2009年9月16日 (水)

ドゥームズデイ

傑作『ディセント』(05)を世に送り出した英映画界きっての娯楽映画職人ニール・マーシャルが早くも自身の集大成と呼べるような作品を生み出してしまった。SF、アクション、スプラッター系ホラー、サスペンス、史劇スペクタルの要素を取り入れてごった煮状態にし、70年代から80年代の世紀末後を舞台にした娯楽映画の影響を受けた作風のコテコテB級娯楽映画だ。

2008年、スコットランドの都市グラスゴーにて“死のウィルス”が蔓延し、英政府はスコットランドを“ホットゾーン”と名付けて城壁で完全隔離した。27年後、根絶したかと思われたウィルスがロンドンで猛威を振るい出した。政府側は城壁内部で生存者がいることを発見し、抗菌剤の入手が可能だと考える。そして、女性兵士エデン(ローナ・ミトラ)をリーダーとする精鋭部隊が編成され、隔離地区の内部に派遣するのであったが・・・・・・。

とにかくアクションシーンもスプラッター描写も気合が入っており、他にも観る者が面白いと思えるような魅せ方がなされていることが何よりも素晴らしくて良い。

まずは、感染者のビジュアルだ。特殊メイクが効果を最大に発揮しており、そのビジュアルは誠に不気味でグロテスクだ。この感染者が数名で襲ってくるシーンは、ゾンビ映画の面白さを彷彿させる。

ビジュアル面で言っておきたい二つ目のポイントと言えば、やはりバイクを乗り回すモヒカン頭の狂暴パンク野郎たちの存在であり、彼らこそ観る者に強烈なインパクトを与えてくれるのである。また、本作のB級ムードを盛り上げているのもこのパンク野郎たちなのだ。

アクションシーンは、ガンファイトにソードバトル、爆破、カーチェイスとこれまた盛り沢山だ。中盤あたりで観られる精鋭部隊員が乗り込む大きな特殊装甲車が横転するというダイナミックな描き方が最高であるが、何よりも素晴らしいアクションシーンと言えばクライマックスのカーチェイスだと断言できる。クライマックスには相応しい描き方でとにかく迫力満点で見応え抜群だ。

血生臭さを感じさせるグロいスプラッター描写や残酷極まりないハードなバイオレンス描写もなかなか良い出来栄えであるため、しっかりと味わって頂きたい。

問題は、中盤を過ぎたあたりで観られる中世を舞台にした史劇スペクタル作品の要素だ。しかもこのシーンはまだるっこくてモタモタさを感じさせるため、面白さがパワーダウンのマイナスポイントだ。やりたいことを詰め込みすぎた結果、マズい部分が浮き出てしまったという結果だ。どうせやるなら、もっと張り切って面白さを存分に追求して描いて欲しかったものだ。本作最大の痛手であり、ツッコミ所ではあるが、このツッコミ所も面白さの一つだと捉えることもできる。そういう感じで観ると少しはマシかもだ。私は、この中世史劇風味にはクスっと笑えてしまった。いや、ここでもB級オーラを放っているのだと確信したのである。

とにかく本作は、好き嫌いがはっきり分かれるような賛否両論的作品だと言いたい。B級娯楽映画ファン、マニアは見逃すわけにはいかない必見作だ。また、ローナ・ミトラの最強美女戦士ぶりもかなり良いので、肉食系美女に萌えるような男性にもオススメだ!!

【65点】

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2009年8月 8日 (土)

トランスポーター3 アンリミテッド

現在、最もノッている英国人アクションスター、ジェイソン・ステイサムの痛快アクションシリーズ『トランスポーター』シリーズの第三弾。監督は、前二作を手懸けたルイ・レテリエに代わってオリヴィエ・メガトン。

運び屋フランク(ジェイソン・ステイサム)は、ジョンソン(ロバート・ネッパー)という依頼主に車から20メートル離れると爆破してしまう装置が仕込まれた特殊ブレスレットを腕にはめられてしまい、同じブレスレットをはめている赤毛のロシア人美女ヴァレンティーナ(ナターシャ・ルドコワ)とともにドイツを目指す。依頼品は“赤い代物”でその依頼の裏には有毒廃棄物を扱う国際廃棄物管理会社による世界規模の陰謀が隠されていた。

今回も見せ場である数々のアクションシーンが用意されており、実にどれを取っても面白いものばかりである。

まずは、フランクが自宅でTVを観てくつろいでいる最中に突如車が部屋に突っ込んでくるシーンに度肝を抜かされ、続く救急車の爆破に圧倒されてしまう。

そして、このシリーズのお約束であるフランクのキレ味抜群の格闘アクションが観られる。今回もアクションサポートをコーリー・ユンが担当しており、歯切れの良いカッティングや目まぐるしいカメラワークが効果を発揮し、前二作同様に見応え抜群の凄まじい格闘アクションへと仕立て上げている。この格闘アクションでは、フランクが服を脱ぎ捨てるストリップファイトなる新ネタが披露され、『デス・レース』でも観られた研ぎ澄まされたセクシーな筋肉美がまたまた観られるのである。これがフランクの強さを一段とアピールしていると同時に男臭いステイサムの魅力を光らせている。また、K-1ファイターや総合格闘家として日本でも有名なセーム・シュルト扮するザ・ジャイアントとのタイマン勝負も格闘シーンにおける最大の見所であり、巨体を活かしたそのまんまのキャラで観る者に重い衝撃と破壊力を感じさせる攻撃がフランクをとことん追いつめる。

中盤あたりでは、格闘アクションに次いでのお約束事であるカーチェイスが味わえ、これがまたスピーディーかつテンポ良く描かれている。ここでもインパクトが強すぎるネタが用意されている。それは、トレーラー二台の間を片輪だけで走行させるというアクロバティックなカーアクションである。新鮮さを感じさせるための工夫が施されていることがわかり、ユニークなアイデアを取り入れて面白く魅せつけてくれた点は、高く評価したい。

他にも自転車を使ったエキサイティングなアクションや水中に車ごとダイブしてしまったフランクの巧妙な脱出シーンといった強烈過ぎて忘れられないようなシーンが観られ、ラストの列車内での決戦まで荒唐無稽丸出しの迫力を思う存分に楽しませてくれる。

アクション以外では、ヴァレンティーナがフランクに惹かれ、お互いに良い関係になってしまうシーンがしっかりと描けており、観る者に甘くて安らかな一時を味わわせてくれる。

ヴァレンティーナ役のナターシャ・ルドコワは元々は美容師をやっていたのである。このヒロイン役は、製作のリュック・ベッソンが街でナンパしたことがきっかけなのである。キツい目がセクシーさを醸し出していてロシア美女であることに頷けるが、それよりも顔中のソバカスが強く印象に残ってしまう。このソバカス・セクシー美女は、ベッソンの趣味丸出しだ。

【80点】

トランスポーター3 アンリミテッド [DVD] DVD トランスポーター3 アンリミテッド [DVD]

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2010/01/15
Amazon.co.jpで詳細を確認する

トランスポーター3 アンリミテッド 【Blu-ray】 DVD トランスポーター3 アンリミテッド 【Blu-ray】

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2010/01/15
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2009年6月 6日 (土)

ターミネーター4

あのSFアクション映画の金字塔『ターミネーター』シリーズが第四弾として前作から六年ぶりにスクリーンに帰って来た。前三作が“審判の日”という名の核戦争を阻止すべく人類軍と機械軍“スカイネット”の戦いを描いたが、本作は新三部作の第一章として審判の日から十年後を舞台に三十代のジョン・コナーが人類軍のリーダーとなって機械軍が支配する世界に挑む。主役は、アーノルド・シュワルツェネッガーが公務で多忙のため、クリスチャン・ベイルに代わった。

2018年。審判の日を過ぎても生き残った人々は人類抵抗軍を結成し、ジョン・コナー(クリスチャン・ベイル)は軍のリーダーとなってスカイネットと戦っている。ある日、ジョンは人間と機械のハーフであるマーカス・ライト(サム・ワーシントン)に出会い、将来、ジョンの父親になる少年カイル・リース(アントン・イェルチン)がスカイネットに拉致されたことを知らされ、進入を手引きしてもらう。

監督は『チャーリーズ・エンジェル』二部作でお馴染みのマックG。子供の頃からお気に入りだった本シリーズを監督するにあたり、彼は前三作を徹底的に調査して取り組んだとの事。その結果、前三作で描かれた一部のシーンを似通わせたり、決めゼリフ「アイル、ビー、バック!!」もちゃっかりと使ってみたりという具合に尊敬の念を込めて作品の基本を押さえて仕上げた。

また、マックGのアクション演出や見せ場作りも優秀だ。とにかく殆どのシーンが爆破、銃撃といったド派手なアクションばかりで彩られており、これぞまさに息も尽かせぬハードアクションだ。この徹底したアクションは、万人ウケを狙った誰もが楽しめるようにという感じだとも捉えられる。

ストーリーもアクションを中心に魅せつけるということもあってなのか分かりやすく簡素化されており、アクションを存分に満喫しながらも内容をスラスラと理解できる。ストーリーの根底には、“戦争に対する批判”、“危機的状況に立たされても生きること”、“人間とは何か?”といった人間らしさの本質があり、作品に重厚さを与えている。

ビジュアル面も完璧に仕上がっており、彩度を落とした映像が荒廃したダークな世界を更に荒んで廃れた感じを強調させており、これが魅力的な世界観として仕上がっている。

終盤では、本シリーズのファンにとっては嬉しいプレゼントが用意されている。それは、前三作の主役の登場だ。どのような形で登場するのかは、見てのお楽しみだ。これに関しては、作品の性質を尊重するべく用意されたものだとも捉えられる。

SFアクション映画、大作娯楽映画としては面白くで良い仕上がりだった本作。サム・ワーシントンが主役クリスチャン・ベイルを喰っていたことが印象深かったので、この続きはサムが主役登板となってしまうのか?!

