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2009年6月

反逆の報酬

東宝と石原プロのスタッフが手懸けた石原裕次郎最後の主演作。日活ニューアクションの旗手・澤田幸弘が“沢田幸弘”名義で監督を務めた。

裏では麻薬で稼いでいる桜井孝(成田三樹夫)率いる桜井産業に二人のアウトロー、沖田徹男(石原裕次郎)と村木駿(渡哲也)が挑戦し、この組織を壊滅させるまでを描いたクライム・アクション。

裕次郎の主演作と先述したが、実質的には渡哲也とのW主演である。最初から中盤までは渡が良い活躍ぶりを魅せ、終盤あたりからは裕次郎に花を持たせているという感じだ。これは、石原プロの名物TVドラマ『大都会』(76~79)、『西部警察』(79~84)における裕次郎の出番は少なめで渡が大活躍の原点だと捉えることもできる。

本作の裕次郎は、とにかくインパクトがデカい。右頬に鋭い傷跡、黒いサングラスといういかにもコワモテという風貌で怪しい雰囲気を存分に感じさせてくれる。裕次郎がこれまでに演じてきたヤクザ役やその他のアウトロー役の中でも一番イカツい。劇中では「今でも落ちていく夢を見る」と言ってかつて桜井に車ごと崖から突き落とされて殺されかけたトラウマに少々悩んではいるようであるが、その風貌と世間一般の裕次郎に対するタフガイのイメージがそんなことを微塵も感じさせないのである。

石原プロ製作ということでお馴染みのアクションシーンも用意されている。まずは、冒頭で観られる戦場での爆撃戦だ。その後、渡扮する恐喝専門キャメラマンの村木が桜井の秘書・菊川(小池朝雄)から裏の事情を吐かせるべく車を暴走・爆走させて脅し迫るという破天荒丸出しのカーアクションが観られる。この二つのアクションシーンよりも印象的で面白いのが、何と言っても裕次郎と渡が繰り広げる格闘アクションだ。裕次郎扮する沖田の腹違いの妹・上村秋子(鰐淵晴子)が見守る中で二人が激しく殴り合う。両者ともに一歩も引かない。この男同士のタイマン勝負は、エネルギッシュな情熱すら感じられる。

沢田監督がアウトローな男たちの非情な世界をクールなタッチで描き、石原プロの全面的なバックアップを得てお得意のアクションに磨きをかけたのである。

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女刑務所 白昼の暴動 (ケージド・ヒート 女囚物語)

強盗に失敗したジャッキー(エリカ・キャビン)は車椅子の女マックィーンが所長を努める女刑務所にブチ込まれる。サディスティックな医師による電気ショック療法をはじめとする様々な暴力が女囚たちを苦しめるこのム所から脱獄するべくジャッキーは姉貴的存在のマギー(ファニタ・ブラウン)と共謀する。

70年代に量産された女囚映画の傑作的作品。監督は後に『羊たちの沈黙』(93)でオスカーを獲得するジョナサン・デミで本作がデビュー作である。オスカー監督がこのような作品を撮っていたということに驚かされるが、日本のメジャー監督がポルノ映画で場数を踏んでいたことを考えるとさほど驚くことではないのである。

ジャッキーと仲間の男が強盗をやらかし、警官が発砲して追跡するシーンで始まる。ノリの良いアクションという感じで描かれているのでこのまま女囚映画ならではの見せ場も面白く描かれると思っていたらそんなに面白さは味わえないのである。女囚映画のツボは押さえられてはいるものの、描き方がかなりあっさりとしているため、同ジャンルの“イルザ三部作”や『残酷女刑務所』を観た方にとっては少し物足りないだろう。女囚たちのオールヌードが堪能できるシャワーシーンの多用は良いが、パツキン美女の美裸体は皆無、シャワー室でのタイマン勝負が服を剥ぎ取るキャットファイトではない、電気ショック療法による拷問も印象が弱いという感じだから全体的に平凡だ。この手の作品ならではのエログロナンセンスな悪趣味らしさを存分に発揮していれば面白く仕上がっていただろう。逆にこのような描写が苦手だと言う方にとってはこの程度で十分かも知れない。

ラストの銃撃戦は西部劇風の仕上がりでかなり気合が入っており、面白さをしっかりと味わえるのが何よりも良い。このラストで本作が秘めている面白さが一気に爆発したのである。

