« ドゥームズデイ | トップページ | 狼の死刑宣告 »

斬り込み

後に日活ニューアクションの旗手として様々な傑作を世に送り出していく澤田幸弘の監督デビュー作。

川崎の郷田組のチンピラ四人衆である直人(藤竜也)、雅美(沖雅也)、次郎(岡崎二朗)、猛(藤健次)がバーで関東連合会の組員をイザコザの末に刺殺。これを機に郷田組は連合会の圧力に屈して傘下団体となってしまう。四人衆は椿会長(青木義朗)の言いなりになった郷田組の若頭・花井(郷鍈治)の非情な命令で先代組長で隠居の身である政次郎(中村竹弥)を殺害したりと散々利用された挙句に猛、次郎、雅美、花井の妻・朋子(扇ひろ子)までもが連合会の手によって殺害される。一方で政次郎を慕っていた新(渡哲也)は、自身の組を連合会に潰されたことから復讐のチャンスを狙って花井、直人と合流し、猛の葬儀に乗り込み、連合会側にケリをつける。

当時の同趣向の作品と言えば、組長や幹部クラスが主人公のモノが多かった。本作では、若いチンピラたちにスポットを当てており、音楽も鏑木創によるジャズテイストのロックを巧妙に駆使して若者向け作品に仕上げている。これが当時では珍しくて新鮮な感じであり、日活ニューアクションの傑作として現在でも語り継がれていく作品になるきっかけとなった。

チンピラ四人衆の焦り、鉄砲玉としての存在の空しさがクローズアップされ、その悲哀さが十分に伝わってくる。これが本作の大きな特徴の一つだと言える。一方で次郎と集団就職のために田舎から川崎に出てきた真弓(青木伸子)との青春ドラマさながらの良い雰囲気のシーンでは、次郎が抱いている明るい夢と希望が浮き彫りにされており、観る者にとってはかなり好ましく思えることだろう。

アクション映画としての見せ場もしっかりと用意されており、デビュー作にしてインパクト大の格闘・斬り合いアクションを澤田監督はダイナミックに魅せつけた。中盤での佐伯港運への殴り込み、クライマックスの葬儀場での連合会壊滅は、実に面白く仕上がっいる。

本作は、渡哲也が主演ではあるものの出番は比較的少なめだ。劇中で藤竜也扮する直人は渡が演じる主人公であったが、渡はTVドラマ『花と竜』に出演していたため、スケジュール的に直人役は難しかった。そのために急遽脚本が書き直され、復讐に燃える男・庄司新という新たなキャラクターを登場させ、これを渡扮する主人公として重要なポイントに登場させた。出番は少なめながらも渡の存在は作品を引き締めており、素晴らしいアクションを魅せつけたりと非常に良い活躍ぶりだ。とにかく本作が面白く仕上がったのは、渡哲也のおかげでもあると言い切れるのだ。

|

« ドゥームズデイ | トップページ | 狼の死刑宣告 »

日本映画 か行」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/64198/31550269

この記事へのトラックバック一覧です: 斬り込み:

« ドゥームズデイ | トップページ | 狼の死刑宣告 »