞金額が多いストック・カーレースに出場し、次第にレーサー稼業へとのめり込んでしまう。

ジュニア・ジャクソンをアメリカンヒーローというよりもアウトローヒーローとして描いている感じが強く、一匹狼的なカッコよさが魅力的だ。組織や規制されたルールを嫌い、自身の信念を貫いてレースに挑む勇猛果敢な男を好青年らしい顔立ちのジェフ・ブリッジスが好演。

連戦連勝するジャクソンは、コルト自動車の社長バートン(エド・ローター)に目を付けられ、スポンサーとしてバックアップすると言われるが、これを拒否する。だが、結局は彼の求めに応じてレースに出場するが、いざハンドルを握って車を走らせると彼のアドバイスを無視し、己の信念に従って我が道を爆走する。このラストのレースシーンでもレースの面白さを追求すると同時にジャクソンの一本木な性格をしっかりと描いている。本作で描かれているジャクソンの姿は、男ならついつい憧れてしまうだろう。

主題歌は、ジム・クロウチが歌う「アイ・ガッタ・ネーム」。劇中で使用される音源は、レコード版とは異なり、未だディスク化されていない貴重音源である。特にオープニングで映し出されるノースカロライナの風景とアコースティックの音色が見事にマッチしており、ノスタルジックな雰囲気を存分に醸し出していて非常に印象的だ。

【70点】

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2009年2月 3日 (火)

ベンジャミン・バトン 数奇な人生

産まれたときの見た目が老人で年齢を重ねるごとに若返っていく男ベンジャミン・バトンの文字通り“数奇な人生”を描いたデヴィッド・フィンチャー監督作品。主人公ベンジャミンを演じるのはブラッド・ピット。フィンチャー監督とブラピが『セブン』(95)、『ファイト・クラブ』(99)に続いて三度目のタッグを組んだ。原作は、F・スコット・フィッツジェラルドが1920年代に書き上げた同名の短編小説。

第一次大戦終戦直後のニューオリンズ。あるカップルの間に男児が産まれる。だが、産まれてきた赤ん坊の見た目は普通ではなく、80歳の老人のようであった。実父はこの赤ん坊を老人施設に置き去りにする。施設関係者の女性クイニー(タラジ・P・ヘンソン)は、この赤ん坊をベンジャミンと名付け、親代わりとなって育てる。ベンジャミンは年齢を重ねるごとに皺が減り、髪も増え、だんだん若返っていく。ある日、ベンジャミンは施設利用者の孫娘デイジー(エル・ファニング、後にケイト・ブランシェット)に出逢う。

ベンジャミンとデイジーとの恋、人々とのふれあい等を通して“人生の素晴らしさ”を訴えかける。普通の人とは違った人生を悲劇として描いたり感動を押し売りにしたような描き方をせず、あくまでも自然体でストレートに描いている。

ユニークなアイデアの原作は映像化に相応しく、見た目老人の男が若返っていくというストーリーの基本的なポイントが観る者に興味を抱かせる。劇中では様々なドラマが見所として散りばめられ、観る者をベンジャミンの世界へグイグイと引き込ませる。157分の長尺を長く感じさせないのは、ユニークなストーリー設定と飽きさせない作りを施したからだと言える。ファンタジー、人間ドラマ、ラブロマンス、ロードムービー、ミステリーといった様々なテイストが取り入れられており、これらが映画的魅力を存分に発揮しているのである。

CGを巧妙に駆使して仕上がったビジュアル、様々な年齢を演じ分けた登場人物のメイク等は違和感を感じさせず、本当に完成度が高い。

『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)を思わせるような感じがするのは、脚本が同じ人(エリック・ロス)であり、そう言われると納得できる。

【75点】

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