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2009年5月31日 (日)

『西部警察PART-Ⅱ』静岡ロケ&名古屋ロケ

現在、再放送中の『西部警察』シリーズ傑作選。

本日、CS放送にて放映された分を録画した『西部警察PART-Ⅱ』全国縦断ロケの記念すべき第一弾、静岡ロケを鑑賞。正直言うと、観過ぎて食傷気味!!それでも面白い!!関西では、6月4日、5日に放映予定。

まずは、「大追跡!!静岡市街戦-静岡・前篇-」。中盤で観られる銃撃戦、敵が投げつける手榴弾による爆破、建物の爆破が第一の見せ場でこれがかなり面白い!!BGMが手に汗を握らせる面白さを倍増させていると言っても良いほど。終盤で第二の見せ場が用意される。大門(渡哲也)がヘリからショットガンを撃ち、鳩村(舘ひろし)、沖田(三浦友和)、平尾(峰竜太)らも負けじと敵と激しい銃撃戦を繰り広げる。サファリに乗り込んだ大門が高圧放水銃で敵が乗った車を追いつめ、この車を高所から突き落として大爆破!!

次は、「大激闘!!浜名湖決戦-静岡・後篇-」。ストーリーは前篇の続きで田中浩扮する敵ボスが登場。こちらも見せ場となるアクションシーンがふんだんに取り入れられていてこれまた面白く仕上がっている。爆破した黒パトの炎が鳩村の背中に引火!!背中が燃え上がっても銃を撃って敵に対抗する鳩村。大門がサファリの放水銃で鳩村の背中を消化。これはドデカいインパクトを与えてくれること間違いなしだ!!その後も敵のバズーカ砲によってパトカーが横転、爆破炎上!!終盤は、敵が乗り込んだ遊覧船“リステル号”をモーターボートで追跡し、大門がヘリから攻撃!!クライマックスで船が大爆破炎上!!爆音上げて燃え上がる!!

この静岡ロケのゲストは、田中(後篇のみ)以外に立枝歩が登場。彼女は、『特捜最前線』(77~87)で荒木“ストロンガー”しげる扮する津上明刑事の妹・トモ子役で刑事ドラマファンに知られているお方だ!!監督は、日活ニューアクションを支えた小澤啓一。

明日、関東地区では「決戦・地獄の要塞-名古屋篇-」を放映との事。ステーキハウス“あさくま”の一部が爆破し、クライマックスで巨大なお化け煙突が凄まじい轟音を響かせてダイナミックに倒壊!!ここに至るまでの銃撃戦、敵の手榴弾&バズーカ砲による警察車両の爆破炎上も迫力満点!!しかし、パトカーが壁に激突するシーンでパトカーの先端部に着けられているロープが見えてしまっているのは、かなりのマイナスだ!!それでも内容は娯楽アクションとして面白く仕上がっているので大いに良し!!ラストシーンは、あさくま主催のライブで舘ひろしが熱唱!!監督は、村川透。

この煙突倒壊は、恐らくバート・レイノルズ主演『グレート・スタントマン』(78)を参考にしたのでは・・・・・・?!いや、絶対にそうだと言い切れる!!このアイデアを思いついたのは、石原プロ専務の小林“番頭”正彦。だが、石原裕次郎は「煙突倒して何が面白いか!!」と言って猛反対!!でも、結局やってみて良かったとの事。

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2009年5月29日 (金)

Blood ブラッド

『花と蛇』二部作であらゆるハードな“SM責められ役”に挑戦して反響を呼び、これを機に“エロスのミューズ”、“エロスの女王”として世間に認知された杉本彩。そんな彼女が吸血鬼ヴァンパイアを持ち前の妖艶なムードを活かし、“性の獣”として演じ切った。

迷宮入り寸前の猟奇的殺人事件を追う星野刑事(津田寛治)。彼は、殺されたメイドの雇用主である美夜子ロジュンベルク(杉本彩)を尋ねる。古びた豪華な屋敷で聾唖の少女ブリギッテ(山口小夜)と暮らす彼女は、彼に犯人は黒沼右京(要潤)だと告げる。右京宅に侵入した星野は、全裸で拘束されている少女の首筋に喰らいついて吸血している右京を目撃する。やがて星野自身も右京の腹心たちに捕らえられてしまう。右京の正体は、幕末に美夜子の血を与えられ、肉体関係を築いたことで不老不死の身となった新撰組・沖田総司であった。星野と右京は、美夜子を巡って激しいバトルを繰り広げることとなる。

