2009年11月 9日 (月)

PUSH 光と闇の能力者

念動力<ムーバー>の第二世代であるニック(クリス・エヴァンス)のもとに13歳の少女キャシー(ダコタ・ファニング)が現れる。彼女は予知能力<ウォッチャー>を備えており、600万ドルが入っている謎のケースを持つ女を探して欲しいとニックを訪ねて来たのである。女は謎の政府機関“ディビジョン”から脱走してきたキラ(カミーラ・ベル)であり、他人の思考を乗っ取る力を備えた者<プッシャー>であった。キャシーの依頼以後、ニックはディヴィジョンが送り込んだ超能力者たちから命を狙われ、キャシーとともに挑むことを決めるが・・・・・・。

善と悪の超能力対決を描いた本作。この視点から考慮するとSFアクションに強い期待を抱いてしまうが、どちらかと言えばクライム・サスペンスドラマに比重が置かれている。見方と敵の駆け引きをはじめとするドラマ描写等は良しとするが、途中で分かりづらくなってしまうのが痛手だ。だから、もっとSFアクションの見せ場を用意した方がさらに面白く仕上がっていただろう。

舞台は香港で街並みの活写はスタイリッシュで見応えは抜群。この点に関して言えば、ポール・マクギガン監督が『ラッキーナンバー7』(06)で魅せた映像センスに更に磨きをかけ、パワーアップしたことがわかった。

また、子役のイメージが根付いているダコタ・ファニングの脱子役感を味わえることもかなり興味深いポイントだ。中でも酒を飲んで酔っているサマには、唖然とさせられてしまうだろう。

本作において何よりも面白いのは、やはりクライマックスのアクションだ。VFXを駆使した超能力攻撃は、漫画やゲームのようなケレン味が感じられ、これにガンアクションと格闘アクションもミックスされてなかなか見応えのあるシーンに仕上がっている。建築真っ只中(足場が竹で組み込まれている)の建物をバックにしており、これが『ラッシュアワー2』(01)を少し彷彿させる。

香港、ダコタ、SFアクションに注目の一作。

【60点】

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2009年11月 4日 (水)

ファイナル・デス・ゲーム

スペインで友人たちとサーフィンを楽しんでいるアメリカ人大学生ジェイソン(マイク・ヴォーゲル)がある日、不気味な骨董品店で“マンバ”というこれまた見た目が不気味なボードゲームを入手する。このボードゲームは15世紀に魔女の皮と血と涙で作られたものであり、内容は勝てばどんな願い事でも一つだけ叶うが、負ければカードに示された内容通りに死を遂げてしまうという恐ろし過ぎるもの。その内容を知らないジェイソンは、仲間たちとともにこのゲームをプレイするが・・・・・・。

『ジュマンジ』とその続編『ザスーラ』のホラー版とも言える本作。邦題からは『ファイナル・デスティネーション』シリーズのような感じではあるが、少し似通った部分はある。『ファイナル~』シリーズは、主人公が見た予知夢通りの順に人々が怪死を遂げていくが、こちらは先述したようにゲームで負けた者が死を遂げていくというもの。恐らく『ファイナル~』シリーズの影響を少しは受けているのだと思う。

見所はゲームの敗者の死に様だ。『ファイナル~』シリーズと比較するとかなり大人しい感じではあるものの、グロさを魅せつけたりという具合に観る者の印象に残るような描写となっているため、ホラー作品として普通に楽しめる。カニ軍団、“ブラックマンバ”という名のヘビ軍団、突然老婆化に大注目だ。

もう一つの注目ポイントは、マンバの犠牲者を追うイサル刑事だ。後半で彼の本性が明かされる。“彼に何があったのか?”が観る者を驚かせる。

上映時間は88分。とにかく気楽なB級サスペンス・ホラーとして楽しめるのが何よりも良い。

【70点】

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2009年10月16日 (金)

ファイナル・デッドサーキット3D

死の運命に翻弄された挙句にショッキングな死を遂げてしまう若者たちの姿を描いた人気ホラーのシリーズ第四弾。しかも、今回は現在流行中のデジタル3Dバージョン。監督は、第二弾『デッドコースター』を手懸けたデヴィッド・R・エリスが登板。

ニック(ボビー・カンポ)とローリ(シャンテル・ヴァンサンテ)の大学生カップルは友人のジャネット(ヘイリー・ウェブ)とハント(ニック・ザーノ)のカップルとサーキット場でのカーレース見物ダブルデートを楽しんでいた。レースが最高潮に達したとき、ニックはレースカーがクラッシュして大炎上し、サーキット場が大惨事になるという予知夢を見る。その予知夢は現実化し、ニックら九名の人々はなんとか逃れられたものの、その後は予知夢で見た順番通りに次々と生存者がショッキングな怪死を遂げていく・・・・・・。

このシリーズと言えば、悪趣味系作品の趣向が盛り込まれているが、今回はこれを一段と強化してシリーズ中最高のグロさを露呈してしまった。それは、死ぬ際に臓器や肉片がはっきりと観られることだ。悪趣味らしさが高まったどころかB級レベルもアップしてしまったのである。そこは、エリス監督がかつて手懸けた作品の中に飛行機内でヘビが大量発生するB級モンスター・パニック作品『スネーク・フライト』があったことを思うとこのB級らしさには納得できるし、この作品で発揮させたB級感覚を本作で活かせたのだと捉えることができる。エリス監督はスプラッター好きの期待に応えられるようなネタを用意して観る者に強烈な印象を与えることに成功したのである。

生存者たちが死ぬまでの描写はワンパターンだと思えるが、そこは細かいことを言わずに「またやってるな!」、「これがシリーズの持ち味」と思って観た方が良いと思う。本作も前三作に匹敵するような悲惨な死に様が描かれており、ハードな衝撃と後味の悪さ、スプラッター的な面白さを存分に味わえる。また、序盤で観られるサーキット場の事故やクライマックスで観られる映画館爆破も迫力満点で面白く、醍醐味が感じられる。

シリーズ初の3D作品ということであるが、3Dにしたことに間違いはなかったと言える。本シリーズはスクリーンを突き破るような勢いで壊れた物体等が飛んできて大写しになり、それを観てついつい身構えそうになったりといったスリルが味わえる。3Dにしたことによってこのスリル、迫力、恐ろしさをより一層味わえるようになったのである。

本作は死を描き続ける一方で「生きることの喜びと素晴らしさ」をこっそりと教えているのである。

三年おきに作られているこのシリーズ。三年後に第五弾が作られるとしたら、次はどんなモノを魅せてくれるのだろうか?!

【80点】

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2009年8月18日 (火)

ブラック・ウォーター

二週間の休暇を利用してオーストラリア北部へ赴いたリー(メーヴ・ダーモディ)と姉グレース(ダイアナ・グレン)とその彼氏アダム(アンディー・ロドレーダ)の三人は、川釣りツアーに参加し、ガイドのジムを加えた四人はボートに乗って良い釣り場を求めて上流へ上がっていく。ボートがマングローブの沼地に入ったとき、何かが直撃してボートは転覆し、四人は川の中に突っ込んでしまう。グレースとアダムは水の中からマングローブの木へと這い上がるが、リーとジムの姿が不明状態になる。そこで二人が目の当たりにしたのは、大きなワニであるクロコダイルであった。リーは何とかひっくり返ったボートに上がり、グレースとアダムがいるマングローブの木へ辿り着くのだが・・・・・・。

数多く存在するワニをネタにしたB級モンスターパニック作品の中では異色の作品であり、B級色は強いが、簡単に侮ることができないような作風へと仕上がっている。それは、低予算を逆手に取ったリアリティーを追求した作り方で魅せるべき部分をしっかりと魅せつけてサスペンス、モンスターパニックとしての面白さを発揮しているからである。

実話を基にしたストーリーをアンドリュー・トラウキとデイヴィッド・ネルリッヒの両監督がよりリアルな作風へと仕上げるためにメイン舞台となる沼地に拘ったり、CG等で再現されたものではないホンモノのワニを使ったりといった工夫を施した。とにかくこの努力は大いに讃えたいものだ。特にこのホンモノのワニが三人を襲うシーンが最大の見所であり、スリル満点で驚愕させられ、モンスターパニック作品としての面白さを満喫できる。また、「三人は無事で生きて還られるのか?」、「この先どうなるのか?」というようなことが気になり、これが本作が持っているサスペンスとしての面白さだと言える。どちらかと言えばサスペンス重視であるため、ワニが大暴れしたりといったモンスターパニックの要素には期待しない方が良いと言い切れる。

【70点】

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2009年7月30日 (木)

ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式

ハウエルズ家のお葬式で繰り広げられるドタバタ騒動を『スターウォーズ』シリーズの人気キャラヨーダの声でお馴染みのフランク・オズがブラックユーモアいっぱいに描き、さらにハートフルな温かさを取り入れた傑作コメディー。

冒頭にてハウエルズ家の父の遺体が他人と間違われて送られてくる。この時点で軽く笑わせてくれる。

その後、主人公であるハウエルズ家の長男ダニエル(マシュー・マクファディン)の従妹マーサ(デイジー・ドノヴァン)と弁護士をしている真面目な婚約者サイモン(アラン・テュディック)がマーサの弟トロイ(クリス・マーシャル)を迎えに行く。トロイは薬学部の学生であるが、実はドラッグ製造に励んでいる悪いヤツでこの日も友人に売るためのドラッグを準備していた。マーサは緊張しているサイモンにドラッグを安定剤と間違えて飲ませてしまったのである。これがハウエルズ家のお葬式をハチャメチャにしてしまう原因となってしまう。個人的には、このドラッグの存在は、本作を面白くさせるための活性剤だと言いたい。とにかくラリってしまったサイモンが面白さを存分に盛り上げてくれる。しかも思う存分に笑わせてくれるのである。サイモンの活躍ぶりは注目すべき最大のポイントであり、これだけでも見る価値は大きい。

続いて笑わせてくれるのは、ダニエルの友人である汗かきの心配性ハワード(アンディ・ナイマン)と強気で常に不機嫌な車椅子に乗ったアルフィー叔父貴(ピーター・ヴォーン)だ。この二人による汚くて下品なやりとりがおバカコメディーとしての面白さを一段と弾き出す。強烈なインパクトを与えてくれること間違いなしだ。

他にもダニエルと弟で人気作家のロバート(ルパート・グレイヴス)による兄弟口論や謎の参列者である小人男ピーター(ピーター・ディンクレイジ)を巡ってダニエル、ロバート、ハワード、トロイが繰り広げるドタバタも印象深い。

本作は、笑いを満喫させるべくストーリーを簡素化させたことと登場人物を個性豊かなキャラクターとして設定した上に複雑さを感じさせないようにしたことが功を奏でたのである。

それにしても本作で描かれるお葬式は“ちょっとおかしな”どころではない。“かなりおかしすぎる”と言った方が妥当だ!!

【80点】

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2009年7月24日 (金)

ポー川のひかり

『木靴の樹』(78)で知られるエルマンノ・オルミ監督が劇映画最後の作品としてメガホンをとった作品。

イタリアのボローニャ大学。夏期休暇中で人気がない校内の歴史図書館にて大量の古文書が太い釘で打ち抜かれているのを守衛が発見する。容疑者として浮かび上がったのは、将来を嘱望された若き哲学科の主任教授(ラズ・デガン)だった。教授は前日の学年末の授業を最後に突然姿を消して車でポー川に辿り着き、川岸にある朽ちかけた小屋を発見してそこに住み着いた。やがて、教授はその風貌から村人たちに“キリストさん”と呼ばれ、交流を深めていくのであったが・・・・・・。

序盤での“古文書大量虐殺”をサスペンスタッチで描いてこの奇妙な事件を観る者に興味を抱かせ、作品の世界へと引き込ませる。その後は、メイン舞台となるポー川周辺の風景描写を鮮やかな美しさで魅せつけたり教授と村人たちとのダンスパーティーや語らいといった交流が好印象を与える。

本作はイエス・キリストの寓意を潜めた宗教色のある作品であるが、小難しいことを考えさせたりプロパガンダ要素を強く押し出してムキになったりしていないことが観易くて良い。サスペンス、芸術性、教授と村人たちの交流を堪能するだけでも十分だと言いたい。

【70点】

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2009年6月 4日 (木)

バッド・バイオロジー 狂った性器ども

『バスケットケース』三部作、『フランケンフッカー』のカルト的監督フランク・へネンロッターによる十六年ぶりの新作は、狂気の性愛を持ち前の悪趣味丸出しで描いたおバカ作品。

生まれつき七つ以上の陰核を持つ女性写真家ジェニファー(チャーリー・ダニエルソン)は、性欲がとてつもなく激しく、男は肉体関係を築いている最中に殺害してしまう。さらに、受精後数時間以内に奇形児を産み落としてしまうというトンデモナイ女。一方、バッツ(チャーリー・ダニエルソン)という男は過去の事故で性器を負傷し、ステロイド等の薬剤を大量に投与したことが原因で巨根となってしまう。その巨根は自分の意思を持っており、自由自在に暴れうごめくことができる。そんな狂った性器を持つ男女が運命的(?!)に出会ってしまう。

二人の主人公が普通の人とは違うという悩みやコンプレックスを浮き彫りにさせているのがミソである。これが、ただ悪趣味描写を乱打しているだけの中身の無い作品として成り下がることを防げたのである。本作の最も評価すべきポイントの一つと言っても良いだろう。

劇中では、女性たちの美乳やモザイク等のボカシが施されていない陰部が観られたりといったエロいサービスがテンコ盛り。だが、登場する女性たちは美しさやナイスボディーといった魅力に欠けている者が多いため、金髪巨乳美女の登場を期待している方にとっては残念に思えるだろう。どうせやるなら、もっと色気のある良い女性を大挙出演させた方が良かっただろう。

特筆すべき見所は、バッツのグロい巨根が下半身から外れて一人歩きし、家の壁をとてつもない破壊力でブチ壊して侵入して女たちを襲うシーンは、モンスターパニック作品らしい面白さが味わえ、主観キャメラが効果を発揮している。

へネンロッター監督復活作品は、とにかくおバカで下品極まりない究極の俗悪作品であり、これを持って健在ぶりをしっかりとアピールすることに成功したのである。

【55点】

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2009年5月 8日 (金)