【85点】

Terminator: Salvation [Original Soundtrack] Music Terminator: Salvation [Original Soundtrack]

販売元:Reprise
発売日:2009/05/29
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Terminator Salvation Mini Bust: T-600 Toy Terminator Salvation Mini Bust: T-600

販売元:DCダイレクト
発売日:2009/07/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Wacky Wobbler - Terminator Salvation: T-600 (Light-Up) Toy Wacky Wobbler - Terminator Salvation: T-600 (Light-Up)

販売元:ファンコ
発売日:2009/05/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

JOHN CONNER KUBRICK & T-600 BE@RBRICK SET Toy JOHN CONNER KUBRICK & T-600 BE@RBRICK SET

販売元:メディコム・トイ
発売日:2009/05/31
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ターミネーター4 ベーシックシリーズ 3.75インチ ビークル/ハンターキラー Toy ターミネーター4 ベーシックシリーズ 3.75インチ ビークル/ハンターキラー

販売元:ホットトイズ
発売日:2009/07/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月11日 (月)

デイヴィッド・リンチ・ワールド

未だにカルト的人気を誇る奇才デイヴィッド・リンチ監督の頭の中に存在する本質に迫るべく自身が手懸けた数々の未公開作品を一挙に公開された。

ペンシルヴァニアの美術専門学校に在学中の頃に製作したモノをはじめとする六本の短編作品群『ザ・ショートフィルム・オブ・デイヴィッド・リンチ』、自身が開設した会員サイトのみで発表された七本の短編作品群『ザ・ベスト・オブ・ザ・デイヴィッド・リンチ』と八本の短編アニメ『ダムランド』に日本でも公開済みのデビュー作『イレイザーヘッド』のデジタルリマスター版を加えたラインナップで日本のリンチ監督ファンに向けてお送りするというプロジェクトだ。

普通の映画好きはもちろん、リンチ監督ファンにとっても少し理解不能と思えるようなモノばかりである。アヴァンギャルドな実験的作品もあればシュールかつシリアスな作品も観られる。そして、リンチ監督ならではの悪趣味を巧妙に笑いへと変換させたアニメというように様々なテイストの作品が味わえる。だが、これらの面白さを堪能できるのは、コアなリンチ監督ファンぐらいだろう。リンチ監督作品初心者や少しかじっただけという方には、その面白さを汲み取れないと言い切れるかもだ。

リンチ監督の世界観を覗き込んだことによって、彼の奇才ぶりを改めて実感させられた。

【50点】

デイヴィッド・リンチ・ワールド DVD-BOX【期間限定生産】 DVD デイヴィッド・リンチ・ワールド DVD-BOX【期間限定生産】

販売元:アルバトロス
発売日:2009/05/02
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月30日 (木)

チェイサー

10ヶ月に21人を殺害した連続殺人犯ユ・ヨンチョル事件に基づいた韓国製クライム・サスペンス。

デリヘルの元締めをしている元刑事のジュンホ(キム・ユンソク)。彼の店から次々とコンパニオンが失踪していく。その頃、街では猟奇的な連続殺人事件が多発していた。ジュンホは、コンパニオンたちが残した携帯電話の番号“4885”からヨンミン(ハ・ジョンウ)という客を割り出す。ジュンホは、必死の追跡の末にヨンミンを捕らえる。だが、ヨンミンは逮捕されて自供したものの証拠不十分で釈放されてしまう。ジュンホは、ヨンミンの餌食となった店の女ミジンを救うべく執念を燃やして再びヨンミンを追跡する。

ヨンミン宅の浴室が犯行現場であり、気味悪さ満点のジメジメ感がスクリーンから存分に感じられ、これだけでもホラー映画のワンシーンのようで非常に印象的だ。ヨンミンの犯行手口が何よりも強烈だ。獲物にしたデリヘル嬢ミジンの頭をノミとハンマーを使って叩きつける。そして、ドス黒い血が流れる。この残酷極まりない描写が存分に恐怖を感じさせる。また、衝撃的なバイオレンス描写として仕上がっており、観る者を震え上がらせるほどだ。

ジュンホがヨンミンを追うシーンは、アクション映画としての面白さすら感じられる。スピーディーかつテンポ良く描かれ、BGMがさらに盛り上げてくれる。この追跡の末にジュンホはヨンミンを捕まえ、ボコボコにする。ここでバイオレンスアクションとしての面白さが味わえる。

バイオレンスや追跡シーンだけが本作の面白さではない。笑いを狙っていないコミカル描写が随所に散りばめられ、これが観る者をクスっとさせる。また、ジュンホとヨンミンの餌食となった女の娘とのロードムービー風の描写や頼りない警察側も印象深い。とにかく様々な面白さが取り入れられているのである。

クライマックスはジュンホとヨンミンの男同士の壮絶な死闘が繰り広げられる。お互いに殴り、蹴り、そして武器を手にして闘う。このバトルシーンでもバイオレンスを徹底的に追求した凄まじい迫力を魅せつけ、面白さを一気に爆発させたのである。

監督は新鋭ナ・ホンジ。とてつもなく恐ろしすぎる実話を娯楽性を高めた作り方と緊迫感を漂わせた重厚な作風で面白く魅せつけることに成功したのである。

既にハリウッドでのリメイクが決定しており、オリジナルの面白さを超えられるかが気掛かりだ。

【80点】

チェイサー ディレクターズ・エディション【初回限定生産2枚組】 [DVD] DVD チェイサー ディレクターズ・エディション【初回限定生産2枚組】 [DVD]

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2009/10/02
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2009年3月30日 (月)

トワイライト~初恋~

若い女性を中心に世界中でベストセラーとなったステファニー・メイヤー原作の小説三部作の第一作目「トワイライト」をキャサリン・ハードウィックが映像化。

アリゾナに越してきた17歳の女子高生べラ(クリスティン・スチュワート)は、同級生の色白でミステリアスな雰囲気を漂わせる美少年エドワード(ロバート・パティソン)に出会い、好意を寄せる。だが、彼の正体は人間とともに生活できるように訓練された特殊なヴァンパイアであった。あることをきっかけに彼に助けられたべラは、彼が凄まじいパワーを発揮するできることを目撃し、その正体を探り出そうと接近するが・・・・・・。

高校生の学園生活を描く青春ドラマ、少し風変わりでおとなしい女子高生と美少年系ヴァンパイアとの禁断の恋愛ドラマ、ファンタジーといった三つのテイストが味わえる。

今までにヴァンパイアをネタにした作品は数多く作られてきた。そのほとんどがホラー作品だったり『ブレイド』シリーズや『アンダーワールド』シリーズのようなヒーロー系アクション作品であったが、本作は普通の女子高生とヴァンパイアの悲壮感を漂わる恋愛模様を中心に描いたものである。かつてのヴァンパイア作品と違う点は、まずはヴァンパイアたちの見た目がごく普通の人間と同じであることだ。次は、ヴァンパイアならではの人間の首を噛みついて吸血するシーンは観られるものの流血を強調したり牙を向いたりコウモリに変身したりといった定石通りの描き方がされていないことだ。とにかく本作は、ヴァンパイア作品としては新味なのである。ヴァンパイアが超能力を発揮させたり、仲間内で草野球をしたりといったユニークな描写も印象深くて面白いポイントだと言える。

ラストでは、エドワードと敵対するヴァンパイア一族の一人とのバトルを描いたアクションシーンが用意されており、大きな見所の一つとなっている。このバトルでは、二人のヴァンパイアは武器等を一切使用せず、超能力によるパワーだけで戦う。なかなか迫力を発揮させており、ファンタジーの要素を持った作風にマッチした描き方となっている。その上、面白さも十分に味わえるので良い。

既に続編の製作も決定しており、今後の展開が気掛かりとなる。

【70点】

トワイライト~初恋~ スタンダード・エディション [DVD] DVD トワイライト~初恋~ スタンダード・エディション [DVD]

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2009/09/18
Amazon.co.jpで詳細を確認する

トワイライト ~初恋~ プレミアムBOX (5,000セット限定) [DVD] DVD トワイライト ~初恋~ プレミアムBOX (5,000セット限定) [DVD]

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2009/09/18
Amazon.co.jpで詳細を確認する

トワイライト~初恋~ [Blu-ray] DVD トワイライト~初恋~ [Blu-ray]

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2009/09/18
Amazon.co.jpで詳細を確認する

トワイライト~初恋~ Music トワイライト~初恋~

アーティスト:サントラ,ロバート・パッティンソン,アイアン&ワイン,ミューズ,パラモア,ザ・ブラック・ゴースツ,リンキン・パーク,ミュートマス,ペリー・ファレル,コレクティヴ・ソウル
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2009/03/11
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (6)

2009年2月17日 (火)

チェンジリング

1928年のロサンゼルスで実際に起きた事件を映画化。監督はクリント・イーストウッドで今回は出演はせず、もっぱら裏方に徹した。元々はロン・ハワードが監督を務める予定だったが、スケジュールの都合で降板したためイーストウッドが登板することとなった。

電話会社に務めるシングルマザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)は、一人息子のウォルター(ギャトリン・グリフィス)と二人暮し。ある日、急な仕事から帰宅したクリスティンは、留守番をさせていたウォルターの姿がないことに気づく。探し回っても見つからず、警察に通報する。五ヵ月後、ロス市警のジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)からウォルター発見の知らせを聞いて駆けつけたクリスティンが見たウォルターは、外見が全く違う少年だった。

アンジェリーナ・ジョリーが闘う普通の主婦を演じる。アクション作品では武器と肉体で敵に立ち向かってきたアンジー。本作では、息子誘拐事件の背景で描かれる腐敗した警察、不当な権力に不撓不屈の精神と息子に対する愛情を持って心で闘う。警察側から精神異常者として無理矢理に精神病院に収容されたりと理不尽で酷すぎる目に遭いながらも屈服することなく信念を貫き通して悪に立ち向かう姿が好印象だ。

劇中で描かれる不条理な悲劇は観る者を心底苛立たせ、これらの出来事が実際に起きていた、行われていたと思うと驚愕させられると同時に益々腹が立ってくる。

文芸作品のような格調の高い雰囲気、二転三転するストーリーで見応えのある重厚な作品に仕上がっている。観る者をグイグイと惹きつける衝撃的な内容は、142分の長さを感じさせない。悪徳警部ジョーンズ役のジェフリー・ドノヴァン、クリスティンに助けの手を差し伸べるグスタブ牧師役のジョン・マルコヴィッチといった脇役陣も良い芝居をしていて印象的だ。

不当な権力、汚職に手を染めて腐敗する政府。これらは現代社会でもチラホラと問題になっているため、永遠のテーマだと言える。イーストウッド監督は、80年前の事例を引き合いに出して現代の人々にこの事実を叩きつけ、今後このような問題に直面したときに個人、社会はどうすればよいのかを考えさせる。

【85点】

チェンジリング [DVD] DVD チェンジリング [DVD]

販売元:ジェネオン・ユニバーサル
発売日:2009/07/17
Amazon.co.jpで詳細を確認する

チェンジリング [Blu-ray] DVD チェンジリング [Blu-ray]

販売元:ジェネオン・ユニバーサル
発売日:2009/07/17
Amazon.co.jpで詳細を確認する

オリジナル・サウンドトラック Changeling Music オリジナル・サウンドトラック Changeling

アーティスト:クリント・イーストウッド
販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2009/02/04
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年1月28日 (水)

チェ 39歳 別れの手紙

カリスマ的な革命家、エルネスト・チェ・ゲバラの生涯を描いた二部作の後編。

ベニチオ・デル・トロ扮するゲバラがフィデル・カストロと袂を分かち、ラモンという名の男に変装してボリビアに入国。この地で処刑されるまでを描く。

前編ではゲバラのヒーロー像をメインに“勝”のイメージで描いてきたが、後編の本作ではゲバラの“負”の部分を描く。

前編同様に音楽は殆ど排しており、この静寂な感じが緊張感を張り巡らせる。さらにドキュメンタリータッチの筆致が観る者をグイグイと惹きつかせる効果を発揮させている。プロデューサーのローラ・ピッグフォードは、「前編がアクション大作なら後編はサスペンス」と言っており、こういった演出がサスペンスらしさを醸し出しているのである。

