« 2009年9月 | トップページ | 2009年11月 »

2009年10月

REC/レック2

スペイン製パニック・ホラー『REC/レック』(07)は世界各国でヒットし、アメリカでは『REC:レック/ザ・クアランティン』(08、日本未公開)としてリメイクされた。そして、待望の第二弾が作られた。監督は、前作同様にジャウマ・バラゲロとパコ・プラサとの共同。

人間を凶暴化させる謎のウイルスの感染で多くの犠牲者を出し、パニック状態と化した古アパート。これ以上の惨劇を防ぐべく完全封鎖されたアパートにSWAT隊員四名とオーウェン博士(ジョナサン・メイヨール)がヘルメットにCCDカメラを装着し、内部調査を行うべく感染の元であると思われる最上階へと向かう。しかし、SWAT隊員の一人が生存している感染者に噛まれたことから更なるパニックがヒートアップしていく。

今回もPOV映像(主観映像)がパニック描写をドキュメンタリータッチでリアルに捉えるが、SWAT隊員のCCDカメラによるサブ視点が取り入れられたことによって演出面がパワーアップし、面白さが磨き上げられた。目まぐるしく思える映像が観る者を驚愕させ、楽しませ、そして良い意味で疲れさせてくれる。

ゾンビ風の感染者による襲撃とグロさは、前作以上に面白さがアップしており、今回もパニック描写が観る者をハラハラドキドキさせてくれる。今回は男二人と女一人のティーンエイジャー三人組が興味本位で地獄と化したアパートに侵入するが、この三人組の存在が面白さを一段と引き立てている。また、ゾンビ系ホラーの面白さをキープしつつもオカルト系ホラーの要素を取り入れたりといった目先を変えた趣向の凝らし方も良い。

中盤を過ぎたあたりから、前作で消防士のTVドキュメンタリーのレポーターを担当していたヒロインのアンヘラ(マニュエラ・ヴェラスコ)がしっかりと登場してくれる。これによってストーリー展開が更に面白くなってくる。それにしても彼女のキレっぷりがこれまた凄まじく、こちらも前作よりも遥かに上を行っているのでしっかりと注目して頂きたいポイントだと言える。

ストーリーは前作のラストシーンから始まる。序盤では前作とは違った新たな物語として描かれるが、中盤以降で前作としっかり結びつくという構成も見事だ。ラストシーンであっと驚くような恐怖が描かれる。このシリーズは三部作らしい。早くも第三弾に大きな期待を抱いてしまう。

【75点】

| | コメント (0) | トラックバック (1)

アドレナリン:ハイ・ボルテージ

ヘリコプターから落下して死んだはずの殺し屋チェリオス(ジェイソン・ステイサム)は、中国マフィアたちの手によって心臓を奪われ、代わりに機械の人工心臓を埋め込まれてしまう。チェリオスは、人工心臓のバッテリーが切れそうになると常に自身の身体を充電しながらも心臓を取り戻すべく突っ走り、敵を追い詰めて行く。

ハイテンションなおバカ系アクション・コメディー『アドレナリン』の第二弾。前作以上におバカのボルテージはアップしており、クレイジーかつデンジャラスに仕上がった。

とにかくインパクトが強過ぎる描写がこれでもかと言わんばかりに連打される。チェリオスが敵の尻穴にショットガンをブチ込み、中国人娼婦リア(バイ・リン)が男の股間を自転車で何度も叩きつけたり、顔面タトゥー野郎が自身の両乳首をナイフで削ぎ落としたりといった描写は、正気の沙汰ではない。ブッ飛んでいるとしか言いようがない。しかも、観ていてかなり痛々しい。

そして、今回もチェリオスとイブ(エイミー・スマート)の公然セックスが観られるが、これもまた前作以上にレベルアップしている。競馬レース場にて馬が走っているど真ん中で二人は堂々とやってしまう。大勢の観客はレースよりも二人の本番行為を大いに楽しみ、大盛況となる。競馬場がリアルポルノ場になってしまう描写は、おバカの限度を超越している。しかもボカシまで施されているのだから、これぞハードコア・ポルノだ。とにかく凄すぎる。日本AV男優のカリスマ加藤鷹サンがこれを観たら舌を巻いてしまうこと間違いなしだと思える。エロ描写の最大の見せ場はこのシーンであるが、他にも裸体を曝け出した女たちがやたらと登場し、無駄なエロさが追求されている。これが本作の持っているB級感覚を一段と高めていると言える。

本作はおバカさばかりが取り柄ではなく、アクション、バイオレンスの面でもしっかりと面白く仕上がっていると言い切れる。ステイサムが繰り広げる殴る蹴るといった格闘アクションや序盤のストリップ劇場や後半の屋外プールでの大銃撃戦は、アクション映画としての面白さを存分に味わえるので良い。しかも、前述した裸体女が銃をガンガンブッ放すのだから、クレイジーなB級アクションとして仕上がっている。狂ったおバカさだけが目立つばかりではなく、アクションや痛々しいバイオレンスもしっかりと機能しているのが本作の良きポイントだ。

