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レスラー

80年代に大活躍したプロレスラーのランディ“ザ・ラム”ロビンソン(ミッキー・ローク)は、今となってはスーパーの惣菜コーナーのバイトで食い繋ぎながらも週末の小規模インディー団体の興行で試合をしている落ち目の中年レスラー。ある日、試合後に心臓発作で倒れたランディは、入院先の病院の医師から「現役続行は危険」と宣告される。娘に嫌われ、愛するストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)にも振られてしまったランディは、再びリングに上がって闘うことを決意する。

80年代のセクシー系イケメン俳優ミッキー・ロークが本作で完全復活を成し遂げた。もともとはニコラス・ケイジ主演の予定であったが、ダーレン・アロノフスキー監督がミッキー主演案を押しまくって登板を実現させた。そのために製作費は削減され、小規模公開となったものの54の映画賞を受賞し、アカデミー主演男優賞にもノミネートされたりとミッキーの演技も高く評価され、大成功を収める結果となった。

プロレス映画である本作は、随所に試合場面を散りばめて娯楽性だけを全面に押し出した単純作ではない。プロレスの試合を描きつつもランディという一人の落ちぶれたレスラーにスポットを当てた人間ドラマが売り物なのである。

プロレス好きならとにかく試合シーンを楽しみたいに違いないだろう。本作で描かれる試合はキャメラが接近していることもあってTV中継以上の迫力が感じられ、面白く仕上がっている。中でもインディー団体ならではのハードコアデスマッチ戦はバイオレンス色が強く感じられ、痛々しさが存分に伝わってくるほど衝撃的な描写となっている。また、本物のレスラーも大挙出演しており、これまたプロレスファンを楽しませてくれる。

特筆すべきポイントは、アメリカンプロレス好きならニヤリとしてしまうシーンだ。ロッカールームにてレスラーたちが試合の打ち合わせをしており、これに関してはWWEファンやここのドキュメンタリー映画『ビヨンド・ザ・マット』を観た方にとっては理解済みだと思うが、アメプロは予め用意されている筋書きによって試合が展開され、勝敗も決まっている。スポーツとしてのガチンコ勝負ではなく、ショー的要素を押し出したエンターテイメントスポーツとして理解されているため、“ヤラセ”や“八百長”と罵倒されることなく気楽に楽しまれている。そんな舞台裏をコミカルさを交えて描いている点は、実に面白い。

もう一つの面白いポイントといえば、ランディのキャラクターぶりがミッキーとダブってしまうことだ。80年代は恵まれたが90年代以降は落ち目、月収約六万円、家賃を滞納しながらのトレーラーハウス暮らし、惣菜店バイトという共通点があるのだ。ランディの「80年代最高、90年代最悪」というセリフは、とにかくインパクト大だ。

マリサ・トメイのストリッパーも注目度が高く、美熟女エロスを存分に堪能できる。だが、これが四十代という年齢を感じさせず、若々しく見えるのだから凄いとしか言いようがない。

本作は、久々の男泣き映画だ。とにかくミッキー・ロークの今後の活躍を期待したい。

【85点】

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コメント

はじめまして 先日、友達とDVDcdで見ました

レスラー人生もピークを過ぎ、娘とは絶縁状態、ステロイドの影響で心臓は弱っているありさまの中年レスラー ランディー。

せっかく 親子関係を修復するチャンスだったのに娘さんとの約束すっぽかすのは さすがにマズイよ~(´Ц`)

 マリサ演じるストリッパーのキャシディのトップレスにTバック姿で踊る姿はとってもキレイでしたよ。

>もともとはニコラス・ケイジ主演の予定であったが、ダーレン・アロノフスキー監督がミッキー主演案を押しまくって登板を実現させた。
 このことについて、友達は「ニコラス・ケイジじゃムリだろ ギャラdollarうるさそうだし、レスラー役ができるか わからんし・・・」と、言ってましたよ。

投稿: zebra | 2011年10月 5日 (水) 19時50分

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» 09-212「レスラー」(アメリカ・フランス) [CINECHANの映画感想]
俺の本当の居場所  ランディ・ロビンソンは80年代に大活躍したプロレスラー。しかしそんな栄光も今は昔、それでも彼は老体に鞭打ちながら小さな地方興行に出場して細々と現役を続ける不器用な男。ひとたびリングを降りれば、トレーラーハウスに一人で住み、スーパーマーケットのアルバイトで糊口を凌ぐ孤独な日々。  そんなある日、長年のステロイド常用がたたって心臓発作で倒れたランディは、ついに引退を余儀なくされる。急に戸惑いと不安で心細くなったランディは、馴染みの年増ストリッパー、キャシディに心の安らぎ...... [続きを読む]

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» ★「レスラー」 [★☆ひらりん的映画ブログ☆★]
今週の平日休みは「TOHOシネマズららぽーと横浜」で2本。 その1本目。 スポーツ新聞の一面がここ連日、プロレスラー三沢光晴さんの死亡を伝えてるけど、 この作品にも注目が集まりそう・・・... [続きを読む]

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