忠実かつ丁寧に描かれていることはわかるが、やはり当時の政治的状況等の予備知識が備わっていないと難解し難いという点も前篇同様。硬質で小難しく、中だるみする部分も少々あるので133分の上映時間がキツく感じるという方も少なくはないだろう。

『チェ』二部作は、チェ・ゲバラのことが大雑把に理解できるという感じなのである。

【65点】

チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD] DVD チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]

販売元:NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)
発売日:2009/06/12
Amazon.co.jpで詳細を確認する

チェ コレクターズ・エディション (初回限定生産) [DVD] DVD チェ コレクターズ・エディション (初回限定生産) [DVD]

販売元:NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)
発売日:2009/06/12
Amazon.co.jpで詳細を確認する

チェ コレクターズ・エディション (2枚組) [Blu-ray] DVD チェ コレクターズ・エディション (2枚組) [Blu-ray]

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2009/06/12
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Che [Original Motion Picture Soundtrack] Music Che [Original Motion Picture Soundtrack]

販売元:Varese Sarabande
発売日:2008/12/16
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2009年1月16日 (金)

チェ 28歳の革命

カリスマ的な革命家として現在でも世界中の多くの人々に愛されているエルネスト・チェ・ゲバラの半生を描いた歴史ドラマ。前編と後編に分けた二部作という力作として仕上がり、上映時間を合計すると四時間を超えてしまう。

その第一部である本作は、ゲバラとフィデル・カストロとの運命的な出会いからキューバ革命戦争での活躍までにスポットを当てて描いたものだ。

監督はスティーヴン・ソダーバーグ。主人公であるゲバラを演じるのはベニチオ・デル・トロ。デル・トロは、同監督の『トラフィック』でも製作を務めたローラ・ビックフォードとともに製作も担当している。デル・トロとビックフォードがゲバラの映画化に興味を示していたのは、『トラフィック』よりも前からであった。そして、映画化が決定してからはソダーバーグ監督とビックフォードは三年間にも及ぶ徹底したリサーチを重ね、デル・トロはゲバラになりきるべく25Kgも減量したりといった本格的な役作りに挑戦した。ビックフォードは、もともとは第二部『チェ 39歳 別れの手紙』のみを製作しようとしていたが、これだけでは観る者に理解し難いと思い、第一部である本作を製作したのである。

本作は、あくまでもゲバラという一人の革命家のヒーロー像をメインに描いている。そのためなのか、劇中で描かれるキューバ革命戦争やそれ以前の状況、時折挿入される国連での演説やインタビューのシーン等が分かりにくい。これが本作の最大のマイナスポイントだ。また、ゲバラは誰からも愛されているヒーローであるにも関わらず国連では批判され、嫌悪感丸出しで罵声を浴びせられていたりするシーンが観られ、なぜなのかということが説明不足であるため、本当に意味不明に思えた。他にも退屈させるシーンも多々あるため、132分の上映時間が本当に長くて厳しい。

ビックフォードは、本作を「大掛かりな戦闘シーンもあるため、アクション大作でもある」という。確かに戦闘シーンは爆破シーン等も観られ、戦争アクションらしい出来栄えとなっている。だが、このシーンをアクション映画の観点から観たところで単純に面白いとは思えない。それは、ゲバラの真実を描くためにこの戦闘シーンが必要であったためであり、これをリサーチした結果に基づいて忠実に描いただけで決してこのシーンを娯楽アクション映画として面白く魅せつけるために力を注いでいないからである。

本作を観るにあたっては、前もって予備知識が必要だと言える。ゲバラを詳しく知っているという方には面白いかも知れないが、そうでない方にとっては難しいはずだ。

【60点】

チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD] DVD チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]

販売元:NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)
発売日:2009/06/12
Amazon.co.jpで詳細を確認する

チェ コレクターズ・エディション (初回限定生産) [DVD] DVD チェ コレクターズ・エディション (初回限定生産) [DVD]

販売元:NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)
発売日:2009/06/12
Amazon.co.jpで詳細を確認する

チェ コレクターズ・エディション (2枚組) [Blu-ray] DVD チェ コレクターズ・エディション (2枚組) [Blu-ray]

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2009/06/12
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Che [Original Motion Picture Soundtrack] Music Che [Original Motion Picture Soundtrack]

販売元:Varese Sarabande
発売日:2008/12/16
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月 4日 (木)

デス・レース

無名時代のシルヴェスター・スタローンが出演していたことでも知られるカルト的なB級カーアクション映画『デス・レース2000年』(75)をポール・W・S・アンダーソンが新たなる世界観を形成させてリメイクした。

最悪な経済状況によって失業者と犯罪者が増加し続ける2012年のアメリカ。刑務所は民間企業によって運営される仕組みとなる。孤島のターミナル・アイランドという名の刑務所は、凶悪犯ばかりが収容されており、そこではデス・レースなるものが開催され、ネットの有料中継番組によって多くのファンを寄せ集めて儲けていた。ある日、妻殺害の濡れ衣を着せられた元レーサーのエイムズ(ジェイソン・ステイサム)がこの刑務所に投獄され、覆面男フランケンシュタインとしてこのレースに挑戦することとなる。

オリジナル版で描かれたような不謹慎な感覚やブラックユーモアは皆無であるが、アクション描写だけは本格的でド派手な感じに仕上がっているのでそれだけでも存分に面白さを味わえる。

三段階に分けられたレースで囚人たちが運転する車は、マシンガンを搭載させた装甲仕様である。近年のこの手の作品は、カッコいいデザインでチューンアップされたスポーツカーが主流だ。オリジナル版は奇抜なデザインのモンスターっぽい感じのスポーツカーだった。本作ではそれらと違って地味な感じであるがクールでカッコいいと思える銃器搭載で装甲仕様の車で統一されており、これがまた趣向を凝らしているように思えると同時に珍しいとも思える。

とにかく随所に散りばめられたカーアクション、車に搭載されたマシンガンの乱射による銃撃戦、爆破シーンがダイナミックに描かれていて見応えは十分だ。第二ステージの途中から『激突!』(71)のタンクローリーをパワーアップしたような、『バトルトラック』(82)や『西部警察PART-Ⅲ』(83~84)第48話に登場するモンスタートラックを遥かに超越するような装甲仕様でマシンガン搭載の大型トレーラーの登場は観る者を圧倒させ、さらにアクションの面白さを倍増させる。時折観られる残酷バイオレンス描写もインパクトが強いため印象深い。このような見せ場作りは、本当に巧いと頷ける。

主演のジェイソン・ステイサムはB級アクションスターとしてのイメージがやや強いが、B級ムード丸出しの本作に出演したことによってさらにステイサムはやはりB級アクションスターであることに納得できる。劇中では筋肉美をチラホラと魅せつけ、これが男臭い風貌と見事にマッチしていて実にカッコいい。彼がここまで良いガタイを披露したのは、恐らく本作が初めてだろう。また、彼ならではの体を張ったアクションはごくわずがしかないが用意されている。ファンからしてみればこの部分をもっと描いて欲しかったのではないだろうか。

映像は彩度を落としているためやや暗めである。本作で描かれている世界は、まさにアウトローな世界であり、この暗めの映像がアウトローな世界が持つダークな雰囲気をほんのりと醸成していてワルの魅力を一段と引き立てているとも捉えられる。

ラストではエイムズとライバルのマシンガン・ジョー(タイリース・ギブソン)の男同士の友情が観られ、これが良い気分にさせてくれる。

本作は、とにかくアクション映画ファンの男性にはウケが良いだろう。迫力満点のアクションと男臭くてカッコいいステイサムを存分に堪能すべきだと言いたい。

【75点】

デス・レース [DVD] DVD デス・レース [DVD]

販売元:UPJ/ジェネオン エンタテインメント
発売日:2009/04/24
Amazon.co.jpで詳細を確認する

デス・レース [Blu-ray] DVD デス・レース [Blu-ray]

販売元:UPJ/ジェネオン エンタテインメント
発売日:2009/04/24
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (5)

2008年12月 3日 (水)

トロピック・サンダー/史上最低の作戦

落ちぶれたアクションスターのダグ(ベン・スティラー)、下ネタが得意なコメディアンのジェフ(ジャック・ブラック)、黒人役になりきるために皮膚を整形手術で黒くしたやり過ぎ演技派役者のカーク(ロバート・ダウニー・Jr)ら五人の役者がベトナム戦争の英雄・テイバック(ニック・ノルティ)が執筆した回顧録「トロピック・サンダー」の映画化のために集まった。撮影が開始されたが、予算等の都合で撮影が困難となる。その後、リアリティーを追求した作品にするということで監督らにジャングルへ連れて行かれた五人は、この地で麻薬組織によるホンモノの戦闘に出くわしてしまう。

本作は、コメディーとアクションの二つの要素をしっかりと満喫できる。『地獄の黙示録』、『プラトーン』等のかつての戦争映画のパロディーが取り入れられている点が特徴的であり、この手の作品のファンにとっては嬉しく思えることだろう。そして、下ネタや差別ネタが笑いを誘い出すがこちらは少しやり過ぎている感が強い。ハリウッドの内ネタや名作のアレコレといった登場人物の会話も興味深い。アクションに関しては、魅せ方が巧くて良い。大金が掛けられているだけにド派手な爆破シーンが何度も観られ、観る者を圧倒させると同時に楽しませてくれる。純粋な大作戦争アクション映画と肩を並べるほどの良い勝負をしているような出来栄えとなっている。他にもグロさを追求したりととにかくやり過ぎているが、こういった描写が面白さにしっかりと繋がっていることがわかる。

本作のもう一つの注目ポイントは、やはりカメオ出演している豪華スターの存在だ。メインキャストだけでも一流スターが揃っているにも関わらず、そこにトム・クルーズ、マシュー・マコノヒー、トビー・マグワイアらが顔を揃えたことによって華やかさをより一層増すことになった。特にハゲ頭でデブなプロデューサー役のトム・クルーズの弾けっぷりが面白可笑しくて強烈なインパクトを与えている。

本編が始まる前にメインキャストたちによる一本のフェイクCMと三本のフェイク予告編が流れるが、これがまた面白くて笑わずにいられない。このように本作は最初から面白さをとことん追求しており、最後の最後まで様々な面白さを味わえるのである。

ベン・スティラーは、主演だけに留まらず監督、脚本、製作、原案と一人で五役を担当。彼にド派手なアクションを魅せつけられる才腕があったということにかなり驚かされた。これなら笑いなしの大作アクション映画を撮っても問題ないかも知れない。

【75点】

トロピック・サンダー 史上最低の作戦 ディレクターズ・カット 調子にのってこんなに盛り込んじゃいましたエディション【2枚組】 [DVD] DVD トロピック・サンダー 史上最低の作戦 ディレクターズ・カット 調子にのってこんなに盛り込んじゃいましたエディション【2枚組】 [DVD]

