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2009年3月

『映画秘宝』5月号に寄稿

本日発売の『映画秘宝』5月号(洋泉社)に先日、当サイトにて紹介した『カブキマン』のコラムを書きました。

私が大学一年の頃に『映画秘宝』を初めて知り、他の映画雑誌にない独特の内容にハマり、現在に至るまでこの雑誌の大ファンなのです。人から「好きな映画雑誌は何?」と質問されると迷わず「『映画秘宝』!!」と口にするほどです。

そんな『映画秘宝』に執筆ができるとは、夢にも思っておりませんでした。とにかく嬉しくてたまりません!!超最高です!!

ということで『映画秘宝』5月号、宜しくお願い致します!!私が書いた『カブキマン』ネタ、興味のある方は、是非ともお読み下さいませ!!

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カブキマン

『悪魔の毒々モンスター』シリーズでお馴染みのトロマ社と日本のTVゲームメーカーで有名なナムコと配給会社ギャガが生み出した国辱系おバカ映画。

日本人一家殺害事件の捜査をしていたニューヨーク市警刑事ハリー(リック・ジアナシー)がある事件をきっかけに“カブキパワー”なるものを授けられてしまい、これが原因でカブキマンというヒーローに変身する能力を身につける。大企業のオーナーで慈善家のレジナルドに化けたイーブルワンを退治するべくカブキマンが立ち上がる。

本作の面白さといえば、やはりおバカと娯楽性に徹したシーンであり、その中でもヘンテコな日本ネタであると断言できる。

まずは、冒頭でアメプロのヒール系レスラーばりのペインティングをした宍戸錠という感じのカブキ一座の座長サトウがカブキパワーを後継者に授けるための準備としてミミズ数匹を手づかみでムシャムシャと食すという悪趣味全開のグロテスクシーンが観られる。上映開始直後にこのようなトンデモナイものを披露してくれる時点で本作はタダモノではない作品であることが確信できる。

次はカブキだ。サトウの後継者となるイチローとその家族は殺害され、後継者欠場のままで予定通りに公演が開始される。ここで面白いのは、その公演のタイトルでその名は“カブキカップル”。「何じゃそりゃ?!」という感じのベタでありながらも不思議なこのネーミングは忘れられないほどの強烈なインパクトを与えてくれる。その内容が興味深いポイントとなる。いざ観ると白塗りの外人による学芸会かコントのような感じでどうみても歌舞伎には見えない。上演中に白塗り連中に紛れ込んだ敵の腹心がマシンガンを大乱射し、サトウは撃たれてしまう。たまたまこれを鑑賞していたハリーがこれを阻止しようと立ち上がって応戦する。そこで死ぬ寸前のサトウとハリーがパニックに便乗させられたかの如くディープキスをしてしまう。なんと、このキスがカブキパワーの伝授だった。これによってハリーはカブキマンに変身してしまったのである。このキスといい、カブキカップルの内容よりも突如勃発した大乱射の方が観客のウケが良い(場内大爆笑!!)という描写が面白すぎるのである。

歌舞伎役者とは程遠く、『デビルマン』か『オレたちひょうきん族』のブラックデビルに近いとも思えるビジュアルのカブキマン。彼が繰り出す必殺技がこれまたベタなのである。日本刀で斬る、宙に浮いた下駄が炸裂、強風を吹かせる大扇子、殺傷能力抜群の無数の割り箸、睡眠作用を発揮する巻き寿司、縄のように縛りつけるソーメンという具合に武器は必ず日本のイメージを強調するアイテムなのである。この小道具の使い方は、面白さを発揮させることに成功しており、凄まじい印象を残す。