バンコック・デンジャラス

パン兄弟(オキサイドとダニー)が撮り上げたタイ映画『レイン』(00)を設定に変更を加えてハリウッドでセルフリメイクしたハードボイルド系サスペンス・アクション。

自身が決め込んだルールを忠実に守り、完璧に任務を遂行させてきた冷酷無比なスゴ腕暗殺者ジョー(ニコラス・ケイジ)。彼は稼業に真の引き際を悟り、最後の任務として四つの暗殺依頼を引き受け、タイはバンコックへと赴く。現地でスカウトした助手コン(シャクリット・ヤムナーム)とともに三つの暗殺を何とか成功させてきたジョーが、最後の四つ目の任務でピンチへと追い込まれてしまう。

パン兄弟はハリウッドのカラーに染まることなく、持ち前のカラーを存分に発揮させて本作を完成させた。タイでのオールロケで街の魅力や文化をしっかりと取り入れ、ハリウッドを利用してこの国の素晴らしさをしっかりとアピールしている感じがしてやまない。特に夜の街並みの活写はインパクトが大きくて印象的だ。猥雑な街という設定を活かせて不健全な雰囲気を漂わせながらも魅力的に描ききっている。他にも照明を巧妙に利用してのスタイリッシュな映像美が殆どのシーンを彩っていたりというようにパン兄弟のハイクオリティな映像センスが伺える。

ジョーがコンを従来通りの利用するだけ利用して殺してしまうようなインスタント助手としてではなく、正式な弟子として鍛え込み、二人で訓練をするシーンや聾唖の女性薬局店員フォン(チャーリー・ヤン)との淡い恋愛感覚のような交流を描いたシーンがドラマ描写における見所として印象深い描き方となっており、注目度が大きい。特にフォンとの関わりからは、足を洗おうとしているジョーが笑ったり彼女に優しく接することによって冷徹な男が人間らしさを取り戻しているような感じで好感を抱いてしまう。ジョーを単に血も涙もない暗殺者として描かず、人間的魅力を描いている点は大きく認めたい。ジョーがピンチに立たされてからは苦悩させられたりするなど、悲哀感を漂わせて描かれていく。これが、スゴ腕暗殺者として生きてきた男が引退目前に曝け出してしまう人間としての、暗殺者としての弱さやマイナスポイントを浮き彫りにしている。

中盤以降は、アクション映画としての見せ場もしっかりと用意されており、ここでハリウッドの力が発揮される。まずは水上マーケットでのボートチェイスが観られる。ボートチェイスも今となっては珍しいモノではないが、従来のモーターボートではなくて勢い良く疾走するイメージとは程遠い木造ボートを利用しているのがミソであり、これを勢い良く走らせてスリリングに描き、スピード感を味わわせてくれるのだから目新しく思えると同時に面白さも味わえるが、満足できるほどの面白さとまではいかない。そして、クライマックスでは銃撃戦が繰り広げられ、照明を巧みに利用してヴィジュアル重視の一味違ったアクションシーンとして仕上がった。このような趣向を凝らす等の努力は認められるもののこれによって迫力や面白さが薄れてしまっているので残念だ。だが、アクションにしてもサスペンスにしても緊張感を維持させて丁寧に描いているのでそのポイントはかなり高い。

そして、衝撃的なラストシーン。ジョーは任務を遂行して無事に引退できるのか?それとも、任務をミスして滅びてしまうのか?

本作は、まさにハリウッド製タイ映画だ。

【70点】

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2009年5月 4日 (月)

バビロンA.D.

新世代アクションスターのヴィン・ディーゼルが久々に日本のスクリーンにやってきた。ジャンルはもちろんアクションで近未来を舞台にしたSFアドベンチャーだ。

戦争やテロで荒廃した近未来の地球。かつて、金と引き換えに様々な危険な仕事をやってのけてきた一匹狼の傭兵トーロップ(ヴィン・ディーゼル)が最後の仕事として国際的マフィアのボスであるゴルスキー(ジェラール・ド・パルデュー)からの依頼である謎の少女オーロラ(メラニー・ディエリー)を六日間でニューヨークまで運ぶという任務を引き受けるが・・・・・・。

トーロップとオーロラとその保護者であるシスターのレベッカ(ミシェル・ヨー)の三人がモンゴルを波きりにカザフスタン、ロシア、ベーリング海峡、アラスカ、ニューヨークと旅を続ける中でオーロラの様々な秘密が除々に明かされていく。そして、行く先々で様々な危険が三人を襲い掛かる。ここでヴィンのアクションが観られ、楽しませてくれる。

ヴィンが人気K-1ファイターのジェロム・レ・バンナ扮するストリートファイターと肉弾戦を繰り広げ、スノーモービルで雪原を疾走させながら空から攻撃を仕掛けてくる二機の無人戦闘機との大攻防戦を展開し、カーチェイスをやってのけたりというアクションはありがちではあるものの面白くて印象深い。ヴィンにとっては『リディック』(04)から四年ぶりのアクション作品であるが、ブランクによるパワーダウンや見劣り等は一切なく、実にカッコよくて勢いのある最強アクションをしっかりとキープできていたことが何よりも良いのだ。ミシェル・ヨー、ジェロム・レ・バンナが魅せる格闘アクションも注目すべきポイントだ。

主人公トーロップは、今までに散々人々を殺してきた究極の悪党、アウトローであるが、自身が決め込んだ強固なルールには忠実に従って行動する。不良性感度を醸し出すチョイ悪なイメージのヴィンにとってはピッタリなキャラであり、その好演ぶりも注目度が高い。でも、オーロラやレベッカに対して時折魅せる優しさや温かさがさらにイイ男としての魅力を発揮させ、アウトローヒーローとして観る者に好意を抱かせる。

監督は、役者としても活躍するフランスのマチュー・カソビッツ。彼の見せ場作りは結構優秀であり、無駄を少なくして手際良く90分にまとめ上げたという腕前はまさに素晴らしい。

ヴィン・ディーゼルはアクション復活作品でその健在ぶりをしっかりとアピールできたのである。本当にそれだけでも十分良いのだ。

【75点】

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2009年5月 2日 (土)

ベルサイユの子

パリの夜の街を彷徨う若いホームレスの女ニーナ(ジュディット・シュムラ)と息子エンゾ(マックス・べセット・ドゥ・マルグレーヴ)は、ベルサイユ宮殿付近の森にたどり着く。森の中に入り込んだ二人は、社会からドロップアウトしたホームレスの男ダミアン(ギョーム・ドパルデュー)に出会う。ニーナとダミアンは一夜をともにした後、エンゾを置いてきぼりにして姿を消してしまう。ダミアンはこの事態に困って憤るが、一緒に過ごしているうちに親子同様になってしまう。

失業、ホームレス、社会不適応といったフランスの現代社会が抱える病的問題を浮き彫りにする本作は、劇中で観られるベルサイユ宮殿付近の森で暮らすホームレスたちの描写がその象徴となっている。実際に宮殿付近には多くのホームレスが生活しており、この事実を素直に描いたことで作品そのものが少しでもリアルに仕上がったのである。

社会派の要素が取り入れられているもののストーリーはエンゾとダミアンの交流を中心に描いているため、小難しさや堅苦しさを感じさせないごく普通の人間ドラマとして仕上がっている。

ニーナはホームレス状態から脱却し、社会復帰を目指して介護施設職員として一からスタートするべく頑張る。一方で幼いエンゾを抱えてしまったダミアンもエンゾのことを思って社会復帰を目指し、しばらく会っていなかった父が暮らす自宅に戻って日雇いの解体業からスタートする。エンゾも学校に通うことになる。社会から外れてしまった三人の主要人物の成長を淡々と描いているが、学校という社会が初体験のエンゾはクラスの子供たちとなかなか打ち解けなかったりといったやや厳しい描き方となっている。

監督のピエール・ショレールは、本作が長編デビュー作となる。明るさと暗さを使い分けて現代社会が持つ光(明るい社会)と闇(暗い社会)を巧く表現した。この腕前は高く評価したい。

ギョーム・パルデューが男臭いワイルドな風貌で野生男ダミアンを演じ、見た目と役柄が見事にマッチしていて印象深い。負けキャラであるものの好感を抱いてしまうほどのナイスガイなのである。残念ながらギョームは08年に37歳の若さで病死しており、本作が遺作となってしまったのである。もし、彼が今でも生きていれば、本作以降の出演作に大きな期待を抱いていたことだろう。エンゾ役のマックス・べセット・ドゥ・マルグレーヴの存在感もかなり大きく、可愛らしい良い子役だ。

【75点】

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2009年3月23日 (月)

フロスト×ニクソン

ウォーターゲート事件が原因で自ら大統領を辞任したリチャード・ニクソンをコメディアン出身のイギリス人司会者デヴィッド・フロストがTV番組でインタビューし、事件の真実を探り出す。

全米中が大注目した伝説的なTVインタビューとその舞台裏を中心に描いたロン・ハワード監督作品。

本作のオリジナルは舞台劇。フロスト役のマイケル・シーン、ニクソン役のフランク・ランジェラ、脚本のピーター・モーガンは舞台版と同じなのである。

見所はやはり二人のトークバトルであり、これはまさにインタビューという名の格闘技なのである。全米進出を狙う野心的な挑戦者フロストと世間から汚職政治家のレッテルを貼られた悪役ファイターのニクソン。両者の言葉と意地がぶつかり合う二時間四本勝負の激闘は緊張感が漂い、観る者をグイグイと惹きつかせる。一日目の二時間でフロストはニクソンの“口撃”に丸め込まれ、何も言わせてくれないというピンチ状態に立たされる。二日目、三日目が過ぎ、最終ラウンドの四日目。フロストが強敵ニクソンを倒すべく一番聞き出したいウォーターゲート事件に関する質問を全力を尽くして喰らわせる。試合終了後、熱いバトルを繰り広げた二人のファイターはお互いを認め、讃えあう。

今日のプロレス、K-1、総合格闘技、プロボクシングがショー的要素が強く思えることと同じように本作で描かれている二人のトークバトルは、ニュース・報道番組をショーと化させているのである。とにかくスポーツの格闘技と同じ匂いが漂い、これが最大の醍醐味だと言えるのである。

格闘技さながらの面白さも良いが、サスペンスタッチのドラマ描写、ほのかなコメディーテイストといった面白さも十分に味わえるのである。

【75点】

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2009年3月11日 (水)

PVC-1 余命85分 (85ミニッツ PVC-1 余命85分)

2000年にコロンビアで起こった“ネックレス爆弾事件”をモチーフにしたサスペンス・スリラー作品。世界中が注目している新鋭スピロス・スタソロプロスが監督、脚本、撮影の三役をこなし、長編デビューを飾った。

舞台はコロンビアのクンディナマルカ県郊外。四男一女の武装犯行グループが農園と養鶏場を経営し、平穏な生活を送っているバルデス一家を襲撃。犯行グループは家族全員を拘束し、銃で脅しながら1500ペソという大金を要求する。一家の長であるシモンとその妻オフェリアは金がないことを強く訴えかけるが、犯人たちは聞く耳を持たず、オフェリアの首にコルセット型の時限爆弾を装着して姿を消してしまう。

本作の最大の特徴は、たったの1カットだけで撮影されたということだ。85分の上映時間に一度もカットが入らず、まるまる長回しで撮られていることに驚愕させられる。こうしたことによって劇中で描かれる恐怖、緊迫を観る者がリアルに体験できるのである。

その上にBGMや効果音も一切使用されず、静寂なタッチで描かれる。時折、コルセット型時限爆弾から鳴り響く不気味な金属音が観る者をふと驚かせる唯一の効果音であり、劇中ではオフェリアを脅かして精神面を徹底的に追い詰める。

見所は、簡単にはずすことができない爆弾を国家警察のハイロ中尉が解体するシーンであり、中盤以降はこのシーンに重点が置かれている。現場には十分な解体道具等が一切なく、たった一本のナイフをロウソクの火であぶって爆弾に切り込む。本作の売りモノである緊迫感が遺憾なく発揮されたシーンは、観る者に「解体が成功するか否か」を気掛かりにさせ、釘付けにさせる。

衝撃が待ち受けるラストシーンは、コロンビアがいかに恐ろしくて治安が悪い国であることを物語っていると捉えることができる。

コロンビア映画そのものが珍しいが、作品そのものもかなりの珍品だ。それにしても85分を1カット撮りというのは、かなり大変だったことだろう。少しのミスによってすべて一からのやり直しになるというリスクを背負いながらもしっかりと成功させたスタソロプロス監督の労をねぎらいたい。

【70点】

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2009年2月 3日 (火)

ベンジャミン・バトン 数奇な人生

産まれたときの見た目が老人で年齢を重ねるごとに若返っていく男ベンジャミン・バトンの文字通り“数奇な人生”を描いたデヴィッド・フィンチャー監督作品。主人公ベンジャミンを演じるのはブラッド・ピット。フィンチャー監督とブラピが『セブン』(95)、『ファイト・クラブ』(99)に続いて三度目のタッグを組んだ。原作は、F・スコット・フィッツジェラルドが1920年代に書き上げた同名の短編小説。

第一次大戦終戦直後のニューオリンズ。あるカップルの間に男児が産まれる。だが、産まれてきた赤ん坊の見た目は普通ではなく、80歳の老人のようであった。実父はこの赤ん坊を老人施設に置き去りにする。施設関係者の女性クイニー(タラジ・P・ヘンソン)は、この赤ん坊をベンジャミンと名付け、親代わりとなって育てる。ベンジャミンは年齢を重ねるごとに皺が減り、髪も増え、だんだん若返っていく。ある日、ベンジャミンは施設利用者の孫娘デイジー(エル・ファニング、後にケイト・ブランシェット)に出逢う。

ベンジャミンとデイジーとの恋、人々とのふれあい等を通して“人生の素晴らしさ”を訴えかける。普通の人とは違った人生を悲劇として描いたり感動を押し売りにしたような描き方をせず、あくまでも自然体でストレートに描いている。

ユニークなアイデアの原作は映像化に相応しく、見た目老人の男が若返っていくというストーリーの基本的なポイントが観る者に興味を抱かせる。劇中では様々なドラマが見所として散りばめられ、観る者をベンジャミンの世界へグイグイと引き込ませる。157分の長尺を長く感じさせないのは、ユニークなストーリー設定と飽きさせない作りを施したからだと言える。ファンタジー、人間ドラマ、ラブロマンス、ロードムービー、ミステリーといった様々なテイストが取り入れられており、これらが映画的魅力を存分に発揮しているのである。

CGを巧妙に駆使して仕上がったビジュアル、様々な年齢を演じ分けた登場人物のメイク等は違和感を感じさせず、本当に完成度が高い。

『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)を思わせるような感じがするのは、脚本が同じ人(エリック・ロス)であり、そう言われると納得できる。