杉本彩が主役ということで激しいエロスの見せ場を期待したいところだが、下山天監督が修正に修正を重ねた結果、エロスは控えめなタッチとなった。作品自体もR-18から15となった。これは、下山監督の目標であった。それでも杉本が美裸体を惜しみなく曝け出して魅せつけるヴァンパイアのセックスが適度に散りばめられ、強烈な印象はないものの娯楽性を高める要素としては十分だと言える。

本作はエロスよりもアクション面に力を注いでいるとうな感じであり、津田寛治と要潤のソードバトルが最大の見所となる。二人が刀を片手にキレ味抜群の華麗なる立ち回りを披露し、ワイヤーを駆使したアクロバティックなアクションも取り入れて面白さをしっかりと発揮することに成功したのである。

吸血鬼映画ならではの首筋を噛みついて吸血するシーンは、官能的で甘美な印象がある。本作では、これを杉本のキャラクターと作品が持つ妖艶なイメージによって官能さとエロスの香りをより一層に引き立てて魅力的に描ききった。

【50点】

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2009年5月28日 (木)

『西部警察』傑作選!!

石原裕次郎の二十三回忌ということで全国規模で再放送されているTVポリスアクションドラマ『西部警察』シリーズ。

明日29日(金)の放送予定は、関東(テレ朝)では、『西部警察PART-Ⅱ』第二十六話「北都の叫び-カムバック・サーモン!」。日本列島縦断ロケ第三弾の北海道・札幌編。ゲストは中村竹弥、保積ぺぺ、東映ピラニア軍団の成瀬正孝(当時、成瀬正)、そして、宝酒造の大宮隆社長(当時、昨年お亡くなりに・・・)。終盤ではド派手な見せ場が用意されており、これがまさに迫力満点で楽しめる。爆砕されるパトカー、クライマックスで“宝焼酎「純」”のトラックが大爆破炎上・・・・・・。ラストでは、「カムバック・サーモン・キャンペーン」で豊平川に鮭が戻ってくるシーンを感動的に描く。監督は、宮越澄。

関西(ABC朝日)では、同じく『PART-Ⅱ』の第十八話「広島市街パニック!!」。日本列島縦断ロケ第二弾の広島編。ゲストに当時の漫才ブームで人気を誇っていたB&Bの島田“がばいばあちゃん”洋七、島田洋八の両師匠。二人のコメディー要素がしっかりと取り入れられている点が素晴らしい。広島市電“にしき堂号”がヤクザにジャックされ、追跡する大門軍団。犯人の要求で突っ走る市電、それを追う警察車両。場面にマッチしたBGMが緊迫感を醸成していて良い。クライマックスの市電大爆破は、とにかくインパクト大!!監督は、渡辺拓也。

外国のB級娯楽アクション映画顔負けのダイナミックな痛快アクションと裕次郎扮する木暮課長、渡哲也扮する大門部長刑事率いる大門軍団の勇姿を存分に堪能しよう!!

ちなみに私は、会社から帰宅後にCS放送で録画した分を観ております!!

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2009年5月27日 (水)

ラスト・ブラッド

2000年に公開された和製フルデジタル・アニメ映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』をジェット・リー主演の大ヒット作『キス・オブ・ザ・ドラゴン』(01)を撮ったフランス人監督クリス・ナオンが実写化した復讐系アクション・ホラー。

1970年の日本。セーラー服姿で黒いおさげ髪、黒筒に刀を忍ばせている十六歳のサヤ(チョン・ジヒョン)は父をオニというヴァンパイア種族に殺され、その復讐としてオニの起源であるオニゲン(小雪)を倒すべくオニ撲滅組織カウンシルの協力を得て日々オニと戦っている。カウンシルのリーダーであるマイケル(リーアム・カニンガム)はサヤを基地内の高校に入学させるが・・・・・・。

見所はサヤ役のチョン・ジヒョンが魅せつける数々のアクションだ。ジヒョンにとってアクションは本作が初体験となるが、これが初めてとは思えないほど完璧にこなせており、見劣りすることや違和感を感じさせない。これには、アクション監督コーリー・ユンの大きなバックアップがあったからこそだと断言できる。

