2009年10月 7日 (水)

私の中のあなた

アメリカの人気作家ジョディ・ピコーの大ベストセラー小説「わたしのなかのあなた」をニック・カサヴェテス監督が映画化。

11歳の少女アナ(アビゲイル・ブレスリン)は、2歳の頃に発症した白血病と闘っている姉ケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)を救うためのドナーとして遺伝子操作によって創出された。ある日、アナはケイトへの腎臓提供を拒否し、ケイトの看病に全身全霊を注ぐ母サラ(キャメロン・ディアス)と父ブライアン(ジェイソン・パトリック)を訴えるべくTVCMでお馴染みの敏腕弁護士キャンベル(アレック・ボールドウィン)を訪ねる。

死と隣り合わせの病気をネタにして観る者を悲しませたり、逆に感動させたりする作品は多々存在するが、本作は従来のこの手の作品の上を行った。

劇中で描かれていることは悲劇であることに間違いはないが、単なる悲劇やお涙頂戴モノにならないように工夫されているのである。

ケイトとアナの仲良しぶりや笑顔いっぱいの家族といったプラスイメージが取り入れられている点が秀逸であり、これが劇中の“悲”のイメージやケイトの白血病による苦しさを和らげ、観る者に温かさと優しさを提供し、安らかな気持ちにさせる。

また、ケイトのボーイフレンドである同じ病気の男児テイラーとの交際、家族との三分間写真撮影のシーンをコミカルなタッチで描いている。これによって作品そのものが明るい雰囲気を醸し出し、観る者を笑顔にさせる。

家族や生死の在り方、医療問題といった観る者に考えさせる要素も取り入れられており、これが小難しさを感じさせるような描き方ではないのが良い。

本作で一番気になる点といえば、やはり“なぜアナが両親を訴えるのか?”ということだろう。自身の身体は自分で守りたいが、そうすれば大好きな姉ケイトは病死してしまう。アナのこの行動の裏に何が隠されているのか?終盤でこの真実が描かれるが、姉妹の仲の良さと絆が観る者に強く伝わり、心を打たされ、感動させられる。

キャメロン・ディアスの母親役初挑戦も注目度大だ。ケイトの延命治療に専念するべく弁護士の職務をはじめとする人生の全てを犠牲にし、頭がいっぱいで周りが見えなくなっている状態を好演している。キャメロンは、ケイトの看病に全力投球する母サラをリアルに演じるために全編ノーメイクで挑んでおり、劇中ではスキンヘッドになったケイトが「この格好で外出したくはない!!」と言えば自身もバリカンで髪を剃り落としてスキンヘッドになってしまう。とにかくキャメロンの演技力の高さと役者魂は最高に素晴らしい。

【85点】

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2009年10月 3日 (土)

ワイルド・スピードMAX

人気カー・アクション『ワイルド・スピード』のシリーズ第四弾。今回はヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースターといった第一弾のメンバーが再集結した。これはシリーズのファンにとっては、たまらなく嬉しいことだろう。この四人に加えて第三弾に出演した中国系俳優サン・カンが前作と同じ役名で出演。監督は第三弾を手懸けたジャスティン・リン。

トレイラー強奪事件の容疑者として指名手配され、ロスから逃亡したスゴ腕ドライバーのドミニク(ヴィン・ディーゼル)は恋人レティ(ミシェル・ロドリゲス)らとともに南米ドミニカで輸送車強奪をやらかしていた。捜査の手が自身に迫っていることを知ったドミニクはレティの前から姿を消し、パナマに潜伏するが、ここでロスに住む妹ミア(ジョーダナ・ブリュースター)からショッキングな出来事を知らされる。これにマジギレしたドミニクはある人物を復讐するべくロスに戻る。一方、FBI捜査官ブライアン(ポール・ウォーカー)は凶悪なドラッグ組織を追跡しており、ドミニクが国境を越えたことも知っていた。ある日、ドミニクとブライアンは偶然に出くわし、八年ぶりの再会となるが、お互いに狙っているターゲットが同じだということでともに行動することとなるが・・・・・・。

冒頭から迫力満点のド派手なアクションが用意されている。それは、ドミニクたちのタンクローリー襲撃シーンである。手の込んだやり口に興味をそそられ、続いてタンクローリー爆破炎上に連続横転、ドミニクの車がタンクローリーの下をすり抜けるという荒唐無稽丸出しのアクションに度肝を抜かされ、初っ端から楽しませてくれる。その後はブライアンがドラッグ組織のチンピラを追跡する模様をスピーディーかつテンポ良く描き、続いてドミニクが代行屋を痛めつけるバイオレンス描写が観られる。これらもまた面白さを十分に味わえる。そして、見せ場であるカーアクションが展開される。組織のボスであるブラガが主催するストリート・レースにドミニクとブライアンが出場する。一般車が走る公道でチューンナップされた四台の車が壮絶なバトルを繰り広げる。とにかくスピード感とデンジャラスを存分に満喫でき、おまけにクラッシュや横転といったカー・アクションのお約束事シーンも観られ、迫力満点で最高に面白いシーンに仕上がっている。他にも銃撃、爆破、乱闘といったツボを押さえたアクションが観られ、とことん楽しませてくれる。そして、クライマックスのトンネル内、砂漠を舞台にしたカーアクションへと突入し、ここで本作の面白さがMAXに達する。この娯楽性を高めるべく徹底された見せ場の連続は、最高の一言に尽きるのだ。

カー・アクションに次ぐシリーズの魅力とも言えるのが、ヒップホップのナイスなサウンドに合わせてレース場やクラブで美女たちが酒瓶片手に適度な色気を振り撒いてノリノリ状態といったB系若者文化の描写だ。これがまたスタイリッシュな雰囲気を醸し出しており、さらにワルどもが跋扈しているということもあってアウトロー的な魅力も感じさせる。これに関しては、クラブに通うヤンチャなB系ボーイ&ガールにとっては共感できて興味深いことだろう。そうでない方でも若者たちのノリの良さやセクシー美女に酔いしれて良い気分になってしまうだろう。

とにかくシリーズのファンなら絶対必見だ!!第一弾メンバーの再集結とカーアクションに大注目だ!!