とにかく本作は悪趣味系女囚映画ではなく、B級セクシーアクションという感じの女囚映画だ。

【45点】

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バッド・バイオロジー 狂った性器ども

『バスケットケース』三部作、『フランケンフッカー』のカルト的監督フランク・へネンロッターによる十六年ぶりの新作は、狂気の性愛を持ち前の悪趣味丸出しで描いたおバカ作品。

生まれつき七つ以上の陰核を持つ女性写真家ジェニファー(チャーリー・ダニエルソン)は、性欲がとてつもなく激しく、男は肉体関係を築いている最中に殺害してしまう。さらに、受精後数時間以内に奇形児を産み落としてしまうというトンデモナイ女。一方、バッツ(チャーリー・ダニエルソン)という男は過去の事故で性器を負傷し、ステロイド等の薬剤を大量に投与したことが原因で巨根となってしまう。その巨根は自分の意思を持っており、自由自在に暴れうごめくことができる。そんな狂った性器を持つ男女が運命的(?!)に出会ってしまう。

二人の主人公が普通の人とは違うという悩みやコンプレックスを浮き彫りにさせているのがミソである。これが、ただ悪趣味描写を乱打しているだけの中身の無い作品として成り下がることを防げたのである。本作の最も評価すべきポイントの一つと言っても良いだろう。

劇中では、女性たちの美乳やモザイク等のボカシが施されていない陰部が観られたりといったエロいサービスがテンコ盛り。だが、登場する女性たちは美しさやナイスボディーといった魅力に欠けている者が多いため、金髪巨乳美女の登場を期待している方にとっては残念に思えるだろう。どうせやるなら、もっと色気のある良い女性を大挙出演させた方が良かっただろう。

特筆すべき見所は、バッツのグロい巨根が下半身から外れて一人歩きし、家の壁をとてつもない破壊力でブチ壊して侵入して女たちを襲うシーンは、モンスターパニック作品らしい面白さが味わえ、主観キャメラが効果を発揮している。

へネンロッター監督復活作品は、とにかくおバカで下品極まりない究極の俗悪作品であり、これを持って健在ぶりをしっかりとアピールすることに成功したのである。

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極底探検船ポーラーボーラ (最後の恐竜/極底探検船ポーラーボーラ)

アメリカのランキン=バスプロダクションと日本の東宝、円谷プロが共同製作したSF恐竜映画で未だにカルト的人気を誇る珍作。

石油王として、または世界でも名のあるハンターとして知られるマステン(リチャード・ブーン)は、チャック(スティーヴン・キーツ)、川本博士(中村哲)、マサイ族のブンタ(ルーサー・ラックリー)、女性新聞記者フランキー(ジョン・ヴァン・アーク)を従えて石油探索用の海底船ポーラーボーラに乗って地底を辿る。だが、北極探検中に海底変化のアクシデントに見舞われてしまい、とある湖に漂着。そこは、恐竜や原始人が生息する太古の世界だった・・・・・・。

円谷プロが携わっているということでお馴染みの特撮技術がふんだんに取り入れられており、お得意の怪獣映画らしい面白さを味わえることが嬉しい。特にティラノザウルスとトリケラトプスの激突が大きな見所の一つである。他にもマステン一行とティラノザウルスの攻防、原始人たちとの戦いが観られる。これらは、面白さに物足りなさが感じられるものの印象的なシーンとして仕上がっている。また、関谷ますみ扮する原始人の少女との交流を描いたシーンも注目すべきポイントだ。

しかし、ドラマ部分が間延びしていたりもたついていたりと散漫な結果となっているため、面白さを大幅にダウンさせるという結果となった。

キャストに関しては、アメリカ側は弱いが、日本側はコアな人材が揃っている。まずは、先述した原始人の少女役の関谷ますみ。彼女は、後にTV刑事ドラマ『特捜最前線』(77~87)で高杉幹子婦警を長年演じて茶の間の人気者となり、現在でも多くの方々に語り継がれている。他の原始人役を日活映画の悪役キャラでお馴染みの榎木兵衛、かつては石原軍団の一員として『大都会』(76~79)や『西部警察』(79~84)の刑事役で人気を博した苅谷俊介が扮している。

監督は、東宝映画の小谷承靖(トム・コタニ)とアレックス・グラスホフとの共同。小谷は、本作をきっかけにランキン=バスプロダクションで『バミューダの謎/魔の三角水域に棲む巨大モンスター!』(78/日本未公開)と『武士道ブレード』(80/日本未公開)を撮った。

【45点】

極底探検船 ポーラーボーラ THE LAST DINOSAUR [DVD] DVD 極底探検船 ポーラーボーラ THE LAST DINOSAUR [DVD]

販売元:東宝
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