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2009/04/03
Amazon.co.jpで詳細を確認する

トロピック・サンダー 史上最低の作戦 Blu-ray DVD トロピック・サンダー 史上最低の作戦 Blu-ray

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2009/04/03
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Tropic Thunder Music Tropic Thunder

アーティスト:Original Soundtrack
販売元:Lakeshore
発売日:2008/08/05
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2008年11月12日 (水)

ダイアリー・オブ・ザ・デッド

ペンシルヴェニア州の山奥で大学の映画学科の学生たちが卒業用作品としてホラー映画を撮影していた。しかし、彼らは撮影中に「死体が甦り、人々を襲撃している」というニュースをラジオ放送で知る。その後、学生たちはその真実を目の当たりにする。このトンデモナイ状況を生存者たちに伝えることを使命とした学生たちは、危険が迫り来る中、ビデオカメラで撮り続ける。

ゾンビ映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督の待望の最新作は、何とドキュメンタリータッチのゾンビ映画として仕上がった。この手法は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)をはじめ最近ではパニック作品の『クローバーフィールド/HAKAISHA』(08)、『REC/レック』(07)でお馴染みであるが、ゾンビ映画では本作が初めてである。手持ちカメラで捉えた主観映像は臨場感が溢れ、緊迫感も醸し出されていて観る者にリアルな恐怖を感じさせる。

ロメロ監督作品と言えば、社会派テイストが特徴だ。本作では情報化社会をネタにしている。それは、誰もが情報手段を駆使できるようになったことからメディアが安易化していくことを訴えたものである。他にも人と人が殺しあう戦争もネタにしている。

本作は低予算で撮影日数も短期間、有名スターの出演もなしという具合にインディーズ作品を意識したような出来栄えとなっている。娯楽色はあまり感じられず、数あるこの手の作品と比較すると地味な感じあることは否めない。それでも前半の病院内でのゾンビによる襲撃をはじめとする見せ場はしっかりと盛り込まれており、ゾンビ映画らしさだけは忘れることなく描かれていることが救いだと言える。

巨匠による新感覚ゾンビ映画は、ファンなら必見だと言える。興味のある方は、娯楽色を期待しないことだ。

【70点】

ダイアリー・オブ・ザ・デッド プレミアム・エディション [DVD] DVD ダイアリー・オブ・ザ・デッド プレミアム・エディション [DVD]

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2009/04/24
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ダイアリー・オブ・ザ・デッド [Blu-ray] DVD ダイアリー・オブ・ザ・デッド [Blu-ray]

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2009/04/24
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (7)

2008年8月28日 (木)

デイ・オブ・ザ・デッド

ジョージ・A・ロメロ監督の“リビング・デッド”シリーズ三部作の完結編『死霊のえじき』(85)のリメイク。

コロラド州の田舎町で謎の病気を患った人々が続出。やがて彼らはゾンビ化して次々と人々を襲撃し、ゾンビが増殖する。女兵士サラ(ミーナ・スヴァーリ)らは大量のゾンビたちに立ち向かうが・・・・・・。

本作は、『死霊のえじき』のリメイクということを意識せずに観ることをオススメしたい。オリジナルとの共通点は登場人物の名前のみであり、ロメロ監督作品のような社会派テイストや風刺は皆無。とにかく見せ場をふんだんに用意したりという具合に徹底的に娯楽色を全面に押し出して描いている。

ヒロインたちが大挙登場するゾンビ軍団を相手に銃をはじめとするあらゆる武器を駆使して蹴散らしていく。これが見せ場として随所に散りばめられており、派手さはあまり感じられないがそこそこ面白く仕上がっている。この描写は『バイオハザード』シリーズ、『ハウス・オブ・ザ・デッド』(03)、『プラネット・テラーinグラインドハウス』(07)に近い物がある。

ゾンビたちの動きにも注目したい。動きは素早い上に天井を這い回ったりもする。とにかくこのゾンビの描き方がテンポを良くさせており、なおかつ気味悪さや恐怖感を醸し出していて面白さを倍増させる。サラたちの仲間である男がゾンビに噛まれて後にゾンビ化するが、彼は菜食主義者ということで人をまったく襲わない。このユニークな設定のゾンビを観る者の目にしっかりと焼きつくように印象深く描いている点も良い。

上映時間は85分、内容は単純明快、見せ場が満載の完全なB級ホラーアクション作品。ゾンビ系ホラー映画ファンはもちろん、B級アクション映画ファンにも十分楽しめるだろう。

歌姫マライア・キャリーの夫であるニック・キャノンの活躍も見逃せない。

本国では劇場未公開のDVDスルー作品であるが、日本では劇場で観ることができる。

【75点】

デイ・オブ・ザ・デッド DTSスペシャル・エディション DVD デイ・オブ・ザ・デッド DTSスペシャル・エディション

販売元:Happinet(SB)(D)
発売日:2009/01/30
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月 4日 (月)

テネイシャスD 運命のピックをさがせ!

ジャック・ブラックが役者として売れる前にカイル・ガスとロック好きが高じて結成したバンド“テネイシャスD”を題材にしたおバカ系音楽コメディー作品。

田舎から出てきたロック狂のJB(ジャック・ブラック)とギターの腕前が抜群のミュージシャンのKG(カイル・ガス)がロックバンド“テネイシャスD”を結成し、悪魔の歯でできた運命のピックを探す冒険に出る。

ロック音楽と下ネタまみれの過激なギャグが満載であり、これが本作の最大の売りモノとなっている。これにプラスして猿人系モンスターが出てくるポップな色彩が魅力的な夢物語丸出しのファンタジー描写とパトカー数台とのカーチェイスが描かれる。この二つの描写が作品をさらに面白くさせていると言っても良い。ラストの悪魔の登場は冒険劇をベースにした作風と見事にマッチしており、描き方としては正しいと言えるし、なおかつ面白い。

脇を固める役者たちも面白い。JBとKGが訪れたギターショップの変な店員には製作総指揮も担当しているベン・スティラーが扮している。ラストで悪魔に変身する謎の男にはティム・ロビンスが扮している。この二人の存在はとにかくインパクトが強くて忘れられない。端役で『魔法にかけられて』(07)でヒロインを演じたエイミー・アダムスも出演している。

ストーリーは簡素化されており、上映時間は93分。細かいことを考えずに音楽と下ネタ系ギャグを存分に満喫できる作品だ。ただし、下ネタが大の苦手という方には本当にオススメできないのである。娯楽映画としての面白さはしっかりと発揮されているので、この点だけは素直に評価したい。

【70点】

テネイシャスD 運命のピックをさがせ!プレミアム・エディション DVD テネイシャスD 運命のピックをさがせ!プレミアム・エディション

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2008/12/19
Amazon.co.jpで詳細を確認する

テネイシャスD 運命のピックをさがせ!コレクターズBOX (初回限定生産) DVD テネイシャスD 運命のピックをさがせ!コレクターズBOX (初回限定生産)

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2008/12/19
Amazon.co.jpで詳細を確認する

テネイシャスD-運命のピックをさがせ!- Music テネイシャスD-運命のピックをさがせ!-

アーティスト:テネイシャス D
販売元:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
発売日:2008/07/02
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2008年7月23日 (水)

探偵マイク・ハマー 俺が掟だ!

40年代末から50年代初頭にかけてアメリカで人気を呼んだミッキー・スピレイン原作のハードボイルド小説「探偵マイク・ハマー」シリーズの中の「裁くのは俺だ」を映画化した作品。

私立探偵マイク・ハマー(アーマンド・アサンテ)は、ベトナム戦争の頃に片腕を無くしてまで自身を助けてくれた友人ジャックの射殺事件の調査を開始する。マイクと秘書ヴェルダ(ローレン・ランドン)は、ジャックが通っていたセックスクリニックの院長シャーロット(バーバラ・カレラ)やベトナム戦争時代に洗脳活動を行っていたロメロ大佐(バリー・スナイダー)が事件に関与していることを突き止めるのだが・・・・・・。

とにかくアクションとエロスによる見せ場が満載でサービス精神旺盛な出来栄えとなっている。アクションに関しては、カーチェイス、銃撃戦、爆破シーン、格闘シーンという具合にしっかりとツボが押さえられいる。迫力は大作アクション映画に比べるとパワーダウンするが、観る者が面白く思えるような描き方がなされているのでそれだけでも十分良い。ラストシーンで観られる地雷やリモコン仕掛けのマシンガンといったトラップが満載の要塞風敵アジトは見モノであり、そこで繰り広げられるアクションの数々はインパクトが強い。エロスに関しては、セックスクリニックでの乱交パーティーを思わせるようなシーンが第一の見せ場となり、第二の見せ場となるのがマイクとシャーロットの情熱的なベッドシーンだ。これらのシーンは、一つ間違えていれば完全な18禁ポルノ作品になっていたと思えるほどだ。本作の最大の魅力は、この二大サービスなのである。

本作のもう一つの魅力と言えば、やはりビル・コンティによる音楽である。特にオープニングとエンディングで流れるメインテーマ曲が最高にカッコよく、オープニングのクレジット映像とよくマッチしていて粋な印象を与える。他のBGMもアクションシーンをしっかりと盛り上げていて良い。BGMはエロスシーンでも効果を発揮している。先述したマイクとシャーロットの情熱さ満点のベッドシーンで使用されるBGMは、曲そのものが既に情熱的であり、場面と音楽が見事に絡み合っていて100%の情熱度を存分にアピールしている感じで忘れられないほどの強烈な印象を与える。

原作はハードボイルド小説であるが、マイク役にハードボイルドのイメージとはほど遠いラテン系顔のアーマンド・アサンテを起用していることをはじめ、作風そのものがハードボイルド色が殆ど感じられないやや軟派なB級娯楽映画のテイストで彩られているので結果的には本来の目的とはまったく違った方向の作品となってしまったのである。それでも観る者を飽きさせないように工夫が施された演出で成り立った純粋なB級娯楽アクションとして思いっきり楽しめるのでそれだけでも十分だ。また、本作はマニアの間ではかなり評判が良い作品であり、DVD化やサントラ盤のCD化を望む声が多い。

【80点】

Photo

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月22日 (火)

地球でいちばん幸せな場所

10歳の少女トゥイ(ファム・テイ・ハン)は両親を亡くして以来、叔父が経営するすだれ製造工場で働きながら暮らしている。だが、仕事のミスで叔父にキレられることに嫌気がさし、家出する。辿り着いたホーチミンの街で知り合ったフーティウ店の少年の紹介でバラの花束売りの仕事をすることになったトゥイは、誰も知らない人たちばかりのこの街で客室乗務員のラン(カット・リー)と動物園の飼育係担当の青年ハイ(レー・テー・ルー)に出会う。トゥイは、三人で暮らすことを願って二人を引き合わせるのだが・・・・・・。

