2009年10月12日 (月)

戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTH

近年、外国映画の3D作品が目立っている。そんな中、ついに日本映画もこの3D作品製作に乗り出した。日本初の3D作品、それが『戦慄迷宮3D』なのだ。監督は清水崇。

タイトルである「戦慄迷宮」とは、富士急ハイランドの名物お化け屋敷アトラクションであり、入場してから出るまでに50分かかるという世界最長のお化け屋敷としてギネスに認定されている。しかも撮影は、このアトラクション内で敢行されたのである。日本初の3D作品と先述したが、アトラクションをネタにした作品ということでも日本初なのである。

10年前、ある遊園地のお化け屋敷にて行方不明になった少女ユキ(蓮沸美沙子)が雨の夜、突然姿を現した。ケン(柳楽優弥)とモトキ(勝地涼)、盲目のリン(前田愛)、ユキの妹ミユ(水野絵梨奈)は彼女を迎え入れるが、ユキは発作を引き起こして倒れてしまう。ユキを病院に運び込ませ、病院にたどり着くが、このごく普通の病院の姿はだんだん変化し、朽ち果て、やがて不気味な迷宮へと変貌していく。そこで五人は10年前の事件の真実を体感することとなる。

3Dで観るお化け屋敷ではあるが、幽霊や怪物が飛び出して観る者に恐怖感を体感させるという安易な作品ではない。3Dによる飛び出し効果は良いが、これを控え目にして奥行きのある映像を魅せつける。そして、サスペンスとしての面白さに重点が置かれているのである。10年前の事件の真相を謎解きのように徐々に明かしていくが、「この先、どうなるのか?」とか「一体何があったのか?」といったことを気に掛けさせ、最後に「これが事件の真実だったのか!!」と納得させる。本作は、そういったサスペンスとしての面白さに注目したいホラー作品なのである。

また、実在する「戦慄迷宮」を疑似体験できるという点も面白さの一つでもある。3Dの効果がリアルさを増しており、アトラクション感覚を満喫できるのである。

日本初の3D作品という記念碑的作品である本作。それだけに一見の価値は大アリだ。本作をきっかけに日本映画の3D作品が多く製作されるだろう。

【75点】

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2008年11月21日 (金)

世界最強の格闘技 殺人空手

東映の空手アクション映画で悪役として活躍したプロ空手家・大塚剛が1973年に九州を拠点に設立した“プロ空手”。大塚と彼の元に集まった強者たちの姿を追ったドキュメンタリー作品。

本作の見所と言えば、何と言って珍妙なシーンの数々だ。漫画やアニメのキャラクターのような風変わりな名前の選手たちが魅せつけるクレイジーな行動が笑いを誘い、面白い。

まずは、大塚による猪豚殺しだ。襲って来る訳でもない猪豚に大塚が拳と手刀を叩きつけ、とどめにサイで一突きと如何にも動物虐待を堂々と披露する。次は、バッファロー・弁慶というスキンヘッド男が修行のついでに魅せつけるマムシ殺しだ。マムシを発見した弁慶が手にとって地面にバチバチと数回に渡って叩きつけ、その生き血を吸い尽くす。これがインパクト大の強烈シーンなのである。弁慶の顔からはクレイジーな形相がとことん伺え、一度観たら忘れられないほど印象深い。

他にも日頃は生肉店勤務の紅幸司が売り物である肉を素手で掴み、握力強化トレーニングに励むというツッコミ所と呼ぶに相応しいシーンや博多の飲み屋で金を支払った選手が突然数名の地元愚連隊に喧嘩を売られて店外で大乱闘を繰り広げたりといった珍プレーと呼ぶに相応しいシーンが試合シーンと同時に魅せつけられる。前半だけでもこのようなレアな面白さを満喫することができる。

その後は、試合シーンや過酷な修行シーン(木に吊るされた選手が数名の選手に棒で叩かれまくったりというリンチまがいのトンデモナイ修行内容が観られる。)が紹介される。

後半の内容は、大塚が自信の強さを証明するべく香港、マレーシア、ネパールの三国武者修行の模様を追う。この後半でも珍妙でインパクト大の強烈なシーンが観られるが、中でも最後のネパール篇では問題視されるような究極にトンデモナイようなシーンを魅せつけてくれる。それは、クライマックスの大塚と仮面男の一戦であり、仮面男は大塚の一撃によって命を落とすというものである。挙句の果てには火葬されるところまで魅せつけてくれるのである。とにかく本作はかなりぶっ飛んでいる。