【75点】

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 特別版(2枚組) [DVD] DVD ベンジャミン・バトン 数奇な人生 特別版(2枚組) [DVD]

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2009年1月24日 (土)

ヘルライド

アメリカの有名な暴走族“ヘルズ・エンジェルス”の影響で1960年代末から70年代初期にかけて多数のバイカー・アクション映画が製作された。中でも有名なのは、やはり『イージー・ライダー』であり、その他の作品は単なるB級娯楽映画として映画史から忘れ去られていったのである。日本ではこれらの作品は殆どが未公開であり、劇場公開及びDVDやビデオ化された作品はごく一部である。そんな日本でもこの手の作品が70年代に製作され、岩城滉一主演の『暴走族』シリーズや暴走族“ブラック・エンペラー”の実態に迫ったドキュメンタリー『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』(76)は意外と知名度が高い。

バイカーアクション映画に多数出演してきた伝説の役者兼監督のラリー・ビショップが監督、主演、脚本、製作の四役を務め、そしてこのジャンルの作品をこよなく愛するクエンティン・タランティーノが製作総指揮を務め、昔懐かしのバイカーアクションを再現させたのが本作である。

暴走族“ヴィクターズ”のピストレロ(ラリー・ビショップ)、ジェント(マイケル・マドセン)、コマンチ(エリック・バルフォー)は、敵対する“シックス・シックス・シックス”のメンバーに仲間のうちの一人を殺害されたため、復讐を果たすべくこのグループのボスであるビリー(ヴィニー・ジョーンズ)を追う。

B級らしさが遺憾なく発揮されており、まさに本格的だ。単純明快なストーリー、適度なバイオレンス・アクション描写、随所に散りばめられた露出度高めのセクシー描写、84分の上映時間という具合にB級娯楽映画のツボをしっかりと押さえられていることは大いに認めたい。だが、簡素化されたストーリーを敢えて複雑化させる、売りモノであるバイオレンス・アクションにパンチが効いていないがために面白さが発揮されずに盛り上がらないといった問題点が面白さを大幅にパワーダウンさせており、非常に残念だ。それでもこれこそがB級娯楽映画に相応しい作風だとも言えるが、どうせやるなら娯楽に徹してド派手な見せ場をふんだんに取り入れ、ストーリーはあってないようなものにしてテンポよく仕上げて欲しかった。

B級映画でもあると同時に本格的なアウトロー映画でもある。ワルな中年男たちによる暴力、殺し、ドラッグ、不純な性交が蔓延している。ワルの匂いがスクリーンから漂ってくるような感じでアウトローの世界観をしっかりと形成しており、その魅力を存分に満喫できる。

アメリカでは二週間で打ち切りとなった本作。日本では“二週間限定”や“レイトショーのみ”といった形態があるもののどちらにも当てはめずにストレートに公開している。恐らくタランティーノ効果だと思うが、もし本作にタランティーノが関わっていなかったら未公開のDVD・ビデオスルーになっていたのかも知れない。面白いか否かは別として、本作のような掘り出し物、お気軽系、暇潰し系のB級娯楽映画はファンのために今後もドンドンと公開した方が良いだろう。

タランティーノの『グラインドハウス』企画の延長上のような感じの男性向け作品。バイク好きやアウトローの世界に憧れている方にオススメだ。

【60点】

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2008年12月19日 (金)

バグズ・ワールド (バグズ・ワールド-ミクロ決戦-)

二種類のアリの生態を捉えたフランス製ネイチャー・ドキュメンタリー作品。

西アフリカの平原。要塞のようなアリ塚に数百万匹ものオオキノコシロアリが生息している。これを喰い尽くそうとするサスライアリの軍団がこのアリ塚に向かう。両軍の生存を賭けた激戦が繰り広げられようとするのであった。

本作はネイチャー・ドキュメンタリーではあるが、従来のこの手の作品とは随分違っている。従来のこの手の作品と言えば、美しい大自然や可愛らしい生物による癒しが売り物で観る者を惹きつけてきた。だが、本作はそういった要素は殆どと言っても良いほど皆無だ。とにかくスクリーンにはアリの軍団がウジャウジャと走り回る映像が頻繁に映し出される。さらに、アリどもは噛み合って喰い殺すのである。だから、癒し要素は微塵もないのである。

アリの様子をマクロ撮影に革命をもたらしたと言われる最新の撮影機材“ボロスコープ”を駆使してミクロ世界を肌理細やかに描き出すことに成功した。この映像に驚愕され、圧倒させられることは間違いなしだと言える。また、照明の使い方にも工夫が施されている。

登場する生物は、アリだけではない。不吉な予感を感じさせるハゲワシ、長い舌で獲物を捕らえて喰うカメレオン、カマキリ、ヘビ等が観られる。中でもヘビの存在はインパクトが大きく、観る者をとことん驚かせてくれる。大きめのヘビがアリ軍団に喰われるシーンは、信じ難いほどの衝撃的なシーンで一度観ると忘れられないだろう。

ラストはオオキノコシロアリ軍とサスライアリ軍の大戦争が観られる。監督は何百万匹のシロアリを観た時に『スパルタカス』(60)や『グラディエーター』(00)のアリヴァージョンを作ることが可能だと思えたと言った。それだけに描かれるアリ戦争がスペクタル巨編を思わせるような出来栄えであり、ここに至るまでもがドラマチックな雰囲気を醸成させて描き出されている。監督はドキュメンタリーの体制をとってドラマ描写に力を注いだのである。

ネイチャー・ドキュメンタリーのファンには女性が多いが、本作は明らかに女性向きとは言い難い。どちらかと言えば昆虫に興味を抱きがちな小学生男児にはウケるかも知れないという感じだ。この異色のネイチャー・ドキュメンタリー作品は、必見の価値だけは大いに“アリ”だと言いたい。

【65点】

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2008年12月10日 (水)

パリ特捜刑事

ドラッグの取引で荒稼ぎしているオヤジと呼ばれるギリシャ人男性の組織を摘発した特捜部の凄腕刑事・ジェラール(ティエリード・カルボニエ)は、仲間や妹を殺害されながらも捜査を続行するが、敵たちによって愛妻を拉致されてしまう・・・・・・。

監督のマックス・ぺカスは、フランスのポルノ映画職人として様々なフレンチ・ポルノ作品を手懸けてきた。本作は、そんな彼がポリス・アクションに初めて挑戦した作品である。

冒頭から娼婦たちが胸や陰部を曝け出して客引きをしていたりという具合に監督ならではのカラーが遺憾なく発揮されている。随所にフランス美女の裸身がチラホラと散りばめられていたりといったこのようなセクシーサービスの多用は、この手のB級娯楽映画には相応しく、悪いとは言えない。

問題は、本作がポリス・アクションにも関わらず見せ場のアクションシーンが少ない点だ。その分、サディスティックでやや残酷なバイオレンスシーンを堪能できるのである。全体的に言えばテンポは芳しくなく、展開もダラダラしているためかなり冗漫な出来栄えとなっている。ラストの見せ場も陳腐なため肩透かしを喰らわされること間違いなしという感じだ。

上映時間は90分強。この程度の作品なら80分弱が良かったのではないかと思える。

【40点】

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2008年10月 8日 (水)

僕らのミライへ逆回転

未だにビデオテープしか置いていないレンタルビデオ店でフレッチャー店長(ダニー・グローヴァー)から店番を任されたマイク(モス・デフ)。彼の幼馴染で風変わりな男ジェリー(ジャック・ブラック)が発電所でいたずらをやらかし、自身が電磁波を浴びてしまう。これが原因で店のテープの映像が抹消されるハメとなる。マイクとジェリーは、消えてしまった映像を勝手に自主製作する。

ミシェル・ゴンドリー監督が映画に対する愛を込めて遊び心を活かせて作り上げたのが本作だ。

見所は、やはりマイクとジェリーが作ったパロディー風リメイク映画だ。ネタになっている作品はハリウッドの大作映画ばかりであり、『ゴーストバスターズ』(84)をはじめ『ラッシュアワー2』(01)、『ロボコップ』(85)、『2001年宇宙の旅』(68)、『ライオン・キング』(94)等である。パロディー作品によくありがちなおバカな感覚はあまり感じられず、これらの作品に対する敬意が込められていることが感じられた。製作過程の描写は本当に面白く、ハチャメチャ感が笑わせてくれる。また、いかにも安っぽい作品を撮っているがそこから本当の手作りの良さが伝わってくる。これらの自主製作作品が客に大ウケして店が儲かってくる。本当に信じられないような不思議感覚が観る者をさらに楽しませてくれる。

映画に対する愛が最高潮を達するラストでは感動を与えてくれる。ノスタルジックな雰囲気が感動を彩っているとも言え、これがまた味わい深くて重厚な出来栄えとなっている。ラストの前に現在のハリウッド製大作映画に対する批判が描かれていることも重要なポイントなのである。

単にコメディーとしての面白さや笑いを追求しているだけではないことが良質な仕上がりとなっている。

【70点】

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2008年8月25日 (月)

ハンコック

犯罪事件が発生すればすぐさま空を飛んで現場に現れ、事件をあっという間に解決させる超人的な男ハンコック(ウィル・スミス)。だが、彼は超人パワーで道路や建物を破壊しまくる上に酒浸り、口が悪い、だらしないということで世間からは相当嫌われている。そんな彼がたまたま列車事故に遭遇しかけたPR会社の社員レイ(ジェイソン・ベイトマン)を救出。レイが恩返しとしてハンコックを皆から好かれる理想のヒーローにさせようとするのだが・・・・・・。

注目したいポイントは、今までの人から愛される理想的なヒーローという定石をあえて崩して嫌われ者のヒーローという設定にしたことである。このアイデアは目新しい上にユニークで興味深い。近年のハリウッドで製作されているこの手の作品はアメコミ原作がメインであることが多いが、本作はまったくのオリジナルであることに驚かされる。

ハンコックがレイのサポートで愛されるヒーローになろうとする姿を面白可笑しく描き、そこにレイの妻メアリー(シャーリーズ・セロン)との関係が描かれる。このドラマ展開が最大の注目ポイントである。メアリーがこれまたしっかりと驚かせてくれるキャラクターであり、その活躍ぶりを存分に満喫していただきたい。ハンコックとメアリーの絡みが作品を最大に面白く昇華させていると言っても過言ではない。

ピーター・バーグ監督がキレ味抜群で見応えのあるアクション描写を魅せつけている。冒頭の高速道路でのパトカー数台がマシンガンぶっ放し犯人の車を追跡するシーンにはじまりクライマックスまで迫力を存分に発揮しており、前作『キング・ダム/見えざる敵』(07)を遥かに上回る最高に面白いアクションシーンの数々を楽しめる。そこに笑いの要素も加味されているので面白くないわけがない。

上映時間は93分。この手の大作SFヒーローアクションは2時間を越えるモノも少なくはない。それに比べると珍しく思える。面白い部分をしっかりと凝縮させて比較的短い時間にまとめているので気軽に楽しめることに間違いはない。作品の出来栄えも良いが、このポイントも高く評価したい。本作のようなお手頃な娯楽大作映画を今後も期待したい。

【90点】

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2008年8月11日 (月)

ブラック・エース

シカゴのギャングの借金を踏み倒しているカンザスシティーの大物メリー・アン(ジーン・ハックマン)は、送り込まれたギャングたちを人肉ソーセージとしてシカゴに送り返し、挑戦してきた。シカゴ側は、一匹狼のスゴ腕ヒットマンのニック(リー・マーヴィン)を送り込んだが・・・・・・。

リー・マーヴィンとジーン・ハックマンという男臭い二大スターの対照的な競演が魅力的な本作。二人の存在も良いが、特筆したいのはやはり本作でデビューを飾ったシシー・スペイセク扮するポピーという娘の存在だ。メリー・アンが主催する全裸女の品評会からニックが彼女を連れ出し、肌が透けて見えるセクシーなドレスを着させて高級レストランのディナーを食べに行くが、そこで他の客からはチラ見されるし透けて見えるバストをカメラがアップで写したりという具合に少しばかりエロネタ扱いされているのだ。現在でも活躍中のシシーがデビュー作で結構大胆なセクシーさを魅せつけていたということにかなり驚かされた。それでもニックとポピーの関係は純粋な感じで描かれており、ニックがポピーに優しく接する姿からは真の男らしさすら感じられ、素直に好印象だと言える。

アクション作品ということで見せ場もしっかりと用意されている。ニックとポピーが麦畑で巨大麦刈り機に追われるシーンはサスペンスとしての面白さが味わえ、その上にこの麦刈り機が一台の車をボコボコに破壊するシーンは最高に面白く、一度観たら忘れられないほどの強烈なインパクトを与える。他にもひまわり畑での銃撃戦やトラックを使ったちょっとしたアクションシーンも観られ、地味ではあるもののそれぞれのシーンが面白く仕上がっていて印象的だ。

それにしても人肉ソーセージは恐ろしすぎる。近年、食品偽装や毒物混入食品問題が世間を騒がしているが、人肉ソーセージが実際に製造されていて市場に出回っていたらということを想像すると本当に恐ろしすぎて何も言いようがない。

上映時間は86分。地味ながらも面白いシーンは多々あるので気軽に観れる。

【60点】

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2008年7月30日 (水)

バスタード

宝石強盗に成功したジェイソン(ジュリアーノ・ジェンマ)は、腹違いの兄アダム(クラウス・キンスキー)から宝石と女カレン(マーガレット・リー)を奪われた上にアダムの専属医師によって右手を不能にさせられる。ジェイソンはアダムに復讐するべく右手で射撃の訓練を開始するが・・・・・・。

マカロニウエスタン風の現代アクション作品。バイオレンス描写はマカロニならではの酷な描き方となっていて強いインパクトを与える。特にクラウス・キンスキー扮するアダムがマーガレット・リーの緑色の下着を脱がせるシーンには度肝を抜かされる。冒頭の宝石強盗シーン、パトカーとのカーチェイスの描き方はあっさりしすぎているためあまり面白味が感じられないので残念だ。ジュリアーノ・ジェンマが警官二人を射殺する際のガン裁きは見事であり、魅力的だ。

主役ジュリアーノ・ジェンマ以外のキャストも興味深いポイントだ。クラウス・キンスキーはお得意の悪役であり、活躍は控えめでありながらも存在感だけはバッチリだ。ジェイソンとアダムの母親マーサ役にはハリウッドの大女優リタ・ヘイワースが扮しており、彼女の出演がかなり異色だと思える。酒好きの母という少し変わった役柄をしっかりと好演しており、面白くて忘れられない。ジェイソンの女カレンにマーガレット・リー、ジェイソンを助けた女牧場主でやがて彼と親密な仲になるバーバラにクローディーヌ・オージェという二人の美女のセクシーさが魅力的だ。

最後はジェンマとキンスキーが一対一の対決をするのかと思いきや、大地震によってキンスキーが絶命する。これによって二人の対決が観られなくなった。二人の対決を描いていればもう少し面白くなっていたはずだ。肩透かしを喰らわされたような感じがして少々残念だ。結局はリタ・ヘイワースの活躍でラストを迎えるのだが、このラストシーンを観て思えることと言えば、さすがはハリウッドの大女優、イタリアの二大スターをしっかりと喰ってしまったなということだ。

【60点】

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2008年7月15日 (火)

ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!

