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2009年11月18日 (水)

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない

残業は当然どころか膨大な仕事量に徹夜残業の連発、安月給、理不尽な社員連中といったマイナス要素がズラリと並ぶブラック会社(ブラック企業とも言う)。不況真っ只中の近年、この手の会社は多く存在し、今後も増加すると言われている。

日本映画界は、ついにこのブラック会社を取り扱った作品を世に送り出すこととなった。ネット掲示板「2チャンネル」(劇中では「Bちゃんねる」)に書き込まれたブラック会社実体験を書籍化した黒井勇人の原作を基に佐藤祐市監督が映像化。

いじめが原因で高校を中退し、引きこもりのニート生活を送ってきた26歳の真男(小池徹平)は、母の死をきっかけに一念発揮してプログラマーの資格を取得し、就職活動を始める。不況でどこの会社も真男を採用してくれなかったが、黒井システムという会社はあっさりと採用する。真男は初出社日から上司・阿部(品川祐)に怒鳴り散らされ、サービス残業を強いられてしまう。黒井システムは、立派なブラック会社だったのである。

人気タレントを揃えてブラック会社の実態を鋭く暴いた社会派ドラマだと思えたが、社会派テイストはかなり薄い。ブラック会社の厳しさ、ダルさ、腹立たしさを描く一方で面白可笑しさを押し出し、テンポ良く描いて魅せつけた一級のエンターテイメント作品として仕上がっている。

まず面白いのは、登場人物だ。仕事もできないクセに偉そぶって暴言を吐き散らすリーダーの阿部を筆頭に阿部の腰巾着でガンダム大好き野郎の井手(池田鉄洋)、精神的ダメージを相当受けている挙動不審でワキガの上原(中村靖日)、会社のブラック化のタネと言える現場に興味ナシの黒井社長(森本レオ)とその愛人である経理担当の瀬古(千葉雅子)いうクセ者が揃っている。そんな中、田辺誠一扮する藤田は、かなり異色の存在だ。社内では一番まともなのである。ただ真面目なだけでなく、言うことも筋を通す男前の彼は、真男に的確な助言を与える良き理解者でもある。そんな彼が“なぜこのブラック会社で頑張っているのか?”は注目すべきポイントの一つであり、ストーリーが進むにつれてその謎が明かされていく。他にも途中から藤田に惚れ込む恋愛に積極な派遣社員の中西(マイコ)と出世欲の塊で会社をモノにしようと企む木村(田中圭)が加わる。とにかく中西と木村の加入がドラマを更に面白くさせるのである。

本作が面白いのは、ドラマ部分だけではない。セリフを文字に出してみたり、登場人物を「三国志」になぞらえたモノや無謀な仕事を軍の死の行進(劇中では“デスマ”と呼ぶ)と捉えたモノの映像表現、心の中のもう一人の真男を分身という形で登場させてみたりという具合にアニメやマンガを思わせるような演出がユニークであり、少し風変わりな面白さが味わえる。観る者に印象付けさせるための工夫だと捉えることができる。

題材は時代に合わせたモノで非常に興味深く、就職活動中の者にはオススメしたい一作だと言いたい。また、現在ブラック会社で苦労して頑張っている方には、本作を観て勇気づけられるのも良しだと思うが、この手の会社に就職しないためのお手本の一つとして活用してみることを大いにオススメしたい。

【75点】

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2009年11月16日 (月)

ウェイヴ

ドイツのある高校で教師ベンガー(ユルゲン・フォーゲル)は、独裁政治の特別授業を担当することになる。ベンガーは自ら指導者となり、独裁制の体験学習を実行する。最初はやる気のなかった生徒たちも次第に魅了され、学校外でも様々な活動をやらかしていく。その活動は、ベンガーの予想を遥かに超越するほどエスカレートしていく・・・・・・。

1967年、アメリカで実際に起きた事件を現代ドイツに置き換えた心理系サスペンス・スリラー。本国ドイツでは、08年度の興行成績一位を記録した。

生徒たちが独裁体験に魅了されてチーム名(ウェイヴ)やロゴ、敬礼ポーズ、全員白いワイシャツを着用のルールを決め、結束力を強めていく。ロゴステッカーを街中の建物に貼りまくっていくシーンは、本作の見所である集団狂気の恐ろしさを感じさせる。だが、スピーディーかつテンポの良い描写からは、恐ろしさと同時に面白さも漂わせる。集団狂気の恐ろしさは、後半の水球部の試合シーンでも描かれ、最後の集会シーンでピークに達する。そして、衝撃的なラストが待ちうける。

