2009年7月17日 (金)

湖のほとりで

北イタリアの小さな村のはずれにある湖のほとりで若くて美しい女アンナ(アレッシア・ピオヴァン)の遺体が発見される。この村の警察署に着任してきたばかりのベテラン警部サンツィオ(トニ・セルヴィッロ)が捜査を進めていくうちに住民たちの人間関係や家族の在り方が明らかとなっていく。

カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『息子の部屋』のナンニ・モレッティオ監督のもとで助監督を担当していたアンドレア・モライヨーリの長編デビュー作である本作は、本国イタリアでは小劇場での公開に始まり、口コミによって240館以上に拡大公開されて大ヒットした。挙句の果てにはイタリアのアカデミー賞と称されるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で史上最多の主要10部門を獲得するという快挙を成し遂げたのである。

刑事サスペンスと人間ドラマの二面性を持っており、どちらかと言えば人間ドラマに比重が置かれている。モライヨーリ監督は、落ち着いた静謐なタッチで登場人物たちが抱えている問題を浮き彫りにしていく。だが、魅せ方やストーリー運びが全体的に淡々とし過ぎているため、地味な小品というイメージのある作風がより一層地味なドラマとして仕上がった。それでも湖の周辺の鮮やかな風景描写は誠に秀逸であり、このようなシーンを多用していれば芸術映画として味わい深い作品に仕上がっていただろう。上映時間を95分にまとめて観易い作品にしたことが最大の救いだとも言える。

個人的には、TV刑事ドラマ『特捜最前線』の地味で盛り上がりに欠ける回のイタリア産と言いたい。

【65点】

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2009年4月11日 (土)

マックス・ペイン

20世紀フォックス社が昨年の『ヒットマン』(07)に続いて再びゲームが原作のガンアクションを世に送り出した。

ニューヨーク市警の未解決事件班は訳ありの汚職刑事が集まっており、そこに所属するマックス・ペイン(マーク・ウォールバーグ)は、愛する妻子を殺害され、苦心しながらその犯人を追い続けている。

ダークな雰囲気を漂わせたクールな映像、顔にもタトゥーが彫り込まれた怪しげな敵、物語の重要な要素である新種のドラッグに羽のタトゥー。これらがアウトローの世界観を形成し、スタイリッシュな魅力を発揮させている。

序盤から中盤までは主人公マックスの活躍をサスペンスの連続とちょっとしたアクションを挟んで描く。そこに羽を持った不気味な悪魔が宙を舞う幻想が観られ、観る者に興味を抱かせる。特にサスペンス描写は、刑事映画らしい仕上がりとなっており、その面白さを汲み取れる。

中盤以降は、本作の狙いであるガンアクションが展開され、クライマックスまで多くの見せ場が用意される。

マックスの身辺で起きる連続殺人事件と妻子殺人の関係が死んだ妻ミシェルの元勤務先にあると睨んだマックスは、大手製薬会社に向かう。ここで第一の見せ場となる大銃撃戦が繰り広げられる。武装した警備員軍団が撃ちまくり、マックスが負けじと応戦する。屋内のスプリンクラーから水が噴き出し、ガラスが勢い良くド派手に粉砕する。とにかくこの壮大なバトルは最高の迫力が感じられ、手に汗を握って楽しめる。

そして、最終決戦はマックスがある事をやらかして臨むが、このある事が観る者をあっと驚かせる。これに共感できないという方もいるかも知れないが、捉えようによってはありとも言えるだろう。クライマックスでは、ド派手な銃撃戦とともに羽を持った悪魔による幻想が融合し、ゲームの持ち味がリアルな映像によって巧く表現され、パワフルで迫力満点の面白さを存分に味わえる。ビルの爆破シーンがしっかりと用意されているのも良い。

本作の特徴として、ゲームで観られる“バレット・タイム”映像を再現させるべく最新のスロー映像専用カメラを駆使して従来のアクション映画とは違ったスローモーションで銃撃戦を描いている。この趣向も大いに認めるが、それよりもテンポ良く描かれた凄まじい描写の方が好印象で面白い。

ジョン・ムーア監督は、エンターテイメント要素を最大限に発揮させたアクション演出に成功し、胸のすくような醍醐味が感じられるような作品に仕上げたのである。

マーク・ウォールバーグが主人公マックスをハードボイルドなイメージで好演し、彼が魅せつけるアクションは最高で実にカッコいい。他に、殺されてしまうヤク中のロシア人美女ナターシャに新ボンドガールで先述した同趣向の『ヒットマン』にも出演していたオルガ・キュリレンコ、元警官でマックスの良き理解者だが途中で意外なキャラクターとして描かれるB.B.にボー・ブリッジス、マックスを容疑者としてマークする内務調査官ブラヴーラにラッパーのクリス・“リュダクリス”・ブリッジス、スキンヘッドに顔面タトゥーの謎の男ルピノにアウマリー・ノラスコ、ナターシャの姉でマックスと敵対していたが途中で応援役としてサポートするモナにミラ・ニクスといった一流のキャストが魅力的なキャラクターを好演している。

エンドロール後にもオマケシーンがあり、最初から最後の最後まで楽しめる一級のエンターテイメント作品だと言いたい。

【80点】

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2009年2月11日 (水)

モトリー・クルーのディザスター! アルマゲドン危機一発

地球に衝突しようとする小惑星ショーン・コネリーを破壊するべく立ち向かう選ばれし七人のスペシャリストと一体のオカマロボの姿を描いたクレイ・アニメ・コメディー。

タイトルのモトリー・クルーとは、大物ロックバンドの名称であり、メンバーが粘土製人形となって劇中に登場し、本人たちも声の出演を果たしている。また、『ホステル』二部作でお馴染みのイーライ・ロス監督も声優を務めている。

『アルマゲドン』をメインにディザスター作品のパロディーが盛り込まれており、そこに過激かつストレートな下ネタ系ギャグがこれでもかと言わんばかりに連発される。とにかく悪ノリ爆発でやりすぎているのである。ここまで過激にやりきれたのはクレイアニメだからこそであり、実写でやられるとかなりキツいものもある。誠に低俗で道徳観のカケラもない究極のおバカ映画である。

おバカに徹していることは十分にわかるが、肝心な笑いの要素が消化不良状態となっていることが残念だ。エロ・グロ・汚いの三拍子が揃った下ネタは、新味がない上にあまり捻りが利いていないがために爆笑できるほどの面白さが味わえない。本作と同じような過激なブラックユーモアを追求した作品は多く存在し、心の底から笑えて面白い作品は結構存在するので本作のような平凡な下ネタ満載ギャグではビクともしないのである。それでも、過激なおバカ映画は好きではあるものの滅多に観ないという方にとっては、下ネタてんこもりに驚かされ、そこそこ笑えるかも知れない。笑えるか否かは別として、掘り出し物、珍作としては観る価値はありかもだ。

本国アメリカでは上映禁止となったいわく付きの作品。日本では、レイトショーのみの公開で公開日の約一ヵ月後にDVDがリリースされるとのこと。スクリーンで観たいという日本のおバカ映画ファンにとっては、劇場公開は嬉しいこと間違いなしだろう。

【45点】

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発売日:2009/03/27
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2009年1月26日 (月)

マンマ・ミーア!