全編にヘンテコでバカバカしい珍味が観られ、その面白さが十分に味わえる。カブキマンが途中で変身ミスをしてピエロマンになってしまうという大脱線ぶり。このシーンで観られるカーチェイスとカークラッシュがヘナチョコであるものの車の大爆破だけはアクション映画らしい迫力を存分に発揮した出来栄え。真のカブキマンになるべく修行をするが、まずは逆立ちをしながら米粒を並べるというもの。その米粒が黄色や茶色という観たことも食べたこともないようのなのである。他にも生魚を背中の部分から丸かじり、ハリーとサトウの孫娘ロータスの異常なほど激しく燃え上がるセックス(散々ハリーの顔面を殴ったり股間付近を木刀で叩いたりといったS女ぶりを発揮していたロータスもベッドでは意外と大人しいというギャップも笑える)、敵ボスであるレジナルドのオフィスの一室に徳川家康が持っていたという刀が置いてあり、これが家康死後の1638年に製造されたという日本史の学習不足といったぶっ飛びメニューが観られ、とにかくクレイジーパワーが遺憾なく発揮されている。結果的には、これらの内容がしっかりと面白さを味わえるものに仕上がっているので良いと言える。

ラストは、ロータスがレジナルド一味に拉致され、ハリーがカブキマンとなって彼女を救出するべくレジナルドに挑む。レジナルドは悪霊イーブルワンに変身するが、このモンスターがとにかくグロテスクなビジュアルなのである。イーブルワンの破壊力、攻撃、カブキマンとのバトルといったポイントが気になるのだが、イーブルワンのいい所と言えば、変身のみであとは簡単にやられてしまって終わりなのである。このバトルをしっかりと描けなかったことが大きなマイナスポイントとなるが、ツッコミたくなるような面白さを追求したい方にとっては、これもありだと捉えることができるだろう。

とにかく最初から最後までバカでヘンテコでクレイジーな面白さが味わえる珍品なのである。エロ、グロ、ナンセンスの三拍子が揃い、アクションの面白さも取り入れた娯楽性に徹した作り方は大いに評価したい。

それにしても製作に日本が携わっているにも関わらずここまで日本のイメージをハチャメチャにしているということは、これを逆手にとってウケを狙ったのかも知れない。

【60点】

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ザ・テイク わいろ (ダーティ・コップ 麻薬マーケットに挑むあぶない刑事)

わいろを受け取っていたダーティーな黒人刑事の活躍を描いたサスペンス系ポリス・アクション作品。

ニューメキシコに派遣されたサンフランシスコのスゴ腕刑事スニード(ビリー・ディー・ウィリアムス)は、麻薬すら扱って土地を牛耳るボスのマッソー(ヴィック・モロー)からわいろを受け取りながらも彼を追跡し、自身に着せられた濡れ衣を晴らすべく奮闘する。

『ダーティハリー』の影響で量産されたポリス・アクションと当時のもう一つのブームであったブラックスプロイテーションが合体。主人公スニードは本家『ダーティハリー』の一枚上手のアウトロー刑事。演じるのは後に『スター・ウォーズ』の続編二作でランド・カルシリアン伯爵を演じるビリー・ディー・ウィリアムス。

監督はロバート・ハートフォード=デイヴィスであり、ジム・ブラウン主演の『スーパー・ガン』(ビデオ邦題『ブラック・ガン』)に続いて再び男臭い風貌の黒人役者を主役に迎えた暑苦しいアクションを魅せつけた。

オープニングクレジットが終わった直後に第一の見せ場が用意される。これがスピーディーに描かれたダイナミックなアクションとして仕上がっている。中盤を過ぎたあたりで第二の見せ場が用意され、第一の見せ場を上回る面白さが堪能できる。この二つのアクション演出は定石通りで新味がないものの悪くはない出来栄えであるため、そこそこ良い評価を与えられる。

問題はわかりにくいポイントが多々あることだ。中でもスニード刑事のキャラクター描写だ。収賄という汚名を返上するべく活躍しているが、そういった説明が不足しているがためにそのまま悪徳刑事のように描かれているのである。デイヴィス監督、レル・ライズマンとフランクリン・コーエンの脚本に大きな瑕疵があると言える。

【40点】

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PVC-1 余命85分

2000年にコロンビアで起こった“ネックレス爆弾事件”をモチーフにしたサスペンス・スリラー作品。世界中が注目している新鋭スピロス・スタソロプロスが監督、脚本、撮影の三役をこなし、長編デビューを飾った。

舞台はコロンビアのクンディナマルカ県郊外。四男一女の武装犯行グループが農園と養鶏場を経営し、平穏な生活を送っているバルデス一家を襲撃。犯行グループは家族全員を拘束し、銃で脅しながら1500万ペソという大金を要求する。一家の長であるシモンとその妻オフェリアは金がないことを強く訴えかけるが、犯人たちは聞く耳を持たず、オフェリアの首にコルセット型の時限爆弾を装着して姿を消してしまう。

