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2009年9月28日 (月)

斬り込み

後に日活ニューアクションの旗手として様々な傑作を世に送り出していく澤田幸弘の監督デビュー作。

川崎の郷田組のチンピラ四人衆である直人(藤竜也)、雅美(沖雅也)、次郎(岡崎二朗)、猛(藤健次)がバーで関東連合会の組員をイザコザの末に刺殺。これを機に郷田組は連合会の圧力に屈して傘下団体となってしまう。四人衆は椿会長(青木義朗)の言いなりになった郷田組の若頭・花井(郷鍈治)の非情な命令で先代組長で隠居の身である政次郎(中村竹弥)を殺害したりと散々利用された挙句に猛、次郎、雅美、花井の妻・朋子(扇ひろ子)までもが連合会の手によって殺害される。一方で政次郎を慕っていた新(渡哲也)は、自身の組を連合会に潰されたことから復讐のチャンスを狙って花井、直人と合流し、猛の葬儀に乗り込み、連合会側にケリをつける。

当時の同趣向の作品と言えば、組長や幹部クラスが主人公のモノが多かった。本作では、若いチンピラたちにスポットを当てており、音楽も鏑木創によるジャズテイストのロックを巧妙に駆使して若者向け作品に仕上げている。これが当時では珍しくて新鮮な感じであり、日活ニューアクションの傑作として現在でも語り継がれていく作品になるきっかけとなった。

チンピラ四人衆の焦り、鉄砲玉としての存在の空しさがクローズアップされ、その悲哀さが十分に伝わってくる。これが本作の大きな特徴の一つだと言える。一方で次郎と集団就職のために田舎から川崎に出てきた真弓(青木伸子)との青春ドラマさながらの良い雰囲気のシーンでは、次郎が抱いている明るい夢と希望が浮き彫りにされており、観る者にとってはかなり好ましく思えることだろう。

アクション映画としての見せ場もしっかりと用意されており、デビュー作にしてインパクト大の格闘・斬り合いアクションを澤田監督はダイナミックに魅せつけた。中盤での佐伯港運への殴り込み、クライマックスの葬儀場での連合会壊滅は、実に面白く仕上がっいる。

本作は、渡哲也が主演ではあるものの出番は比較的少なめだ。劇中で藤竜也扮する直人は渡が演じる主人公であったが、渡はTVドラマ『花と竜』に出演していたため、スケジュール的に直人役は難しかった。そのために急遽脚本が書き直され、復讐に燃える男・庄司新という新たなキャラクターを登場させ、これを渡扮する主人公として重要なポイントに登場させた。出番は少なめながらも渡の存在は作品を引き締めており、素晴らしいアクションを魅せつけたりと非常に良い活躍ぶりだ。とにかく本作が面白く仕上がったのは、渡哲也のおかげでもあると言い切れるのだ。

【75点】

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2009年9月16日 (水)

ドゥームズデイ

傑作『ディセント』(05)を世に送り出した英映画界きっての娯楽映画職人ニール・マーシャルが早くも自身の集大成と呼べるような作品を生み出してしまった。SF、アクション、スプラッター系ホラー、サスペンス、史劇スペクタルの要素を取り入れてごった煮状態にし、70年代から80年代の世紀末後を舞台にした娯楽映画の影響を受けた作風のコテコテB級娯楽映画だ。

2008年、スコットランドの都市グラスゴーにて“死のウィルス”が蔓延し、英政府はスコットランドを“ホットゾーン”と名付けて城壁で完全隔離した。27年後、根絶したかと思われたウィルスがロンドンで猛威を振るい出した。政府側は城壁内部で生存者がいることを発見し、抗菌剤の入手が可能だと考える。そして、女性兵士エデン(ローナ・ミトラ)をリーダーとする精鋭部隊が編成され、隔離地区の内部に派遣するのであったが・・・・・・。

とにかくアクションシーンもスプラッター描写も気合が入っており、他にも観る者が面白いと思えるような魅せ方がなされていることが何よりも素晴らしくて良い。

まずは、感染者のビジュアルだ。特殊メイクが効果を最大に発揮しており、そのビジュアルは誠に不気味でグロテスクだ。この感染者が数名で襲ってくるシーンは、ゾンビ映画の面白さを彷彿させる。