ブロードウェイをはじめ世界各国で上演され、現在でも多くのファンに支持されているミュージカルがついに映画化された。監督はミュージカル版同様にフィリダ・ロイド。製作には名優トム・ハンクスも携わっている。

舞台はギリシャのリゾート地、カロカイリ島。この島で小さなホテルを経営するドナ(メリル・ストリープ)は、父の存在を一切知らない娘ソフィ(アマンダ・セイフライド)と二人暮し。ソフィは翌日にスカイ(ドミニク・クーパー)との結婚式を控えており、式では父と一緒にヴァージンロードを歩きたいと思っている。ドナの昔の日記を見つけ出したソフィは、そこに記されているサム(ピアース・ブロスナン)、ハリー(コリン・ファース)、ビル(ステファン・スカルスガルド)という三人の母の元カレにドナを差出人とした招待状を送った。ソフィは、この三人の中から自身の父親を探し出そうとするが・・・・・・。

全編がABBAのヒットナンバーに彩られ、曲に合わせて歌って踊る。これが本作の見所だ。楽曲は「ダンシング・クィーン」、「SOS」、「チキチータ」、「マネー、マネー、マネー」といった代表曲を中心に約20曲が使用されている。中でもメリル・ストリープが歌って踊る「ダンシング・クイーン」のシーンは最大の見所の一つであり、観る者をゴキゲンな気分にさせてくれる。また、ピアース・ブロスナンの下手っぷりが伺える「SOS」も忘れられない。とにかくABBAのヒットナンバーが作品をハイテンションで盛り上げているのだ。

ロケ地であるギリシャの風景活写も印象深い。きらめく陽光が綺麗な青い海に射しかかり、キラキラと輝く黄色い海に変わる。大自然を活かした色彩は鮮明であり、観る者の気分をさらに良くさせる。このギリシャでのロケは、映画だからこそ実現できたものであり、これが作品の質を高め、優雅な雰囲気を醸成させることに成功したと言える。

ドナ役のメリル・ストリープをはじめ、ソフィ役のアマンダ・セイフライドら主要キャストはミュージカル初挑戦とのことだ。歌やダンスの上手い下手は関係なく、キャストの面々が大いに歌って踊って演技して笑わせてという具合に思う存分楽しませてくれるのである。中でもドナが若い頃に組んでいた三人組のボーカル・ユニット「ドナ&ダイナモス」のメンバーであるロージー(ジュリー・ウォルターズ)とターニャ(クリスティーン・バランスキー)の存在が大きい。特にロージーはコメディー色の強いキャラクターであり、その強烈な個性を発揮させた演技は本当に面白いため、笑わずにはいられない。

ラストの結婚式のシーンは、軽いドタバタ喜劇のようなタッチで描かれ、さらに驚くような結末も用意されている。最初から最後まで面白さに満ち溢れたミュージカル作品である。

近年のミュージカル作品は二時間を越えるモノが多いが、本作の上映時間は108分で比較的短めだ。面白いシーンを多く取り入れ、ダラダラと長引かせずに巧くまとめあげることに成功している。だから、楽しい一時があっという間に過ぎたと思える。

ミュージカルファンはもちろん、ABBAのファンも必見の作品だ。特にABBAファンは、『ミュリエルの結婚』(94)と合わせて楽しんでみても良いだろう。

【75点】

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マンマ・ミーア!-ザ・ムーヴィー・サウンドトラック Music マンマ・ミーア!-ザ・ムーヴィー・サウンドトラック

アーティスト:サントラ,マイケル・フィリップ,ピアース・ブロスナン,クリスティーン・バランスキー,メリル・ストリープ,ジュリー・ウォルターズ,アマンダ・セイフライド,コリン・ファース,ドミニク・クーパー,ステラン・スカルスゲールド,アシュリー・リリー
販売元:ユニバーサル インターナショナル
発売日:2008/12/29
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マンマ・ミーア!-ザ・ムーヴィー・サウンドトラック デラックス・エディション(DVD付) Music マンマ・ミーア!-ザ・ムーヴィー・サウンドトラック デラックス・エディション(DVD付)

アーティスト:サントラ
販売元:UNIVERSAL INTERNATIONAL(P)(M)
発売日:2009/01/28
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2008年10月20日 (月)

マニアック・コップ(『地獄のマッドコップ』、日本未公開)

ニューヨークで猟奇的な殺人事件が多発する。その犯人は巨漢の警官だった。事件の濡れ衣を着せられた警官ジャックは調査の結果、かつて人権無視の捜査が原因で刑務所に入獄し、囚人たちから半殺しにされた模範的で実直な警官が捜査線上に浮かび上がる。

製作総指揮を『エクスタミネーター』(80)等の迷作娯楽アクション映画の職人ジェームズ・グリッケンハウス、脚本及び製作をラリー・コーエン、監督をウィリアム・ラスティグというB級娯楽映画の三強が手懸けた本作は、80年代を代表すると言っても過言ではない傑作ホラー作品。

単純化されたストーリー、サスペンス描写、ホラー映画ならではの残酷で血生臭い殺人シーン、ラストのポリス・アクションらしい大掛かりな見せ場といった演出は面白さがしっかりと味わえる出来栄えだ。派手さはあまり感じられないもののツボが押さえられているからこそ面白いと言える。無駄な部分を極力排除して80分強の時間でまとめているので観易くて気楽なB級娯楽映画として仕上がっている。

本作は日本では劇場未公開だが、アメリカ本国では大ヒットを記録した。その後、二本の続編が製作され、こちらは日本でも劇場公開された。

【65点】

マニアック・コップ DVD マニアック・コップ

販売元:キングレコード
発売日:2008/11/05
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2008年7月10日 (木)

マーキュリーマン

タイ製アクション映画と言えば、生身の体を張った格等系のイメージが強いが、本作はアメリカンコミックが原作のハリウッド製SFヒーローアクションを意識した作品だ。

正義の感情で任務に当たり、スタンドプレーばかりして同僚から目を付けられている消防士チャーン(ワサン・カンタウー)は、アメリカに憎悪を抱くテロリストのウサマ・アリ(アノン・サーイセンチャ)脱獄騒動に巻き込まれた際にチベット秘宝“太陽の護符”を胸に突き刺される。その瞬間、チャーンは護符のパワーによって重力を操り、高熱を発揮する超人マーキュリーマンとなった。太陽の護符と同等の秘宝“月の護符”を入手したテロリストは、チャーンから太陽の護符を奪うため、母親を拉致して挑発する。マーキュリーマンは、極悪非道なテロリスト軍団と激闘を繰り広げる。

本作は、ハリウッド製SFヒーローアクション作品のようにVFXを駆使すると同時に従来の生身の格闘アクションをプラスして描いている。さらに近年目立っている中近東のテロをネタにした作品のテイストを取り入れている。こうしたことによってアクション映画としての面白さが最大限に発揮されている。

マーキュリーマンの見た目は、『スパイダーマン3』(07)に登場した黒色スパイダーマンを思わせる。コミックが原作の作品ではないため、『スパイダーマン』シリーズを意識して作られたと思う。そんなマーキュリーマンがムエタイ風の攻撃で敵を蹴散らす姿は、ハリウッド製SFヒーローアクションにはない新味な面白さが感じられる。また、鋭いキレ味で描かれているため、スカッとした最高に良い気分にさせてくれる。マーキュリーマンが飲酒運転するドライバーや婦女暴行魔をやっつけては新聞に取り上げられるシーンは、まさに正義のヒーロー参上という感じでこれがまた気持ち良さを存分に味わえる。

