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2009年7月

ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式

ハウエルズ家のお葬式で繰り広げられるドタバタ騒動を、『スターウォーズ』シリーズの人気キャラヨーダの声でお馴染みのフランク・オズがブラックユーモアいっぱいに描き、さらにハートフルな温かさを取り入れた傑作コメディー。

冒頭にてハウエルズ家の父の遺体が他人と間違われて送られてくる。この時点で軽く笑わせてくれる。その後、主人公であるハウエルズ家の長男ダニエル(マシュー・マクファディン)の従妹マーサ(デイジー・ドノヴァン)と、弁護士をしている真面目な婚約者サイモン(アラン・テュディック)がマーサの弟トロイ(クリス・マーシャル)を迎えに行く。トロイは薬学部の学生であるが、実はドラッグ製造に励んでいる悪いヤツでこの日も友人に売るためのドラッグを準備していた。マーサは緊張しているサイモンにドラッグを安定剤と間違えて飲ませてしまったのである。これが、ハウエルズ家のお葬式をハチャメチャにしてしまう原因となってしまう。個人的には、このドラッグの存在は本作を面白くさせるための活性剤だと言いたい。とにかくラリってしまったサイモンが面白さを存分に盛り上げてくれる。しかも思う存分に笑わせてくれるのである。サイモンの活躍ぶりは注目すべき最大のポイントであり、これだけでも見る価値は大きい。

続いて笑わせてくれるのは、ダニエルの友人である汗かきの心配性ハワード(アンディ・ナイマン)と、強気で常に不機嫌な車椅子に乗ったアルフィー叔父貴(ピーター・ヴォーン)だ。この二人による汚くて下品なやりとりがおバカコメディーとしての面白さを一段と弾き出す。強烈なインパクトを与えてくれること間違いなしだ。

他にもダニエルと弟で人気作家のロバート(ルパート・グレイヴス)による兄弟口論や、謎の参列者である小人男ピーター(ピーター・ディンクレイジ)を巡ってダニエル、ロバート、ハワード、トロイが繰り広げるドタバタも印象深い。

本作は、笑いを満喫させるべくストーリーを簡素化させたことと、登場人物を個性豊かなキャラクターとして設定した上に複雑さを感じさせないようにしたことが功を奏でたのである。

それにしても本作で描かれるお葬式は“ちょっとおかしな”どころではない。“かなりおかしすぎる”と言った方が妥当だ!!

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コネクテッド

かなり面白かったハリウッド製サスペンス映画『セルラー』(04)を香港映画界がリメイクした。ちなみに香港映画がハリウッド作品をリメイクしたのは、本作が初めてとの事だ。監督は、娯楽アクション映画を多数手懸けているベニー・チャン。

ロボット設計士のグレイス(バービー・スー)は、6歳の一人娘ティンティンを学校に送り出した帰り道に謎の一味に車で追突され、そのまま拉致監禁されてしまう。グレイスは一味の隙を狙って粉砕された携帯電話の修復を試み、配線を接触させて何とか発信した。繋がった相手はアボン(ルイス・クー)という気が弱くて冴えない日々を送っている負け犬経理マン。グレイスのSOSをイタズラだと思っていたアボンは、あまりにも真剣に訴えていることから素直に聞き入れ、救出するべく孤軍奮闘することになる。

事件の巻き添えを喰らったアボンが、これをきっかけに負け犬からヒーローへと変貌していく姿が見所の一つである。メガネヅラのいかにも好青年という感じのヒーローとはかけ離れている容姿の彼は、一人息子ギットとの約束すらロクに守れず、会社では暴力団まがいの取立て業務を仕方なくやっているようなダメ男。そんな彼がカーチェイスをやらかしてみたり、電話会社で発砲騒動を引き起こして指名手配されてしまったりと奔走していく中で、徐々に強い男へと成長していく。最終的には犯行グループに堂々と挑戦する勇者となっている。

香港映画ということでお馴染みのアクションシーンには全力が注がれている。ティンティンが犯行グループに拉致されてから開始するカーチェイスは、本作で描かれているアクションシーンの中では最大の見せ場であると同時に最大の売りモノである。クラッシュや横転はもちろん、アボンがハンドルを握る車が缶ジュースを積載したトラックに突っ込んで、辺りが缶ジュースまみれになったりという具合に迫力満点でなおかつ観る者の脳裏に焼きつくような強烈な描写に仕上がっていて、面白さを存分に堪能できる。他にも車が崖から落下、銃撃戦、香港映画らしい格闘シーン、残酷なバイオレンスが観られ、どれをとっても印象深い。

また、サスペンスとしても緊迫感がしっかりと醸成されており、事件が一件落着したかと思うと意外な展開を魅せつけてまだ終わっていないという、一筋縄ではいかないストーリー運びに驚愕させられてしまったりというように観る者を思う存分楽しませてくれる。

オリジナルのストーリーを忠実に踏襲しながらも、主人公アボンを子持ちにしたりと設定を少し変更したことによって、最後には感動が味わえる後味の良い作品へと仕上がったのである。