ビジュアル面で言っておきたい二つ目のポイントと言えば、やはりバイクを乗り回すモヒカン頭の狂暴パンク野郎たちの存在であり、彼らこそ観る者に強烈なインパクトを与えてくれるのである。また、本作のB級ムードを盛り上げているのもこのパンク野郎たちなのだ。

アクションシーンは、ガンファイトにソードバトル、爆破、カーチェイスとこれまた盛り沢山だ。中盤あたりで観られる精鋭部隊員が乗り込む大きな特殊装甲車が横転するというダイナミックな描き方が最高であるが、何よりも素晴らしいアクションシーンと言えばクライマックスのカーチェイスだと断言できる。クライマックスには相応しい描き方でとにかく迫力満点で見応え抜群だ。

血生臭さを感じさせるグロいスプラッター描写や残酷極まりないハードなバイオレンス描写もなかなか良い出来栄えであるため、しっかりと味わって頂きたい。

問題は、中盤を過ぎたあたりで観られる中世を舞台にした史劇スペクタル作品の要素だ。しかもこのシーンはまだるっこくてモタモタさを感じさせるため、面白さがパワーダウンのマイナスポイントだ。やりたいことを詰め込みすぎた結果、マズい部分が浮き出てしまったという結果だ。どうせやるなら、もっと張り切って面白さを存分に追求して描いて欲しかったものだ。本作最大の痛手であり、ツッコミ所ではあるが、このツッコミ所も面白さの一つだと捉えることもできる。そういう感じで観ると少しはマシかもだ。私は、この中世史劇風味にはクスっと笑えてしまった。いや、ここでもB級オーラを放っているのだと確信したのである。

とにかく本作は、好き嫌いがはっきり分かれるような賛否両論的作品だと言いたい。B級娯楽映画ファン、マニアは見逃すわけにはいかない必見作だ。また、ローナ・ミトラの最強美女戦士ぶりもかなり良いので、肉食系美女に萌えるような男性にもオススメだ!!

【65点】

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2009年9月13日 (日)

アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ

生身の肉体だけで障害物をスピーディーに乗り越えていくフランス発のスタント・パフォーマンス“パルクール”に格闘技要素を加えて魅せつけた新感覚アクション『アルティメット』の続編。監督はパトリック・アレサンドランが担当。

パリ郊外の犯罪多発地帯バンリュー13地区にて警官射殺事件が発生する。これを機に政府は地区の一掃計画に乗り出す。しかし、それは秘密保安介入局長官ガスマン(ダニエル・デュバル)が仕組んだ陰謀であった。これに気づいたレイト(ダヴィッド・ベル)は、麻薬所持の濡れ衣を着せられて投獄されているダミアン刑事(シリル・ラファエリ)を脱獄させ、地区の様々なギャングたちとこの巨悪に挑む。

今回もビルとビルの間を飛び跳ねたり高所から地面に着地したりといった超人的な神業が披露される。これらのパフォーマンスアクションは、前作同様にスタント、ワイヤー、CGを一切使っていないのである。前作及び本作の最大の見所と言えば間違いなくこのアクションであり、これだけでも観る価値は大いにありと言っても良いほどだ。

他にもダミアン刑事役のシリルが魅せつける格闘アクションも印象深い。数名の敵を華麗なる打撃で蹴散らす姿は、『トランスポーター』シリーズのジェイソン・ステイサムと良い勝負という感じであり、観る者を良い気分にさせてくれる。また、レイトによるダミアン脱獄作戦の直後に観られるビル内の廊下を車で激走してそのまま窓を突き破ってダイブするシーンもインパクトが大きくて忘れられないほどの印象を与えてくれる。

ダミアン&レイトの最強タッグをサポートするギャング連中も面白さを昇華させている。中でもエロカッコ良さとアウトロー的魅力が絶妙にミックスされた中国系マフィアの女ボスであるタオ(エロディー・ユン)の存在は大きく、彼女が魅せつける格闘アクションは注目度が高い。他のギャング連中も個性的なキャラクターではあるが、タオに比べるとやや薄弱な感じがする。漫画に登場するようなビジュアルのギャング連中の存在は、作品が持つ荒唐無稽さをより一層高めており、これが面白さに繋がっていると捉えることができる。

【70点】

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2009年9月12日 (土)