エドガー・ライト監督がサイモン・ペッグとタッグを組んでヒットさせたゾンビ系ホラーのパロディ作品『ショーン・オブ・ザ・デッド』は、日本未公開のビデオ・DVDスルーだった。ポリスアクションのパロディ作品である本作も世界中でヒットしたものの日本では劇場公開どころかビデオ・DVD化も未定であったため、これに危機感を抱いたファンによるネット上での署名運動によってようやく劇場公開が実現となった。ちなみに、私もこの署名運動に参加した一人だ。

ロンドンの勤勉実直な熱血警官ニコラス・エンジェル(サイモン・ペッグ)は、その完璧な仕事ぶりを上司たちに煙たがられ、田舎町のサンフォードの所轄署に左遷されてしまう。平和であるはずのこの町で突如恐ろしすぎる殺人事件が多発する。ニコラスは、刑事モノ映画マニアの頼りない警官ダニー(ニック・フロスト)とタッグを組んで捜査をするのだが・・・・・・。

かつてのポリスアクション作品のパロディによって生み出されたライトなコメディータッチとツボを押さえた上に気合の入ったアクション描写が最高に面白い。パロディに関してはポリスアクションだけに留まらず、『ショーン・オブ・ザ・デッド』に続いてのゾンビ系ホラーに西部劇、特撮怪獣映画まで幅広く網羅されており、クエンティン・タランティーノ監督顔負けの映画オタクぶりを感じさせてくれる。中でもダニーがスーパーマーケットで『バイオニック・マーダラー』(82、日本未公開)と『ポリス・ストーリー3』(92)のDVDを手に取って嬉しそうにしているシーンやダニー宅の部屋の一室にDVDがぎっしりと並んだ棚があり、その中からダニーがかなり気に入っている『ハートブルー』(91)と『バッドボーイズ2バッド』(03)をニコラスと二人で観るシーンは、マニアパワーが全開という感じで印象深い。アクションに関しては、スーパーマーケットでの銃撃戦やカーチェイス等が見せ場として用意されており、見応え抜群の迫力を感じさせてくれる。また、ごく普通のシーンでさえも拘りのある斬新な映像で魅せつけてくれるので、テンポもかなり良くて全体的にノリの良い仕上がりとなっている。

上映時間は2時間。2時間以下でも面白くない作品は多いが、本作は飽きたりダレたりすることなく思う存分に楽しむことができるため、あっという間の2時間だと思える。面白く魅せつけてくれるエドガー監督の腕前を高く評価したい。

とにかく本作が無事に公開されたことだけでも非常に嬉しくて有難いという気持ちで一杯だ。署名運動を立ち上げて下さった関係者の皆様、私以外の署名参加者、そして公開を決定して下さった配給会社の皆様に心の底から感謝したい。

最後に個人的なことだが、サイモン扮するニコラスを観ていると日本のTV刑事ドラマ『特捜最前線』(77~87)の誠直也扮する吉野竜次巡査部長を思い出してしまった。ヘアスタイルが似ているということだけだが・・・・・・。

【80点】

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2008年7月11日 (金)

バニシング (ダーティ・デカ まかりとおる)

ローマを舞台に警察特捜部に所属するトニー(レイモンド・ラブロック)とアルフレッド(マルク・ポレル)の若手刑事二人が暗黒街のボスであるバスクイニを非情な捜査で追い詰める。

冒頭で女性のバッグをひったくりした犯人をトニーとアルフレッドがバイクで追跡するバイクチェイスが観られる。車と車の間を猛スピードですり抜けたり人を巻き込みそうになったりするような暴走ぶりは、危険な香りを漂わせた上にスピーディーに描いているため、かなり面白く仕上がっていて観る者にスリルと興奮を堪能させてくれる。当時のこの手の作品ではカーチェイスが主流だったが、本作では乗用車ではなくバイクという点が一見変わっている。でも、今となってはバイクチェイスを描いたアクション作品は多く存在するので特に珍しいことはない。

何といってもトニーとアルフレッドの度が過ぎたアウトロー刑事ぶりが魅力的だ。犯罪者には手錠を掛けることはなく、絶対に射殺してしまう。そして、事件に関係のある女の家に無理矢理侵入し、すぐさま性行為という具合にとにかくやり過ぎている。そんな彼らのハチャメチャな活躍は、痛快さが満点で実に面白い。主人公二人の描き方がこのような感じなので登場する敵キャラたちも凶悪犯丸出しで描かれている。冒頭のひったくり犯も立てこもり犯三人組もバスクイニとその手下たちもみんな極悪バイオレンスを魅せつけている。とにかくバイオレンス描写は徹底された描き方となっているため、さすがはイタリア製娯楽映画だと納得できる。それにしてもテンポはかなりゆったりとしていることが多くてマイペースな感じだと思えてしまうことがマイナスポイントとなるが、荒唐無稽ならではの面白さを思う存分に味わえるのでそれだけでも十分に良いと思う。

監督はルッジェロ・デオダートで後に『カニバル/世界最後の人喰い族』(76)や『食人族』(81)といったカニバル系ホラーを世に放つが、本作でもその予兆を感じさせるような悪趣味なシーンがごくわずかではあるが観られる。

【70点】

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2008年5月14日 (水)

ファクトリー・ガール

1965年のニューヨーク。ポップカルチャーのカリスマ的存在アンディ・ウォーホール(ガイ・ピアース)が設立したスタジオ“ファクトリー”には様々なアーティストが集まっていた。ある日、ケンブリッジ美術学校を中退し、画家を目指してニューヨークへやってきた資産家令嬢イーディ・セジウィック(シエナ・ミラー)がウォーホールと出会う。ウォーホールが手懸けた実験映画に出演したイーディはたちまちポップカルチャーにおける人気者となるが、繊細かつ不安定な精神の彼女は、ドラッグに手を染めてしまう。そんな中、人気ロックスター(ヘイデン・クリステンセン)と出会うのだが・・・・・・。

アンディ・ウォーホールのミューズ=女神としてアメリカの60年代ポップカルチャーのセレブとしてもてはやされ、その後は人気低下とともにドラッグに蝕まれ、28歳の若さでこの世を去ったイーディ・セジウィックの明暗の生涯を描いた伝記ドラマ。

60年代のファッションが忠実に再現されている点やポップカルチャーのシーンが何よりも作品に魅力を持たせていると言える。特にファクトリーの様子やイーディがドラッグに手を染めるシーンで観られるドラッグと性交が横行する怪しげで不健康なアングラの世界が目に焼きつくほどの大きな印象を与える。

劇中で描かれるイーディの姿は、華があった頃よりもだんだんと落ちぶれて行く姿の方が全面的に押し出されているような感じがする。

へイデン・クリステンセン扮するロックスターとは、あのボブ・ディランのことである。それよりも存在感が一番大きいのはガイ・ピアース扮するアンディ・ウォーホールであり、一見ナルシスト風でシュールな感じがファクトリーの中の様子と同様に怪しげなイメージを与えているのである。

【55点】

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2008年5月13日 (火)

ヒットマン

アメリカをはじめ、日本でも支持されている人気TVゲームをスタイリッシュな感覚で映像化させたアクション作品。

ある組織で幼少の頃から暗殺者としての訓練を受けていたエージェント47(ティモシー・オリファント)は、ロシアの政治家べリコフの暗殺依頼を請ける。彼が遂行したこのミッションは成功したかのように思えたが、実はべリコフは生きていることを組織から聞かされ、さらに娼婦ニカ(オルガ・キュリレンコ)に現場を目撃されたため、彼女を消すようにと伝えられる。やがて、エージェント47はこれが罠であったことを知るのだが・・・・・・。

製作にリュック・ベッソンとヴィン・ディーゼルが携わっている。主人公のエージェント47は、元々はヴィン・ディーゼルが演じることに決まっていたが、降板したため『ダイ・ハード4.0』(07)で敵役を演じたティモシー・オリファントが急遽登板した。エージェント47はスキンヘッドで後頭部にはバーコードのタトゥーが掘り込まれているというまさに“バーコードハゲ”であり、黒いスーツに赤いネクタイというファッションで身を包む。これがクールな印象を与える。「アヴェマリア」をBGMにこのタトゥーが掘り込まれる冒頭シーンは神秘的とも思えるほどであり、忘れられない。

アクション映画ということで銃撃戦に爆破シーン、格闘シーンがお膳立てとして用意されているが、レベルは中級程度。深く言えばガンアクションであり、当然の如く銃撃戦が見せ場となる。これが勢いを感じさせる力強さと華麗な感覚で描かれていて面白く仕上がっている。エージェント47の二丁拳銃ならぬ“二丁小銃”姿もキマっていて実に格好良い。銃だけに留まらず、短刀も使いこなす。だが、これがまた二刀流であり、彼と同じようなスキンヘッドに二刀流の男三人組を相手に激しくバトルを繰り広げる姿は鮮烈な印象を残す。

ティモシー・オリファントはしっかりとアクションを頑張っており、見た目はヴィン・ディーゼルでアクションシーンはややパワーダウンした『トランスポーター』シリーズのジェイソン・ステイサムという感じだ。今後もこの調子でアクション映画に挑戦していただきたいと同時に様々なジャンルの作品でも活躍して役者としての幅を広げていただきたい。

それにしても本作はB級のイメージだけは否めない作品だ。

【70点】

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2008年3月24日 (月)

バンテージ・ポイント

舞台はスペイン・サラマンカのマヨール広場。かつて大統領の身代わりとして撃たれたシークレットサービスのバーンズ(デニス・クエイド)はトラウマを抱きながらも現場復帰し、国際テロ対策の首脳会議に出席するアシュトン大統領(ウィリアム・ハート)の警護に当たっていた。だが、大群衆の前でスピーチを始めた大統領が何者かによって狙撃されてしまった。バーンズとともに警護していた同僚のテイラー(マシュー・フォックス)、この模様を全世界に向けて生中継をしていたTVプロデューサーのレックス(シガニー・ウィーバー)、犯人を自身のビデオカメラに収めていたアメリカ人観光客のハワード(フォレスト・ウィッテカー)ら八人の目撃者が見たものはまったく食い違っていたのであった・・・・・・。

一つの出来事を八つの視点すなわち“バンテージ・ポイント”から探り出し、解明する。そんな本作は、一つの出来事に対して誰もが違った解釈をする黒澤明監督の名作『羅生門』(53)にオマージュを捧げている。

綿密に計算された複雑で知性を刺激させる斬新なストーリーが観る者に興味を抱かせ、作品の世界にグイグイと引き込ませる。また、映像も脚本同様に斬新な感覚で魅せつける。『ユージュアル・サスペクツ』(95)、『メメント』(00)同様に一つの出来事を巻き戻して繰り返しを重ねて描くリワインド方式を取り入れたことによって事件の真実と謎をじわじわと描き出し、観る者を驚愕させ、サスペンスの面白さを存分に堪能できる。さらにサスペンスならではの緊迫感もしっかりと保たれており、その上にスピード感とスリルを感じさせるテンポの良さが観る者に衝撃を与え、圧倒させる。見せ場となるアクションシーンでは手持ちカメラが迫力と臨場感を醸成させるために巧妙に活用されている。ラストのカーチェイスで激しいアクションは最高潮に達し、手応えのある面白さをじっくりと味わえる。

キャストも素晴らしく、主演のデニス・クエイドをはじめ人気TVドラマ『LOST』(04~)でお馴染みのマシュー・フォックス、オスカー俳優のウィリアム・ハートにフォレスト・ウィッテカー、ベテランと呼ぶに相応しいシガニー・ウィーバーという具合に充実した顔ぶれが揃っている。彼らののキャラクターがしっかりと描き出されている点も良い。特に大統領を演じたウィリアムは、役作りのためにクリントン元大統領を取材し、アドバイスを頂いたのである。

とにかく観る者を飽きさせないための作り方や魅せ方は抜群であり、寄り道をせずに必要な部分だけを用意して90分以内にまとめ上げたことが最高のポイントだ。本作は、胸のすくような醍醐味を心の底から感じさせてくれる究極の娯楽サスペンス・アクションだ。

バンテージポイント コレクターズ・エディション DVD バンテージポイント コレクターズ・エディション

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2008年3月 6日 (木)

美女10人大脱走 (日本未公開)

ジャングルの奥地に存在する捕虜収容所に10人以上の女が収監されていた。女たちは各国の指導者を自爆テロで暗殺するために拷問まがいの洗脳訓練を受けていたのであった。

とにかくまだるっこい演出でもたついているためかなり退屈させられる。女囚モノならではの残虐なセクシー描写は陳腐でかなり中途半端な描き方であるためこの手の作品のファンにとっては物足りないことは間違いなしといってもいいほどだ。

後半からはアクションが観られ、ややテンポもよくなってくるのだが、こちらも演出のレベルがかなり低すぎる。ヘリと列車を使っていてスケールの大きなシーンに出来るはずなのにそれをうまく活かすことができず完全に空回りしていて残念な結果という感じである。

タイトルは美女10人となってはいるが、美女と呼ぶにはどうかと思える者はいるし明らかに10人以上存在しているといったツッコミ所があったりといったとにかく中途半端なB級娯楽映画だ。むしろB級というよりもZ級といった方が良いほどだ。

監督のシリオ・H・サンチャゴは多くの作品を手懸けているものの日本でまともに劇場公開された作品は『エンジェル・コマンド』(87)一本のみである。

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2008年1月13日 (日)

ヘアスプレー (2007)

悪趣味映画の帝王ジョン・ウォーターズの作品がブロードウェイでミュージカル化され、トニー賞を受賞するほどの大ヒットを記録し、今度は『シカゴ』(02)のスタッフによって本格的なミュージカル映画としてリメイクされた。