一人の少女の五日間の家出劇を描いた本作は、一見ハートフルなファミリー向け作品だと思えるが、トゥイが偶然出会ったランとハイのそれぞれの不器用な恋愛模様の描写が大人の味を存分に引き出しているため、単なるファミリー向け作品とは一味違った作風に仕上がった。大人でも楽しめるような作り方は大いに認めたい。

本作は、殆どが手持ちカメラで撮影されており、その出来栄えは60年代フランス映画のヌーヴェルヴァーグ作品を彷彿とさせる。特にトゥイが児童施設に入れさせようとする職員から逃げ回るシーンは、ヌーヴェルヴァーグの代表作『勝手にしやがれ』(59)を思い出させる。

また、観る者をホーチミンの街にいるかのように思わせるための手段の一つとしてオール同時録音を施し、大量のバイクや車が走行する街の騒音をすべて拾ったのである。ホーチミンの街並の活写はリアルであり、エネルギッシュな感じが強くて印象深い。庶民の生活風景も興味深い。中でも夜の街並は一番インパクトが強く、アンダーグラウンドな雰囲気すら醸し出しており、エキゾチックな魅力を存分に感じさせてくれる。かりそめのベトナム観光を疑似体験できるような演出が素晴らしく、本作が持っている最大の魅力とも言える。

主人公トゥイのキャラクターも魅力的で良い。夢見がちであり、夢を実現させようとするひたむきな姿勢と負けず嫌いの強気な一面が印象的であり、そんな彼女が観る者に勇気を与えると同時に幸せな一時を感じさせてくれる。彼女を取り巻くランとハイの存在も忘れられない。二人は、トゥイに対して優しく接するが、トゥイが間違ったことをすればしっかりと叱ってくれるのだ。それも、ただ単に悪い部分だけをあげつらって激しくて厳しい叱り方をせず、しっかりと理由を話して諭すという優しさを内に秘めた方法で叱る。これこそ現代の社会が忘れている本当の優しさであることを実感させてくれる。

これまでに映画で描かれなかったベトナムの魅力と三人の主な登場人物が織り成す優しさと幸せを存分に満喫できるレアで貴重な作品と言いたい。

【80点】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月24日 (木)

動物、動物たち

パリ5区に存在する世界最大級の博物館として知られるフランス国立自然史博物館。その動物学大ギャラリー(現・進化大ギャラリー)は四世紀半に渡って閉鎖していた。だが、この大ギャラリーのリニューアルが決定し、91年から四年間に及ぶ大改修工事が行われ、その現場にドキュメンタリーの名匠ニコラ・フィリベールが潜入し、撮影を敢行した。

展示される多数の動物のミニチュアが随所に映し出され、動物に限らず昆虫類の蝶や甲殻類のエビまでもが登場。特に様々な種類のサルのとぼけたような表情がかすかに笑いを誘い、誠に微笑ましく思える。

作業員がミニチュアを絵筆で手入れし、その一方でクマの胸部にわらを詰め込んで縫い合わせる。また、関係者たちが展示方法について議論を交わす。中には標本のガラスケースに激しく拘る中年女性の姿も観られる。復活する大ギャラリーのために一生懸命取り組む剥製師や関係者の姿を捉えた映像は、ミニチュアはどのようにして作られているのかという興味深さとその驚くべき結果が観る者を惹きつかせる。同時に彼らの労力もしっかりと伝わってくる。

94年に製作された本作は、08年になってやっと日本で陽の目を浴びることとなった。上映時間はなんと59分。これは、まさにお得感のある貴重なドキュメンタリー作品だ。フィリベール監督をはじめ、劇中に登場する剥製師や関係者、そして日本の配給会社の方々の労をねぎらいたい。

動物、動物たち DVD 動物、動物たち

販売元:バップ
発売日:2008/08/27
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月27日 (木)

地上5センチの恋心

デパートの化粧品売り場に勤務する未亡人オデット(カトリーヌ・フロ)は、夜はダンサーの羽根織り仕事をし、寝る前にお気に入りの作家バルタザール・バルザン(アルベール・デュポンテル)の小説を読むことが至福のときであり、独自の幸せを掴んで毎日充実した生活を送っている。一方、バルダザールは公私ともに不幸な思いを募らせて充実しない生活を送っている。ある日、オデットはバルダザールのサイン会に参加し、自身の思いを綴ったファンレターを手渡した。その後、オデットの自宅に憧れのバルダザールが突然訪ねて来たのであった。

最高の劇作家であり、小説化でもあるエリック=エマニュエル・シュミットの映画監督デビュー作であり、ストーリーは自身の経験を基にしたフィクションである。

本作の魅力は、ポップな色彩とオデットが宙に浮いたり化粧品売り場の口紅が音楽に合わせて踊りだしたりといったファンタジックな描写である。これが作品のテーマである幸せにピッタリとマッチしており、観る者を嬉しくて楽しい気分にさせる。他にもエレガンスな雰囲気を漂わせた街の景観やオデット宅のインテリアも印象的だ。

また、ミュージカルテイストも取り入れられており、オデットが“黒いヴィーナス”と称されたシンガー、ジョセフィン・ベイカーの曲を口ずさんで踊るシーンは実に愉快で微笑ましい。劇中で使用されるベイカーの楽曲も幸せを感じさせるためのスパイスとして効果を発揮していると言える。

幸せとは何かをこっそりと教えてくれる本作は、日常生活に今一つ満足していない方々にとっては充実した生活が得られるためのヒントとなるだろう。

地上5センチの恋心 DVD 地上5センチの恋心

販売元:CCRE
発売日:2008/09/26
Amazon.co.jpで詳細を確認する

地上5センチの恋心/Odette Toulemonde 地上5センチの恋心/Odette Toulemonde
販売元:HMVジャパン
HMVジャパンで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月25日 (金)

知恵の木

舞台は1920年代のカンザス州の田舎町。良き両親に育てられた15歳の黒人少年ニュート(キール・ジョンソン)は、仲間たちや恋人(マイラ・ウォータース)と充実した楽しい日々を送り、様々な経験をする。だが、その一方で人種差別による迫害に直面し、これを通じて正しい判断力と勇気を身につけて成長していく。

黒人写真家として活躍していたゴードン・パークスの自伝的小説が原作でパークス自身が監督をはじめ脚本、製作、音楽を担当した本作はハリウッドで初めて黒人が手懸けた作品としても話題となった。

主人公ニュートの目を通して人種差別を描いており、小難しい社会派テイストや反人種差別を強調したプロパガンダ要素は一切なく、あくまでも青春映画、人間ドラマとしての面白さを前提に描いているのが良い。

大自然の映像が印象的であり、一カットが一枚の風景画のようだ。これは、パークス監督の写真家としての腕前が発揮されているといっても良いだろう。また、若者たちの日常の姿もキメ細やかに描かれており、静寂なタッチで詩情に満ち溢れた作風が劇中の人種差別や殺人シーンを柔らかく包み込み、ピュアな雰囲気を醸し出している。

パークス監督は本作の二年後に本格的な娯楽アクション『黒いジャガー』(71)を大ヒットへと導き、ブラックスプロイテーションのブームをヒートアップさせた。また、1989年にはこの年に初めて実施された「アメリカ国立フィルム登録簿」という制度で選定される二十五本の作品のうちの一本として本作が映画史に残る数々の名作とともに選ばれた。ちなみに『黒いジャガー』は2000年に選定された。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年1月18日 (金)

タランチュラ

ローマで女性が経営する美容サロンの美人客が残虐な手口で殺害される事件が多発。テリーニ警視(ジャンカルロ・ジャンニーニ)がこの事件の捜査を進めていくのだが・・・・・・。

冒頭からバーバラ・ブーシェが全裸で男からマッサージをされているというエロティックで刺激的なシーンが観られ、そのインパクトにノックアウトさせられる。その後、ブーシェは殺人鬼に殺害される。この殺人シーンは、エロティックな要素をしっかりと捉えながらも猟奇的でサディステックな手口でこれがまた印象深い。長い針で首を突き刺し、目を見開いて麻痺している状態で下腹部をナイフで突き刺して切り開く。この殺害方法は、毒グモのタランチュラを天敵であるスズメバチが一刺しし、麻痺している間に産卵するというやり方と同じであることを昆虫学者が語るシーンがあり、実際にスズメバチがタランチュラを仕留めるシーンも観られ、かなり興味深い。

中盤あたりからはテリーニ警視が事件を追う姿が描かれ、刑事サスペンス作品らしい仕上がりとなっている。また、テリーニ警視と妻アンナ(ステファン・サンドレッリ)との夫婦関係もしっかりと描かれていて良い。特に二人の朝っぱらからのベッドシーンが印象に残るのだが、これをベランダの窓越しから映し出しているのが実にエロティックである。また、何者かがこれを遠方からビデオカメラで撮影していることにも驚かされ、その後どうなるものかと思って観ていると警察署内の会議室で映し出され、テリーニ自身も観るハメになるのだ。やや可笑しいが印象に残るシーンである。

タイトルを聞けば毒グモによる昆虫パニック作品だと思えるが、立派なエロティック・サスペンス作品である。

タランチュラ DVD タランチュラ

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2004/12/22
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月14日 (金)

電撃脱走 地獄のターゲット

殺人罪で服役中のハリー(オリヴァー・リード)は、面会に来た妻パット(ジル・セント・ジョン)から他の男ができた上に妊娠したことを知らされる。これにマジギレしたハリーは、妻に対する復讐を誓い、相棒のバーディ(イアン・マクシェーン)やマクニール(フレディ・ジョーンズ)とともに脱獄する。

CM界出身のダグラス・ヒコックス監督の独特の映像が冴え渡る。冒頭で独房の天井に備え付けられている鉄の棒でハリーが筋トレをしているシーンの凝ったアングル、パットが面会に来た際に仕切りガラスに二人の顔が重なる映像という具合に映像作りのこだわりが抜群だ。

アクション映画としてはアクションシーンはかなりあっさりとした描き方だ。脱獄のシーンは緊張感を滲ませたサスペンス・タッチで描かれ、観る者に興味を抱かせハラハラさせる。洗濯物が大量に干されている建物の屋上で白バイに乗った二名の警官がハリーを追うシーンでは、ハリーが武器として愛用しているモーゼル銃をぶっ放して白バイを炎上させ、警官が火達磨になる。これが一番強烈な見せ場だ。バーディに裏切られ、元々パットと共謀していたという意外なドンデン返しに驚かされ、その直後に当時のアクション映画の流行であったカーチェイスも観られ、結構楽しませてくれる。全体的に言えば、派手さを抑えたB級アクションという感じである。

悪人顔のオリヴァーにハリー役が実にマッチしているかということも観ればわかるし、これがまた強烈なインパクトを与える。この際、映画史に残る名作『第三の男』(49)のキャロル・リード監督の甥ということは、本当にどうでもいいことだ。

ラストは悪すぎた男の人生の哀愁と悲愴感をたっぷりと漂わせ、観る者に悲しさと虚しさを残す。

Sitting Target [Original Motion Picture Soundtrack] Music Sitting Target [Original Motion Picture Soundtrack]