男と女の不都合な真実

TVプロデューサーのアビー(キャサリン・ハイグル)は頭もキレ、仕事でも腕が立つ美女。だが、恋愛面では完璧な男を求めていることが原因でご無沙汰状態。ある日、彼女は隣に住む医者コリン(エリック・ウィンター)に出会う。イケメンで誠実な人柄の彼は条件にピッタリだが、なかなか良い関係を築けない。そんな折、アビーは上司から恋愛相談番組の名物恋愛カウンセラーのマイク(ジェラルド・バトラー)とチームを組むようにと依頼される。下品極まりない下ネタが売りのマイクがコリンとうまくいけるようにするための男女間の凄まじい本音や恋愛テクをアビーに指導していくが・・・・・・。

下ネタで笑いを誘うラブコメディーである本作は、とにかく露骨な性関係の言葉が飛び交う。だが、下ネタだけが取り柄のおバカ作品作品にならないようにやり過ぎることなく、恋愛映画らしい描写をしっかりと描き、下ネタギャグも笑えるギャグとして成立させていることが良く、しかもかなり面白い。中でも野球観戦デートのシーンや会食シーンでのアビーが穿いているバイブ付下着によるおバカな下ネタギャグは強烈なインパクトを与えてくれること間違いなしであり、そのあまりの過激さにヒヤヒヤさせられる。他にもエレベーターのドアでのベタなギャグも良い。

主人公アビーがTV番組プロデューサーということでその仕事ぶりや生放送番組の舞台裏が垣間見ることができ、笑える下ネタギャグの次に興味深いポイントだと言える。

本作は明らかに女性よりも男性にウケるラブコメディーだと言っても良いだろう。成人男性はハラハラドキドキしながらもニヤニヤ笑って存分に楽しむべきだ。

【75点】

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2009年9月 9日 (水)

96時間

リュック・べッソンが製作と脚本(ロバート・マーク・ケイメンとの共同)を手懸け、べッソン製作作品で撮影を担当していたピエール・モレルの監督第二弾作品。

かつてはCIAのスゴ腕工作員だったブライアン(リーアム・ニーソン)は、カリフォルニアで隠退生活を送っている。ある日、愛娘キム(マギー・グレイス)が友人アマンダ(ケイティ・キャシディ)とパリへ人気バンドU2の追っかけ旅行に出かけ、ブライアンはキムのことをやたらと心配する。この心配事が想像を絶するかのような形で実現してしまうのである。キムとアマンダが宿泊先のホテルでアルバニア系人身売買組織の連中に拉致されてしまったのである。ブライアンはキムを取り戻すべく警察の手も借りず、CIA時代に習得したスキルを活かし、復讐に燃える一匹狼オヤジとなってあらゆる手段を駆使して極悪非道な組織に挑み、暴れ回る。

単純明快で分かり易い上に見せ場であるアクションを随所に散りばめて90分弱でまとめ上げたという如何にも良質的なB級娯楽アクション映画である本作。

序盤ではブライアンが如何に娘キムを愛しているか、心配しているかを観る者の印象に残るようにじっくりと念入りに描いている。キム拉致後は、ブライアンが愛娘のためなら何でもやってやると言わんばかりに暴走し、暴れ回る。敵たちに対して殴る蹴るは当然。それどころか普通に射殺してしまったり残酷さ丸出しの電気ショック拷問を平気な顔をしてやってのけるのである。観る者はブチ切れたブライアンのやり過ぎに驚愕されっぱなしとなるはずだ。しかもこのような描き方は、痛快アクション映画らしさ全開で面白さを遺憾なく発揮しているので素直に良いと言い切れる。

とにかくアクションシーンは高ポイント獲得だ。銃撃戦、カーチェイス、一度だけの爆破という具合にアクション映画に必要な三大演出はしっかりと用意されているし、ツボも押さえられている。中でもリーアムが魅せつける格闘アクションは特筆すべき大きなポイントだと断言できる。リーアムはアクションスターではないが、本作では他のアクションスターに負けないほどのキレ味抜群で威勢の良いファイトを魅せつけている。しかも五十代半ばを過ぎたオヤジによる年齢を感じさせないほどの元気な暴れっぷりという点が何よりも最高であり、好印象なのである。リーアムを起用したからこそ本作がここまで面白い作品に仕上がったと言い切れる。リーアムの一つ年上である沈黙オヤジことスティーヴン・セガールは現在でもアクションスターとして第一線で活躍している。そんなセガールが本作のリーアムの姿を観たら「自分はもっと頑張らなければ・・・」と思うはずだ。セガールが本作の主演であったらということを考えると、単なるセガールらしい定石通りのB級娯楽アクション映画として仕上がっていただろうし、面白さもパワーダウンしていたことだろう。リーアムは素晴らしいアクションもできるということが証明され、おまけにセガールの上を行ってしまったのである。

本作こそ胸のすくような醍醐味を感じられる最高傑作だ。しかも、本当に面白いB級娯楽アクション映画の本来の姿だ。世のアクション映画ファンは、面白さを存分に堪能できること間違いなしだから必見だ!!