舞台は1962年のボルチモア。体型が太めの女子高生トレーシー(ニッキー・ブロンスキー)は、いつも元気で歌とダンスとファッションが大好き。そんな彼女が大好きな人気ローカルTV番組「コーニー・コリンズ・ショー」のオーディションに出場し、番組のレギュラー出演者となって人気者となる。だが、彼女の人気に不満を抱く共演者のアンバー(ブリタニー・スノウ)とその母親で番組を仕切るベルマ(ミシェル・ファイファー)が様々なトラブルを仕掛けるのだが・・・・・・。

とにかく大半が歌とダンスで盛りだくさんであり、明るさ、盛大さが前面に押し出されており、観る者を飽きさせることなく大いに楽しませてくれると同時にノリの良さによってハジけるような気持ちにさせてくれる。ストーリーは簡素化されているため、思う存分ミュージカルを堪能すべきだ。

キャストも豪華であり、個性を豊かに描いている点も実に素晴らしい。トレーシー役には一万人の中から選ばれた新人ニッキー・ブロンスキー。彼女の元気溌剌さと歌とダンス、そして太めだが愛らしいキャラクターは見事で脱帽させられるほどの絶大なインパクトを与える。そしてトレーシーの母エドナを演じるのはジョン・トラヴォルタ。特殊メイクによって太っちょキャラに大変身するが、彼の女装姿やデブキャラに違和感を全く感じさせないのが実に良い。トレーシーに攻撃を仕掛けるベルマ役のミシェル・ファイファーは悪役顔丸出しで役にピッタリとハマっていて驚かせてくれる。他にもトレーシーの父親ウィルバー役のクリストファー・ウォーケンの面白おかしい演技も巧く、90年代にラッパーとして活躍していたクィーン・ラティファもソウルフルな歌声を披露したりと印象深いキャラクターたちが面白さを倍増させる。また、オリジナル版の監督であるジョン・ウォーターズが冒頭で露出狂のオッサンとしてチョイ役で出演している。

本作の時代背景である60年代は公民権運動の真っ只中であり、劇中では人種差別がしっかりと描かれている。だが、これを小難しく描かずにストレートなアンチ人種差別という感じで描いている。劇中ではトレーシーと仲間たちが黒人学生の集団の中にしっかりと溶け込んで歌とダンスに興じている。これがまさに人種平等を感じさせ、好印象で気持ちが良い。

セットやファッションも60年代らしさをしっかりと醸成させており、レトロかつポップな雰囲気がオシャレで抜群に魅力的だ。それと同時に作品の明るさと華やかさを倍増させている。

最初から最後の最後まで嬉しくてゴキゲンな気持ちにさせてくれる極上のエンターテイメント。最近のミュージカル映画は、エンターテイメントとしては実に上出来であり、その上非常に面白い。次はどんな作品が我々を楽しませてくれるのかと大いに期待させられる。

ヘアスプレー DTSスペシャル★エディション (初回限定生産2枚組) DVD ヘアスプレー DTSスペシャル★エディション (初回限定生産2枚組)

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2008/04/04
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映画「ヘアスプレー」オリジナル・サウンドトラック Music 映画「ヘアスプレー」オリジナル・サウンドトラック

アーティスト:サントラ,クイーン・ラティファ,ジョン・トラヴォルタ&ミシェル・ファイファー,ジョン・トラヴォルタ&クリストファー・ウォーケン,ザック・エフロン,ジェームズ・マースデン,ニッキー・ブロンスキー,エイミー・アレン,リッキー・レイク,ミシェル・ファイファー,ブリタニー・スノウ
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日:2007/10/03
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ヘアスプレー オフィシャルガイド(DVD) (日経BPムック) Book ヘアスプレー オフィシャルガイド(DVD) (日経BPムック)

著者:日経エンタテインメント!編
販売元:日経BP出版センター
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『ヘアスプレー』 ジョン・トラヴォルタ インタビュー
配給ギャガ・コミュニケーションズ powered by ヒューマックスシネマ
提供:@niftyコンテンツ

『ヘアスプレー』 ニッキー・ブロンスキー、ザック・エブロン インタビュー
配給ギャガ・コミュニケーションズ powered by ヒューマックスシネマ
提供:@niftyコンテンツ

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2007年12月21日 (金)

ピンクフラミンゴ

凶悪かつ変態で悪名高い肥満体系の殺人女ディヴァイン(ディヴァイン)は、容姿を変え、名前もバブス・ジョンソンに改名して母、友人、息子とともにトレーラーを家代わりに暮らしていた。ディヴァインが変態として有名なことにジェラシーを感じていたマーブル夫妻が我こそが変態世界一と勝負を挑んだことからディヴァイン一家とマーブル夫妻の変態世界一決定戦が繰り広げられる。

カルト系悪趣味映画の帝王であるジョン・ウォーターズ監督作品の中でもカルト中のカルト作品としてかなり有名だ。そんな本作は数あるおバカ映画及び変態映画の中でも王道と呼ぶに相応しい。

劇中ではありとあらゆる変態行為が繰り広げられ、これが見所となる。その内容は実に過激すぎでかなりやりすぎている。特に卵料理に対してアホの一つ覚えばりに拘りすぎているちょいと頭が痛いというキャラクターのディヴァインの母エディとそんな彼女のために卵を運搬するエッグマンの挙式パーティーのシーンで観られる肛門ダンスや本作を語る上では絶対に外すことのできない代名詞的なシーンであるラストのディヴァインの犬糞マジ喰いはまさに強烈であり、観る者に凄まじい衝撃を与え、これにノックアウトさせられる者も恐らくいらっしゃることだろう。とにかく全編がおバカ、ド変態、不道徳、ゲテモノ、最低のオンパレードだ。

コアな映画好き、悪趣味映画やおバカ映画が好きな方にはオススメするが、一般の映画好きには厳しすぎるかも知れない。スカトロ愛好家(これこそ変態、悪趣味の王道)は『ソドムの市』(75)とセットで観るべきだ!!

ピンクフラミンゴ DVD ピンクフラミンゴ

販売元:日本ヘラルド映画(PCH)
発売日:2004/07/23
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2007年12月 8日 (土)

プラネット・テラーinグラインドハウス

クエンティン・タランティーノとのタッグで60年代から70年代のアメリカに存在したB級映画二本及び三本立て専門劇場“グラインドハウス”の雰囲気を現代に甦らせた企画でタランティーノ監督作『デス・プルーフ』に続くロバート・ロドリゲス監督作『プラネット・テラー』。

テキサスの米軍基地で生物化学兵器の取引が行われていた。だが、あることがきっかけでこれが破壊され、有毒ガスが漏れてしまう。街の人々はこの有毒ガスによって“シッコ”と呼ばれるゾンビと化して次から次へと人々を襲撃し、ゾンビの数を急速に増やすこととなり、街中は大パニックへと陥る。

冒頭からローズ・マッゴーワン扮する主人公チェリーのセクシーなダンスが披露され、開巻から観る者を圧倒させる。その後はゾンビまみれの大パニックが描かれ、ゾンビ系ホラーの面白さを満喫できる。ゾンビに片足を喰われたチェリーが義足代わりにマシンガンを装着し、数名の仲間たちと協力してゾンビ退治を決行するシーンは、激しいガンアクションや爆破シーンのオンパレードで描き、アクション映画の迫力を存分に発揮させていてかなり見応えがある。ハイテンションでぶっ飛んでいるという感じが強く、何でもありの面白さが本作の魅力だ。

本作も『デス・プルーフ』同様にグラインドハウス上映作品の雰囲気を醸成させるために敢えてフィルムに傷やノイズが加えられている。他にも数々のゾンビ映画へのオマージュを捧げたシーン、軍事施設内のTVモニターに映し出されるパム・グリア主演作『女体拷問鬼看守パム』(71、日本未公開)の予告編といったB級映画ファンにはたまらないマニアックな演出も興味深い。特にチェリーと元彼のレイ(フレディ・ロドリゲス=ロドリゲス監督とは無関係)との性交シーンの途中でフィルム紛失のお詫びテロップを出して次のシーンに切り替わるという演出は風変わりで驚かせてくれると同時に笑わせてくれる。遊び心がいっぱいのアイデアが随所に散りばめらていてそれが面白さを倍増させる。

キャラクター設定もしっかりとなされており、個性的なキャラクターも印象に残る。片足マシンガンのチェリーをはじめ、チェリーの元彼レイは次々と襲いかかるゾンビと闘う際になぜか華麗なる格闘アクションを魅せつけ、麻酔科医ダコタ(マーリー・シェルトン)は注射器を武器に大活躍、そんなダコタの浮気を疑う夫で医師のブロック(ジョシュ・ブローリン)はゾンビと化しても凶悪なDV夫、ダコタの息子のベビーシッター担当で凶悪な双子姉妹(エレクトラ・アヴェインとエリーズ・アヴェイン=ロドリゲス監督の姪)、ヘイグ保安官(マイケル・ビーン)とその兄でバーベキュー専門店オーナーのJT(ジェフ・フェイヒー)は大ピンチ状態の中でもバーベキューソースについて拘っていたりとクセのあるキャラクターが面白い。なかでもクエンティン・タランティーノ扮するド変態丸出しの米軍兵士は最大のインパクトを与える。他にもブルース・ウィリスや人気ヒップホップユニット、ブラック・アイド・ピースのボーカルでソロとしても大活躍しているファーギーことステイシー・ファーガソンも顔を出し、作品に華を添えている。

本編の上映前にフェイク予告編『マチェーテ』が観られる。こちらもロドリゲス監督作で主演はダニー・トレホ(ロドリゲス監督の従兄弟)。チャールズ・ブロンソンの『狼よさらば』(74)に代表される『デス・ウィッシュ』シリーズ等がネタにされており、本作同様にド派手なアクションが満載の娯楽作品でこれがまた面白そうだ。是非とも完成させて公開していただきたいものだ。

プラネット・テラー プレミアム・エディション DVD プラネット・テラー プレミアム・エディション

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2008/03/21
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オリジナル・サウンドトラック「プラネット・テラー in グラインドハウス」 Music オリジナル・サウンドトラック「プラネット・テラー in グラインドハウス」

アーティスト:サントラ,ヌーヴェル・ヴァーグ,チンゴン,ローズ・マッゴーワン
販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2007/09/12
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Grindhouse: Planet Terror Music Grindhouse: Planet Terror

アーティスト:Robert Rodriguez
販売元:Varese Sarabande
発売日:2007/04/03
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2007年10月27日 (土)

ブラッド

LAウィークリーの記者セイディー(ルーシー・リュー)は、取材をしていたカルト教団の連中に拉致された挙句に殺害される。やがてヴァンパイアとして甦ったセイディーは、カルト教団に復讐を挑む。

サム・ライミ率いるゴースト・ハウス・ピクチャーズが製作したセクシー系アクション・ホラー作品。従来の吸血鬼作品のイメージを払拭した作り方も新鮮味を感じさせる。ダークな雰囲気をしっかりと醸成させた照明の使い方も巧く、これがスタイリッシュな映像へと引き立てていて実に魅力的である。

セイディーは自身がヴァンパイアであることや人を殺すことに対して苦悩を抱き葛藤するが、この心理描写とルーシーの演技は見事だ。クールかつセクシーな雰囲気を漂わせる黒い衣装とダーティーな部分を前に押し出した人物設定が女ヴァンパイアのキャラクターを確立させ、観る者に印象付ける。また、ルーシーの裸身も随所に散りばめられているが、エロスの要素は結構控えめだ。これは、エロスに期待した人やルーシーのファンにとっては少々物足りないと思われるかも知れない。

復讐に挑むセクシーなヒロイン、地味なアクション、血生臭さが漂うシーン、ロバート・フォスターの出演といったいかにもB級な娯楽作品という感じが強い。ポー役のマコ(マコ岩松)にとっては、本作が遺作となった。

ブラッド DVD ブラッド

販売元:アミューズソフトエンタテインメント
発売日:2007/12/21
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2007年10月11日 (木)

ブラック・ハンター (日本未公開)

元アメフト選手で賞金稼ぎのトラック・ターナー(アイザック・ヘイズ)は、相棒のジェリーとともに追跡していた売春業者のボスであるゲーターを射殺。ゲーターの女で多くの美人娼婦を仕切るドリンダは、二人に対する復讐を成功させるべく各組織に条件付きでターナーとジェリーの殺害を依頼する。やがてゲーターを敵視していた大ボスのブル(ヤフェット・コットー)がこの殺害計画に加担する。ターナーは、命を狙われながらも激闘を繰り広げる。

『黒いジャガー』(71)のテーマ曲を大ヒットさせたソウル・ミュージックのアーティストで“ブラック・モーゼ”と称されるアイザック・ヘイズが主演した70年代ブラックスプロイテーション作品。

トレードマークとも言えるスキンヘッドにヒゲ顔、時折魅せる半裸姿やグラサン姿は、実にコワモテそのものであり、同時にワイルドなイメージを与える。そんなヘイズがマグナム44をぶっ放して暴れまわる姿は、まさに黒人版『ダーティハリー』とも思える。タフでアウトロー的な魅力を放つ賞金稼ぎの男を体を張った激しいアクションと強烈な風貌を活かして熱演した。

カーアクション、格闘シーン、激しい銃撃戦といった見せ場が盛り沢山であり、バイオレンス色の強いアクションに仕上がっている。派手な演出ではないが、テンポよく描かれた上にパンチの利いたシーンに仕上がっているので面白さを感じ取ることができる。

劇中の音楽は、ヘイズが全曲を手懸けており、本業であるミュージシャンとしての実力もしっかりと作品に活かされている。カーチェイスのシーンで演奏時間が九分弱の長めの楽曲「Pursuit Of The Pimpmobile」が使用され、車での追跡劇にマッチしたこのサウンドがシーンを盛り上げ、観る者をハラハラさせる。

結構面白い出来栄えなのに日本では劇場公開されず、ビデオスルーのみだった。

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2007年8月 6日 (月)

ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習

カザフスタン国営テレビの人気レポーターであるボラット(サシャ・バロン・コーエン)は、祖国の発展のためにアメリカ文化を学ぶという目的で渡米。市民に突撃取材する模様を度が過ぎたおバカなギャグ満載で描いた擬似ドキュメンタリー・コメディー。

下品かつ差別的なギャグが全編に盛り込まれている点が本作の最大の特色である。下ネタによる笑いを理解できない方や差別発言に対してひどく気を悪くする方は観ない方が良いだろう。本作のような異常なナンセンス・ギャグをおバカコメディーと割り切って存分に楽しめる方には良いと思うが、それでも過激な下ネタや差別系ギャグには引いてしまうだろう。

