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2009年11月

紅の拳銃

日活アクションスター“第三の男”と言われたトニーこと赤木圭一郎の実質的な遺作で監督は、牛原陽一。

戦争で右腕を失った元軍人の石岡(垂水悟郎)は、殺し屋養成家で新人を探していた。彼がナイトクラブで中田(赤木圭一郎)という若者をスカウトし、一級の殺し屋に育て上げた。東京の顔役である小寺(芦田伸介)から神戸の中国系マフィアのボス・陳万昌(小沢昭一)を暗殺するよう命じられた石岡は、中田を神戸に送り込もうとする。だが、中田は独断専行をやらかしてしまった。

当時の日活アクションと言えば、小林旭や宍戸錠たちによる西部劇テイストの無国籍アクションが主流であったが、本作は珍しくもハードボイルド・タッチの現代アクションである。

見せ場として砂丘での銃撃戦、ラストの陳万昌の豪邸での大銃撃戦が用意されており、なかなか面白く仕上がっている。拳銃をしっかりと活用したアクションシーンは、ポイントが高いと言っても良いだろう。

本作は、加山雄三主演の『狙撃』(68)と同様にガンマニアにとっては嬉しい作品と言っても良いだろう。その見所と言えば、石岡が中田に銃の構造や扱い方を徹底して指導するシーンだ。ガンマニアなら喰いついて観てしまうこのシーンは、そうでない方でも興味をそそられるだろう。また、このシーンで観られる銃を構える赤木の姿は、実にクールでカッコいい。石岡の指導を要領良く理解し、ガン裁きの腕前を磨き上げた中田が森林でかなり遠目に立っている中年男のくわえ煙草を撃ち落すシーンはまさに好印象であり、忘れ難い名シーンの一つだと言える。

キャストも個性的であり、そのキャラクター描写も魅力的で印象深く、面白さを味わえる。石岡の妹で中田に恋心を抱いてしまう盲目の菊代(笹森礼子)、これまた中田を惚れてしまう陳万昌の情婦・千加子(白木万理)、終盤あたりで意外な形で登場する中田の元恋人・美津(吉行和子)、片言の日本語を話す中国系マフィアの劉徳源(小沢栄太郎)やキム(藤村有弘)の好演は注目すべきだ。

ドラマは中盤以降からご都合主義的になるものの、これも面白さの一つだと言っても良いほどだ。中田に隠された秘密とは何か?、中田の本当の正体は?といったポイントに注目してラストシーンまで楽しんで頂きたい。

赤木が歌うオープニングとラストで流れる主題歌は、「追憶(おもいで)」。渋い歌声が魅力的な名曲と言いたい。

【80点】

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ビッグ・バグズ・パニック

巨大化した生物を扱ったモンスター・パニック作品は、70年代に量産された。中でも虫の巨大化及び異常化をネタにしたモノも多く存在した。

そんな昔ながらの巨大虫ネタのB級モンスター・パニック作品が『スパイダーパニック!』(02)以来七年ぶりに劇場公開されることとなった。

怠け者の青年クーパー(クリス・マークエット)は元軍人の父イーサン(レイ・ワイズ)に紹介してもらってやっと就職するが、毎度のように遅刻したりと怠け癖を発揮させて上司のモーリーンから解雇通告されてしまう。その時、急に耳をつんざくような高音が鳴り響き、クーパーは気絶してしまう。その後、目覚めたクーパーは、繭のようなもので全身を覆われていた。そして、突然巨大な虫に襲撃されてしまう。クーパーと巨大虫軍団との戦いの始まりであった。

街や部屋を這いずり回ったり、羽根を広げて空を飛び回る不気味な巨大虫。見所は当然の如くこれらの虫による人間襲撃とクーパーと仲間たちによる退治ぶりだ。また、マヌケ顔の冴えないクーパーがこれをきっかけにヒーローとなって人間的にも成長していくのかどうなのか?にも興味を抱いて注目したい。

本作では単なる巨大虫だけでなく、虫に刺された者が顔は少しゾンビ風で胴体は虫という虫人間やペットの犬の虫犬が登場し、観る者に強烈な印象を与える。かつてのこの手の作品ではチープな巨大虫が目立ったが、現代ではCG等が発達していることもあって完成度は高く、違和感も感じられないので大いに良い。

クーパーとともに虫退治に挑む仲間も個性的かつ魅力的だ。クーパーが恋心を抱いてしまう自身の上司の娘サラ(ブルック・ネヴィン)、金髪美女のお天気姉さんシンディ、知的障害の上に耳が不自由なマッチョ青年ヒューゴとその父アル。中でもシンディがクーパーの前で突然裸体を披露するシーンが観られるが、この水増し的なセクシー・サービスはB級ムード満点の作品にはマッチしていると言える。

終盤あたりからは巨大虫の大きな巣窟に進入し、戦いを挑む。近年の『ディセント』(05)や『地獄の変異』(05)のような洞窟内パニック・ホラーのテイストも取り入れてしまったのである。そして、クライマックスでは大掛かりな爆破シーンも用意されている。とにかく後半シーンも要注目だ。

面白い作品にするための努力がなされており、これだけでも高く評価できる。とにかく気楽なB級娯楽映画として楽しめる作品だ。B級映画ファンのためにもこの手の作品をもっと公開して欲しいものだ。

【65点】

ビッグ・バグズ・パニック 特別版 [DVD]

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