【80点】

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2009年9月 6日 (日)

幸せはシャンソニア劇場から

不況真っ只中の1936年、パリ。長年に渡って人々に愛されてきた下町のミュージックホール、“シャンソニア劇場”が経営不振から突然閉鎖することになり、裏方として働いていたピゴワル(ジェラール・ジュニョ)は当然の如く失職し、酒に溺れる日々を送ることになる。挙句の果てには保護者失格として息子ジョジョ(マクサンス・ぺラン)とも引き離されてしまう。愛息子を取り戻すべくピゴワルはかつての仲間たちとともに劇場再建に乗り出すが・・・・・・。

本作の面白いポイントと言えば、やはりミュージカルテイストを取り入れていることであり、登場人物たちの歌声やボードビリアンによるネタ魅せであり、ノスタルジックな楽曲や笑いが味わい深い。中でも美女ドゥース(ノラ・アルネゼデール)の歌声は秀逸であり、最も魅力的だ。ラストはミュージカルの面白さが最大に発揮され、ラストシーンに相応しい華やかな出来栄えだ。様々な歌やダンスがゴキゲンな気分にさせてくれること間違いなしだ。

ピゴワルとジョジョの父子の絆、ドゥースとミルー(クロヴィス・コルニアック)による恋愛関係といった描写もドラマに深みを与えていて印象深い。また、不況や様々な困難に負けじと劇場復活のために頑張る人々の姿も良い。

個人的には、本格的なミュージカル映画として作られていたら、もっと良かったことだろう。

【70点】

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2009年9月 2日 (水)

サブウェイ123 激突

70年代を代表する傑作サスペンスとして今もなお語り継がれている『サブウェイ・パニック』(74)を舞台を現代に変えてリメイク。監督は、大作系娯楽アクションのヒットメーカーであるトニー・スコット。主演は、デンゼル・ワシントンとジョン・トラヴォルタというハリウッドが誇る二大スターのW主演ときたもんだから凄い作品、面白いに違いないと観る前から大きな期待を抱かせてくれる。

ニューヨーク。ぺラム駅1時23分発の電車を四人組の男がジャックした。グループのリーダーであるライダーと名乗る男(ジョン・トラヴォルタ)が一車両だけを切り離して乗客を人質にし、運行司令室に無線で連絡する。この無線を受けた指令係勤務の職員ガーバー(デンゼル・ワシントン)が交渉役に指名され、59分以内に身代金1000万ドルを用意するようにと市長に伝えさせる。ガーバーとライダーの無線を通じての頭脳戦は、ヒートアップしていくが・・・・・・。

本作の面白さと言えば、何と言ってもガーバーとライダーの無線での“口撃”であり、この頭脳戦、駆け引きの模様を緊迫感を張り詰めさせて臨場感たっぷりに描き出している。これが観る者をハラハラドキドキさせてくれるのである。また、“何故ガーバーが交渉相手に指名されたのか?”やガーバーが抱えている秘密といった謎が用意されており、観る者を作品の世界へとグイグイ引き込ませ、この先の展開を気に掛けさせる。このような感じでサスペンスとしての面白さは十分に味わえるのだ。

また、アクション映画の要素も取り入れられているが、基本的にはサスペンスに重点を置いているため、ド派手なモノは用意されていない。身代金を運搬する市警のパトカーがタクシーとクラッシュしたり突然追突されて激しく横転してしまうというちょっとしたカークラッシュや終盤でのライダー以外の三人の犯人と制服警官軍団による銃撃戦ぐらいであるが、それでも面白さを引き出すための役には立っているので良しとする。

上映時間は、105分と二時間もない。ハリウッド大作を気軽に楽しみたいという方にオススメしたい。デンゼルとトラヴォルタの演技合戦、面白味のあるサスペンスを味わおう!!

【70点】

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