やはりどうしてもハリウッド製SFヒーローアクションと比較してしまうが、比較すれば多少パワーダウンしていることだけは否めない。それでも存分に楽しむことができる面白い作品であるためそれだけでも十分良いのだ。

チャーンの妹(元は弟)役として『ビューティフル・ボーイ』(03)で半生を描かれたオカマのキックボクサーとして有名なパリンヤー・ジャルーンポンが出演している。マーキュリーマンの活躍と同時にパリンヤーが魅せつける格闘アクションと演技も是非とも注目していただきたい。

【80点】

マーキュリーマン DVD マーキュリーマン

販売元:Happinet(SB)(D)
発売日:2008/10/24
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2008年7月 1日 (火)

マンデラの名もなき看守

既に政界を引退しているネルソン・マンデラ元南アフリカ共和国大統領が初めて映画化を許可した自身の伝記的社会派人間ドラマ。

舞台は、アパルトヘイト(人種隔離政策)が真っ只中の1968年の南アフリカ。黒人差別主義者の白人看守ジェームズ(ジョセフ・ファインズ)は、反政府運動のリーダーであるマンデラ(デニス・へイスバート)の看守担当になる。ジェームズは、マンデラに接する度にその人柄を理解し、好意を抱くのだが・・・・・・。

ジェームズがマンデラの看守になったのは、ジェームズが彼らの母国語であるコーサ語を理解していることが原因だった。ジェームズは、少年時代に一人の黒人少年と仲良く遊んでいた。この経験があったからこそコーサ語が理解できたのである。それと同時に黒人差別意識が殆どないのである。アパルトヘイトという理不尽な体制によって仕方なく黒人差別主義者となっているだけである。劇中では少年時代の思い出の一つである黒人少年との棒術遊びのシーンがフラッシュバックで描かれている。中盤以降では、ジェームズとマンデラが棒術対決をするシーンが観られる。これを観る限り、黒人と白人が仲良く過ごす人種平等社会を象徴しているかのように思える。また、マンデラが解放されるシーンでジェームズが少年時代に黒人少年から頂いたお守りを手渡すシーンが観られる。このシーンを観て考えられることは、ジェームズにとってのマンデラは、楽しかった少年時代の思い出を甦らせてくれる存在でもあったということである。平等と友情をほのかに感じさせる印象深いシーンだ。

本作でもう一つの印象深いシーンと言えば、ジェームズがマンデラの理想的な社会の実現という考えに共感を抱き、閲覧禁止の自由憲章を読むシーンだ。閲覧するために図書館職員と少々ややこしいやりとりをし、人にバレないようにこっそりと読むジェームズの姿を観ていると、こちら側もジェームズに感情移入し、ハラハラドキドキしてしまう。

本作は、マンデラ大統領をメインに描いたドラマだと思えるが、あくまでもメインは彼の看守ジェームズである。ジェームズという一人の男を通してマンデラの27年間に及ぶ獄中生活の一部と解放されるまでをドラマとして描いている。この手の作品は、上映時間が2時間を越えてしまうようなことが多いが、ダラダラとした冗漫な描き方をせずに2時間以内にまとめている点が非常に良くてしかも観易い作りとなっている。

ネルソン・マンデラの人柄や偉大さをもっと知りたい方や人種問題を理解したい方は、本作を観て勉強されることをオススメしたい。

【70点】

マンデラの名もなき看守 [DVD] DVD マンデラの名もなき看守 [DVD]

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2009/04/24
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2008年5月23日 (金)

無敵のゴッドファーザー ドラゴン世界を征く

カルロ(コンサルボ・デルアルティ)をボスとするドラッグ密売系マフィア組織によるインターポールの刑事暗殺事件が発生していた。ところが、香港では通りすがりのカンフーアクション映画スターで“スーパードラゴン”の異名を持つワン・レイ(ブルース・リャン)がこの事件を阻止した。カルロは映画ロケという罠を張ってワンをローマへと呼び寄せ、カルロの実子カニー(マリオ・クリティーニ)と二人の養子であるデューク(ゴードン・ミッチェル)と坂田(倉田保昭)がワンの命を狙う。ワンとカルロ一家の激闘が繰り広げられる。

ウー・スー・ユエン監督とブルース・リャン、倉田保昭が『帰って来たドラゴン』(74)に続いて世に送り出した香港製カンフーアクション。本作はヨーロッパでのロケが話題の一つとなり、香港映画界の国際化という面で大きく変化をもたらした。敵がイタリアンマフィアという点では、当時の流行モノであったイタリア製ギャング映画の特色を取り入れたことが大いにわかる。アクションシーンもこの手のジャンルの当然の売り物であるカンフーファイトに拳銃やマシンガンといった武器を使う敵が現れたことによって面白さがパワーアップし、変わってきたのだ。また、アクションシーンはローマの観光名所をバックに繰り広げられ、ロケーションの活かせ方も実に良い。

徹底された娯楽性はアクションだけでなく、登場する二人の美女の活躍からも伺うことができる。まずは、シャーリー・コリガン扮する保険会社の社員アイビー。カルロの関係者として怪しげな雰囲気を感じさせるが、これを裏切ってワンを助けて仲良くなる。敵に襲われるとカンフー技で攻撃して金色の拳銃を向けたりという具合にシャーリーの存在はまさに魅力的だ。もう一人は、ワンの主演作品でヒロイン担当女優リリー役のマリア・ダインコロナート。黒髪美女の彼女は、胸と尻を露出したセクシーサービスをしっかりと提供しているのだが、脇毛が生えていることに驚かされると同時に笑わせてくれる。どちらかと言えば金髪美女シャーリーのセクシーサービスの方がウケが良いと思えるのだが、マリアでも悪くはなかったと思う。とにかく金髪と黒髪の美女の存在が作品に面白さを倍増させたことに間違いはないのだ。

ストーリーは細かいことを考えず、頭を空っぽにして観られるように簡素化されている。だから、思う存分カンフーアクションを堪能できる。

音楽に関してもマニアならではの面白さが発見される。まずは、オープニングのクレジットで『続・夜の大捜査線』(71)のテーマのイントロ部分が使用されている。次に『110番街交差点』(72)のテーマのイントロ部分(劇中で使用されたバージョン)が三度使用されている。これに関しては、ジミー・ウォング主演のカンフーアクション『片腕ドラゴン』(72)で『黒いジャガー』(71)のテーマが無断で使用されていたことと同じニュアンスであることがわかる。

とにかく最後の最後までアクションが楽しめるB級娯楽作品だ。

【65点】

Photo

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2008年5月21日 (水)

魔法にかけられて

おとぎアニメの世界アンダレーシアに住む心優しいプリンセスのジゼル(実写時=エイミー・アダムス)は、運命的に出会ったエドワード王子(実写時=ジェームス・マースデン)との結婚を直前にこれを極度に妬むナリッサ女王(実写時=スーザン・サランドン)によって現代のニューヨークへと飛ばされてしまう。生身の人間となったジゼルは、はじめての現実の世界に苦労するが、ある夜、バツイチの弁護士ロバート(パトリック・デンプシー)とその娘モーガン(レイチェル・カヴィ)に助けられる。