映像面でも前作同様に趣向が凝らされており、今回もスクリーンからアドレナリンが放出されているような感じがするキレ味抜群の映像作りが魅力的だ。しかも、この映像が作品のテンポを良くしていると言える。

とにかく最初から最後まで狂った面白さがフルスロットルの本作。作り手も遊び心を活かし過ぎて悪ノリし過ぎていることがしっかりと伝わってくる。ここまでして荒唐無稽、破天荒をやり切っているのだから、観る者もバカになって思う存分に楽しまなければ損だと言いたい。

もし第三弾が作られるのなら、個人的には是非ともやって頂きたい。今回はR18+だったが、第三弾はX指定で大ハードなおバカ、クレイジー、荒唐無稽を魅せて欲しいものだ。もちろん、アクションもカーチェイスや大爆破を取り入れてシリーズ最大の面白さを発揮して頂きたい。

【75点】

| | コメント (0) | トラックバック (1)

狼の死刑宣告

チャールズ・ブロンソン主演の“デス・ウィッシュ”シリーズの第一弾でブロンソン映画の傑作として未だに人気の高い『狼よさらば』(74)の原作は、ブライアン・ガーフィールドの同名小説であり、その続編に当たる「Death Sentence」はシリーズの原作として映像化されなかった。だが、ブロンソン亡き後に映像化がやっと実現したのである。監督は、年一回のペースで世に送り出されている『ソウ』シリーズの生みの親であるジェームズ・ワン。

投資会社勤務のヒューム(ケビン・ベーコン)は、ごく普通の真面目なサラリーマンであり、妻と息子二人の四人家族で幸せな生活を送っている。ある日、ヒュームはホッケーの試合を終えた長男ブレンダンを車に乗せて帰路に向かっている途中にガソリンが少なくなり、スタンドで給油をするが、その時、武装したギャング団がスタンドを襲撃する。ブレンダンはヒュームの目の前で首を刃物で切られてしまい、病院に搬送したものの死亡。連中は逮捕されたが、ヒュームは刑罰内容に納得できず、法の裁きを断念。ブレンダン殺しの張本人は釈放されてしまう。怒りに怒りを重ねたヒュームは、警察や法律といった手段を一切使わずに自らの手で連中を蹴散らすことを決意。復讐に燃える一匹狼となったヒュームの孤独な戦争が始まった。

70年代前半から80年代半ば頃に多数製作されたヴィジランティ系アクション映画の雰囲気を再現させた本作は、単純明快でわかり易い上にかなり面白く仕上がっている。しかも男心を存分にくすぐらせてくれるのだからこんな作品を待っていたという男性には、持って来いだ。

内容は、まさに『狼よさらば』に似通っている点も観られるが、アクション映画としての魅せ方は非常に秀逸であり、ド派手な爆破や激しいカーチェイスはないものの面白さをしっかりと味わえるように作られていることが何よりも良い。

ヒュームが一人殺すと自身に危険がじわじわと迫り、それが更なる悲劇を招いてしまう。その後は面白さがヒートアップしていく。ブレンダンの革ジャンを着込み、頭を刈り、身も心も傷ついた復讐の狼、鬼、戦士として敵を追い求め、ショットガンで蹴散らしていく。ここで描かれる銃撃戦は、これぞスーパー・バイオレンス・アクションと呼ぶに相応しい描き方であり、強烈さを遺憾なく発揮している。しかもこれがかつての勧善懲悪系アクション映画のようにスカっと良い気分にさせてくれる。とにかく細かいことに拘ったり、ゴチャゴチャとツッコミを入れたりせずに素直に受け入れて楽しむべきだ。ようは、理屈抜きに楽しんだ者勝ちということなのである。

アクションやバイオレンスも良いが、ケビン・ベーコンの姿も最高だ。先般公開された『96時間』も娘を拉致して傷物にした敵を相手にリーアム・ニーソン扮する元凄腕スパイのオヤジがハイテンションに大暴れするというアクション作品だったが、本作のケビンの暴走オヤジも良い味を発揮している。アクション面は、リーアムのオヤジは元凄腕スパイということでハードに描かれたが、本作のケビンのオヤジは普通の真面目なリーマンということで派手さは抑え目で丁度良い感じであるもののそれにしても少しやり過ぎているという感じもする。男臭さの面では、リーアムよりも遥かにケビンの方が勝っている。眉間にシワを寄せ、次第に寡黙な男へと変貌していく模様は、真の男への成長なのだ。しかも敵連中を蹴散らしていく姿からは、鶴田浩二や高倉健が活躍した一連の東映任侠ヤクザ映画や『ローリング・サンダー』(77)のウィリアム・ディヴェインを彷彿とさせ、これが面白さの一つだと捉えることもできる。とにかくアクションスターではないケビン・ベーコンのアウトロー系アクション映画のアンチヒーローは最高だと言いたい。

古き良き時代の男性向け娯楽アクションの復活というべき本作は、アクション映画好き男児にはオススメだ!!と言うよりも絶対に観るべきだと言いたい!!

| | コメント (0) | トラックバック (1)

« 2009年9月 | トップページ | 2009年11月 »