内容はとにかくおバカの限度を超えている。その中でも凄まじいのは中盤以降でボラットが宿泊先のホテルのテレビでドラマ『ベイウォッチ』を観て出演しているパメラ・アンダーソンに惚れ込み、本来の目的をすっぽかしてパメラに会いに向かい、サイン会で本人を襲撃するシーンやボラットの助手がパメラの写真集を見ながら自慰行為をし、それを目撃したボラットが怒り、二人が全裸で大乱闘(ホモ同士による性行為に見せかけた描写も一部あり。)を繰り広げるシーンといった感じでかなりやりすぎているのだ。おバカ加減を徹底追及して描いていることが何よりも凄すぎる。

本作はそんな過激すぎる内容が原因で日本での劇場公開が見送られそうになったが、何とか実現することが出来たのである。おバカコメディー映画ファンにとっては嬉しかったに違いはないだろう。私がファンを代表して配給会社の方々に「ありがとう」と心の底から感謝の気持ちを伝えたい限りだ。

今後も本作を超える過激な作品が公開されることを密かに期待している・・・・・・。

ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(完全ノーカット版)髭&MANKINI水着付なりきりBOX (Amazon.co.jp仕様) DVD ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(完全ノーカット版)髭&MANKINI水着付なりきりBOX (Amazon.co.jp仕様)

販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2007/12/21
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2007年6月16日 (土)

ブラッド・ダイヤモンド

舞台は内戦の真っ只中にある1999年の南アフリカ。最愛の家族と平穏に暮らしていた漁師、ソロモン(ジャイモン・フンスー)はある日、反政府軍RUFの襲撃に遭遇。その時に家族と引き離され、ダイヤモンド採掘場で働かされる。一方、ダイヤ密輸に手を染めるダニー(レオナルド・ディカプリオ)は密輸のミスで投獄される。獄中で巨大なピンク・ダイヤモンドの噂を耳にし、釈放された際、同じ刑務所で知り合ったソロモンに接触。その一方で女性ジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリー)は、追い続けている武装グループの資金源となる“ブラッド・ダイヤモンド”の実態を暴くべくソロモンとダニーに協力を取り図る。

家族を取り戻す男、かつての過ちから自由を求める男、悪の実態を暴く女といったそれぞれの思惑を主軸にストーリーが展開される。三人の中でも一番美味しいのは、やはりジャイモン・フンスー扮するソロモンだ。名優ディカプリオに負けじとがんばっており、演技に関しても彼よりも一枚上手だと思えるほどである。RUFに捕らえられ、殺人を教え込まれて少年兵となった息子を捜し、見つけ出したときには銃口を向けられる。ソロモンはそんな息子に対し、心優しく諭して迎え入れるシーンは、まさに感動的である。これは、非行少年少女に手を焼き、どうしていいのかわからないと悩みを抱いている父親には、更正方法の一つとして参考にしていただきたいほどである。

冷酷で血生臭いアフリカの真実が克明に描かれている。我々のアフリカのイメージと言えば、発展途上国という観点から飢餓や難民といったことが第一に思いつく。本作ではそんなことよりも悲惨で残酷すぎる無法地帯のアフリカが描かれ、今までに知ることのなかった想像を絶するほどの状況をリアリティーを追求して描いている。

市街地や村中を舞台にした大殺戮シーンが何度か観られるが、戦争映画や娯楽アクション映画らしい大迫力を追求した見応えのあるパワフルなシーンに仕上がっている。アクション映画ファンにとっては嬉しくてたまらないほどの最大の見せ場ではあるが、その反面、生々しい恐ろしさや悲惨さ、冷酷さを併せ持ったとんでもないシーンでもあるため、余裕をもって楽しめるとは言い難い。

娯楽作品としては、見せ場のアクションやサスペンス、感動的なシーンがお膳立てとして盛り込まれており、社会派作品としては、アフリカの状況をメッセージ性をしっかりと盛り込んだ上で描いている。どの視点から捉えても重厚で見応えのある大型作品という感じである。

【期間限定出荷】ブラッド・ダイヤモンド <11/6までの期間限定出荷> DVD ブラッド・ダイヤモンド

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2007/09/07
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2007年6月14日 (木)

110番街交差点

ニューヨークのスラム街、ハーレム110番街で黒人ギャングたちが白人マフィアの所有する現金を強奪する事件が発生。人種差別主義者であるベテラン警部、マテリ(アンソニー・クイン)と正義感が溢れる実直な黒人警部補、ポープ(ヤフェット・コットー)がことごとく対立しながらも捜査に当たる。

本作は、70年代ブラックスプロイテーション映画の傑作であり、刑事映画とギャング映画の二面性を併せ持ったクライム・アクションである。

序盤で警官を装った黒人ギャングがイタリアン・マフィアのアジトを襲撃し、マシンガンで一味をメッタ撃ちし、さらに現場に駆けつけた警官たちもマシンガンで一掃する。このシーンだけでもかなりパンチの効いたアクション描写に仕上がっている。刑事映画らしいサスペンス描写はJ・J・ジョンソンによるスコアがムードを醸成し、ハードなバイオレンス描写もギャング映画らしい出来栄えである。

黒人ギャング二人による男の友情話、マテリ警部とポープ警部補の人種差別ネタによる対立といった挿話も盛り込まれ、社会派のテイストをほんのりと漂わせる硬派な娯楽作品に仕上がっている。

終盤近くでも黒人ギャングがマシンガンを片手に大暴れし、横転した車が爆破炎上、さらに銃撃戦もヒートアップする。これらのアクション描写は、迫力満点という感じではないB級アクションレベルである。それでもラストに相応しいアクション・シーンであることに違いはないと言える。

オープニングで使用されるボビー・ウォマック歌唱の主題歌は、後にクエンティン・タランティーノ監督が70年代ブラックスプロイテーション作品にオマージュを捧げて撮ったクライム・サスペンス作品『ジャッキー・ブラウン』(97)でも使用されたことは有名。だが、本作で使用されたものとは別バージョンの音源が使用された。

ACROSS 110TH STREET DVD ACROSS 110TH STREET

販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2008/07/04
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2007年5月13日 (日)

ブレイクダンス

プロの世界を目指してジャズダンスの練習に明け暮れるケリー(ルシンダ・ディッキー)は、友人の誘いで海岸付近で行われているブレイクダンスを見る。そこで黒人ストリートダンサーのオゾン(アドルフォ・“ジャバドゥー”・キノーネス)とターボ(マイケル・“ブーガル・シュリンプ”・チェンバース)に出会い、ケリーはブレイクダンスの虜となる。

オープニングからスプレー缶を使って壁に落書きをするヒップホップ・カルチャー特有のグラフィティー・アートがクレジット紹介のために活用される。この時点でバリバリのヒップホップ・カルチャー色の強い内容でブレイクダンスを描くのかと思ってしまうが、ダンサーがプロの世界を目指して成功するというよくありがちなストーリーを青春映画のテイストを取り入れて描いた内容となっており、ブレイクダンス一点に集中した作品ではない。

ヒップホップ・カルチャーを語る上では欠かすことのできないのがブレイクダンス。現在のBボーイ、Bガールが本作を観れば、ファッション等の違いからカルチャーショックを受けるかも知れない。でも、これが現在のヒップホップ・シーンの原点である。

ちなみに本作は、ラッパーのアイス・Tが映画デビューを果たした作品としても知られている。役柄はもちろんラッパー役である。その後も音楽だけに留まらず、数々の映画に出演し、役者としてのスキルをアップさせたのである。

ブレイクダンス DVD ブレイクダンス

販売元:20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン
発売日:2007/07/27
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2007年2月14日 (水)

ファントム・オブ・パラダイス

幾度も映画化された名作『オペラ座の怪人』(25)をロック・ミュージカル風に仕立て上げ、パロディーを取り入れた作品である。

若手ミュージシャン、ウィンスロー(ウィリアム・フィンレイ)は大手レコード会社のオーナー、スワン(ポール・ウィリアムズ)に自身の曲を盗作され、挙句の果てには無実の罪まで着せられ刑務所送りとなった。脱獄に成功したウィンスローは、レコードのプレス工場に侵入。その時、プレス機で顔面の半分を潰され、仮面で顔を隠した不気味な怪人“ファントム”となった。その後、再びスワンによる裏切りにあい、復讐を企てる。

ブライアン・デ・パルマ監督ならではの凝った映像が魅力的である。お馴染みのスプリット・スクリーン(画面分割)の使用、独特なカメラ・テクニックで見せ付けたりと腕を振るっている。劇中に登場するロックの神殿“パラダイス劇場”のセットはポップな雰囲気を醸成し、かなり印象的である。また、『オペラ座の怪人』をはじめ、『カリガリ博士』(19)や『フランケンシュタイン』(31)、『黒猫』(34)といった名作のパロディーは、笑わずにはいられないほどの面白さすら感じさせる。

スワン役のポール・ウィリアムズが音楽を担当しており、彼の歌声も聴くことができる。ウィンスローが恋する歌姫、フェニックス(ジェシカ・パーカー)がパラダイス劇場でバラード「オールド・ソウルズ」を披露するシーンは、音楽映画さながらの素晴らしさを実感させる。とにかく歌やダンスも存分に愉しめるのでミュージカル、音楽映画としては最高である。

本作は、同趣向の『ロッキー・ホラー・ショー』(75)と肩を並べるほどのカルト作品でもある。カルト度数で言えば『ロッキー・ホラー・ショー』がやや上に値するだろう。

ファントム・オブ・パラダイス DVD ファントム・オブ・パラダイス

販売元:20世紀フォックス
発売日:2007/01/26
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2007年1月28日 (日)

ビバリーヒルズ・コップ3

デトロイト市警の腕利き刑事アクセル(エディ・マーフィ)らは、カー・ジャック団と銃撃戦を繰り広げる。だが、アクセルの上司は犯人たちに撃たれ、殉職。アクセルは、旧友の刑事からの情報をもとにビバリーヒルズの遊園地で潜入捜査を開始し、カー・ジャック団を追い詰める。

エディ・マーフィの大ヒットポリス・アクションシリーズの第三弾。遊園地をメイン舞台とし、繰り広げられるアクション・シーンが見所となる。前半の銃撃戦やカー・アクションは、ポリス・アクションらしい見せ場として良い。だが、最大の見せ場は遊園地のアトラクションであるゴンドラを使ったアクション・シーンである。このゴンドラが高速回転する中、エディは次から次へとゴンドラに飛び移る。スリリングな描写で見る者をヒヤッとさせる印象深いシーンであり、遊園地のアトラクションをしっかりと活用させた見せ場作りの巧さも素直に良いと認めたい。

エディ・マーフィならではの愉快な話術をはじめ、面白おかしいシーンもしっかりと取り入れられている点も良い。また、ジョージ・ルーカスら名監督のカメオ出演やアトラクションの一つである「エイリアン・アタック」のロボットが『スターウォーズ』シリーズのダース・ベイダーと『ロボコップ』を合体させたようなものだったりといった細かな面白さも味わえる。

コメディアンであるエディ・マーフィがアクションの腕前を一段とアップさせたことがわかる。

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2007年1月20日 (土)

ブラック・ライダー

南北戦争終結後、黒人ばかりの北軍の勝利によって奴隷制度は廃止されたものの、人種差別は消えず、黒人たちは土地と自由を剥奪された。そんな黒人たちが自由を求めてテキサスに移住してきた。元北軍騎兵隊軍曹の黒人案内役バック(シドニー・ポワチエ)は、ひょんなことで知り合ったルサフォード牧師(ハリー・べラフォンテ)とともに白人たちからの差別や暴力に立ち向かいながらも自由の天地へと向おうとする。

名優シドニー・ポワチエの初監督作品である本作は、当時流行していたブラックスプロイテーションの要素にレッドパワーを取り入れた風変わりな西部劇である。西部劇ならではの見応えのある豪快なアクション描写がしっかりと散りばめられている点は見事である。また、本作をコメディー要素のある作品として捉えている方も多いようだが、コメディーらしい笑いはハリー・べラフォンテがコミカルな話術を見せるシーンのみである。コメディーの部分に期待せず、アクションを存分に愉しむべきである。

シドニー・ポワチエは『招かれざる客』(67)や『夜の大捜査線』(67)といった人種問題を描いた作品に主演し、黒人公民権運動が盛んだった当事は多くの黒人たちに支持された。本作でも人種差別、悪辣な白人たちとの戦いを描き、さらにはインディアンが白人から迫害されてきたことも描いている。ポワチエは、人種問題と戦った頼もしいスターであり、監督でもある。

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2007年1月 7日 (日)

ブロック・パーティー

アメリカで人気のコメディアン、デイブ・シャペルが『ワッツタックス スタックス・コンサート』(72)に影響され、2004年9月にニューヨークはブルックリンでヒップホップ系アーティストたちによる一夜限りの無料路上ライブを開催。その模様を記録した音楽ドキュメンタリー。

デイブ・シャペルのコメディアンらしい姿がしっかりと捉えられている。汚い言葉を交えた歯切れの良いジョーク、巧みな話術といった芸人ぶりを発揮しており、見ていて微笑ましい。彼が拡声器を片手にライブの告知をする姿も印象的である。

出演アーティストはシャペルの友人であり、シャペルの趣旨に共感した者ばかりである。シャペルのおかげでヒップホップ・ファンにとってはたまらないほどの顔ぶれが集結したのである。プロデューサーとしても活躍し、シーンのトップを飾るカニエ・ウエストをはじめ、ザ・ルーツ、エリカ・バドゥ、コモン、モス・デフ、ジル・スコット、そして七年の時を経て復活したローリン・ヒルが在籍するフージーズとかなり豪華。各アーティストたちはラップで愛、自由、自分らしさ、黒人の日常生活にメッセージを込めて歌い上げる。披露される楽曲はノリが良く、ゴキゲンである。

シャペルをはじめ、各アーティストたちは自分らしさをさらけ出し、観客と一体となってこの伝説的なライブ、すなわち“パーティー”を盛り上げ、そして楽しんだのである。

ブロック・パーティー DVD ブロック・パーティー

販売元:エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
発売日:2007/03/21
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2006年12月 3日 (日)