近年CGアニメを量産しているディズニーが久々に従来のアニメーションに手をつけ、これを実写と融合させたのである。このアイデアだけでも実に面白く思える。アニメ世界と現実世界のギャップの描き方が面白く、ジゼルのアニメ世界独特の行動が現実世界で浮きまくる様子が笑いを誘い出す。だが、さらにエドワード王子やジゼルが可愛がっているリスのピップらが現実世界にやってきたことによってニューヨークはますますパニック状態となり、だんだんアニメ世界化することによって面白さがパワーアップする。

作品の設定がコメディーとしての面白さを発揮しているが、そこにディズニー作品の『シンデレラ』や『白雪姫』のセルフパロディーや歌とダンスのミュージカル描写が随所に取り入れられたことによって作品に華やかさと面白さが倍増された。後半ではスケールの大きな見せ場が用意され、ラストシーンでもあっと驚くような描き方がなされている。全編が観る者を飽きさせないような作り方となっていて印象的なシーンも盛り沢山だ。

個人的に特筆したいポイントは、序盤でロバート宅が散らかっていることに気づいたジゼルがアニメ世界通りの方法で窓を開けて頼りにしている様々な動物たちを集めて掃除をさせようとするが、現実世界ではハトとネズミ、ハエとゴキブリの軍団が大集合。ハト以外はまさに不快であり、そんな汚すぎる生物が一生懸命に掃除するシーンは、気持ち悪さとツッコミを入れたくなるような面白さが交錯していてやや不思議な感じだ。ハトがカラスであったら、もっと不快であると同時にヒッチコック監督の名作『鳥』(63)のパロディーになっていただろう。

とにかく様々な面白さが味わえる上に幸せな気分にさせてくれる。最初から最後まで本当に最高でゴキゲンな一級のエンターテイメントだ。面白いの一言に尽きる。

【95点】

魔法にかけられて 2-Disc・スペシャル・エディション DVD 魔法にかけられて 2-Disc・スペシャル・エディション

販売元:ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
発売日:2008/07/18
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「魔法にかけられて」TOKYO GIRLS COLLECTION★HONEY SALON コラボレーションポーチ&DVDセット (数量限定) DVD 「魔法にかけられて」TOKYO GIRLS COLLECTION★HONEY SALON コラボレーションポーチ&DVDセット (数量限定)

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魔法にかけられて オリジナル・サウンドトラック Music 魔法にかけられて オリジナル・サウンドトラック

アーティスト:サントラ,ジェームズ・マースデン,木村聡子,小西のりゆき,エイミー・アダムス,ジョン・マクラフリン,キャリー・アンダーウッド,畠中洋,小森創介,ミュージック クリエイション,MCキッズ
販売元:エイベックス・エンタテインメント
発売日:2008/03/05
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『魔法にかけられて』ケヴィン・リマ監督インタビュー
配給ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
提供:@niftyコンテンツ
『魔法にかけられて』来日記者会見
配給ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
提供:@niftyコンテンツ

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2008年4月14日 (月)

マッドボンバー

愛娘をドラッグで亡くし、妻と離婚した男(チャック・コナーズ)は、社会全体を恨んで自作の時限爆弾で学校等を爆破させた。ある夜、彼が病院を爆破させるために忍び込んだが、聾唖の女性患者をレイプしていた暴行魔に二度目撃される。事件担当の警部(ヴィンセント・エドワーズ)は、二人の犯人を容赦なく追い詰める。

爆弾魔、暴行魔、警部の三人の行動を描くが、中でも主役の爆弾魔が強烈なインパクトを残す。道端でゴミを捨てた男に厳しく注意し、スーパーのレジ係の女や喫茶店のウェイトレスに対しても容赦なくクレームを突きつける。彼の行為は正当的ではあるが、かなり厄介なクレーマーという感じである。社会に疎外された男の描き方としては相応しいキャラクター描写であり、メガネ面で神経質そうな表情でこの役柄を演じたチャック・コナーズも見事だ。特に彼が自宅で爆弾を製造する姿を観れば孤独感と病的な感じがじっくりと伝わってくる。暴行魔の異常な性癖や警部のやや荒っぽい捜査方法も印象的であり、とにかく三者のキャラクターの設定と描写が良い。

監督は巨大生物をネタにしたB級パニック作品をお得意とするバート・I・ゴードンで彼にとっても本作はキャリアの中では異色と呼ばれている。観るからに低予算という感じで爆破シーンも良くも悪くもないごく普通の出来栄えだ。それでもサスペンス描写は魅せ方が巧く、先述した三人のキャラクターの描写も巧いのでこれが観る者を作品の世界にグイグイと惹きつけるのである。爆破アクションや復讐系バイオレンスとして楽しむことも良いが、サスペンスの味わいを堪能したい作品だ。

マッド・ボンバー DVD マッド・ボンバー

販売元:紀伊國屋書店
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2008年3月29日 (土)

マードックの拳銃

原作は、ロバート・ルイス・テーラーのピュリッツァー賞を受賞した冒険小説「ジェイミー・マクフィーターズの旅」のあるエピソードで脚本家バーン・ギラーが自由に脚色したものである。

マードック(チャールズ・ブロンソン)は、医師マクフィーターズとその息子ジェイミー(カート・ラッセル)とともに幌馬車隊を率いて街へ物資の補給に向かった。マードックはホテルのバーに立ち寄るが、そこで5年前にランス(ジャン・マーリン)ら三兄弟との銃撃戦に巻き込めれて死んだはずだった元恋人マリア(スーザン・オリバー)と再会するのだが・・・・・・。

ブロンソンが役者として売れ出して間もない頃に主役を張った本作は、ブロンソンが魅せつけるアクションはもちろんのことではあるが、やはり子役時代のカート・ラッセルの活躍をじっくりと注目したいところだ。無邪気でいかにも良い子という感じの役柄は実に可愛らしく、特にピンチ状態に陥ったブロンソン扮するマードックを助け出そうとするシーンは微笑ましくてとても印象的だ。とにかくラッセルのファンにとっては貴重映像であることに間違いないだろう。もちろんブロンソンのファンにとっても同じことが言える。

他にも西部劇ならではのガンアクション、鮮やかな美しさが魅力的な大自然もじっくりと味わえるのである。上映時間も短めだから時間的に余裕が無い方でも気軽に楽しむことができる。

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2008年1月 8日 (火)

モーテル

息子チャーリーが事故死したことが原因で夫婦仲が悪くなったデビッド(ルーク・ウィルソン)とエイミー(ケイト・ベッキンセイル)のフォックス夫妻は、車で帰宅している際、道路でアライグマを避けたことが原因で車が故障する。二人は仕方なく近くの古モーテルに宿泊することを決める。受付カウンターで変な支配人からカギを受け取り、部屋に入ると無言電話やドアを激しく叩く音に二人は悩まされる。その後、室内にあるビデオテープを再生するとホラー映画風の殺人シーンがTV画面に映し出される。だが、よく観るとその殺人シーンが撮影された場所が現在宿泊している部屋であることに気づく。二人はすでに殺人実写ビデオのネタになっていたのだ。

音によるショッキング、不気味すぎる殺人実写ビデオ、襲い掛かる二人の殺人鬼という三つの材料が恐怖心を煽り立てる。観ているうちに誰の仕業なのかということも大体わかってくるという脚本の甘さは否めないが、それをフォローできるように三つの材料を活かしてホラー、スリラーとしての恐怖を存分に味わうことができる面白い作品に仕上がっているのが良い点だ。