販売元:Finders Keepers
発売日:2006/03/27
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Photo

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年11月25日 (日)

ディテクティヴ

ジャン=クロード・ヴァン・ダムが再び日本のスクリーンに帰ってきた。05年に公開された『レクイエム』(04)以来、彼の新作はビデオ・DVDスルーだったためもう劇場でヴァン・ダムの活躍は観られないのかと一ファンとして不安になったが、2年振りに新作『ディテクティヴ』が劇場公開されることとなって誠に嬉しい限りだ。

舞台は悪が蔓延る街、フレンチクォーター。ストウ刑事(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)はかつては正義感の溢れる熱血漢であったが、今となってはドラッグと酒に溺れたダーティーな一匹狼刑事。そんな彼が元相棒で麻薬ギャングの大物キャラハン(スティーブン・レイ)を追って囮捜査を遂行していた。女性刑事を囮に使い、成功したかのように思えたが、キャラハンに逃げられ、女性刑事は殉職。孤立無援となったストウ刑事は、キャラハンを追い詰めていく。

ジャン=クロード・ヴァン・ダムがダーティーヒーローというこれまでとは一味も二味も違った役に挑戦。彼ならではのマーシャルアーツ仕込みの格闘アクションを堪能できなかったことが非常に悔やまれる。たった一度の投げ技、ごく普通のパンチとキックを少々、あとは拳銃片手に銃撃戦といった具合でファンにとっては物足りないと思えることに違いない。だから、本作ではアクションスターとしてのヴァン・ダムに期待せず、汚れ役という部分に注目すべきだ。ドラッグ、酒、夫婦仲も最悪という具合に落ちぶれ、挙句の果てには敵の一味に捕らえられ、痛めつけられた上に頭部に銃弾を喰らって半年間の昏睡状態に陥るという汚れた上に更なる大ピンチが重なったストウ刑事が復活し、敵と戦うという展開は現実離れしているようではあるが興味深い。

作風は、ノワール色の強いクライム作品という感じが基本的なベースとなっており、そこに地味なアクションシーンが見せ場として取り込まれている。展開はもたついている上にまだるっこさを感じさせてしまいこれが痛手となる。結果的に言えば、ヴァン・ダムファン向けのB級娯楽作品である。

本作を観る限り、四十代後半のヴァン・ダムは今後もアクションを控えめにして演技の部分を強調して活躍するような感じがする。それでもヴァン・ダムには次回作でも是非とも頑張っていただきたい。あの華麗なる回し蹴りを再び観たいと同時に新たなる役柄にも挑戦して更なる飛躍を遂げていただきたい。

ディテクティヴ DVD ディテクティヴ

販売元:アートポート
発売日:2007/12/21
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007年10月25日 (木)

デス・プルーフinグラインドハウス

ハリウッド映画界のオタクタッグであるクエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスが60年代から70年代のB級映画専門劇場「グラインドハウス」の世界を現代に復活させた。それは、各々が一本のB級テイストの作品を撮り、ニセ予告編を混ぜて二本立て形式で公開するという企画だ。日本ではこのアメリカ公開版を一週間限定で上映し、その後はディレクターズカット版として分けて上映するという形式を取った。

『デス・プルーフ』はクエンティン・タランティーノ監督作品でカート・ラッセル主演。全体的には若い女性キャラクターが多く登場するガールズムービーであり、シドニー・タミア・ポワチエ(名優シドニー・ポワチエの実娘)、ヴァネッサ・フェルリト、ジョーダン・ラッドらが活躍するスプラッター系ホラーの前半とその14ヶ月後の出来事を描いたトレイシー・トムズ、ゾーイ・ベル、ロザリオ・ドーソン、メアリー・エリザベス・ウィンステッドらが出演するカーアクションの後半という感じで前後でジャンルも異なれば女性の登場人物も異なるという二部構成と言っても良い設定は、まさに一本で二本分観たというお得な感覚すら感じてしまう。

夜のバーに集まる女性客を不気味なシボレーに乗ったサイコ風スタントマンのマイク(カート・ラッセル)がこの車を武器に襲い掛かる。このシンプルなストーリーこそ単純明快な娯楽映画に必要な要素だ。

女性キャストによるガールズトークをはじめ退屈さを感じさせるシーンが多く、これが展開をダラダラとさせる。だが、魅せる部分はしっかりと魅せており、刺激的で血生臭いスプラッター描写に激しいカーチェイスと豪快なカークラッシュという具合にツボはしっかりと押さえている。B級娯楽作品らしい描き方を忠実に踏襲しているのだ。

劇中に登場するバーのセット(タランティーノの私物であるジュークボックスも注目点)や照明、出演者の衣装に劇用車もかなりお洒落であり、スタイリッシュな映像に仕上げるためのエッセンスとなっている。映像にはグラインドハウス上映作品によく観られがちだったキズやノイズをあえてつけてみたりときめ細かく再現されている。

登場人物の口から出る数々のカーアクション作品のタイトルというように本作でもオタクぶりを発揮させたタランティーノ節が炸裂する。それと同時に足フェチという新たな一面も魅せつけた。タランティーノはかつての作品でも監督意外に出演や脚本を担当してきたが、本作では撮影も担当した。長身かつ美脚の美女を舐め回すかのようなカメラワークが足フェチらしさを存分に発揮させている。

ついつい吹き出してしまう可笑しなエンドクレジットまでB級テイストを最大限に発揮させていた本作。タランティーノの前作『キルビル』二部作もグラインドハウスで上映されたジャンル映画にオマージュを捧げた作品だったが、今思えば本作の予兆を感じさせる作品だった。

デス・プルーフ プレミアム・エディション DVD デス・プルーフ プレミアム・エディション

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2008/02/22
Amazon.co.jpで詳細を確認する

デス・プルーフ in グラインドハウス Music デス・プルーフ in グラインドハウス

アーティスト:コースターズ,ドジー・ビーキー,ミック&ティック デイヴ・ディー,ピノ・ドナッジオ,ウィリー・デヴィル,トレイシー・トムズ,エディ・ベラン,エイプリル・マーチ,ジャック・ニッチェ,スミス,エンニオ・モリコーネ,エリ・ロス
販売元:WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M)
発売日:2007/08/29
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Death Proof Music Death Proof

アーティスト:Original Soundtrack
販売元:Warner Bros.
発売日:2007/04/03
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (1) | トラックバック (9)

2007年10月24日 (水)

天使の復讐

縫製工場に勤務する聾唖の若い女性ターナ(ゾー・タマリス)が帰宅途中に不気味なマスクを装着した男に銃で脅され強姦される。ショックを受けながらも自宅へたどり着くが、不法侵入した強盗犯にも銃で脅され強姦される。その際、文鎮で犯人の頭部を殴りつけ、とどめにアイロンで撲殺。拳銃を入手したターナは、トラウマによる極度の被害妄想と男性に対する不信感に心神を衰弱されながらも街中の悪そうな男を射殺するという独自の復讐をはじめる。

強姦されたターナが恐怖と不安を抱き、被害妄想に囚われる姿をサスペンスタッチで描いており、これが実に巧い。暗い性格を作品全体に漂わせてダークな世界観を見事に形成している。

ターナがアイロンで殴り殺した男を浴槽に移して小型ノコギリで切断するシーンは、猟奇的でおとなしい女性の心に潜む憎悪が存分に感じ取られ、これが恐怖を倍増させる。また、街中のダニ男たちを次々と拳銃をぶっ放して射殺していく姿が見所となるが、これはまさにチャールズ・ブロンソン主演の“デス・ウィッシュ”シリーズ第一弾『狼よさらば』(74)の女性版とも言える。この設定だけでなく、殺人を犯したことによるショックからトイレで嘔吐するシーンは、『狼よさらば』と全く同じである。だから、本作を観て『狼よさらば』を思い出す方々も結構いるのではないだろうか。

ラストのパーティー会場での壮絶なシーンはスローモーションが効果的に活用され、これがバイオレンスのレベルを高め、大殺戮絵巻と呼ぶに相応しい描き方で観る者に強烈なインパクトを与える。クライマックスで十分に見応えのあるシーンを魅せつけているという点を高く評価したい。

悲しみに始まり悲しみで終わる地味なB級バイオレンスアクションの佳作である。一時間二十分弱の上映時間だから暇つぶしには持って来いだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月 6日 (土)

TAXi④

フランス国民の三人に一人が観たというコメディー系カー・アクション『TAXi』シリーズの第四弾。

レーシング仕様にチューンナップされたプジョー407をぶっ飛ばすタクシー・ドライバーのダニエル(サミー・ナセリ)とマヌケな刑事のエミリアン(フレデリック・ディファンタール)がヨーロッパ中から指名手配されている凶悪犯とその一味を追ってモナコに辿り着く。

本作は肝心のカー・アクションがかなり控えめであり、その分コメディーにウェイトを置いている。簡単に言えば、アクションはパワーアップし、笑いはパワーアップしているのだ。笑いに関しては、おバカさを強調した感じが強くて結構笑えるのでそれだけでも十分に楽しむことができる。バカ署長のジベール(ベルナール・ファルシー)がこの部分で大いに活躍している。主役のダニエルら個性的なキャラクターを喰ってしまい、本来のカー・チェイスよりも彼の活躍が見所となってしまった。迫力のあるカー・チェイスさえしっかりと描くことが出来ていればもっと出来栄えは良かったはずだ。そう思えてしまうことが少々残念だ。

ラストの壮絶な銃撃戦がアクション作品としての最大の見せ場となり、その魅力と面白さが最大に発揮される。この見応えのある銃撃戦でもジベールが活躍する。ひょんなことでシャブ中になり、テンションを上げすぎてマシンガンを乱射し、バズーカ砲までぶっ放してしまう。アクションも凄いが、ジベールのバカキャラクターぶりもヒートアップしてしまったのである。結局は、アクションも笑いに飲み込まれてしまったのだ。

前作『TAXi3』(02)では、シルヴェスター・スタローンとK-1ファイターのシリル・アビディがカメオ出演という形で顔を見せて驚かせたが、今回は“フランスの怪物”と称される国民的サッカー選手のジブリル・シセがマルセイユに移籍する選手役で出演している。ダニエルとエミリアンとの絡みも見所の一つであり、特にサッカーファンにとっては嬉しく思えるだろう。

このシリーズは今後も続編が製作されると思うが、次回作ではコメディー・テイストは本作の調子で描き、肝心のカー・アクションを強化すると同時にド派手な銃撃戦や爆破シーンも取り入れてシリーズ中もっともハードな作品に仕上がることを期待したい。本作も一ファンとして十分に楽しむことが出来たが、アクションに期待していたファンにとっては物足りなさを感じるだろう。

TAXi4 DTSスペシャル・エディション DVD TAXi4 DTSスペシャル・エディション

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2008/01/11
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (5)

2007年10月 4日 (木)