序盤からサヤのパワフルな活躍がしっかりと描かれ、観る者を驚愕させる。高校に潜入したサヤが同じクラスになる女子高生アリス(アリソン・ミラー)を女子生徒に化けたオニに襲われたところを救出するシーンで凄まじい刀裁きを披露する。次は、本作の大きな売り物であるオニ軍団百人斬りでここでアクション映画の醍醐味が最大限に発揮される。サヤがバタバタとオニたちを斬りつけ、アクロバティックな動作まで披露して迫力満点の痛快なアクションシーンとして盛り上がる。目まぐるしいカメラワークやスローモーションを巧妙に交えたりと魅せ方に工夫が施されていることによって面白さが一段と増し、見応えのあるアクション描写へと仕上がった。しかもスピーディーでテンポもすこぶる良いため、一気に楽しめる。

オニ百人斬り後もサヤのアクションをはじめ、サヤの父の家臣で実質的なサヤの育ての親であるカトウ(倉田保昭)のハードなアクションが観られたりという具合にとことん楽しませてくれる。

クライマックスはサヤとオニゲンの最終決戦。これが意外とあっさりとした感じで少々物足りない。お互いが激しくぶつかり合うような壮絶なバトルが描けていれば最高の出来栄えだっただろう。それでも全体を通してかなり面白い作品として仕上がっているため、合格点は遥かに達していると言える。

アクション映画ファンには嬉しいダイナミックな爆破シーンやオニのクリーチャー化、CG丸わかりの流血、外国映画ならではの日本の風景描写といったビジュアル面でも強烈なインパクトを与えてくれる。中でもケレン味を存分に発揮させたセットや照明は漫画チックであり、復讐をテーマにしたB級娯楽アクション映画の王道を踏襲した作品内容と絶妙にマッチしている。

【75点】

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2009年5月23日 (土)

路上のソリスト

「LAタイムズ」記者スティーヴ・ロペスが同紙に連載している実話に基づいたコラム「弦二本で世界を奏でるヴァイオリニスト」をジョー・ライト監督が映像化。

妻と離婚後、仕事も不調なロペス(ロバート・ダウニー・jr.)は記事にするネタを探していた。ある日、ベートーベンの銅像がある公園で弦が二本しかないヴァイオリンで美しい音色を奏でるナサニエル・エアーズ(ジェイミー・フォックス)というホームレスに出会う。彼に興味を抱いたロペスは早速調べ出し、その結果、才能のあるチェロ奏者で名門ジュリアード音楽院に二年間通っていたことを知る。ナサニエルは在学中に統合失調症を患ったことで将来の道を閉ざされてしまったのである。それ以来、ロスの路上で暮らしながら敬愛するベートーベンの楽曲を奏でる路上のソリストとなったのである。ロペスはそんなナサニエルと深く関わっているうちに「才能ある音楽家として成功して欲しい」と思って治療を計画するのだが・・・・・・。

二人の男の交流を優しく、時には厳しさを併せて描いた人間ドラマ。ナサニエルは音楽に関しては非常に素晴らしい才能があり、彼の少年時代や学生時代を描いて克明かつ緻密に浮き彫りにさせている。また、学生時代に発症した統合失調症による苦しみとその症状も描き出し、観る者にその苦痛を味わわせる。

本作は感動的な人間ドラマである一方、社会派の一面を併せ持っている。それは、貧困や病に苦しむ弱者とドラッグを扱い、略奪を繰り返す悪者が一体となったロスのスラム街の模様をリアルに映し出している点だ。ナサニエルはロペスのススメでこの地にあるランプ・コミュニティという支援センターに入る。ナサニエルの演奏が社会的弱者である彼らの心を癒す。劇中で観られる彼らの姿は、純粋で優しさと温かさが感じられる。彼らに対して一般的に抱きがちな負のイメージを強調することなく描いているのが良い。ライト監督は美化したり悪い面を追求することなく、自然体でこの現実を観る者に伝えたのである。

LAフィルハーモニック側からの招待でロペスとナサニエルがウォルト・ディズニー・コンサートホールでベートーベンの交響曲第三番「英雄」の演奏を鑑賞するシーンが観られ、ベートーベンの楽曲が多数使用されていたりといったクラシック音楽ファンにとっては嬉しく思える要素がたっぷり取り入れられている。

【80点】

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2009年5月22日 (金)

『西部警察』地上波で再放送!!