最初は静寂な感じで緊迫感を醸成させたサスペンスタッチで描き、中盤以降は緊迫感を持続させながらもハラハラドキドキさせる激しい描写が連続し、これが見せ場となり、ラストで最高潮に達する。

舞台が古モーテルということで部屋の薄汚さ、一匹のゴキブリ、風呂場の床下の穴を開けて地価に潜り込んで前進するとネズミ軍団という具合に恐怖感と同時に不快感も与えられる。

面白い上に上映時間は一時間半もない。時間はあまりないがそんな時でも刺激的なモノが観たいという方には良いかも知れない。

モーテル DVD モーテル

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2008/05/21
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2007年12月18日 (火)

マイティ・ハート/愛と絆

2002年、パキスタンにて取材中のウォール・ストリート・ジャーナル紙の記者ダニエル・パートがテロリストによって拉致され、殺害された。ダニエルの妻マリアンヌがこの事件を綴ったノンフィクション「マイティ・ハート 新聞記者ダニエル・パールの勇気ある生と死」に興味を抱いたブラッド・ピットが自身の製作会社「プランBエンタテイメント」で映画化の権利を得た。映画化に当たっては、ピットの実生活でのパートナーであるアンジェリーナ・ジョリーが主役のマリアンヌを演じるという最高のコラボレーションが実現し、これが話題の一つでもある。

監督は、『グアンタナモ、僕達が見た真実』(06)にてドキュメンタリータッチでリアリティーを追求し、その演出力の凄さで観る者を驚かせたマイケル・ウィンターボトム。彼が再び中東でのテロ事件を描き、持ち前の才腕を発揮させた。手持ちカメラを使って観る者に衝撃を与え、緊迫感をうまく持続させた見事な演出で事実である事件を克明に描いた。

アンジェリーナ・ジョリー扮するマリアンヌは夫が拉致されたときは、すでに妊娠六ヶ月。大変な時期に最悪な状況へと立たされたマリアンヌは、夫が無事に帰ってくることを信じ、強くて大きな心、すなわち“マイティ・ハート”でこの史上最悪の大ピンチを乗り越えようとする。夫の残念な結果を耳にした際、怒りと悲しみによって大声で叫ぶ壮絶なシーンの後、以前にも夫の遺体が発見されたという誤報があったため今回も誤報ではないかと確立の少なすぎる希望を口にする。最後の最後まで夫の無事を信じたマリアンヌは、常に前向きでプラス思考であった。さらに夫の捜索に力を貸してくれた捜査陣ら仲間たちに「夫は失ったがテロという脅威には屈しなかった。」と語った。マリアンヌの心は本当に“マイティ・ハート”であり、最後の最後まで強かったことを作品は証明した。観る者はこれに心を打たれてグッと来るのだ。

日本でも中東のテロリストによる被害者が問題となっている。被害者の家族が本作を観れば心が痛んで辛い思いをするだろうが、アンジェリーナ・ジョリーのマリアンヌによって勇気を与えられるだろう・・・・・・と心の底から思いたい。

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『マイティ・ハート/愛と絆』 ムービークリップ
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配給UIP映画
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2007年11月13日 (火)

メッセンジャー・オブ・デス

コロラドの田舎町で一家九人が二人組の男にショットガンで惨殺される。その現場には、旧モルモン教徒のシンボルである復讐の天使の絵が残されていた。知り合いの警察署長と共に現場に足を踏み入れた新聞記者スミス(チャールズ・ブロンソン)は事件の謎を追い、その真相が明らかになっていく。

チャールズ・ブロンソンとリー・J・トンプソンが七度目のタッグを組んだ作品。67歳のブロンソンがライフルで棺を撃ち抜き、カーアクションに挑み、敵にパンチとキックを喰らわす。絶頂期の精彩は欠いてはいるが、年齢に応じたアクションを魅せつけており、年老いてもタフなアクションスターであることは正直に認めることができる。

冒頭の一家九人を殺害する際のサスペンスタッチの描写、中盤での現代に甦った西部劇という感じの銃撃戦や力任せで暴力的なカーアクションが本作の見所となり、これが結構面白い。それ以外は凡庸な演出で面白みをあまり感じられない。カーアクションの最後には爆破も観られるが、トンプソン監督は爆破シーンの撮り方が本当に下手なため迫力を出すことができず本当に残念だ。

結果的に言えば名コンビの第七弾作品は、ラッキーセブンではなかったのである。

メッセンジャー・オブ・デス DVD メッセンジャー・オブ・デス

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2007年10月18日 (木)

ミス・ポター

1902年に出版された児童向け絵本に登場する青い上着を羽織ったウサギのキャラクター、ピーター・ラビット。現在までに111ヶ国で出版され、一億部の売り上げを記録し、キャラクターグッズも多数存在し、いまもなお多くの人々に愛されているこのピーター・ラビットを生み出したヴィアトリクス・ポターの半生を『ベイブ』のクリス・ヌーナン監督が映画化した。

舞台は1902年のイギリス。上流階級の女性が定職に就くことがあり得なかった時代であった。ポター(レニー・ゼルウィガー)は、幼少時代に訪れた湖水地方に生息する動物たちを描いた絵本を出版するという昔からの夢を実現させるために親が勧める縁談を蹴り、アーティストとして生きることを目指していた。やがて、編集者のノーマン(ユアン・マクレガー)との出会いで絵本の出版が実現し、大ベストセラーを記録する。その後はノーマンと恋愛関係を築き上げ、順風満帆の人生を歩もうとするが二人の間に予期せぬ運命が降りかかる。

レニー・ゼルウィガーが時折魅せる愛嬌のある演技、脇役たちの個性を発揮させた控えめながらもコミカルな演技が作品にユーモアなテイストを取り入れており、観ていて微笑ましく感じらる。紙に描いたキャラクターが動き出したりといったファンタスティックな描写は、まさに夢のようであり、主人公ポターの夢を映像で表現しているかのようであり、これがまた魅力的で印象深い。他にも封建的な空気が根付いた上流階級の人々のエレガントな生活観も見事に再現され、湖水地方の美しくも豊かな大自然の景観から感じられる味わい深いノスタルジックな雰囲気といったあらゆる魅力に溢れている部分が本作の最大のポイントだと言える。作品そのものが劇中で描かれている上流階級社会のように上品な仕上がりとなっている。

劇中でポターが自身の描いたキャラクターに友達のように話しかける姿を観ると、幼少時代の純粋な思いが大人になっても心の内面に残っていることが分かり、その純粋さがこちらにも伝わってくる。この強い思いがピーター・ラビットの生みの親として成功した一つの要因でもある。本当に好きなことややりたいことを実現し、成功させたい方は本作を観て参考にし、勇気づけけられた上で純粋な気持ち、強い信念、粘り強さを胸に前向きに進んでみることだ。

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2007年8月27日 (月)

摩天楼ブルース

喧嘩が原因で半年間の停職処分を食らった二等航海士のトミー(ジャン・マイケル・ヴィンセント)は、知人に安アパートを紹介してもらい、所在地であるニューヨークはロウアー・イーストサイドというスラム街に辿り着く。美容師のマーシャ(テレサ・サルダナ)に恋をし、住人たちと交流を深めながらも次の船が来るのを待つ。薄汚いが平和なこの街もエンジェル(ルディ・ラモス)率いるソウルというギャング団によって治安が悪化する。市民は、ソウルに対して不安を募らせ、警察も手を焼いている。ソウルの魔の手はトミーにも及び、友人までもが悲惨な目に遭う。ついに怒りを爆発させたトミーは、ソウルの卑劣な行為を阻むために戦いに挑む。