一見、重苦しさや圧迫感が感じられるようだが、いざ観てみるとエンターテイメントとして楽しめる作品に仕上がっていてその面白さも味わえる。それは、青春映画のテイストをしっかりと取り入れたことだと思える。高校生たちの野外パーティー、演劇練習、部活動(水球部)の練習と試合、パンクファッションのヤンキーとのケンカといった描写が印象的だ。それにしても本作に登場する高校生たちは、飲酒、喫煙、ドラッグを平然とやっているワルばかりだ。こちらも印象深い。

劇中で描かれるウェイヴの活動は、独裁国家と同時にカルト教団にもかなり近いモノがあった。

【70点】

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2009年11月11日 (水)

ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵<パブリック・エネミー>No.1と呼ばれた男 Part2ルージュ編

伝説的なフレンチ・ギャング=ジャック・メスリーヌの生涯を描いた二部作の完結編。

今回はフランスに戻ったジャック(ヴァンサン・カッセル)が銀行強盗と脱獄を重ねた相変わらずの社会の敵No.1から壮絶な人生の閉幕までを描く。

第一弾同様にかつてのフレンチ・ギャング映画らしい残忍バイオレンスや銃撃戦、カークラッシュ、パトカー爆破炎上といったアクションシーンが面白い。中でも、元警官の新聞記者をボコボコにするリンチ制裁シーンはかなり痛々しいため、強烈なインパクトを与えてくれる。

ヴァンサン・カッセルは役作りのために体重を20キロも増量させたのである。そんなヴァンサンが服を脱いだときに観られるメタボ腹も印象的だ。

【70点】

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ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵<パブリック・エネミー>No.1と呼ばれた男 Part1ノワール編

フランスの伝説的ギャング=ジャック・メスリーヌの壮絶な生涯を描いた二部構成からなる作品の第一弾。ジャック役は、ヴァンサン・カッセル。監督は『アサルト13 要塞警察』のジャン=フランソワ・リシェ。

本作ではジャック・メスリーヌが犯罪に手を染め、チンピラギャングから社会の敵No.1になるまでを描く。

民家での強盗に始まり、銀行強盗、殺人、脱獄と悪事を働く。妻との間に子供が産まれたことから一度は正業に就いて堅気に戻るが、会社の事情で解雇されてしまってからは再びかつての仲間とともに悪の道に戻ってしまう。しかも、忠告する妻に暴行を喰らわせてまでだ。このような日本の任侠ヤクザ映画テイストも印象的だ。

フランス映画である本作は、かつてのフレンチギャング映画ならではの痛々しい描写がしっかりと味わえるのが好ポイントだ。ジャックがムショで看守から喰らわされるリンチシーンは、70年代女囚映画や松方弘樹の『脱獄・広島殺人囚』、『暴動・島根刑務所』、『強盗放火殺人囚』の“ムショ三部作”を思わせる。とにかく酷な描写に仕上がっている。続く脱獄シーンは観る者を釘付けにさせるほどであり、緊張感がしっかりと伝わってくる。ジャックが脱獄したムショに舞い戻って仲間を解放するという危なっかしく思えるシーンでは、銃撃戦やパトカーの爆破炎上といった見事なアクションが観られる。

ジャックの華やかな女関係も印象深く、ちょっとしたエロスシーンも見所の一つだと言える。

【75点】

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2009年11月 9日 (月)

PUSH 光と闇の能力者

念動力<ムーバー>の第二世代であるニック(クリス・エヴァンス)のもとに13歳の少女キャシー(ダコタ・ファニング)が現れる。彼女は予知能力<ウォッチャー>を備えており、600万ドルが入っている謎のケースを持つ女を探して欲しいとニックを訪ねて来たのである。女は謎の政府機関“ディビジョン”から脱走してきたキラ(カミーラ・ベル)であり、他人の思考を乗っ取る力を備えた者<プッシャー>であった。キャシーの依頼以後、ニックはディヴィジョンが送り込んだ超能力者たちから命を狙われ、キャシーとともに挑むことを決めるが・・・・・・。

善と悪の超能力対決を描いた本作。この視点から考慮するとSFアクションに強い期待を抱いてしまうが、どちらかと言えばクライム・サスペンスドラマに比重が置かれている。見方と敵の駆け引きをはじめとするドラマ描写等は良しとするが、途中で分かりづらくなってしまうのが痛手だ。だから、もっとSFアクションの見せ場を用意した方がさらに面白く仕上がっていただろう。

舞台は香港で街並みの活写はスタイリッシュで見応えは抜群。この点に関して言えば、ポール・マクギガン監督が『ラッキーナンバー7』(06)で魅せた映像センスに更に磨きをかけ、パワーアップしたことがわかった。