今年は昭和の大スター、石原裕次郎の二十三回忌。と言うことで、テレビ朝日系列は特別企画として裕次郎の代表作の一つでもあるTV刑事ドラマ『西部警察』シリーズが傑作選という形で再放送されるのである!!

そう言えば、十三回忌や十七回忌の頃も同じような感じでやっていたのである。

テレビ朝日では、23日(土)午後1時59分より二時間枠で第一話「無防備都市-前編-」と第二話「無防備都市-後編-」を一挙放映!!それ以降は、月曜から金曜の午後1時59分からの一時間枠で放映との事。他の地域では局によって放映時間はバラバラで放映されるエピソードも違っていたりするのかも・・・・・・?!

記念すべき第一話と言えば、銀座のど真ん中を堂々と走って大暴れする装甲車(戦車)に真っ向勝負を挑む大門軍団の刑事たちを描いた凄まじいハードアクション!!装甲車が二台のパトカーを踏み潰す!!勢い抜群のガンファイト、パトカーとヘリが大爆破!!という具合に見せ場が満載!!しかもハリウッドのB級娯楽アクション映画さながらの面白さを存分に味わえる!!続く第二話もド派手なアクション描写が満載!!苅谷俊介扮する源田刑事がダンプに乗り込んで装甲車に大激突!!テレ朝大襲撃!!という具合に一度観ると忘れられないようなダイナミックな見せ場が盛り沢山!!

関東地区のアクション好きは、真昼間のテレ朝をチェック!!昼間からこのような娯楽アクションが観れるとは・・・・・・ジャン=クロード・ヴァン・ダムやスティーヴン・セガールらが大活躍するB級アクションをこれぞと言わんばかり放映するテレ東の『午後のロードショー』と良い勝負だ!!

ちなみに私が住む関西地区では、午前中に放映との事!!私はCSのファミリー劇場にて放映されていたものをビデオに録画済みなのでいつ何時でも鑑賞可能なのである・・・・・・。

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西部警察 Music 西部警察

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「西部警察」・男たちの詩 Music 「西部警察」・男たちの詩

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2009年5月16日 (土)

暴力金脈

企業を喰い物にして不当な利益を得る総会屋の実態を初めて暴いた本作は、東映実録ヤクザ映画の一環として製作された。

一匹狼の駆け出し総会屋・中江(松方弘樹)は、ベテラン総会屋の乃木(小沢栄太郎)からそのイロハを教えてもらい、さらに同郷のヤクザ奥田(梅宮辰夫)のサポートもあって関西一の総会屋・神野(田中邦衛)を負かせて頭角を現し、やがて東京に進出する。その後、東商物産の副社長・長尾(大滝秀治)が中江に対し、曽宮(若山富三郎)が社長を務める東亜製作所への総会攻撃を依頼する。だが、この会社のバックには巨大総会屋の西島(丹波哲郎)が居座っていた。

総会屋の実態を克明に描いていく中で特筆すべき大きなポイントが一つある。それは“総会屋になるためにはどのようにするべきか”という方法をちゃっかりと描破していることだ。序盤で乃木一派と神野一派が激しい乱闘を繰り広げた末に乃木と中江が重症を負って入院し、病床の乃木が力尽きる前に中江を自身の後継者にするべく全身全霊を捧げてアドバイスをするシーンだ。これには、かなり驚かされてしまったと同時に「大丈夫か?!」と心配交じりのツッコミを心の中でカマしてしまったりという具合にヒヤヒヤ感を味わいつつ「よくぞここまでやってくれた!!」とヘンに感心させられてしまった。

ヤクザ映画ならではの描写を肉付けし、そこにコメディーの要素を少し加味して面白さを発揮している。殴る、蹴る、銃殺といったバイオレンスアクションが堪能でき、松方扮する中江の活躍及び行動を時折コミカルに描いて笑いを誘い出す。これらの描写がとにかく面白さを味わえるのだから良いの一言に尽きる。

津島利章による音楽も秀逸だ。本作以前に多く手懸けてきた実録ヤクザ映画のへヴィーかつダークなムードを漂わせながらも情熱さを感じさせるBGMとはまったく違った軽快で本作が描くコメディー色に見事にマッチしたBGMがしっかりと作品を彩っている。