ジョン・フリン監督の地味なバイオレンス・アクション。ストーリーは日本の仁侠映画そのものであり、これは『組織』(73)、『ローリング・サンダー』(77)同様に監督の嗜好が本作でも活かされている。悪の行為に我慢を重ねた主人公が耐え切れなくなって懲らしめに向かうという理屈抜きの勧善懲悪モノは、娯楽アクション映画に適した題材である。そこに恋愛模様や友人たちとの温かさを感じさせるふれあいを存分に取り入れている。アクションやバイオレンスという肝心なポイントがやや控えめに描かれているため、恋愛や友情のイメージが強く感じられる。人間らしい優しさと非人道的な極悪行為を交互に描き善と悪のバランスを平行に保っている。

ジャン・マイケル・ヴィンセントは、本作でも一本気な好青年という印象を与える。彼の初主演作『爆笑トラック’76』(75)で演じたキャラクターとほぼ似通った部分があり、作品内容も日本の仁侠映画を意識しているという部分では同じだ。そんなヴィンセント扮するトミーとテレサ・サルダナ扮するマーシャとの恋愛描写は、実に純粋かつロマンティックに描かれており、女性なら共感を抱くこと間違いなしの微笑ましいシーンである。

ラストはトミーと仲間たちが一致団結してソウルに立ち向かい、恐れ慄いていた住人たちも彼らの勇気ある姿勢に感銘して協力する。そして一人一人の正義と勇気のパワーが実を結んで悪の退治に成功する。すこぶる気持ちの良い余韻が残り、スカッとするラストシーンだ。

東京JAP(現在も一線で活躍している赤坂泰彦がドラムを担当)の同名タイトルのヒット曲は、この作品に影響されたのかとつい思ってしまう。

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2007年8月13日 (月)

ミネソタ無頼

視力が衰えたミネソタ・クレイ(キャメロン・ミッチェル)は、無実の罪で投獄されていたが、それを知る保安官フォックス(ジョルジュ・リヴィエール)を探し出して無実であることを証明してもらうために脱獄。だが、フォックスこそクレイに濡れ衣を着せた挙句に愛妻を殺害した犯人であることを知る。クレイは失明寸前の状態でありながらもフォックスとその腹心に復讐するべく単独で決闘に挑む。

やはり見所は終盤で観られる暗闇での決闘シーンである。視力が悪すぎるクレイはフォックスの腹心を夜の街に誘い出し、足音と銃の引き金を引く音を唯一の頼りにしてご自慢のガン裁きで敵を蹴散らす。緊張感を巧く持続させたスリリングな描写は、観る者をドキドキハラハラさせる。

暗闇の決闘の後はクレイとフォックスがサシで対決する。クレイの目は盲目寸前となり、見るからに弱々しさと痛々しさを同時に感じる。クレイを最強のスーパー・ヒーローのように描いていない点は、『真昼の決闘』(52)のゲイリー・クーパー扮する元保安官とほぼ似通っている。それでも見事なガン裁きや孤高の一匹狼ぶりからはアウトロー的な魅力が溢れるイイ男という感じで実にカッコいいと思える。主人公の強さと弱さをバランス良く均等に描けているのである。

マカロニ・ウエスタン版『座頭市』と呼ばれる本作は、セルジオ・コルブッチ監督が初めて手掛けたマカロニ・ウエスタン作品であり、彼はその後も『さすらいのガンマン』(66)や『殺しが静かにやって来る』(68)といった同ジャンルの傑作を世に送り出す。

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2006年12月10日 (日)

マックQ

シアトル警察の腕利き刑事、ロン・マックQ(ジョン・ウェイン)は相棒を殺害されたため、麻薬王のサンティエゴ(アル・レッティエリ)を徹底的に追い詰める。だが、警察上層部から捜査を禁じられることとなる。マックQは辞職し、私立探偵となって独自の捜査を開始する。

ジョン・ウェインが当時流行していたポリス・アクション映画に挑戦した作品であり、西部劇をメインに活躍していたウェインにとっては初の現代劇への挑戦でもある。以前に『ダーティハリー』(71)の主演オファーを蹴って後悔していたこともあっての試みであった。

60代半ばのウェインにハードなアクションを要求することは厳しいということで華麗なアクションシーンは披露していないが、敵にパンチを数発食らわすシーンは力強さを感じさせ、年齢に見合ったアクション演技をこなせることを証明したのである。銃撃戦ではイングラム9ミリという見た目のインパクトが強い小型マシンガンを使用しており、小道具に関してもこだわりを追求している点が良い。本作ではウェインがカー・アクションにも挑戦しており、終盤で見られる海岸沿いでのカー・チェイスは迫力を感じさせ、圧巻である。

本作がヒットしたことをきっかけに二年後には同趣向の『ブラニガン』(75)が製作された。

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2006年10月12日 (木)

マイアミ・バイス

人気TV刑事ドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』(84~89)を映画としてリメイク。監督はオリジナルのTVドラマ版でプロデューサーを担当していたマイケル・マンである。

マイアミ警察特捜課、通称“バイス”の刑事コンビであるソニー・クロケット(コリン・ファレル)とタブス・リカルド(ジェイミー・フォックス)は、南米と北米を結ぶドラッグ密輸コネクションに合衆国司法機関の極秘情報が漏洩したため、その謎を暴くべく南米へと赴く。二人は、組織に潜り込み、危険な潜入捜査を開始する。

スタイリッシュな映像が魅力的である。オリジナルのTVドラマ版もMTVの感覚を意識したお洒落で洗練された作品であった。夜のシーンは、夜景をバックにしたロマンティックな映像に仕上がっている。ナイトシーンを撮らせるとピカ一と言われたウォルター・ヒル監督も舌を巻くほどの洗練された出来ばえである。一方、南米のエキゾチックで優雅な映像は、我々を観光客の気分にさせてくれるような感じである。

コリン・ファレルとジェイミー・フォックスも魅力を感じさせる。コリンはワイルドなイメージで、ジェイミーはクールなイメージで役柄にハマっている。二人のファッションも全編を通してかなりお洒落で素直にカッコいいと思える。TVドラマ版のソニー(ドン・ジョンソン)とタブス(フィリップ・M・トーマス)を遥かに上回っていると言える。

コリン・ファレルとコン・リー、ジェイミー・フォックスとナオミ・ハリスによるシャワーシーンやベッドシーンといった濃厚なセクシーサービスは、一見無駄かと思えるが、印象的である。

ラストの銃撃戦は見所である。臨場感が溢れるパワフルなシーンである。こちらも夜のシーンであり、グレインズによる粗い映像は、TVドラマ版を意識したかのような作り方である。

全体的に言えば、外見のカッコ良さで勝負した作品である。壮大なスケール、スタイリッシュな映像、ハードボイルドタッチな作風が魅力的なサスペンス系ポリス・アクションである。

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2006年10月 6日 (金)