プラダを着た悪魔

アンディ(アン・ハサウェイ)は大卒後、ジャーナリストを目指してニューヨークにやってきた。ファッションに無頓着なアンディは、一流ファッション誌「RUNWAY」の編集長ミランダ(メリル・ストリープ)のアシスタントという職にありつく。それは、世界中の女性が憧れる職業だが、激務のために多くの犠牲者が出てしまうほどの恐ろしい職業である。アンディはやる気と努力で職務を全うしようとする。

アンディはミランダの無謀な業務命令に翻弄され、全力でやりとげるがまったく認めてもらえず苦労を積み重ねる。私生活も崩壊し、彼氏や友人からも敬遠されるハメとなり、酷く悩まされる。仕事で多忙を極める女性をコミカルさを少々交えてリアルに描いており、同じ境遇の女性なら共感を得るだろう。アンディが突然イメージアップし、お洒落なファッションに身を包んでバリバリと業務をやりこなすといった成長ぶりをしっかりと描いている点も良い。

メリル・ストリープが貫禄のある存在感で見る者を圧倒させる。一流ファッション誌の鬼編集長という役柄をクールなイメージで演じ、時には冷酷さすら感じさせるような静寂な恐ろしさを発揮させている。銀髪のメリルは、かつての名レスラー、フレッド・ブラッシーのように“銀髪鬼”と呼ぶに相応しく、そんな彼女の“噛み付き攻撃”ならぬ“殺人的業務命令”には驚愕させられるほどである。

ファッション業界が舞台ということでプラダをはじめシャネル、エルメスといった有名ブランド・アイテムが続々と登場する。また、実際のファッションモデルも顔を見せている。ファッションに多大な関心を持つ人にとっては思わずニヤリとしてしまうポイントである。パーティーやファッション・ショーといったシーンはゴージャスな彩りを持たせて描かれ、華やかな世界をしっかりと捉えていることがわかる。

原作は20代の女性作家、ローレンス・ワイズバーガーの実体験を基にしたものである。ローレンはかつて有名ファッション誌「VOGUE」の編集に携わっていたのである。劇中でマドンナのヒット曲「ヴォーグ」が使用されているのは、それを踏まえてのことなのか・・・・・・。

プラダを着た悪魔 (特別編) DVD プラダを着た悪魔 (特別編)

販売元:20世紀フォックス
発売日:2007/04/18
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2006年11月18日 (土)

ボクサー (1970)

黒人初のプロボクシングヘビー級チャンピオン、ジャック・ジョンソンの実話に基づいたブロードウェイ舞台劇『偉大なる白人の希望』を映像化。原作者のハワード・サックラーが自ら脚色し、舞台版同様にジェームズ・アール・ジョーンズとジェーン・アレクサンダーが出演。

ジャック(ジェームズ・アール・ジョーンズ)は強豪な白人ボクサーをノックアウトし、恋人である白人女性エレノア(ジェーン・アレクサンダー)と結婚。だが、世間の白人からは蔑視され、黒人からも「白人と一体化しようとしている」と非難されることとなる。アメリカに居場所をなくした二人は、海外へ放浪することとなる。だが、海外での試合もアメリカ官憲の手によって阻まれるハメとなり、生活することも困難となる。やがて、ジャックとエレノアの仲は非常に悪くなってしまう。

人種差別によって自由な愛が奪われ、人生のどん底へと陥れられる様子は無情さとやるせなさに満ちており、悲劇としてしっかりと描かれている。

オリジナルが舞台劇だけに、舞台劇風の演出が見受けられることも面白いポイントだと言える。

本作は、試合シーンやボクサーの英雄的なカッコ良さにスポットを当てた娯楽作品ではない。人種問題を背景にした立派な社会派作品である。

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2006年11月15日 (水)

バーブ・ワイヤー ブロンド美女戦記

2017年、第二次南北戦争中のアメリカを舞台に、唯一の自由都市であるスティル・ハーバーに存在するクラブ「ハマー・ヘッド」のオーナーで賞金稼ぎの女、バーブ・ワイヤーの活躍を描いたアクション映画。原作はアメリカの人気コミックである。

バーブを演じるのは、米PLAYBOY誌のプレイガールであるパメラ・アンダーソン。黒いヴィンテージのコスチュームに身を包み、ご自慢の巨乳を活かしたナイスボディとかなりセクシーなブロンド美女であり、インパクトが大きすぎる。そんなパメラが大型バイクを乗り回し、拳銃を片手に悪と戦うのである。その姿はまさにエロカッコイイし、女戦士のキャラクターを巧く描けている。パメラのセクシー・ショットも散りばめられており、過剰なセクシーさを追求していないため、丁度良い感じである。ドライかつクールな雰囲気に仕上がった映像がセクシーなパメラの魅力をさらに倍増させる。

ストーリー展開がもたついているため、少々退屈さを感じさせる点がマイナスであるが、ラストのアクションシーンが最大の見所でこれが面白い。スケールの大きさと迫力のある演出でハードなアクションシーンに仕上がっている。

アクションとセクシーのバランスが抜群のB級アクション・エンターテイメントである。

バーブ・ワイヤー DVD バーブ・ワイヤー

販売元:ハピネット・ピクチャーズ
発売日:2003/07/24
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2006年10月15日 (日)

フェア・ゲーム

敏腕女性弁護士のケイト(シンディ・クロフォード)は、発砲事件に巻き込まれる。その後、マックス刑事(ウィリアム・ボールドウィン)に出会い、彼にガードされるが再び狙われる。ハイテク機器を駆使する武装テロ集団に追い詰められながらもマックスはケイトを守るためにテロ集団と激闘する。

中盤以降は見せ場のアクションシーンが満載で面白い。カー・チェイスはかなりスリリングに描かれ、危険さをヒートアップさせる。ウィリアム・ボールドウィンがオープン・カーを運転しながら真横で走行している列車の中に飛び入るシーンやラストの船の大爆破は最大の見所である。ジョエル・シルバーが製作しているだけにアクション・シーンは迫力満点であり、見せ場作りの巧さも納得できる。

もう一つの見せ場は、シンディ・クロフォードとウィリアム・ボールドウィンによる列車内での性交シーンである。「危険なシチュエーションでこんなことするなんて」と厳しくツッコミたい。シンディが胸を見せたりと色気を振りまいており、スーパーモデルからセクシー女優に脱皮したかのように思える。

スーパーモデル、シンディ・クロフォードの劇映画デビュー作である。シンディは、最低映画に与えられるラジー賞の二部門(ワースト新人賞、ワースト主演女優賞)にノミネートされた。その後、スクリーンでシンディを見かけることは無かった。監督のアンドリュー・サイプスも映画監督としての仕事は本作だけである。現在、二人はどうしているのだろうか……。

フェア・ゲーム DVD フェア・ゲーム

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2006/09/08
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2006年10月 9日 (月)

ハード キャンディ

出会い系サイトで知り合った女性からオヤジ狩りの被害を受けたという日本で実際に起きた事件をモチーフにしたサスペンス・スリラーであり、ミュージック・ビデオやCMで活躍してきたデヴィッド・スレイド監督の長編映画デビュー作となる。

32歳のフォトグラファーであるジェフ(パトリック・ウィルソン)は、出会い系サイトのチャットでヘイリー(エレン・ペイジ)という14歳の少女と交信する。実際に会う約束を交わし、待ち合わせ場所のカフェで初対面。ジェフはヘイリーを気に入り、自宅へと招く。ジェフはヘイリーが仕掛けた危険な罠に陥ることとなる。

ほとんどが自宅内でストーリーが展開されており、密室系サスペンスならではの緊迫感と恐怖感を味わえる構成である。登場人物はたったの五人だけであり、ジェフとヘイリーがほとんど出ずっぱりとなる。二人の会話をメインにした設定、二人の顔の接写が多いといった特徴があり、独特である。

劇中で一番恐ろしくて痛々しいショッキングなシーンがある。それは、ヘイリーがジェフの睾丸を摘出するシーンである。男性にとっては、かなりの後味の悪さが残るだろう。見ているこちら側は、ヒヤヒヤさせられながらもジェフのその後はどうなるのかが気掛かりだった。

出会い系サイトや幼少女に対する性的いたずらに対する教訓のような作品だと思える。

ハードキャンディ デラックス版 DVD ハードキャンディ デラックス版

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2007/02/23
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2006年8月24日 (木)

白昼の暴行魔

アルド(レイモンド・ラブロック)ら三人組の男が白昼に銀行強盗をやらかし逃走する。逃走中に海岸付近の別荘に侵入する。別荘では尼僧兼教師のクリスチナ(フロリンダ・ボルカン)と五名の女学生がゼミ合宿のために滞在していた。三人組の犯行グループが女性たちを人質とし、恐怖の目にさらす。

犯行グループのリーダー格であるアルドを演じるレイモンド・ラブロックはなかなかの二枚目スターといった風貌である。凶悪犯役ではあるものの、女性に対するほのかな優しさを見せる面もあり、一瞬でもイイ男というイメージを与えさせる。他の二人は至って非人道的な鬼畜系キャラであり、女性たちに過激な暴行を働きかけるケダモノぶりは強烈である。

タイトルは過激さを強調したポルノ映画やAVを彷彿させるが、作品そのものはサスペンスをベースとしており、過激さを抑えた性的暴行シーンを随所に散りばめている。性的暴行シーンをもう少しハードなタッチで描いていれば、タイトルによくマッチした危険な香りを漂わせる内容に仕上がっていただろう。

サスペンスにバイオレンス要素とエロティック要素を取り入れた“ジャーロ映画”は、70年代イタリア映画界を彩ったジャンルの一つでもあり、本作はジャンルの中でもカルト的な位置に値する。

白昼の暴行魔 DVD 白昼の暴行魔

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2004/12/22
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2006年8月21日 (月)

ビッグ・マグナム77

実妹を毒殺した犯人を徹底的に追い詰めるトニ刑事(スチュアート・ホイットマン)の活躍を描いたイタリアン・ポリスアクション映画の傑作。

冒頭からカーチェイス、銀行強盗犯との銃撃戦が展開される。この調子でバリバリのアクション映画として展開していくのかと思いきや、サスペンス要素を強調した内容がメインとなる。サスペンス描写が続く中、中盤を過ぎたあたりから再びカーチェイスが展開され、最大の見せ場となる。よくありがちなカーチェイスではあるが、スリリングで迫力を感じさせ、見応えのあるパワフルな出来ばえであり、単純に面白い。カーチェイスだけでなく、オカマ三人組との格闘シーンも一見風変わりに思えるが、作品が持っている面白さの一つといえるだろう。

全体的に言えば、『ダーティハリー』(71)と『ブリット』(68)を足して二で割ったような作品である。日本のTV刑事ドラマで例えると、アクション描写は『大都会』(76~79)や『西部警察』(79~84)であり、まとまりのあるサスペンス描写は『特捜最前線』(77~87)といった感じである。

 ビッグ マグナム 77/Blazing Magnum: Una Magnum Special Per Tony Saitta ビッグ マグナム 77/Blazing Magnum: Una Magnum Special Per Tony Saitta
販売元:HMVジャパン
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2006年7月30日 (日)

爆走トラック’76

空軍を退役したハマー(ジャン・マイケル・ヴィンセント)は友人の紹介でトラックドライバーとなる。だが、勤務先の運送業者は密輸品を取り扱っているため依頼を断る。その後、ハマーは度重なる嫌がらせを受け、愛する妻も巻き添えを食らうこととなる。ハマーは怒りを胸に悪徳業者に牙を向き、敢然と立ち向かう。

ジャン・マイケル・ヴィンセントが正義感の強い一匹狼のトラックドライバーを好演している。ヴィンセントの顔立ち、特に澄んだ目はいかにも好青年といった印象を与える。ライフル銃を片手に手荒な一面も見せるが、そこは一本気な性格を巧く捉えているのである。

トラックを使ったカーアクションが見せ場となるが、出来ばえそのものは完全な低予算作品といった感じである。派手なアクションシーンではないがその分、面白く見せるように努力していることが伝わる。見応えのあるダイナミックなアクションシーンは誠に秀逸である。

地方都市や田舎町が舞台となるアクション映画が70年代前半から半ばにかけて多く製作されたが、本作もその内の一本である。本作の2年前に製作された『ウォーキング・トール』(73)にも通じる点がいくつかある。それは一本気な正義感を描写していることである。正義感を貫いて戦う男の姿は実に清々しい。ちなみに様式化された和製の仁侠映画もこれらと同じ匂いを漂わせているのである。

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2006年7月24日 (月)

ホワイト・プラネット

地球温暖化によって氷原が失われつつある“白い惑星”こと北極の現在の姿を捉えたフランス製ネイチャードキュメンタリー作品。

『皇帝ペンギン』(05)が南極の世界に生きるコウテイペンギンの生態を見事に活写したことに対し、本作では北極の世界に生きる様々な生物たちの生態を克明に描写している。ホッキョクグマを筆頭に、ジャコウウシ、イッカク、カリブー、クジラといった動物たちが登場する。懸命に生き延びようとする生物たちの姿はまさに驚異的であり、感動させられる。

マイナス50度の北極の映像は大自然の美しさが何よりも印象的であり、神秘性に満ち溢れた映像美は最高である。

本作はここ数十年後にこの世界は消滅するという危機を我々に訴えかけている。その原因は我々人間である。北極という世界が消滅すると同時に劇中に登場した多くのかけがえのない生命も失われてしまう。この課題は非常に難しすぎる問題ではあるが、我々が少しでも努力をしなければならないのである。素晴らしい北極の世界を味わった分、北極に恩返しとして温暖化を少しでも食い止めるように心がけるべきである。

ホワイト・プラネット DVD ホワイト・プラネット

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2007/03/07
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2006年7月13日 (木)

Be Cool / ビー・クール

前作『ゲット・ショーティー』(95)で取立て屋から映画プロデューサーとして成功したチリ・パーマー(ジョン・トラボルタ)は、映画界に嫌気がさし、元の取立て屋に戻ることを決意する。だが、友人でインディーズ・レーベルの経営者トミーの殺人事件に巻き込まれる。チリはトミーの意志を受け継ぎ、トミーの妻イーディー(ユマ・サーマン)と共に無名の歌手リンダ(クリスティーナ・ミリアン)のマネージメントに乗り出そうとする。

出演者が豪華であり、それだけでも前作を上回る勢いを感じさせる。音楽界が舞台となっているだけに、現在の音楽シーンを彩るミュージシャンが顔を添える。クリスティーナ・ミリアンをはじめ、アウトキャストのアンドレ・ベンジャミン、さらにはエアロスミスのスティーブン・タイラーやブラック・アイド・ピースが本人役で出演し、音楽好きにはたまらないキャスティングとなっている。