【75点】

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2006年9月26日 (火)

ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT

新感覚のカー・アクション映画として名高い『ワイルド・スピード』シリーズの第三弾。本作では、日本は東京を舞台にドリフト走行によるカー・レースを描く。

前二作で主演を務めたポール・ウォーカーは出演していない。キャスティングが一新され、新たな『ワイルド・スピード』となった。だが、カー・アクションをはじめ、ヒップホップ中心の音楽、極限までチューンナップされたマシン(フェアレディZ等の日本車)、若者中心といった部分は前二作と変わらず、基本的なスタイルをしっかりと受け継いでいることが分かる。

見せ場となるレースシーンは、スピーディーでテンポも良く、迫力と興奮に満ち溢れたパワフルな映像に仕上がっている。特にドリフトのシーンは流麗で鮮やかな印象を与える。

日本が舞台ということで、お馴染みのスターが続々と顔を見せる。ハリウッドでも活躍する千葉真一と若手女優として活躍する北川景子をメインキャストに据え、柴田理恵、中川翔子、KONISHIKI、当初は主役級の役柄としてキャスティングされていた妻夫木聡といった面々がチョイ役ながらも持ち味を発揮させている。カー・アクションのコーディネーターを担当した“ドリフトキング”こと土屋圭市も出演している。

千葉真一扮する暴力団組長、カマタは英語がペラペラでインテリヤクザといった感じである。かつて、インテリヤクザとして日本裏社会のカリスマとして君臨し、後に映画俳優として多くの仁侠映画に出演して人気者となった安藤昇を超越したかのように思える。千葉自身も多くの仁侠映画に出演している役者だから、本作でも培われた凄みのある演技を見せつけている。

ラストシーンでは“あの男”が顔を見せる。“あの男”とは見てのお楽しみである。

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2006年7月 9日 (日)

罠 (1949)

八百長のボクシング試合で負けなければならないのに、勝てそうな相手だからといって勝ってしまったというお話である。筋立てそのものは単純明快であり、わかりやすい上に面白い。

最大の見せ場となるボクシングのシーンは、見応えのある白熱の試合を描写し、面白さを存分に堪能できるシーンである。

物体を的確に捉えたショットや無駄の無い自然体なカメラワークが良い映像を作り出している。劇中の時間と実際の時間が同時進行する手法を巧妙に取り入れており、趣向を凝らした撮り方やアイデアが十分に活かされていることがわかる。

監督はロバート・ワイズである。彼は後に『ウエスト・サイド物語』(61)や『サウンド・オブ・ミュージック』(65)といった名作を生み出し、映画界の巨匠となるが、本作を手掛けた頃は新人に近い監督であった。だが、本作で才腕を振るい、自身の才能を開花させていたのであった。

罠 ◆20%OFF!

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2006年4月21日 (金)

ワイルド・スピード

製作者ニール・H・モリッツとロブ・コーエン監督が『ザ・スカルズ/髑髏の誓い』(00)の翌年に再タッグを組み、低予算(総製作費3800万ドル)で作り上げたカー・アクション映画。

深夜のロサンゼルス。「ゼロヨン」と呼ばれるストリート・カー・レースの猛者ドミニク(ヴィン・ディーゼル)の前に新顔ブライアン(ポール・ウォーカー)が立ちはだかる。彼は多発するトラックジャック事件を追跡中の刑事であり、囮捜査としてゼロヨンの世界に参戦。そんな二人が危険な友情に結ばれてしまう。

見せ場のカーチェイスはとにかく凄い。劇用車は日本製のスポーツカーであり、極限までにチューンアップされ、デザインも少し派手で格好良い。レースバトルは実写のスタントに加え、CGや視覚効果を駆使し、様々なアングルから捉える。その映像は生々しく、迫力的であり、スピーディーかつスリリングな感覚が見る者を圧倒させる。

音楽も若者向けのヒップホップやR&Bを効果的に使用。これらのサウンドが見事に映像とマッチしており、作品自体を盛り上げる。

全体的にはとても低予算だとは思えないほどの高度な仕上がりであり、かつてのカー・アクション映画とは一線を画すと言っても過言ではない。

アクション映画ファンはもちろん、カーマニア、クラブに通うB系の若者たちにはもってこいの作品だと思える。

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2006年3月10日 (金)

ワイルド・タウン/英雄伝説

アメリカ、テネシー州の伝説的保安官ビュフォード・パッサーの生涯を描いた『ウォーキング・トール 怒りの街』(73年)のリメイク。

海軍を除隊したヴォーン(ザ・ロック)は、悪の組織に牛耳られた故郷を元の住みよい街へと浄化するため、保安官となって角材を片手に巨悪と対決する。分かりやすい筋立ての勧善懲悪モノだが、テンポ良く描かれている。

ザ・ロックのキャラクターは、我々の思い描くヒーロー像に相応しい。彼のプロレス仕込みの格闘シーンはキレ味も良く、まさにパワフルである。

銃撃戦、爆破シーン等の見せ場もふんだんに用意されており、迫力満点。古き良き時代の娯楽アクション映画らしさを十分に満喫できる。アクション映画好きにはたまらない一篇であり、これぞまさにアクション・エンターテイメントだ。

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