モルタデロとフィレモン

スペインで大人気のコミックを映像化したお馬鹿なスパイコメディー作品である。

スペインの諜報機関、TIAが人間のやる気を失わせてしまう最新兵器DDT(ダウナー・電波・飛ばし機)を開発。ところが何者かによってDDTを奪われてしまう。TIA局長(マリアーノ・ベナンシオ)はDDTを取り戻すべく海外から敏腕諜報員のフレディ(ドミニク・ピノン)を雇う。だが、彼を煙たく思うTIAのスパイコンビ、モルタデロ(ぺニト・ポシノ)とフィレモン(ぺぺ・ピジュエラ)が身勝手な行動に出て大騒動を巻き起こす。

漫画チックな描写が最大のインパクトを与え、コメディーの要素としても十分に活かされている。個性のきついキャラクター、ユニークな小道具、ブラックユーモアが満載のセリフはどれをとってもかなり面白く、お馬鹿加減をヒートアップさせている。リズムやテンポもスピーディーであり、作品そのものに活気を感じさせる。

ケレン味のある演出、作品独特の世界観、ブラックユーモアが魅力的であり、面白い娯楽映画としては合格点に達していると言ってもいいだろう。誰もが楽しめるような作品に仕上がっているので気軽に楽しめばいいのである。

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2006年9月18日 (月)

マックス!!! 鳥人死闘篇

驚異的な身体能力をフルに活かすパフォーマンス集団“YAMAKASHI”のメンバーが大活躍するアクション映画。

YAMAKASHIメンバーはロンドンでトレーニングに明け暮れていた。ジムのオーナーであるレオ(ロラン・ピエモンテージ)の提案でタイはバンコクにジムを開設。トレーニング中、キエン(チョウ・ベル・ディン)とツ(エロディ・ユング)が率いる地元のストリートギャング集団に襲撃される。その後、YAMAKASHIメンバーは中国マフィアと日本暴力団の大抗争に巻き込まれることとなる。

ビルとビルの間を飛び跳ね、ビルの壁をよじ登るYAMAKASHIメンバーの凄さは、『YAMAKASHI』(01)で初めて描かれ、多くの人々を魅了させた。本作では格闘シーンでもキレ味の鋭いバトルを見せつけた。これらのアクションシーンはCGやスタント、ワイヤーを一切使わずすべて生身の体当たり演技である。少し前に公開された『アルティメット』(04)同様、最近のフランス製アクション映画は合成技術等を殆ど使わず、肉体が許す限りのパフォーマンス的要素を巧妙に利用している。

ラストの大人数が一斉に繰り広げる大バトルシーンは最大の見せ場となる。それは戦国武将たちの合戦を彷彿させるほどの激しい勢いを感じさせ、目まぐるしくて複雑だと思えるが最大のインパクトを与える。大バトルの途中、スローモーションを利用し、クラシック風のBGMが流れるが、闘いの美学を追求したかのような映像に仕上がっている。

バンコクを舞台に中国マフィアと日本暴力団が抗争を巻き起こすという設定はかなり現実離れしており、荒唐無稽な内容である。それだけに筋立ては単純明快なものである。だから何も気にせず、YAMAKASHIメンバーの超人ならぬ“鳥人”ぶりを気楽に堪能すべきである。

マックス!!!鳥人死闘篇 DVD マックス!!!鳥人死闘篇

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2006年9月 7日 (木)

M:i:Ⅲ

かつての人気TVドラマ『スパイ大作戦』(66~73)を映画としてリメイクした人気スパイアクション映画の第三弾。

現役を引退し、教官となったイーサン・ハント(トム・クルーズ)は恋人と婚約し、平穏な生活を送ろうとしていた。だが、教え子が何者かに拉致されたことによって現役復帰し、再びハードな激戦に立ち向かう。

前二作はブライアン・デ・パルマ(第一作)、ジョン・ウー(第二作)といった名声のある監督が手掛けたが、今回は脚本家としてデビューし、後に『エイリアス』(01~04)や『LOST』(04~06)といったTVドラマを企画と製作を兼ねて大ヒットさせたJ・J・エイブラムスがメガホンを取り、初めて映画監督に挑戦した。

ドイツ、イタリア、中国は上海と大ロケーションを遂行。各地で見せ場となる手の込んだハードなアクションシーンが見られる。アクションシーンそのものはよくありがちなものではあるが、迫力のあるまさにパワフルな映像に仕上がっており、スピーディーでリズムとテンポを保ったスリリングな描写は見る者を作品の世界に飛び込ませるかのような感覚である。特に上海ロケの高層ビルからのダイブシーン等はまことに危なっかしく、本当のスリルを実感させられるほどである。

監督がTVドラマに携わっていただけに、そのテイストとほんのりと漂うB級ムードを味わえる。監督の次回作がどのようなものになるのかが気掛かりである。

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2006年8月31日 (木)

魔人ドラキュラ

トランシルヴァニアの古城で暮らしていたドラキュラ伯爵(ヴェラ・ルゴシ)は500年前に死んだはずだったが、吸血鬼として甦り、生き血を求めて若い女性に牙を向ける。伯爵が吸血鬼であることを知ったヴァン・ヘルシング教授(エドワード・ヴァン・スローン)は、彼を徹底的に追い詰めていく。

夜会服にマント姿のヴェラ・ルゴシがドラキュラのイメージを決定打にした。貴族風でエレガントな雰囲気が漂う一方、薄気味悪さも感じさせる。公開当時は、ルゴシ目当ての女性客が劇場に長蛇の列を作り、ルゴシ自身も多くの女性からのファンレターが殺到したというエピソードもかなり有名である。

女性の首元を噛み付くシーンは恐怖やショッキングを追及せず、あっさりとしたタッチで描いている。恐怖や残酷さを描いていれば、衝撃的なホラー映画に仕上がっていただろう。

吸血鬼を描いた作品はサイレント時代から存在していたが、トーキー初の吸血鬼作品としては本作が第一号となる。カラー作品が普及された頃には英国のハマーフィルムがクリストファー・リーを主役に『吸血鬼ドラキュラ』(58)を製作し、カラー作品初の吸血鬼作品となった。ヴェラ・ルゴシがドラキュラ役者として成功したように、クリストファー・リーもルゴシを受け継ぐかのようにドラキュラ役者として大成したのであった。その後も吸血鬼、ドラキュラを扱った作品は大量に製作された。

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2006年8月18日 (金)

真昼の決闘

結婚し、保安官を引退したケイン(ゲイリー・クーパー)はかつて自身が逮捕した大悪党が仲間を引き連れ、恨みを晴らすべく復讐にやってくることを知る。ケインは逃げることを考えるが、結局は闘うことを決意する。だが、一人で闘うことは無謀であることから、町の人々に助けを求める。しかし誰一人と協力する者はいない。ついに一対四の対決を繰り広げることとなる。

本作は西部劇ではあるが、人間ドラマという観点にポイントを絞って描いている。西部劇の主人公といえば“強いガンマン”というイメージが頭にあるが、ゲイリー・クーパーをあくまでもごく普通の人間として描いている。弱点や恐怖心といった心理描写も巧みであり、無情でやるせない姿が印象に残る。

対決のシーンでは西部劇らしい銃撃戦が展開され、保安官魂を発揮して闘うゲイリー・クーパーの姿は、やはり男らしくて素晴らしい。

現実の時間と劇中の時間とが同時進行する手法や音楽の使い方は、緊迫感を醸成するための効果的な演出である。

ゲイリー・クーパーは本作で二度目のアカデミー主演男優賞を受賞した。テックス・リッターが歌う「ハイ・ヌーン」もアカデミー主題歌賞を受賞し、映画音楽という面でも水準の高い名曲である。

