2009年7月25日 (土)

屋根裏のポムネンカ

女性を中心に可愛らしさと癒し効果のある作風で支持されているチェコ製アニメの待望の最新作が本作だ。

ボロい屋根裏に使われなくなった古いトランクがある。その中には様々なおもちゃが暮らしている。中でも人形のポムネンカは大の人気者。ある日、ポムネンカは悪の親分フラヴァに拉致されてしまう。彼女を救出するべく仲間たちが立ち上がり、屋根裏の果てに存在する悪の帝国へと乗り込む。

ポムネンカを取巻く仲間たちがユニークであり、キャラクターの個性がしっかりと描かれている。鼻が鉛筆で耳がボタンでできているシュブルト、眠気と食欲は人並みのクマのぬいぐるみのムハ、ドラゴン退治に熱中しているマリオネットのクラソン。この三キャラクターの活躍ぶりは、とても愉快であり、観る者を存分に楽しませてくれる。

登場するキャラクターは皆ガラクタで作られている。使い古しの用済みであるガラクタを使って面白いモノを作るというアイデアは素晴らしく、そこから「モノを大切にする心」や「リサイクルの重要さ」といったことが感じられる。監督のイジー・バルタは本作のために集めたガラクタを敢えて汚してみたという。その結果、アンティーク・コレクションのような味わい深さを一段と引き出すことに成功したのである。

映像表現にも拘りが感じられ、同趣向の作品と一線を画した作り方が面白いと言える。単なる人形アニメだけでなく2Dの線画アニメや生身の人間が登場する実写も取り入れられているのである。

その他の印象深いシーンと言えば、クローゼットから溢れ出すシーツでできた波を本物の水による波と同じように魅せたり、実写だったら間違いなく気持ち悪いと思える虫軍団がゾロゾロと壁を這い回るシーンだ。

【70点】

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2008年1月29日 (火)

勇者たちの戦場

戦場イラクで活躍している軍医ウィル(サミュエル・L・ジャクソン)と若手兵士のトミー(ブライアン・プレスリー)、ジョーダン(チャド・マイケル・マーレイ)、ジャマール(カーティス・ジャクソン=50セント)、ヴァネッサ(ジェシカ・ビール)は、母国アメリカへの帰還が決定。だが、彼らが現地での最後の任務として目的地に到着したときに武装勢力に襲撃される。ジョーダンはトミーの目前で戦死、ヴァネッサは爆破によって右手を負傷。その後、ウィル、トミー、ジャマール、ヴァネッサは無事に帰ることができたものの日常生活に順応することが困難となる。

イラクから帰還した元兵士たちが日常生活に馴染めず、精神的ショックに苦しめられる「イラク症候群」に陥った四人の人物の姿を描く。本作を製作するに当たり、実際の帰還兵たちの体験談をしっかりと参考にしたのである。それによって登場人物の苦しみ、悩みがリアルかつキメ細やかに描かれている。イラク戦争による心の傷跡に観る者はかつて想像すらしなかった信じ難い衝撃を与えられ、驚愕させられる。

また、序盤では戦争映画ならではの激しいアクションシーンが20分ほど観られるが、あくまでもイラク戦争による真実を描いた人間ドラマがメインであるためアクション満載の娯楽戦争映画を期待するとがっかりさせられること間違いなしだ。

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2006年9月12日 (火)

ユナイテッド93

2001年9月11日、アメリカ全土をはじめ世界中を震撼させた史上最悪の事件が勃発した。それが9・11世界同時多発テロである。民間航空機四機がハイジャックされ、そのうちの二機は世界貿易センタービルに激突。もう一機はペンタゴン国防総省に激突。最後の一機であるユナイテッド93便はホワイトハウス激突を目的としたが、ペンシルバニア州に墜落。本作はユナイテッド93便内の出来事を中心に描いたものである。

本作を製作するに当って、遺族の方々や関係者たちに綿密な取材を遂行。取材で得た証言に基づき、実際の出来事に近い状況を再現。それだけに丹念な出来ばえであり、被害者、テログループ、各管制塔関係者の描写や事態の展開を克明に描いたドキュメンタリータッチな仕上がりである。

先入観を持たせないためなのか、本作には有名なスターが一人も出演していない。出演者は実際の93便の乗客の年齢等をしっかりと考慮した上で選抜された役者たちと本職のパイロット、事件当時に関わっていた管制官が起用されている。キャスティング面でもリアリティーを追求するための工夫がされている。

機内で家族の事や今後の予定を話すパイロット、乗務員、乗客が突然、テロという悪夢を目の当たりにし、あまりの恐怖に震え上がり、泣き崩れるシーンは実に痛々しく、見ている我々もゾクゾクするほどの恐怖感を覚えた。一方、各管制塔の関係者が切羽詰った極限状態で翻弄するシーンは臨場感と緊迫感に満ち溢れた厚みのある描写である。

終盤のシーンは被害者である乗客たちが一致団結し、勇気と知恵を振り絞ってテロリストに真っ向から挑むシーンはパワフルであり、ごく普通の人々である彼らの勇敢な姿が印象に残る。だが、残念ながら93便は墜落し、彼らは命を落としてしまったが、ただ犬死にしたのではない。愛する家族を思い、全員無事に還れることを祈りながらも死を覚悟してテロという巨悪と戦ったのである。

本作はテーマが重いと思われるかもしれないが、テロに対するプロパガンダ要素や政治性、社会性を追求した堅苦しい作品ではない。だからといって娯楽要素満載の商業用映画でもない。このようなことが二度と起きないように、そして忘れてはならないというメッセージを映像という形で残したものだと捉えたい。

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2006年6月 8日 (木)

夢駆ける馬ドリーマー

骨折した馬ソーニャドールと少女ケール(ダコタ・ファニング)の友情、競走馬として再起するソーニャドールの姿を描く。ストーリーは実話にインスパイアされたものである。

天才子役として讃えられているダコタ・ファニングの演技も巧くて感心できるが、父親役のカート・ラッセルはアクションスターのイメージがやや強いが、温厚で人情味を感じさせる父親を好演している。

家族との関わりを丹念に描いている点は、良いドラマを演出するための最大のポイントであり、作品自体に重厚さを与えている。

ラストのブリーダーズ・カップのレースシーンは圧巻である。全力で走る馬を接写し、自由なアングルで捉えたことによってレースの迫力、緊張感、熱狂を存分に感じさせる。

夢を実現させるために一生懸命に突っ走れば、奇跡となって実現するということを実感させられる作品である。競馬好きにはたまらない作品だと思うが、そうでない方々も素直に感動を味わえるように仕上がっている。

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