やくざ残酷秘録 片腕切断
安藤昇率いる安藤企画が擬似ドキュメンタリー的なモンド映画を意識してヤクザの世界に迫った異色のドキュメンタリー。配給は実録ヤクザ映画全盛期の東映であり、ついにホンモノをスクリーンで魅せつけてしまったのである。
冒頭で数名のチンピラたちがカメラに向かって「何撮ってんだよ!!」と怒鳴り散らす報道番組でも稀に観られるようなシーンに始まり、出所する者の出迎えとその祝い、賭場でサイコロ博打に興じながらシャブを打ちまわして兄貴分的な者にバレて軽くボコボコ、エンコ(指)詰め、競馬のノミ行為、タイトル通りの片腕切断、テキ屋の実態、シンナーを吸引するフーテン連中、関東親分衆の会合、トルコ嬢とヒモの関係、凡天太郎が女性の体にタトゥーを彫り込むといった裏社会の実態をモノクロを基本としたパートカラーで映し出される。これらのメニューは、とにかくリアルで生々しい。誰もが踏み込むことのなかった世界をカメラがしっかりと捉えることに成功したのは、製作、企画、構成、ナレーターを担当した元ヤクザの映画スター安藤昇の力があったからこそだと言える。
登場する者も皆ホンモノなのである。中には、現在の指定暴力団組織の一つである団体の当時の会長も顔を出し、インタビューに応じている。また、ある者が相手を斬りにいったときを語る自身の武勇伝も興味深い。他にも街行く若者たちがマイクを向けられて「ヤクザをどう思うか?」や「入ってみたいか?」という質問に応えているシーンが観られる。
特筆すべきシーンは、片腕切断とエンコ(指)詰めだ。片腕切断だけは唯一の擬似である。それでも地面に落ちた手首の指先がピクピクと動く様子の接写は、強烈なインパクトで忘れられないほどだ。問題なのは、エンコ(指)詰めだ。このシーンは、もともとは擬似で撮られることとなっていたが、やる者が勢い余って本当に相手の指をすっ飛ばしてしまったのである。この恐ろしいエピソードが作品を伝説化させてしまったとも捉えることができる。背筋が凍てつくような衝撃的で痛々しいシーンではあるものの、痛くてギャーギャー騒いだり唸ったりしないのが少し不思議に思える。詰め方もヤクザ映画ならではのドスで勢いよく切断ではなく、ノミと金槌を使用している点がこれまたリアルだ。
ヤクザ社会や残酷描写に興味のある方にはオススメできるが、そうでない方は観なくても良いだろう。
【45点】
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コメント
あはは、あの指詰めシーンは本物かなあ……と、随分以前に見たのですが、いまだにちょっと???
タイトルの「片腕切断」、予告編ではきっちりカメラ目線でしたね。
投稿: Bazil | 2009年4月 9日 (木) 22時55分
Bazil様
お世話になっております。
コメント、誠に有難うございます。
確かにエンコ詰めシーンも「本当か!?」と思えました。痛がっていないのも不思議に思えましたし……。
投稿: サニヤン | 2009年4月10日 (金) 08時25分