また、子役のイメージが根付いているダコタ・ファニングの脱子役感を味わえることもかなり興味深いポイントだ。中でも酒を飲んで酔っているサマには、唖然とさせられてしまうだろう。

本作において何よりも面白いのは、やはりクライマックスのアクションだ。VFXを駆使した超能力攻撃は、漫画やゲームのようなケレン味が感じられ、これにガンアクションと格闘アクションもミックスされてなかなか見応えのあるシーンに仕上がっている。建築真っ只中(足場が竹で組み込まれている)の建物をバックにしており、これが『ラッシュアワー2』(01)を少し彷彿させる。

香港、ダコタ、SFアクションに注目の一作。

【60点】

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2009年11月 4日 (水)

ファイナル・デス・ゲーム

スペインで友人たちとサーフィンを楽しんでいるアメリカ人大学生ジェイソン(マイク・ヴォーゲル)がある日、不気味な骨董品店で“マンバ”というこれまた見た目が不気味なボードゲームを入手する。このボードゲームは15世紀に魔女の皮と血と涙で作られたものであり、内容は勝てばどんな願い事でも一つだけ叶うが、負ければカードに示された内容通りに死を遂げてしまうという恐ろし過ぎるもの。その内容を知らないジェイソンは、仲間たちとともにこのゲームをプレイするが・・・・・・。

『ジュマンジ』とその続編『ザスーラ』のホラー版とも言える本作。邦題からは『ファイナル・デスティネーション』シリーズのような感じではあるが、少し似通った部分はある。『ファイナル~』シリーズは、主人公が見た予知夢通りの順に人々が怪死を遂げていくが、こちらは先述したようにゲームで負けた者が死を遂げていくというもの。恐らく『ファイナル~』シリーズの影響を少しは受けているのだと思う。

見所はゲームの敗者の死に様だ。『ファイナル~』シリーズと比較するとかなり大人しい感じではあるものの、グロさを魅せつけたりという具合に観る者の印象に残るような描写となっているため、ホラー作品として普通に楽しめる。カニ軍団、“ブラックマンバ”という名のヘビ軍団、突然老婆化に大注目だ。

もう一つの注目ポイントは、マンバの犠牲者を追うイサル刑事だ。後半で彼の本性が明かされる。“彼に何があったのか?”が観る者を驚かせる。

上映時間は88分。とにかく気楽なB級サスペンス・ホラーとして楽しめるのが何よりも良い。

【70点】

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2009年11月 1日 (日)

スペル

今では『スパイダーマン』シリーズでお馴染みとなっているサム・ライミ監督が原点回帰という形で作り上げたホラー作品。

銀行のローンデスクで働くクリスティン(アリソン・ローマン)はアシスタント・マネージャーのポストに就くため、上司ジャックス(デヴィッド・ペイユー)に仕事ができることをアピールする必要に迫られていた。そんな時、ジプシー風の不気味な老婆ガーナッシュ夫人(ローナ・レイヴァー)が来店し、三度目の不動産ローンの延長願いを申し出るが、クリスティンはジャックと相談の上、これを拒否する。その瞬間、ガーナッシュは突然マジギレしてクリスティンに突っ掛かるが、警備員に取り押さえられて退店する。その夜、仕事を終えて駐車場に向かったクリスティンは再びガーナッシュに出くわし、襲撃される。別れ際に夫人から死の呪いをかけられたことからクリスティンの身辺では奇妙な出来事が続々と発生し、恐怖のえじきになってしまう。

本作の面白さは、何と言ってもクリスティンの身に起きる数々の恐怖とガーナッシュ夫人の気味悪さ全開のキャラだ。

とにかくショッキングな描写は観る者の印象に残るような強烈なインパクトで描かれている。印象的なモノを挙げると、クリスティンがガーナッシュにまるで唇を奪われるかのような勢いで喰らいつかれたり、クリスティンの突然の鼻から大量出血。これらの描写は、一度観ると忘れられないほどであり、魅せ方も巧い。他にもグロテスクが追求されたホラー好きにはたまらないネタがじっくりと凝縮されている。また、これらの描写にユーモアが感じられるのもライミ監督ならではの味付けであり、本領を発揮していることがわかる。

また、ハンカチやハエを使った不気味なムード作りの秀逸さ、クリスティンの彼氏で大学教授クレイ(ジャスティン・ロング)やクリスティンをサポートする霊能力者ラム(ディリープ・ラオ)らの存在感の大きさが面白さを引き立てている。中でもクリスティンとクレイの恋人同士の強い信頼と絆はとても味わい深く、劇中でのショッキングや恐怖を和らげ、ちょっとした安心感を与えてくれる。

サム・ライミ監督の久々のホラー作品は、とにかく面白さを存分に楽しませてくれる!!

【85点】

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