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2006年8月 8日 (火)

メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー

人類学者であり、本作の監督でもあるサム・ダン(監督はスコット・マクフェイデン、ジェシカ・ジョイ・ワイズと共同)は少年時代にヘヴィメタルにハマり、今では筋金入りの大ファンである。そんな彼が「なぜ、へヴィメタルは嫌われるのか?」という疑問点を解決するためにメタルの聖地(ロス、ロンドン、ノルウェー等)へと旅立つ。

アーティストのインタビューが多く散りばめられており、ロブ・ゾンビ、モーターヘッド、スリップ・ノット、スレイヤー、ブラック・サバスのトニー・アイオミといった面々が自身のメタル論を述べる。この顔ぶれだけでもファンにとってはたまらないだろう。

肝心のライブ映像もしっかりと取り入れている。アーティストたちの熱唱シーンやパフォーマンスだけでなく、ファンの実態や熱狂ぶりも丹念に捉えている。

1986年に発祥したヘヴィメタルのルーツを探る中、ジャンルそのものが細かく分類されていることや各アーティストがどのジャンルに属するかといった分析もされている。簡潔な形式の分析ではあるが、ヘヴィメタルが奥の深い音楽ジャンルの一つであることを実感できる。

反道徳的、反社会的と言われようがそれがヘヴィメタルが持っている独特のパワーであることが分かる。若者たちの日頃の鬱憤を持ち前の反骨精神で叩き壊すかのようなサウンドであるヘヴィメタルの魅力を再認識させられた。

メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー DVD メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー

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2006年6月17日 (土)

モダン・タイムス

工場労働者のチャップリンは両手にスパナを持ち、ベルトコンベアから流れてくる部品にナットを取り付けるといった単純作業を繰り返しているうちに精神状態を病んでしまう。

機械文明や当時の社会状況を批判した作品であり、これらの諷刺はチャップリン独特のギャグがさらに面白おかしくさせる。

作業中のチャップリンがベルトコンベアに巻き込まれるシーンは歯車だらけの機械内部のセットが印象的であり、それだけでもインパクトの強い映像である。

キャバレーで「ティティナ」を意味不明な言葉で歌うシーンはクセのある表情と動作が一段と面白くさせる。

チャップリン作品初のトーキー映画である本作は、セリフを音響効果として部分的に活用させた。チャップリンはトーキーが主流となった頃でもサイレントにこだわっていただけに、トーキーの要素とサイレントの要素を巧く使い分けている点はアイデアとしても面白いと思う。

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発売日:2004/03/21
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2006年6月 3日 (土)

モンスター・パニック

漁村で残酷な殺人事件が多発。その原因は特殊ホルモンに汚染された加工用鮭を食べた魚が突然変異し、モンスターと化して人間を襲撃し、大パニックを引き起こした。

特殊メイクの名手であるロブ・ボッディンによるモンスターは見る者を圧倒させるほど不気味で強烈である。このモンスターは子孫繁栄のために女性を狙うが、そこは健全な成人男性と同じように性欲もあるからとんでもないモンスターである。

中盤以降、夜の鮭祭を舞台に繰り広げられる大パニックは、最大の見せ場である。数匹のモンスターが大勢の人々を襲撃する一方、人々は一丸となってモンスターと対決する。ライフル銃や火炎攻撃で撃退する模様は面白さに満ち溢れ、見る者を飽きさせないための演出が良い。

全体的に言えば、タイトル通りの内容は単純明快であり、B級映画としても十分に面白い作品に仕上がっている。

モンスター・パニック DVD モンスター・パニック

販売元:キングレコード
発売日:2006/01/25
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2006年5月29日 (月)

モハメド・アリ かけがえのない日々

1974年、ザイールで行われたボクシング史上最大の名勝負と謳われたモハメド・アリ対ジョージ・フォアマンの一戦をメインに、モハメド・アリの半生を描いたドキュメンタリーである。

開巻からアリ独特のビッグマウスぶりが伺える。それは、皮肉と思える発言ではあるが、ユニークな雰囲気をほのかに漂わせる。彼の素顔をそのまま捉えている。

当時の関係者の証言を随所に散りばめており、インタビューに応じる人々の中にはあのスパイク・リー監督も顔を見せる。黒人社会における人種差別等を語り、彼ならではの社会派発言が印象に残る。

試合と同時に行われた音楽ライブも紹介される。ジェームズ・ブラウンやB・B・キングといった当時の人気ソウルミュージシャンたちの歌とパフォーマンスを見ることができるのも嬉しい限りである。モハメド・アリ、ソウルミュージックといった黒人文化における代名詞的な要素をしっかりと押さえている点が良い。

アリ、フォアマン両者ともファイターとしての顔だけでなく、人間としての紳士的な一面もしっかりと描かれている。ファイティングスピリットとヒューマニティーを兼ね備えた両者は、実に素晴らしいボクサーとして永遠に語り継がれるだろう。

モハメド・アリ かけがえのない日々 DVD モハメド・アリ かけがえのない日々

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2005/08/26
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2006年5月17日 (水)

MASAI マサイ

舞台は干ばつに見舞われたマサイの村。村に雨を降らせるためには、伝説の獅子ヴィチュアのたてがみを神に捧げなければならない。ヴィチュア狩りのために9名のマサイの戦士が選ばれた。彼らは村の大きな希望を背負い、命がけの激しい旅に出る。

物語はドキュメンタリータッチであり、緻密かつ丹念に描かれ、リアリティーを追求した仕上がりである。嘘っぽさを一切も感じさせず、素晴らしいの一言に尽きる。

仲間との信頼、団結、ささいな口論、旅に対する葛藤、病による苦しみ、他部族との激しい戦い、純粋な淡い恋愛といった様々な要素が取り込まれている点はヒューマンドラマとしてのツボを十分に押さえた構成であり、作品自体に厚みを持たせる。

サバンナの景色、民族衣装、村の様子、独自の風習等を捉えた映像は、神秘的な魅力を存分に醸成し、好印象である。自然体でなめらかなカメラワークも良く、無駄の無い映像はまさに完璧と言っても良いだろう。

監督(パスカル・プリッソン)は、本物のマサイ族を役者として起用するため、村に12年間も通い続け、他の民族を受け入れないといった古い伝統を今でも継承しているマサイ族と深い信頼関係を築き上げ、本作の製作にたどり着いた。

マサイ DVD マサイ

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2006年4月16日 (日)

ミトン

日本でもカルト的人気を誇るパペットアニメ映画『チェブラーシカ』(69~)のロマン・カチャーノフ監督が手掛けた短編パペットアニメ映画。

冬の朝。犬好きな少女アーニャは、外で自分の赤い手袋を子犬に見立てて遊んでいる。不思議なことに赤い手袋が赤い子犬に変身!ストーリーそのものは本当に可愛らしい夢物語である。

セリフは一切無い。キャラクターの動作やわずかな顔向き等が感情を表現する。それだけでも十分に可愛らしさを醸成している。

少し暗いと思える色彩、軽快でほんのりとペーソスな雰囲気を漂わせるBGMが独特の世界観を創り出す。

見る者の心を癒し、暖かくて優しい気持ちにさせる。子供だけでなく、大人の方でも心の底から愉しめる上質の作品である。

ミトン DVD ミトン

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2004/07/23
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