最後の最後までプロ空手の狂った恐ろしさと強さをアピールしたことによって大塚剛の空手は世界最強の格闘技であることを証明したのである。

本作はドキュメンタリーであるが、ツッコミ所の多い珍プレーの数々や小林恭治の「鍛錬を怠った選手は廃人となってしまう」といったリアリティーを欠いたナレーション等から考えてみるとどう観てもフェイクドキュメンタリーだと思える。最初からドキュメンタリーとしてではなく、大塚主演の空手アクションドラマとして製作していた方が良かったのではとないか思える。本作をドキュメンタリーにしたのは、同年に製作された大山倍達の極真空手を記録した『地上最強のカラテ』の影響だと考えられる。同時にイタリア製モンド映画の影響も少なからずあるようでもある。

【65点】

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2008年10月 6日 (月)

散弾銃<ショットガン>の男

一匹狼の流れ者・良次(二谷英明)が魔の山と人々から恐れられている鷲霊山に敢えて登り込み、アルプスで殺された恋人の仇を討つために悪党に挑む。

監督は鈴木清順。彼ならではのケレン味のある演出を好むファンは今でも多いが、本作ではそういった特色は殆どといっても良いほど発揮されておらず、あくまでも当時の日活アクションの主流でもあった西部劇テイストの無国籍アクションとして描かれている。中盤で良次がギターを爪弾きながら挿入歌「ショットガンの男」を歌うシーンでのバックの背景からは清順らしさが伺え、これが後の清順作品の原点とも思えた。

二谷が魅せつける数々のアクションが面白い。敵にパンチとキックを喰らわせ、巴投げまで披露している。そういった格闘アクションも印象深いが、やはりショットガンのガン裁きが最大の見所であり、魅力をとことん感じさせる。アクションシーンの中でも肝心なのは銃撃戦であり、これが一番面白さを感じさせてくれるので本当に良い。

オープニングとエンディングで流れる二谷歌唱の主題歌「夕日に立つ男」は、まさに男心をくすぐらせる歌詞が魅力的であり、男臭さをほんのりと感じさせる二谷のイメージとマッチしていると言える。

【50点】

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2008年8月 7日 (木)

仁義と抗争

松方弘樹を主役に据え、地方都市を舞台にした東映実録ヤクザ路線の“ローカル”シリーズ第三弾。

この男と口を聞いた者は必ず死んでしまうという疫病神のようなヤクザ“ばば伝”こと海野伝吉(松方弘樹)の姿を三つ巴抗争劇を通して描く。

本作のメイン舞台は北関東の温泉街。街の特色をしっかりと活かせた旅番組のような雰囲気すら感じられる描き方は、今までのこの手の作品とは違った面白さを醸し出しており、珍しい上に一風変わっている。

作風は『エクソシスト』(73)の影響をモロに受けているようなオカルトタッチな作り方であるが、恐怖や戦慄といった感覚は微塵も感じられない。青春モノのような軽快なテーマ曲、アクション、セクシーサービス、コメディータッチといった明るいイメージで彩られている。しかもこれらの要素がしっかりと面白さを発揮している。

監督は日活アクション映画全盛期を支えた松尾昭典。そんな彼が東映ヤクザ映画に初めて挑戦し、興行的には失敗したものの深作欣二、中島貞夫、山下耕作らとは違ったカラーを発揮させることに成功したのである。

キャストも宍戸錠、長門裕之、近藤宏、深江章喜といった日活系が揃っており、日活と東映のコラボレーションという感じのキャスティングがかなり異色である。他にも中村敦夫、桜木健一(現・櫻木健一)、あき竹城、小池朝雄、棋士の内藤國雄が顔を揃えており、皆が印象的だ。特にあき扮する女子レスラーのインパクトが強すぎる存在感や本人役で登場する内藤が自身のヒット曲「おゆき」をアカペラで歌うシーンは忘れられない。