中嶋貞夫監督と笠原和夫と野上龍夫の脚本が「総会屋とは何か?」を面白可笑しく描いて世間にその存在を広く知らせることに成功した一方でこの社会悪の存在を否定し、矛盾した社会体制と企業社会を浮き彫りにして世間に訴えかけたのである。

【70点】

暴力金脈
提供東映株式会社
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2009年5月13日 (水)

夏時間の庭

フランスのオルセー美術館開館二十周年記念の一環として美術館側の全面的なバックアップを得て製作された。

パリ郊外にある一軒の家は、名画家だった亡き大叔父が生前に利用していたアトリエだった。そこで一人暮らしをしているエレーヌ(エディット・スコブ)は自身の死を悟り、長男フレデリック(シャルル・ベルリング)に家と飾られている美術品コレクションを売り払って欲しいと頼むが、反対されてしまう。翌年、エレーヌは突然他界する。フレデリック、次男ジェレミー(ジェレミー・レニエ)、長女アドリエンヌ(ジュリエット・ビノシュ)は遺された家と美術品に向き合うことになる。

多くの美術品を通して家族を題材にしたこのドラマは、何と言ってもフランス映画らしい芸術作品として仕上がっており、静寂なタッチの美しい映像詩だと言える。

序盤で観られるのは、きらめく陽光に射しかかる緑いっぱいの大自然にに囲まれた家。これが鮮やかな美しさを堪能できる風景画のようであり、その後も芸術作品に相応しい映像美が追求され、その美しさが観る者を酔いしれさせる。

本作の一番の見所はと言えば、やはり数々の美術品だ。芸術・美術ファンにはたまらないものばかりであり、これらは、決して作り物の小道具ではなく、美術館や個人が所蔵しているホンモノなのである。館内にて飾られているだけであったアイテムが外に飛び出し、この作品によって生かされているようにも思えた。しかも、これらをただ紹介して魅せているのではない。ストーリーにしっかりと活かせているのである。

本作では、先述した美術品とは別に芸術・美術ファンにとってはかなり興味深いと言えるシーンがもう一つある。劇中で三兄弟が家を売り払い、美術館にコレクションを寄贈するが、その後に観られる美術館の舞台裏とも言えるシーンがこれだ。このシーンは、オルセー美術館々内にて撮影されたものである。

ドラマ部分もホームドラマらしい描き方で面白さを味わえるが、ホンモノの美術品や美しい風景の印象が強いため、ついついこれらばかりを注目したくなってしまう。

美術の素晴らしさを全面的に押し出し、「美しいものは時代が変わっても永遠に美しいものだ」というメッセージを投げかけた貴重な芸術作品だ。

【65点】

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2009年5月11日 (月)

デイヴィッド・リンチ・ワールド

未だにカルト的人気を誇る奇才デイヴィッド・リンチ監督の頭の中に存在する本質に迫るべく自身が手懸けた数々の未公開作品を一挙に公開された。

ペンシルヴァニアの美術専門学校に在学中の頃に製作したモノをはじめとする六本の短編作品群『ザ・ショートフィルム・オブ・デイヴィッド・リンチ』、自身が開設した会員サイトのみで発表された七本の短編作品群『ザ・ベスト・オブ・ザ・デイヴィッド・リンチ』と八本の短編アニメ『ダムランド』に日本でも公開済みのデビュー作『イレイザーヘッド』のデジタルリマスター版を加えたラインナップで日本のリンチ監督ファンに向けてお送りするというプロジェクトだ。

普通の映画好きはもちろん、リンチ監督ファンにとっても少し理解不能と思えるようなモノばかりである。アヴァンギャルドな実験的作品もあればシュールかつシリアスな作品も観られる。そして、リンチ監督ならではの悪趣味を巧妙に笑いへと変換させたアニメというように様々なテイストの作品が味わえる。だが、これらの面白さを堪能できるのは、コアなリンチ監督ファンぐらいだろう。リンチ監督作品初心者や少しかじっただけという方には、その面白さを汲み取れないと言い切れるかもだ。

リンチ監督の世界観を覗き込んだことによって、彼の奇才ぶりを改めて実感させられた。

【50点】

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2009年5月 8日 (金)