ダイ・ハード4.0

あの運の悪い不死身の刑事が再びスクリーンに姿を魅せた。第一弾から18年、第三弾から12年、『ダイ・ハード』シリーズの第四弾がついに公開された。監督は『アンダーワールド』二部作のレン・ワイズマン。

コンピューターを狂わせるサイバー・テロが仕掛けられたことによってアメリカの政府や都市の機能を麻痺させてしまう。その頃、マクレーン警部補(ブルース・ウィリス)は娘と会っていた。だが、FBIの要請でサイバー・テロの関連人物と思われる若手ハッカーのマットをニュージャージーからワシントンへ護送することとなる。マクレーンは、この時点で事件に巻き込まれてしまい、テロ組織との激闘が始まった。

52歳のブルース・ウィリスが激しすぎるアクションを魅せつける。かつてのシリーズと比較するとより一層パワーアップしている。50代を過ぎてもハードなアクションができることから今後もこの手のアクション作品での活躍が期待できるだろう。体力の限界や無理をしているといった感じはスクリーンからは伝わってこなかったが、ブルース本人は相当厳しかったと語っている。60代を超えてもアクション映画で活躍していたジョン・ウェイン、チャールズ・ブロンソン、67歳になった今でもアクション一筋で活躍しているチャック・ノリスや『ロッキー・ザ・ファイナル』(06)で再び元気の良さをアピールし、『ランボー4』(08)の公開が待機されている61歳のシルヴェスター・スタローンのようにブルースも60代を超えても素晴らしいアクション作品で活躍できるはずだ。これは、56歳のスティーブン・セガールにも言えることだ。ただし、ブロンソンやノリスのようにアクションだけにこだわりすぎてB級アクション・スターとして終わらないためにもコメディー、サスペンス、人間ドラマといった様々なジャンルの作品でも良い演技を魅せてほしいものだ。

内容もシリーズ最大のパワーを発揮しており、映像技術が発達しているからこそだと言える。序盤から家屋の大爆破シーン、その後も激しい銃撃戦にカー・チェイス、再び大爆破、体を張った肉弾戦といったド派手な見せ場がふんだんに盛り込まれており、それが現実離れした過激な描き方となっている。ポリス・アクションというジャンルはハリウッドをはじめとする外国映画や70年代から80年代後半の日本のTV刑事ドラマを観ても分かるように現実離れしやすいジャンルである。だから、荒唐無稽な内容を存分に楽しむだけで良いのだ。それこそが本当の娯楽アクション作品だと断言しても良いのだ。観る者を飽きさせないための見せ場作りが抜群に巧く、テンポとリズムもすこぶる良いので二時間九分の上映時間を最高の気持ち良さと面白さを感じながら過ごすことができる。結果的に言えば、満点を超えるほどの素晴らしい仕上がりとなっている。

もしも第五弾が製作されるとならば本作を超えることができるかどうかが大問題であり、ブルースにとってはかなり厳しすぎる挑戦になるだろう。

ダイ・ハード4.0 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付き・2枚組) DVD ダイ・ハード4.0 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付き・2枚組)

販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2007/11/07
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (2) | トラックバック (18)

2007年6月18日 (月)

ツォツィ

舞台は南アフリカのヨハネスブルクのスラム街。アパルトヘイトは廃止されたものの現在でもその名残が消えないこの無法地帯に誰にも本名を明かさず、ツォツィ(不良少年の意)と名乗る若者(プレスリー・チュエニヤハエ)がいる。彼とその友人たちは暴力や窃盗に明け暮れる日々を過ごす。ある日、ツォツィはBMWを運転中の女性を銃で脅し、一発の銃弾を食らわせた上に車を奪って逃走。逃走中、後部座席に生まれて間もない赤ん坊が乗っていることに気づく。ツォツィは、この赤ん坊によって人間らしい感情を徐々に取り戻す。

ツォツィは、赤ん坊を拾ったことで人間らしい感情を徐々に取り戻していくが、そのまま更正の道を真っ直ぐに歩んでいくといったよくありがちな物語ではないのが逆に新鮮味を感じさせる。人間の感情を取り戻しながらも度々悪事を働かせる。実に手のつけようのない札付きのヤンキーという感じであるが、その手口はかなり度が過ぎているといってもよいほどだ。アメリカのストリート・ギャングや日本のヤンキー以上に恐ろしすぎる。このツォツィの描き方からは、南アフリカのスラム街の治安の悪さが伺え、それと同時に作品全体からは、南アフリカの厳しい状況をしっかりと浮き彫りにさせた上で巧く写実できている。現在の日本の少年犯罪もエスカレートしているが、政府や警察、教育関係者、子を持つ親は本作を観て少年犯罪や非行の凶悪化をじっくりと考えてみても良いだろう。

クワイトと称されるアフリカ製ヒップホップが全編を彩るこの作品は、ヒップホップ色の強いアメリカの90年代ブラックスプロイテーション作品にかなり近い仕上がりであり、何らかの影響を受けているようである。

2005年度アカデミー賞外国語映画賞受賞作。監督のギャビン・フッドは本作が三度目の長編作品への挑戦であり、日本で彼の作品が公開されたのは本作が初となる。

ツォツィ プレミアム・エディション(2枚組) DVD ツォツィ プレミアム・エディション(2枚組)

販売元:Happinet(SB)(D)
発売日:2007/10/05
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (1) | トラックバック (5)

2007年6月 3日 (日)

ダフト・パンク エレクトロマ

フランスの人気テクノ・ユニット、ダフトパンクのトーマ・バンガルテルとギ=マニュエル・ドゥ・オマが監督と脚本に挑戦した異色の作品。

人間になりたいと思う二体のロボットによるロード・ムービーという内容であるが、セリフが一切無いということもあってストーリーは至って単純化されたものである。もっと率直に言えば、ストーリーはあって無いようなものだ。セリフが無い代わりに映像のみで表現されているのである。その映像は、まさに驚異的なヴィジュアルといった感じでそこからは虚無感すら覚えてしまうこともある。この映像で全編に音楽で彩れば単なるPV映像になってしまいそうだが、そこはしっかりと適度に使用されており、ダフトパンク以外のミュージシャンの楽曲も使用されている。

全体的に言えば、実験的なアヴァンギャルド作品といった感じではあるが、そこにダフト・パンクのクリエイターとしての才能とその素晴らしさを垣間見ることができたのである。

映画としてはどうなのかと疑問を抱く方々もいるとは思うが、このような作品もたまには良いだろう。個人的には、ダフト・パンクのファンが本作を観てどのように思うのかが気掛かりである。

ダフト・パンク エレクトロマ DVD ダフト・パンク エレクトロマ

販売元:エイベックス・トラックス
発売日:2007/09/26
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年4月29日 (日)

ドリームガールズ

ブロードウェイで大ヒットしたミュージカルを『シカゴ』(03)の脚本家ビル・コンドルが見事に映像化。ダイアナ・ロスとシュープリームスの実話をベースにした物語である。

舞台は1962年のデトロイト。世間では、モータウン・レコードの影響で黒人向けの大衆音楽であるソウルミュージックが幅広く浸透していた時代であった。仲の良い女性三人組からなるコーラス・グループ、ドリーメッツは、夢を実現させるためにオーディションで歌うが、結果は不合格。会場に居合わせたマネージャー、カーティス(ジェイミー・フォックス)が三人の実力と才能を認めた上でスカウトし、大スターであるジェームズ・“サンダー”・アーリー(エディ・マーフィ)のバックコーラスとしてデビューさせる。その後、ドリーメッツは、カーティスのアドバイスでドリームズに改名し、新たなるスタートを切り出した瞬間にスターダムへと上り詰めた。だが、歌声に自信のあるエフィ(ジェニファー・ハドソン)は、ルックスが抜群のディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)がリードヴォーカル担当にさせられたことを嫉妬し、それが原因で三人に亀裂が生じることとなる。

全編が歌とパフォーマンスで彩られているのが本作の最大の特色である。ビヨンセ・ノウルズ、ジェイミー・フォックス、エディ・マーフィ、ダニー・グローヴァー、そして新人ジェニファー・ハドソンと豪華な芸達者が華を添える。キャストが披露する数々の歌やパフォーマンスはまさに魅力的であり、見応えも十分。素晴らしさとノリの良さに圧倒されると同時に酔いしれる。特にジェニファー・ハドソンの新人とは思えないほどの抜群の演技力とパワフルな歌唱力は、他の出演者たちを喰うほどの勢いを感じさせ、脱帽させられるほどである。

ストーリーは、単純化された分かりやすい内容となっおり、メインの歌やパフォーマンスを存分に楽しめるように作られている。観る者を作品の世界へグイグイと引き込ませるパワーすら感じられる。

本作で描かれる60年代から70年代の黒人文化や社会も注目に値する。衣装は当事のブラックミュージシャンのファッションをしっかりと忠実に再現できており、ステージ等のセットも完璧で60年代から70年代ならではの独特の雰囲気を感じさせ、かなりゴージャスに仕上がっている。また、街中での暴動のシーンが観られるが、当事の黒人社会の病的な一部を少しだけではあるが描かれている。

最後は感動すら覚えてしまうほどの嬉しさと爽快感が余韻に残り、実にゴキゲンな気分にさせられる。本作は、ミュージカル映画としても音楽映画としても最高の出来栄えであり、一級のエンターテイメントと呼ぶに相応しい最高の作品だと言いたい。

ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション DVD ドリームガールズ

販売元:パラマウント
発売日:2007/06/22
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (1) | トラックバック (20)

2007年2月25日 (日)

DOA/デッド・オア・アライブ

世界中で大ヒットした格闘ゲームを実写化したアクション作品。

ドアテク・アイランドという孤島で開催される格闘技世界最強トーナメント、“DOA(デッド・オア・アライブ)”。行方不明の兄を捜す女忍かすみ(デヴォン青木)、女子レスラーのティナ(ジェイミー・プレスリー)、女窃盗犯クリスティー(ホリー・ヴァランス)らが参加し、壮絶なバトルを繰り広げる。だが、主催者である科学者ドノヴァン(エリック・ロバーツ)による恐るべき陰謀に巻き込まれたため、参加者たちは協力し合って陰謀に立ち向かう。

アクションとセクシーが売りの娯楽作品である。原作がTVゲームということでゲームを意識した演出による面白さを感じ取ることができる。見所である格闘シーンはワイヤー・ワークを駆使し、自由なアングルと巧みなカット割りがさらに効果を発揮させ、キレ味の鋭いパワフルなシーンに仕上がっており、テンポ良く描かれている。また、セクシー描写に関しては、ギリギリのセクシーラインで巧く描けていると言った感じで過剰なセクシーさやエロスを追及していないので丁度良い描き方だと言える。ストーリーは単純構成で上映時間も86分だから美女たちの格闘シーンとほど良いセクシーを満喫するだけで良いだろう。結果的には、典型的なB級娯楽アクション映画である。

本作では、日本でお馴染みのケイン・コスギが出演しており、ハリウッド・デビューを飾ったのである。彼ならではの抜群の身体能力を活かしたアクション・シーン、誠実な人柄を垣間見ることができる。次は、スティーブン・セガール、ジャン・クロード・ヴァン・ダム、ザ・ロック、ウェズリー・スナイプスあたりと競演していただきたい。