オリジナル版にも引けを取らない最高傑作だと言いたい。

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シェイマス

70年代を代表するアクションスター、バート・レイノルズが一匹狼の中年私立探偵をタフガイのイメージを存分に発揮させて演じたハードボイルド系サスペンスアクションの傑作。

パパスという男が妻とともに二人組の武装犯に焼殺された翌日、私立探偵マッコイ(バート・レイノルズ)のもとに大資本家ヒューム(ロン・ウェイアンド)から焼殺犯人とパパスの手元から奪われたダイアモンドの捜索を依頼される。マッコイは調査を進めていくうちに武器密輸に絡む巨大な陰謀が明らかになってくるのだが・・・・・・。

監督はバズ・キューリックでド派手な演出はないもののサスペンスと地味なアクションを織り交えてハードボイルド作品として仕上げた。見せ場のアクションシーンをもっと強化していれば見応えのあるアクション作品として仕上がっていたと思えるが、そこはレイノルズのキャラクターの活かし方で巧くカバーできていた。

見所は、やはりレイノルズの活躍ぶりだ。男臭いレイノルズが敵をボコボコに殴って蹴りを喰らわせる。また、中盤あたりで観られる見せ場では追っ手から逃れるために突っ走り、弾丸を避け、少し高さのある建物からジャンプしたりといった明朗快活ぶりが好印象であると同時に本作で描かれるアクションシーンの中ではかなりテンポが良くて面白さをしっかりと味わえる。終盤あたりではちょっとしたカーアクションも観られ、スピーディーなカーアクション映画に比べるとパワーダウンしているがなかなか面白く描かれているので良いと思える。

レイノルズがビリヤードの玉突き台を寝床にしていたり服を着たままで風呂に入っていたりという風変わりな一面が伺える点も面白可笑しくて印象深い。

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レスラー

80年代に大活躍したプロレスラーのランディ“ザ・ラム”ロビンソン(ミッキー・ローク)は、今となってはスーパーの惣菜コーナーのバイトで食い繋ぎながらも週末の小規模インディー団体の興行で試合をしている落ち目の中年レスラー。ある日、試合後に心臓発作で倒れたランディは、入院先の病院の医師から「現役続行は危険」と宣告される。娘に嫌われ、愛するストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)にも振られてしまったランディは、再びリングに上がって闘うことを決意する。

80年代のセクシー系イケメン俳優ミッキー・ロークが本作で完全復活を成し遂げた。もともとはニコラス・ケイジ主演の予定であったが、ダーレン・アロノフスキー監督がミッキー主演案を押しまくって登板を実現させた。そのために製作費は削減され、小規模公開となったものの54の映画賞を受賞し、アカデミー主演男優賞にもノミネートされたりとミッキーの演技も高く評価され、大成功を収める結果となった。

プロレス映画である本作は、随所に試合場面を散りばめて娯楽性だけを全面に押し出した単純作ではない。プロレスの試合を描きつつもランディという一人の落ちぶれたレスラーにスポットを当てた人間ドラマが売り物なのである。

プロレス好きならとにかく試合シーンを楽しみたいに違いないだろう。本作で描かれる試合はキャメラが接近していることもあってTV中継以上の迫力が感じられ、面白く仕上がっている。中でもインディー団体ならではのハードコアデスマッチ戦はバイオレンス色が強く感じられ、痛々しさが存分に伝わってくるほど衝撃的な描写となっている。また、本物のレスラーも大挙出演しており、これまたプロレスファンを楽しませてくれる。

特筆すべきポイントは、アメリカンプロレス好きならニヤリとしてしまうシーンだ。ロッカールームにてレスラーたちが試合の打ち合わせをしており、これに関してはWWEファンやここのドキュメンタリー映画『ビヨンド・ザ・マット』を観た方にとっては理解済みだと思うが、アメプロは予め用意されている筋書きによって試合が展開され、勝敗も決まっている。スポーツとしてのガチンコ勝負ではなく、ショー的要素を押し出したエンターテイメントスポーツとして理解されているため、“ヤラセ”や“八百長”と罵倒されることなく気楽に楽しまれている。そんな舞台裏をコミカルさを交えて描いている点は、実に面白い。

もう一つの面白いポイントといえば、ランディのキャラクターぶりがミッキーとダブってしまうことだ。80年代は恵まれたが90年代以降は落ち目、月収約六万円、家賃を滞納しながらのトレーラーハウス暮らし、惣菜店バイトという共通点があるのだ。ランディの「80年代最高、90年代最悪」というセリフは、とにかくインパクト大だ。

マリサ・トメイのストリッパーも注目度が高く、美熟女エロスを存分に堪能できる。だが、これが四十代という年齢を感じさせず、若々しく見えるのだから凄いとしか言いようがない。

本作は、久々の男泣き映画だ。とにかくミッキー・ロークの今後の活躍を期待したい。

【85点】

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