ザ・ロックがインパクトの強いキャラクターを熱演し、印象的である。彼はプロレス界で成功し、映画界でも新たなアクションスターとして活躍中である。本作ではコメディーの才能を存分に発揮し、新境地を開拓した。単なるアクションスターではないということが証明され、今後の活躍に期待ができる。

本作の話題の一つは、やはりジョン・トラボルタとユマ・サーマンの『パルプ・フィクション』(93)コンビの12年ぶりの競演である。『パルプ・フィクション』の名シーンでもある二人のダンスシーンが本作でも見ることができ、それだけでも最高である。

音楽もお洒落であり、冒頭からアース・ウィンド&ファイアの代表曲「Fantasy」が使用され、センスの良さと粋なムードを感じさせる。ジェームス・ブラウンが歌う『ブラック・シーザー』(73年、日本未公開)のテーマ曲「The Boss」が使用されているのも心憎い。

前作はコメディーにしては笑いも控えめであり、全体的にごく普通といった出来ばえであった。だが、この続編は笑いもパワーアップし、リズムとテンポもかなり良く、華やかさを存分に感じさせる。とにかく“ゴージャス”の一言が相応しい作品である。

ビー・クール DVD ビー・クール

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2006/02/01
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2006年7月11日 (火)

ブラック・コブラ

ニューヨーク市警の腕利き刑事“ブラック・コブラ”ことマローン(フレッド・ウィリアムソン)は、女性カメラマンであるエリース(エヴァ・グリマルディ)の護衛を担当することとなる。その夜、エリースは強盗殺人事件を目撃し、犯人グループの一人を撮影する。それ以来、エリースは執拗に狙われ続けるハメとなる。マローンは犯人グループを追い詰め、激闘を繰り広げる。

70年代ブラックスプロイテーション映画風のタイトルであり、そのジャンルのスターであるフレッド・ウィリアムソンが主演である。だが、ソウルフルやファンキーといった雰囲気は微塵もないイタリア製アクション映画である。

内容はシルヴェスター・スタローンの『コブラ』(86)を意識したものであるが、『コブラ』を下回る出来ばえである。見せ場となるアクションシーンは地味なタッチで描かれているがその分、ウィリアムソンのクールでタフな格好良さを十分に感じさせる。アクション、サスペンス、音楽といった部分はまるで80年代後半の和製刑事ドラマを彷彿させるようなものであり、いかにもB級アクション映画といった仕上がりである。

後に3本の続編が製作されたが、3本目と最終作である4本目は日本未公開のビデオスルーのみであった。

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2006年6月29日 (木)

ハードネス

ミス・コンテストが行われている高層ホテルに武装テロリストたちが侵入し、コンテスト参加者を人質に取り、占拠する。人質の一人でマーシャルアーツを得意とするシャロン(シャノン・トゥイード)がたった一人でテロリストたちに挑む。

“女ダイ・ハード”と呼ばれる本作は、基本的な設定こそは本家ダイ・ハードとほぼ同じである。だが、肝心なアクションシーンとなれば、本家よりもパワーダウンしており、完全なB級アクション映画といった出来ばえである。

シャノン・トゥイードが凶悪なテロリストを相手に、銃を片手に立ち向かい、ジャン・クロード・ヴァン・ダム風の回し蹴りを炸裂させる。女戦士としての強さを巧く描写しているがその反面、涙を流して怖気づいてしまったりと女性の弱い部分もしっかりと描いている点も素直に良いと思う。

元プレイメイトのシャノン・トゥイードや人質の美女たちが登場するのだから、適度なお色気を取り入れるともっと娯楽作品らしい仕上がりになっていただろう。

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2006年5月31日 (水)

バイオレンス・コップ

ニューヨークの腕利き刑事ジョー(ジェームズ・レマー)は元恋人の弟と手を組み、元恋人とその兄夫婦を殺害した凶悪な麻薬組織の連中を相手に激しい闘いに挑む。

単純明快なストーリー、舞台となる田舎町、音楽、見せ場となるハードなアクションシーン等は全体的にB級ムードが漂う。アクションシーンは普通に面白いと思えるほどの出来ばえである。

ラストシーンで明らかにされる麻薬組織のボスの正体が意外な人物であり、驚かされる。そういった設定が他のアクション作品に比べると一味違った感覚であり、それが面白さの一つとも言える。

とにかくB級アクションの面白さを満喫できる作品である。

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2006年5月10日 (水)

犯罪王リコ

トーキー初期であった1930年代、大恐慌を背景にしたギャング映画が製作され、空前の大ブームを巻き起こした。本作もその一つであり、『民衆の敵』(31)と肩を並べるほどの古典的名作である。

田舎町のチンピラ、リコ(エドワード・G・ロビンソン)は相棒ジョー(ダグラス・フェアバンクスJr.)と共にニューヨークへと向う。やがて暗黒街においてギャング王として上り詰めたが、結局は機関銃で撃ち殺されてしまう。

本作は、ギャング王としてはかなり有名なアル・カポネをモデルにした作品として多くの人々に知られてはいるが、実際にモデルとなったのはカポネではなく、サル・カルディラネと言うギャングであった。

ギャング映画によくありがちで、見せ場の一つでもある残虐なシーンや派手なアクションシーンを売り物とせず、一人の男の栄枯盛衰と呼ぶに相応しい生涯を丹念に描写したことが成功のきっかけとなった。

ちなみに、ブラックスプロイテーション映画として有名な『ブラック・シーザー』(73年、日本未公開)は、本作を黒人版としてリメイクしたものである。

犯罪王リコ 特別版 DVD 犯罪王リコ 特別版

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2005/02/04
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2006年5月 5日 (金)

パパラッチ

アクションスターとしてスターダムへと登りつめたボー・ララミー(コール・ハウザー)は、常にパパラッチたちに翻弄されている。挙句の果てには妻子にも悪影響を及ぼされ、自分自身も彼らの罠にはまる。そしてついに復讐するべく立ち上がる。

パパラッチの実態を描いているが、彼らの極悪非道な手口を強烈なタッチで描く。相手の弱点につけこみ、どん底に陥れようとする彼らの行動を見ているだけでも腹立たしく、激しい怒りを覚える。人権尊重やプライバシー保護の重要性を訴えかけているかのように思える。

フラッシュバックを巧妙に扱ったことによって斬新な映像へと仕立て上げ、テンポの良い面白いストーリー展開をさらに盛り上げている。アクションシーンは派手さを追求せず、丁度良いくらいの感じである。サスペンスとしても抜群に良い出来ばえである。

製作をメル・ギブソンが手掛け、監督は本作が劇場用作品デビューとなるポール・アバスカル。

パパラッチ DVD パパラッチ

販売元:日活
発売日:2006/08/04
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2006年4月27日 (木)

ヘイフラワーとキルトシュー

シニッカとティーナ・ノポラ姉妹の人気児童文学を映像化し、本国フィンランドで大ヒットを記録した可愛らしい作品である。

小学校入学前のヘイフラワーとおてんばな妹キルトシューの日常をドタバタコメディー風に描くが、優しく温かい雰囲気を醸成する。

ユニークなキャラクターの設定と描写が巧い。しっかり者の姉キルトシュー、いたずら好きで少々生意気な妹キルトシュー、家事が全くできない求職中の母、仕事であるイモ研究に没頭すして家庭に興味を示さない父といった相当な風変わりの家族である。他に近隣のおばさん二人組や警官二人組も同様にかなりのクセ者である。

劇中の雑貨、インテリア、大自然の森や植物がとても印象的であり、全体的にカラフル、ポップ、お洒落といった形容が相応しく、独特で美しい。ほのぼのとしたストーリーと巧く絡み合っている。

子供向けのファミリー作品ではあるが、大人の方でも十分に楽しめることは間違いないだろう。無邪気で可愛らしい感覚とポップな映像美に酔いしれると同時に癒されるだろう。

ヘイフラワーとキルトシュー DVD ヘイフラワーとキルトシュー

販売元:アット・エンタテインメント
発売日:2006/07/07
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2006年4月23日 (日)

プロデューサーズ

1968年、喜劇王メル・ブルックスの初監督作として話題となり、アカデミー脚本賞を受賞。2001年、ブロードウェイで舞台化され、トニー賞最多の12部門を獲得し、さらに話題となった。そして、今回再び映画化された。

一日でコケるような最低ミュージカルを製作し、製作費を持ち逃げしようとする会計士とプロデューサーのやりとりを歌とダンスと笑いを巧みに織り交ぜて盛大なスケールで描く。

ネイサン・レインとマシュー・ブロデリックが舞台版に引き続き再び主演として登板。そこにユマ・サーマンとウィル・フェレルが加わったことによってキャストに華を添える。彼らの個性と存在感が存分に発揮され、圧倒的な印象を残す。

何といってもミュージカルシーンは圧巻。音楽、照明、衣装、セット等がシーンを彩り、自由なアングルで捉える。パワフルかつゴージャスな雰囲気がミュージカルの華やかさを見事に再現する。

アイデアが満載であり、最初から最後まで見所たっぷりの構成はエンターテイメントの極地と呼ぶに相応しいほどの完璧な仕上がりである。とにかく終始ゴキゲンな力作。

プロデューサーズ コレクターズ・エディション DVD プロデューサーズ コレクターズ・エディション

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2006/10/04
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2006年4月19日 (水)

ハード・ターゲット

今ではハリウッド製アクション映画のヒットメイカーとなったジョン・ウー監督。彼のハリウッド進出第一作となるのが本作である。

マーシャル・アーツ仕込みのファイトシーンを得意とするアクションスター、ジャン・クロード・ヴァン・ダムとの最強タッグを結成。それだけにアクションシーンはお見事だ。

カメラワークやカット割りも巧みであり、スロー映像を多用することによってキレ味の鋭い迫力満点のパワフルな映像へと仕上がっており、テンポも抜群に良い。

ヴァン・ダムの体を張った生身の演技と監督のド派手な演出によって仕上がった本作は、アクション映画としても史上最強といっても過言ではないと思えるほどである。

監督が後に手掛ける『M:I-2』(00)の原点と呼ぶに相応しいアクション演出(バイクアクションや二丁拳銃の使用等)が所々見受けられる。

ハード・ターゲット DVD ハード・ターゲット

販売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
発売日:2005/03/25
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2006年4月10日 (月)

ボム・ザ・システム

ストリートの壁にスプレー缶で落書きをするグラフィティーアートに熱中する若者たちを描いた青春映画。

グラフィティーライターである若者たちは警察の網を潜り抜け、カラフルかつド派手な絵を描く。しかし、その絵はすぐに消されるが彼らは幾度も描き続ける。

グラフィティーアートを克明に描いているが、主人公の恋愛や友情、家庭もしっかりと描く。衝撃的なラストシーンへの展開等ストーリーに様々な要素を取り入れたことによって、良いドラマへと仕上がった。

こだわりのある映像は、斬新さが見る者を圧倒させる。スタイリッシュな雰囲気もかなり印象的である。劇中に登場する落書きまみれの壁や夜の暗い街並みを見ているだけでもワルの匂いが漂い、薄気味悪さを感じさせる。

ボム・ザ・システム DVD ボム・ザ・システム

販売元:ビデオメーカー
発売日:2006/04/04
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2006年4月 5日 (水)

ビッグ・バッド・ママ

ウィルマ(アンジー・ディッキンソン)と娘二人が裕福な生活を求めて強盗をやらかす。3人のモデルは1930年代に実在したギャング団バーカー一家である。

ウィルマは男勝りな気性ではあるが、色っぽさを十分に醸し出す。セクシーかつ強烈なイメージで見る者を圧倒させるキャラクターであると同時にアンチヒロインの描き方としても完璧である。その反面、娘を思いやる母親らしさも存分に描かれる。娘二人も無邪気で子供っぽい感じはするが、母親に負けじとセクシーさをアピールし、よく頑張っていると思える。

銃撃戦やカーチェイスといった活劇的見所も多く散りばめており、パワフルなタッチが良い。「活劇」と「色気」の二大サービスを存分に愉しめる点は、娯楽映画と呼ぶに相応しい出来ばえであり、製作者ロジャー・コーマンならではの作品である。

ビッグ・バッド・ママ DVD ビッグ・バッド・ママ

販売元:キングレコード
発売日:2002/10/02
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2006年3月30日 (木)

フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い

最愛の養母を殺され、復讐に燃え上がる四人の義兄弟の姿を描いたバイオレンスアクション。

四人の絆の強さが何といっても印象的。彼らは血のつながりも無ければ、人種も異なる。共に喜び、悲しみ、時には激しい喧嘩もする。本当の兄弟らしさを実感させる。

ストーリーも二転、三転し、謎解きもあったりと様々な方向へと展開する。銃撃戦やカーチェイスといった見せ場はド派手に描かず、クールかつスタイリッシュな仕上がりである。ハードボイルド仕立ての映像が魅力的。

かつてのモータウン・サウンドが全編を彩る。特にマーヴィン・ゲイが歌う『野獣戦争』(72)の主題歌としても有名な「トラブルマン」が使用されている点は、ブラックムービーファンにはたまらないだろう。

70年代テイストをほのかに感じさせる点は、『黒いジャガー』(71)を『シャフト』(00)としてリメイクしたジョン・シングルトン監督らしさである。

フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い スペシャル・コレクターズ・エディション DVD フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い スペシャル・コレクターズ・エディション

販売元:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
発売日:2006/05/26
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2006年3月22日 (水)

ハウス・オブ・ザ・デッド

人気ゲームを映画化したもの。タイトルとゲームの実写化と聞くだけでジョージ・A・ロメロ監督による一連のゾンビ映画と『バイオハザード』(01)が合体したような内容だと思える。しかし、ゾンビ映画として見てもかつてのそれらの作品とあまり変わらないものである。ロメロ監督作のように社会的要素は皆無であり、至って娯楽色満載である。

本作のネタであるゲームの映像が幾度と挿入され、風変わりである。それは面白い試みと捉えることもできるが、特に必要でもなく、ごまかしているかのようにも思える。見せ場でもあるアクションシーンもゲーム感覚を意識しているのかプロモーションビデオのような仕上がりである。全体的には、かつてのアクション映画がやってきたものであり、新しいものを感じさせない。

筋立ても単純明快であり、何も考えずに見ることが前提である。結果的に言えば、B級感覚を十分に醸し出すサバイバル系ゾンビアクション映画である。

ハウス・オブ・ザ・デッド DVD ハウス・オブ・ザ・デッド

販売元:日活
発売日:2005/08/05
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