DOA/デッド・オア・アライブ デラックス版 DVD DOA/デッド・オア・アライブ デラックス版

発売日:2007/08/03
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (1) | トラックバック (16)

2006年11月25日 (土)

デトネーター

ルーマニアにて連続撮影されたウェズリー・スナイプス主演のアクション系Vシネマ三作品を交互に上映する企画、「スナイプスの大運動会」のプログラム第二弾。スナイプスは、本作でスパイ・アクションという種目に挑戦。

核兵器密輸組織の壊滅という任務を命じられた元CIF捜査官、グリフィス(ウェズリー・スナイプス)は、ポーランドに赴く。核兵器を入手するための資金となる3000万ドルの在り処を知るロシア人美女を護衛するという新たな任務を命じられる。だが、任務を遂行中に何者かに襲撃されてしまう。グリフィスは、たった一人で組織に立ち向かう。

見所は、やはりド派手なアクション・シーンである。『ザ・マークスマン』(05)では見せることのできなかったスナイプスのマーシャルアーツ仕込みの格闘シーンが堪能でき、カッコ良さが魅力的である。他にも銃撃戦、カー・チェイス、爆破シーンといった迫力満点で見応えのあるアクション演出も堪能できる。これらの演出は定石通りではあるが、存分に楽しめるのが最高に良い。

本作は、お気楽なB級娯楽アクション映画としては上出来だと言える。

デトネーター DVD デトネーター

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2007/01/24
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (2) | トラックバック (9)

2006年10月28日 (土)

デス・レース2000年

独裁国家となった2001年のアメリカを舞台に、年に一度だけ開催される国民的イベント“デス・レース”を描いたカー・アクション映画。

“デス・レース”のルールそのものがとにかく乱暴すぎる。それは、単なる大陸横断のカー・レースではあるが、街を歩く人々を轢き殺すとポイントが加算されるといった狂気に満ちたシステムが導入されている。まさに殺人レースである。

そんな狂気なレースに参加するのは、黒いマントと黒いライディングスーツに身を包んだ覆面レーサー、フランケンシュタイン(デヴィッド・キャラダイン)ら五名のレーサーである。その中には、フランケンシュタインに対し敵対心を剥き出すマシンガン・ジョーという男がいる。演じているのはシルベスター・スタローンである。当時のスタローンは無名であり、『ロッキー』(76)で頭角を現す数ヶ月前である。初々しい姿が印象に残る。

各レーサーが乗り回すスポーツカーも強烈なインパクトを与える。奇抜の度が過ぎたデザインは、不気味な雰囲気を醸成させる。そんな車が次々と人を轢き殺し、モンスター・カーらしさを最大に発揮している。そういったシーンをコメディータッチでコミカルに描いており、その点に関しては気分を悪くする人も少なくはないだろう。また、隙が多いためにチープな映像となっているが、爆破シーン等の迫力を感じさせる描写を盛り込むことによってカバーされている。

狂気に満ち溢れた漫画チックな作品である本作は、3年後に続編『DEATH SPORT』が製作された。しかし、日本では劇場公開されず、ビデオ販売やTV放映さえされていない。

デス・レース2000 DVD デス・レース2000

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2001/03/23
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年10月 3日 (火)

透明人間 (1933)

若い科学者、ジャック(クロード・レインズ)は透明になることができる劇薬モノチンを開発し、投与した結果、副作用として全身が透明になってしまった。それどころか殺人まで犯してしまい、町の人々を大パニックへと陥れてしまった。

『フランケンシュタイン』(31)で名声を上げたジェームズ・ホエール監督がH・G・ウェルズの原作を映像化。両作品の共通点は、科学の成長化がもたらすデメリットを描写したことである。

全身包帯の男が包帯を解けば顔がなく、かぶっている帽子とサングラスが空中に浮いているという特撮は実に巧みである。特撮技術が発達している現代においては、特に驚くべきことではないが、当時としてはかなり良くできた技術であった。そういったシーンは恐怖というよりもおかしいというイメージである。現在でもこの技術を駆使して笑いを誘うお笑い番組をまれに見かけることがある。

モンスター系ホラー映画の老舗であるユニバーサル社は、“モンスター”フランケンシュタインや魔人ドラキュラに続いて透明人間を人気モンスターのキャラクターとして登場させたのであった。

透明人間 (初回限定生産) DVD 透明人間 (初回限定生産)

販売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
発売日:2006/07/28
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月15日 (火)

ディセント

冒険好きな女性、サラ(シャウナ・マクドナルド)は交通事故に遭遇し、夫と娘を亡くす。1年後、悲しみから立ち直ろうとしている中、仲間である女性5人とアパラチア山脈の奥地に存在する地下洞窟の探険へと出向く。最初は探険を楽しんでいたが、突然の岩盤崩壊によって出口が塞がれ、閉じ込められた状態になる。そして次から次へと最悪な事態に出くわすハメとなる。

大半が洞窟内でストーリーが展開され、緊迫感と閉塞感とが同時に味わえる構成である。また、テーマパークのお化け屋敷に通じるものすら感じられる。

ショッキングな映像、突然脅かされるようなシーン、効果的に使用される薄気味悪い音楽、スリリングな描写といった恐怖感を煽り立てる演出は工夫が施されており、素直に良いと思う。ストーリーが進展するにつれハードな描写はヒートアップし、テンポもレベルアップする。

様々なホラー映画の要素が取り込まれている。サスペンスタッチ、スプラッター描写、モンスターパニック、そして『バイオハザード』(00)のようなアクション色といった感じでそれらの面白さを巧く凝縮させている。無類のホラー映画好きにとってはたまらないプレゼントになるだろう。

THE DESCENT DVD THE DESCENT

販売元:エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
発売日:2006/11/29
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (18)

2006年6月21日 (水)

ダブルD・アベンジャー

人気パブの女性オーナーであるチャステディー(キトゥン・ナティヴィダッド)は乳癌を治療するため、伝説の果実クロコジラを求めて南米へ旅立つ。クロコジラを発見し、口にするととてつもないパワーに恵まれ、乳癌を完治させたと同時に絶倫パワーによる変身能力も身につけてしまった。そんな彼女が悪徳ストリップクラブのオーナーと配下の爆乳女三人組を相手に、メガパイ・レンジャーに変身して奮闘する。

本作の監督であるウィリアム・ウィンクラーは“キング・オブ・エロス”ことラス・メイヤー監督の熱狂的なファンであり、メイヤー監督作でお馴染みの爆乳女優たちを結集させた。彼女たちの年を重ねても衰えない爆乳に驚愕すると同時に圧倒されてしまう。

インディーズ作品だけに映像も不鮮明であり、BGMもかつてのヒーロー物のような感じで古臭い印象を与えたりととにかくツッコミ所が満載である。全体的にチープで隙だらけではあるが、その分、強烈なインパクトを与える。

筋立ては単純明快で分かりやすく、セリフは下ネタ満載で思わず頭に?マークを描いてしまうようなものであったり、アクションシーンは吹き出しそうになるほどの出来栄えであったりとこのような度が過ぎたお馬鹿パワーにノックアウトさせられる。

お馬鹿とセクシーのダブル攻撃に参ってしまった・・・・・・

ダブルD・アベンジャー DVD ダブルD・アベンジャー

販売元:キングレコード
発売日:2006/09/06
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2006年6月11日 (日)

トランスポーター2

フランク(ジェイソン・ステイサム)は運び屋稼業から足を洗うことを決意し、ビリングス家の一人息子であるジャックの送り迎え専門ドライバーをやっていた。ある日、悪の集団にジャックを誘拐されてしまう。フランクはジャックを救出するために悪の集団に牙を向くが、とてつもない陰謀に巻き込まれてしまう。

ド派手な見せ場が満載であり、そのスケールの大きさは前作よりもはるかにパワーアップされたものである。カーチェイスはスリリングでスピード感を満喫させ、銃撃戦や爆破シーンも迫力満点で圧倒させられる。ファイトシーンもキレ味が抜群であり、武術指導を担当したコリー・ユンの才腕とジェイソン・ステイサムの無駄を感じさせないスマートかつシャープなカンフー仕込みの立ち回りが最大の成果を発揮させた。

そういったアクションシーンをカメラワーク、自由なアングル、巧みなカット割り、CGがスタイリッシュかつ斬新な映像へと仕立て上げ、迫力度をさらにヒートアップさせた。テンポやリズムのバランスも良く、アクション映画としての醍醐味を存分に愉しませてくれる。

面白い作品に仕上げるためのアイデアも十分に活かされている。格好いい劇用車、タフでセクシーな悪女、音楽、小道具、衣装等は魅力的であり、面白さを一段と倍増させる。

87分の上映時間内に面白さを凝縮させた本作こそ娯楽アクション映画の本来の姿であることを実感させられた。

トランスポーター2 DTSスペシャル・エディション DVD トランスポーター2 DTSスペシャル・エディション

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2006/10/13
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (3) | トラックバック (29)

2006年5月 2日 (火)

テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる

売春を繰り返す女子高生がその現場を担任教師に見つかり、肉体関係を築くことによって見逃してもらう。だが、彼女に妊娠が発覚し、担任教師は殺し屋三兄弟にバラバラ殺人を命ずる。殺された女子高生はサイボーグ化し、復讐を企てる。ストーリー自体が荒唐無稽であり、チープである。

韓国のインディーズ作品である。それだけに映像も不鮮明であったり、隙がありすぎたりといったアマチュア作品さながらの作り方である。ホラー、SF、ポルノの要素を少しずつ散りばめてみたりとインパクトの強い映像を作り出すような工夫を施しているように感じられる。

全体的に言えば、プロモーションビデオのような雰囲気である。エログロナンセンスの三拍子が揃ったとんでもない傑作であることは間違いないだろう。

長ったらしいタイトルも内容と同様にインパクト大である。

テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる DVD テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる

販売元:ジーダス(JSDSS)
発売日:2003/11/28
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年3月27日 (月)

地下鉄のザジ

レーモン・クノーの原作をヌーヴェル・ヴァーグの代表的存在であるルイ・マル監督が映像化。

母に連れられてパリに来た田舎娘ザジは、伯父に預けられる。地下鉄に乗りたがるがストのために乗れない。そこからザジの不思議な冒険が展開する。

ザジのキャラクターを巧く描いている。毒舌かつ小生意気で大人たちも彼女に手を焼くが、少女としての可愛らしさも十分に描写する。

見知らぬ男に追われるシーンはとにかく印象的である。トリックを活かし、スピーディーな映像はドタバタ喜劇の雰囲気を醸成する。「追いかけっこ」の面白さを堪能できる。

愉快で明るいイメージが心を和ませる面白い作品である。

地下鉄のザジ DVD 地下鉄のザジ

販売元:紀伊國屋書店
発売日:2006/06/24
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (1)