最初から最後まで面白さに満ち溢れた作品であり、まさに“痛快”という一言がお似合いだ。

【70点】

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2008年5月30日 (金)

新・監禁逃亡

きみか(さくらの)は、気がつくとあるビルのボイラー室に監禁されていた。彼女の前には力士の着ぐるみに不気味なマスク、ボイスチェンジャーによって声が変えられたおかしな人物がいた。秘書で愛人の成美(亜紗美)と情事を重ねるきみかの父で中堅ゼネコン会社の凄腕社長の大介は、娘の拉致・監禁など知る由もなかったが、一本の脅迫電話によって事件の重大さに気づくのだが・・・・・・。

人気Vシネマシリーズの初の劇場版。新人さくらのと亜紗美のエロティックな描写が満載であり、男のサディスティックな心を揺さ振る作品だと言いたい。

とにかく力士の着ぐるみに不気味なマスクを被った人物のインパクトが強烈であり、四股を踏んだりする姿には笑わせてくれる。この正体は一体誰なのかということが一番興味深いのである。この正体が明かされるシーンは、まさに観る者を驚愕させる。エロティック描写以外での面白いシーンはこれのみだ。

とにかくエロスシーンと69分の上映時間が嬉しいヘンなエロティック・サスペンス作品だ。

【20点】

新・監禁逃亡 劇場版 DVD 新・監禁逃亡 劇場版

販売元:竹書房
発売日:2008/08/08
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2008年5月20日 (火)

地獄の天使 紅い爆音

70年代に量産された東映の女ヤンキー映画及び暴走族系アクション映画の末期に該当する作品。

“カミソリのヨーコ”と呼ばれる女ヤンキーの耀子(入鹿裕子)は、朝子(内藤やす子)がヴォーカルを担当するバンドのギタープレイヤーとして凄腕のロックビートを鳴らす貢(小野進也)と愛し合う仲だった。ある日、耀子と敵対する女ヤンキー四人組が争っている際に貢も巻き添いを喰らい、ゴールドフィンガーと呼ばれた彼の左小指が切断されるハメになる。これにマジギレした耀子は相手の一人をカミソリで殺害し、栃木刑務所に三年間入獄する。出所した耀子は、朝子から貢が横須賀で暴れているという噂を聞いてすぐさま横須賀へ赴く。その後、左小指が無い男を見つけて後を追うが、その男は貢ではなく、指名手配されている暴力団組員の寒河江(舘ひろし)だった。

今となっては異色と言えるキャスティングが面白い。主演の入鹿裕子は、当時ユニークな個性で売り出されていた新人女優でクレジットにも新人と表記されている。短髪で独特の表情(特に目元)が印象的であり、美女とは言い難いが胸を露出したり性交シーンを体当たりで演じたりという具合に新人さながらの演技力の乏しさをこれでカバーしているという感じだ。また、セリフ廻しがクールな印象を与え、見た目と相まっていてなかなか良い感じだ。朝子役の内藤やす子は本作が映画初出演であり、セールスポイントであるパンチの利いた独特の低音ボイスで主題歌と挿入歌も担当している。寒河江役の舘ひろしは、レイバンのサングラスに片手にライフル銃を持っていたりと後のTVドラマ『西部警察』で演じる巽刑事を思わせる風貌でファンは必見だ。他にも初々しさが印象的な森下愛子(本作で女優デビュー)、終盤で再登場して観る者を驚愕させてくれる小野進也、極悪ぶり全開の成瀬正(現・成瀬正孝)と言うように各キャラクターが実に魅力的であり、とにかく彼らの演技の上手い下手に関してはどうでも良いように思えてくる。

内容は、タイトルから連想すればアクション映画だと思えるが、アクションシーンはかなり控えめであり、どちらかと言えば青春、恋愛の比重が大きい。だから、アクション映画として観るよりも青春映画、恋愛映画として観る方がストーリーも面白く感じられるのである。適度なバイオレンス描写、性描写、77分の上映時間とB級娯楽映画らしさがしっかりと三拍子揃ったお得な一本である。

「あの人は今」番組で入鹿裕子の現在を探っていただきた。

【70点】

地獄の天使 紅い爆音
提供東映株式会社
提供:@niftyコンテンツ

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