本作の最大の特徴は、たったの1カットだけで撮影されたということだ。85分の上映時間に一度もカットが入らず、まるまる長回しで撮られていることに驚愕させられる。こうしたことによって劇中で描かれる恐怖、緊迫を観る者がリアルに体験できるのである。

その上にBGMや効果音も一切使用されず、静寂なタッチで描かれる。時折、コルセット型時限爆弾から鳴り響く不気味な金属音が観る者をふと驚かせる唯一の効果音であり、劇中ではオフェリアを脅かして精神面を徹底的に追い詰める。

見所は簡単にはずすことができない爆弾を国家警察のハイロ中尉が解体するシーンであり、中盤以降はこのシーンに重点が置かれている。現場には十分な解体道具等が一切なく、たった一本のナイフをロウソクの火であぶって爆弾に切り込む。本作の売りモノである緊迫感が遺憾なく発揮されたシーンは、観る者に「解体が成功するか否か」を気掛かりにさせ、釘付けにさせる。

衝撃が待ち受けるラストシーンは、コロンビアがいかに恐ろしくて治安が悪い国であることを物語っていると捉えることができる。

コロンビア映画そのものが珍しいが、作品そのものもかなりの珍品だ。それにしても85分を1カット撮りというのは、かなり大変だったことだろう。少しのミスによってすべて一からのやり直しになるというリスクを背負いながらもしっかりと成功させたスタソロプロス監督の労をねぎらいたい。

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北国の帝王

アメリカ全土が大不況の真っ只中の1933年。失業者は浮浪者と化し、ホーボーと称されて社会ののけ者にされていた。彼らは列車のタダ乗りをして全土を移動していた。だが、彼らは19号列車だけは乗らないようにしていた。なぜなら、そこの車掌シャック(アーネスト・ボーグナイン)は無賃乗車は絶対に許さず、見つけるとすぐにハンマーで殴り殺すという冷酷極まりない男だからである。ホーボーの中に“北国の帝王”と称されるAナンバーワン(リー・マーヴィン)がこの列車のタダ乗りに真っ向から挑戦する。

男性向け映画の巨匠ロバート・アルドリッチとリー・マーヴィン、アーネスト・ボーグナインという男臭くて武骨な二大スターによる骨太な娯楽アクション映画の傑作だ。

見所はやはりAナンバーワンとシャックの激突だ。はじめのうちは二人の闘いも大した描き方はされないが、ストーリーが進展するにつれて除々にヒートアップし、クライマックスで決死のバトルが繰り広げられる。Aナンバーワンが材木と斧、シャックがハンマーとチェーンという具合に両者が武器を駆使して意地をぶつけ合って闘う姿に目を見張らされ、ハラハラドキドキさせてくれる。この初老のオヤジのバトルをここまでエキサイティングに描いた点は、今観ても珍しく思える。面白く仕上がった点は、二人の役者に男臭さという魅力とインパクトが強い存在感があるからこそだと言っても良いだろう。

男同士の対決をメインに描く一方でAナンバーワンと生意気な若者シガレット(キース・キャラダイン)の友情めいた描写も観られ、これがまた男性向け映画に相応しい。元々は仲が悪かった二人。シガレットは持ち前の達者な口調と若者ならではの生意気さが印象的だ。自分こそが19号列車を制覇し、ナンバーワンになるとほざいてAナンバーワンと共に行動する。この模様をロードムービー風に描いている。そんなシガレットもいざというときにはほとんど何もできず、本当に口だけの男なのである。最終的には、Aナンバーワンから現実を見させるべく目を覚まさせてやるという感じで列車から放り落とされてしまう。劇中では役立たずだったシガレットは、映画を面白くさせるためには結構役立ったのである。

ちなみに本作は、元々はサム・ペキンパーが企画していたが、プロデューサーとのいざこざが原因で降板してしまったのである。ペキンパーが撮っていれば、ラストの見せ場は強烈なバイオレンスを徹底的に追求した凄まじい仕上がりになっていただろう。

【80点】

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