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カブキマン

『悪魔の毒々モンスター』シリーズでお馴染みのトロマ社と日本のTVゲームメーカーで有名なナムコと配給会社ギャガが生み出した国辱系おバカ映画。

日本人一家殺害事件の捜査をしていたニューヨーク市警刑事ハリー(リック・ジアナシー)がある事件をきっかけに“カブキパワー”なるものを授けられてしまい、これが原因でカブキマンというヒーローに変身する能力を身につける。大企業のオーナーで慈善家のレジナルドに化けたイーブルワンを退治するべくカブキマンが立ち上がる。

本作の面白さといえば、やはりおバカと娯楽性に徹したシーンであり、その中でもヘンテコな日本ネタであると断言できる。

まずは、冒頭でアメプロのヒール系レスラーばりのペインティングをした宍戸錠という感じのカブキ一座の座長サトウがカブキパワーを後継者に授けるための準備としてミミズ数匹を手づかみでムシャムシャと食すという悪趣味全開のグロテスクシーンが観られる。上映開始直後にこのようなトンデモナイものを披露してくれる時点で本作はタダモノではない作品であることが確信できる。

次はカブキだ。サトウの後継者となるイチローとその家族は殺害され、後継者欠場のままで予定通りに公演が開始される。ここで面白いのは、その公演のタイトルでその名は“カブキカップル”。「何じゃそりゃ?!」という感じのベタでありながらも不思議なこのネーミングは忘れられないほどの強烈なインパクトを与えてくれる。その内容が興味深いポイントとなる。いざ観ると白塗りの外人による学芸会かコントのような感じでどうみても歌舞伎には見えない。上演中に白塗り連中に紛れ込んだ敵の腹心がマシンガンを大乱射し、サトウは撃たれてしまう。たまたまこれを鑑賞していたハリーがこれを阻止しようと立ち上がって応戦する。そこで死ぬ寸前のサトウとハリーがパニックに便乗させられたかの如くディープキスをしてしまう。なんと、このキスがカブキパワーの伝授だった。これによってハリーはカブキマンに変身してしまったのである。このキスといい、カブキカップルの内容よりも突如勃発した大乱射の方が観客のウケが良い(場内大爆笑!!)という描写が面白すぎるのである。

歌舞伎役者とは程遠く、『デビルマン』か『オレたちひょうきん族』のブラックデビルに近いとも思えるビジュアルのカブキマン。彼が繰り出す必殺技がこれまたベタなのである。日本刀で斬る、宙に浮いた下駄が炸裂、強風を吹かせる大扇子、殺傷能力抜群の無数の割り箸、睡眠作用を発揮する巻き寿司、縄のように縛りつけるソーメンという具合に武器は必ず日本のイメージを強調するアイテムなのである。この小道具の使い方は、面白さを発揮させることに成功しており、凄まじい印象を残す。

全編にヘンテコでバカバカしい珍味が観られ、その面白さが十分に味わえる。カブキマンが途中で変身ミスをしてピエロマンになってしまうという大脱線ぶり。このシーンで観られるカーチェイスとカークラッシュがヘナチョコであるものの車の大爆破だけはアクション映画らしい迫力を存分に発揮した出来栄え。真のカブキマンになるべく修行をするが、まずは逆立ちをしながら米粒を並べるというもの。その米粒が黄色や茶色という観たことも食べたこともないようのなのである。他にも生魚を背中の部分から丸かじり、ハリーとサトウの孫娘ロータスの異常なほど激しく燃え上がるセックス(散々ハリーの顔面を殴ったり股間付近を木刀で叩いたりといったS女ぶりを発揮していたロータスもベッドでは意外と大人しいというギャップも笑える)、敵ボスであるレジナルドのオフィスの一室に徳川家康が持っていたという刀が置いてあり、これが家康死後の1638年に製造されたという日本史の学習不足といったぶっ飛びメニューが観られ、とにかくクレイジーパワーが遺憾なく発揮されている。結果的には、これらの内容がしっかりと面白さを味わえるものに仕上がっているので良いと言える。

ラストは、ロータスがレジナルド一味に拉致され、ハリーがカブキマンとなって彼女を救出するべくレジナルドに挑む。レジナルドは悪霊イーブルワンに変身するが、このモンスターがとにかくグロテスクなビジュアルなのである。イーブルワンの破壊力、攻撃、カブキマンとのバトルといったポイントが気になるのだが、イーブルワンのいい所と言えば、変身のみであとは簡単にやられてしまって終わりなのである。このバトルをしっかりと描けなかったことが大きなマイナスポイントとなるが、ツッコミたくなるような面白さを追求したい方にとっては、これもありだと捉えることができるだろう。

とにかく最初から最後までバカでヘンテコでクレイジーな面白さが味わえる珍品なのである。エロ、グロ、ナンセンスの三拍子が揃い、アクションの面白さも取り入れた娯楽性に徹した作り方は大いに評価したい。

それにしても製作に日本が携わっているにも関わらずここまで日本のイメージをハチャメチャにしているということは、これを逆手にとってウケを狙ったのかも知れない。

【60点】

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