バンコック・デンジャラス

パン兄弟(オキサイドとダニー)が撮り上げたタイ映画『レイン』(00)を設定に変更を加えてハリウッドでセルフリメイクしたハードボイルド系サスペンス・アクション。

自身が決め込んだルールを忠実に守り、完璧に任務を遂行させてきた冷酷無比なスゴ腕暗殺者ジョー(ニコラス・ケイジ)。彼は稼業に真の引き際を悟り、最後の任務として四つの暗殺依頼を引き受け、タイはバンコックへと赴く。現地でスカウトした助手コン(シャクリット・ヤムナーム)とともに三つの暗殺を何とか成功させてきたジョーが、最後の四つ目の任務でピンチへと追い込まれてしまう。

パン兄弟はハリウッドのカラーに染まることなく、持ち前のカラーを存分に発揮させて本作を完成させた。タイでのオールロケで街の魅力や文化をしっかりと取り入れ、ハリウッドを利用してこの国の素晴らしさをしっかりとアピールしている感じがしてやまない。特に夜の街並みの活写はインパクトが大きくて印象的だ。猥雑な街という設定を活かせて不健全な雰囲気を漂わせながらも魅力的に描ききっている。他にも照明を巧妙に利用してのスタイリッシュな映像美が殆どのシーンを彩っていたりというようにパン兄弟のハイクオリティな映像センスが伺える。

ジョーがコンを従来通りの利用するだけ利用して殺してしまうようなインスタント助手としてではなく、正式な弟子として鍛え込み、二人で訓練をするシーンや聾唖の女性薬局店員フォン(チャーリー・ヤン)との淡い恋愛感覚のような交流を描いたシーンがドラマ描写における見所として印象深い描き方となっており、注目度が大きい。特にフォンとの関わりからは、足を洗おうとしているジョーが笑ったり彼女に優しく接することによって冷徹な男が人間らしさを取り戻しているような感じで好感を抱いてしまう。ジョーを単に血も涙もない暗殺者として描かず、人間的魅力を描いている点は大きく認めたい。ジョーがピンチに立たされてからは苦悩させられたりするなど、悲哀感を漂わせて描かれていく。これが、スゴ腕暗殺者として生きてきた男が引退目前に曝け出してしまう人間としての、暗殺者としての弱さやマイナスポイントを浮き彫りにしている。

中盤以降は、アクション映画としての見せ場もしっかりと用意されており、ここでハリウッドの力が発揮される。まずは水上マーケットでのボートチェイスが観られる。ボートチェイスも今となっては珍しいモノではないが、従来のモーターボートではなくて勢い良く疾走するイメージとは程遠い木造ボートを利用しているのがミソであり、これを勢い良く走らせてスリリングに描き、スピード感を味わわせてくれるのだから目新しく思えると同時に面白さも味わえるが、満足できるほどの面白さとまではいかない。そして、クライマックスでは銃撃戦が繰り広げられ、照明を巧みに利用してヴィジュアル重視の一味違ったアクションシーンとして仕上がった。このような趣向を凝らす等の努力は認められるもののこれによって迫力や面白さが薄れてしまっているので残念だ。だが、アクションにしてもサスペンスにしても緊張感を維持させて丁寧に描いているのでそのポイントはかなり高い。

そして、衝撃的なラストシーン。ジョーは任務を遂行して無事に引退できるのか?それとも、任務をミスして滅びてしまうのか?

本作は、まさにハリウッド製タイ映画だ。

【70点】

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2009年5月 4日 (月)

バビロンA.D.

新世代アクションスターのヴィン・ディーゼルが久々に日本のスクリーンにやってきた。ジャンルはもちろんアクションで近未来を舞台にしたSFアドベンチャーだ。

戦争やテロで荒廃した近未来の地球。かつて、金と引き換えに様々な危険な仕事をやってのけてきた一匹狼の傭兵トーロップ(ヴィン・ディーゼル)が最後の仕事として国際的マフィアのボスであるゴルスキー(ジェラール・ド・パルデュー)からの依頼である謎の少女オーロラ(メラニー・ディエリー)を六日間でニューヨークまで運ぶという任務を引き受けるが・・・・・・。

トーロップとオーロラとその保護者であるシスターのレベッカ(ミシェル・ヨー)の三人がモンゴルを波きりにカザフスタン、ロシア、ベーリング海峡、アラスカ、ニューヨークと旅を続ける中でオーロラの様々な秘密が除々に明かされていく。そして、行く先々で様々な危険が三人を襲い掛かる。ここでヴィンのアクションが観られ、楽しませてくれる。

ヴィンが人気K-1ファイターのジェロム・レ・バンナ扮するストリートファイターと肉弾戦を繰り広げ、スノーモービルで雪原を疾走させながら空から攻撃を仕掛けてくる二機の無人戦闘機との大攻防戦を展開し、カーチェイスをやってのけたりというアクションはありがちではあるものの面白くて印象深い。ヴィンにとっては『リディック』(04)から四年ぶりのアクション作品であるが、ブランクによるパワーダウンや見劣り等は一切なく、実にカッコよくて勢いのある最強アクションをしっかりとキープできていたことが何よりも良いのだ。ミシェル・ヨー、ジェロム・レ・バンナが魅せる格闘アクションも注目すべきポイントだ。

主人公トーロップは、今までに散々人々を殺してきた究極の悪党、アウトローであるが、自身が決め込んだ強固なルールには忠実に従って行動する。不良性感度を醸し出すチョイ悪なイメージのヴィンにとってはピッタリなキャラであり、その好演ぶりも注目度が高い。でも、オーロラやレベッカに対して時折魅せる優しさや温かさがさらにイイ男としての魅力を発揮させ、アウトローヒーローとして観る者に好意を抱かせる。

監督は、役者としても活躍するフランスのマチュー・カソビッツ。彼の見せ場作りは結構優秀であり、無駄を少なくして手際良く90分にまとめ上げたという腕前はまさに素晴らしい。

ヴィン・ディーゼルはアクション復活作品でその健在ぶりをしっかりとアピールできたのである。本当にそれだけでも十分良いのだ。

【75点】

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2009年5月 2日 (土)

ベルサイユの子

パリの夜の街を彷徨う若いホームレスの女ニーナ(ジュディット・シュムラ)と息子エンゾ(マックス・べセット・ドゥ・マルグレーヴ)は、ベルサイユ宮殿付近の森にたどり着く。森の中に入り込んだ二人は、社会からドロップアウトしたホームレスの男ダミアン(ギョーム・ドパルデュー)に出会う。ニーナとダミアンは一夜をともにした後、エンゾを置いてきぼりにして姿を消してしまう。ダミアンはこの事態に困って憤るが、一緒に過ごしているうちに親子同様になってしまう。

失業、ホームレス、社会不適応といったフランスの現代社会が抱える病的問題を浮き彫りにする本作は、劇中で観られるベルサイユ宮殿付近の森で暮らすホームレスたちの描写がその象徴となっている。実際に宮殿付近には多くのホームレスが生活しており、この事実を素直に描いたことで作品そのものが少しでもリアルに仕上がったのである。

社会派の要素が取り入れられているもののストーリーはエンゾとダミアンの交流を中心に描いているため、小難しさや堅苦しさを感じさせないごく普通の人間ドラマとして仕上がっている。

ニーナはホームレス状態から脱却し、社会復帰を目指して介護施設職員として一からスタートするべく頑張る。一方で幼いエンゾを抱えてしまったダミアンもエンゾのことを思って社会復帰を目指し、しばらく会っていなかった父が暮らす自宅に戻って日雇いの解体業からスタートする。エンゾも学校に通うことになる。社会から外れてしまった三人の主要人物の成長を淡々と描いているが、学校という社会が初体験のエンゾはクラスの子供たちとなかなか打ち解けなかったりといったやや厳しい描き方となっている。

監督のピエール・ショレールは、本作が長編デビュー作となる。明るさと暗さを使い分けて現代社会が持つ光(明るい社会)と闇(暗い社会)を巧く表現した。この腕前は高く評価したい。

ギョーム・パルデューが男臭いワイルドな風貌で野生男ダミアンを演じ、見た目と役柄が見事にマッチしていて印象深い。負けキャラであるものの好感を抱いてしまうほどのナイスガイなのである。残念ながらギョームは08年に37歳の若さで病死しており、本作が遺作となってしまったのである。もし、彼が今でも生きていれば、本作以降の出演作に大きな期待を抱いていたことだろう。エンゾ役のマックス・べセット・ドゥ・マルグレーヴの存在感もかなり大きく、可愛らしい良い子役だ。

【75点】

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