2008年12月12日 (金)

TOKYO JOE マフィアを売った男

“東京ジョー”と呼ばれたアメリカ犯罪史上で最も悪名が高かった日系マフィアのケン・エトー。彼の伝説的な実像を元FBI特別捜査官のエレイン・スミスらの証言をもとに浮き彫りにする和製ドキュメンタリー。

エトーは、シカゴマフィアの裏切りによって頭部に3発の銃弾を喰らった。それでも奇跡的に助かったのである。マフィア、ギャングによる殺人は、シカゴだけでも1000件以上と言われ、命が助かったことは誰一人いなかったのである。エトーが助かったことは実に珍しすぎるケースなのである。エトーの頭部には銃弾が喰い込んでおり、その衝撃的な写真資料は観る者を震撼させ、記憶に残り続けることとなるだろう。

この事件以降、エトーは自身を裏切った復讐としてFBIに協力し、厳重な保護プログラムのもとで次々とマフィアの極秘ネタを告発していく。これによってシカゴマフィアは壊滅へと追い込まれ、マフィア連中を筆頭に癒着していた警察関係者や政治家が続々と逮捕され、その数はなんと33人にも及んだ。マフィアの世界でトップクラスまでのし上がり、恐れられていたエトーは、FBI側に寝返ってからもこのような凄まじい伝説を残してくれたのである。

インタビューはエレイン・スミスの証言が主軸であるが、エトーの実弟(顔が見えにくい)、息子も応じており、その証言がまさにリアルでエトーの人物像がさらに掘り下げられる。

エトーの人生は、まさに波乱万丈で映画やTVドラマの主人公のようにドラマチックであった。

【50点】

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2008年10月15日 (水)

ドーベルマン刑事

「週刊少年ジャンプ」で連載されていた武論尊&平松伸二の同名人気漫画を深作欣二監督&千葉真一主演で実写化したアクション作品。

沖縄は石垣島の刑事・加納錠治(千葉真一)は、殺害された地元の家出娘の遺骨を引き取るべく上京。だが、彼は芸能界の陰謀めいた汚点に巻き込まれてしまう。

本作は、漫画になる前の主人公・加納のプロローグ篇として製作されたものものであり、したがって原作のイメージとは随分違った作風に仕上がった。千葉扮する加納は、ある事件でロープを装着してビルの外窓を蹴破って人質を救出し、犯人を逮捕する。この一件で皆から“ターザン刑事”と呼ばれるが、“ドーベルマン刑事”と呼ばれたのはただ一度だけ。これなら最初からオリジナル脚本で『ターザン刑事』にしておいた方が良かったのではと思えるほどだ。他にも加納は黒豚を連れ回していたりととにかく原作ファンからすれば激しいツッコミを入れたくなるような変なオリジナリティー要素が観られる。原作とは別物と割り切って観れば面白く思えるだろう。

見所はやはり千葉の体を張ったアクションだ。先述した“ターザン刑事参上描写”にお得意の空手格闘アクション、44マグナムぶっ放しの銃撃戦が観られる。派手さは感じられないものの面白さは感じられ、バイオレンスアクションの雰囲気を醸し出しているので深作監督らしさを少しでも感じられる。

脇役たちの存在感も忘れられない。まずは、スター候補として売り出し中の歌手・美樹(ジャネット八田)は、元ソープ嬢でシャブ中という設定が強烈でシャブを欲しがる姿はインパクトが強い。次に美樹をバックアップする元ヤクザのマネージャー・英盛(松方弘樹)は敵キャラらしさが丸出しであり、最後に加納と対決する。この二人の存在が大きく、ストーリーを面白く昇華させている。他にも関西ストリップ興行の関係者・木下(川谷拓三)と加納にベタ惚れするストリッパーの小袖(松田英子)が変なヒモと情夫の関係でコメディー要因としてしっかりと笑わせてくれたりとキャラクター描写は抜群で他のキャラに関しても皆が印象的で忘れられない。

ちなみに原作は80年に黒沢年雄でTVドラマ化(タイトル『爆走!ドーベルマン刑事』)され、96年に竹内力でVシネマ化され、三度に渡って実写化された。

【50点】

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2008年10月 2日 (木)

東京残酷警察

アメリカ資本で製作された日本映画“TOKYO SHOCK”シリーズの第二弾。監督は、シリーズ第一弾『片腕マシンガール』(08)で特殊メイク、造形を担当した西村喜廣。

舞台は近未来の東京。自らの肉体を改造した新種の殺人ミュータント“エンジニア”たちが残酷極まりない無差別殺人事件を多発させていた。これに対抗するべく警察は民営化され、“東京警察株式会社”となって最強武装化し、エンジニア対策を強化させる。女性刑事ルカ(しいなえいひ)は先陣を切ってエンジニアたちに立ち向かう。

本作はスプラッター系ホラーであるが、様々なジャンルの面白さが取り入れられている。スプラッター以外にもモンスター系ホラーの要素も取り入れられ、“警察”というタイトルに相応しい刑事アクションの要素もごくわずかではあるが観られる。他にも時代劇アクション、コメディーテイスト、エロスとごった煮状態となっている。中でも特筆すべきポイントは、劇中で何度も映し出されるCM映像だ。これがコメディーとしての面白可笑しさを発揮しており、誠にバカらしい内容であるが笑わせてくれて強烈なインパクトを与えてくれる。「警官募集」、「ストップ・ザ・腹切り」、「リストカット専用カッター」(夜回り先生の水谷修がこれを観てどう思うのかが気になってしまった)等の劇中CMを監督しているのは井口昇や山口雄大といったこれまた凄いお二方である。娯楽に徹した魅せ方は、素直に良いと言える。

本作の特色は、とにかく殆どのシーンが血みどろの大流血絵巻だ。血飛沫が飛び散りまくり、これでもかと言わんばかりにドクドクと血が溢れ出まくる。残酷極まりない悪趣味丸出しのグロテスク描写がとことん連打されているのである。暴走しすぎてブッ飛びまくった映像は狂気に満ち溢れすぎており、バカになり過ぎているため荒唐無稽の限度を超越している。この衝撃と驚愕の連発は、本当に凄すぎるとしか言いようがない。それでもこれらの描写がテンポを良くさせており、斬新な映像へと仕立て上げていると言えるのである。スプラッター度は既に100%を越えているのでこの手の作品のコアなファンにとっては嬉しく思えるはずだ。

ここまで描くことができたのは、やはりアメリカ出資のおかげだと言い切れる。現在の日本映画界では間違いなく作ることができないということは、わかり切っていることだ。本作のような作品がアメリカを頼らずに製作することができたとしたら、60年代や70年代にプログラムピクチャー体制で量産されたような情熱的で面白い娯楽映画が再び普及され、日本映画界が本当に活性化されるだろう。

主演のしいなえいひ(椎名英姫)は、本作で三年ぶりに完全復活したのである。板尾創路、菅田俊、堀部圭亮、坂口拓といった脇を固めるメンツも異色だ。

エログロナンセンスの三拍子が揃った低俗で過激すぎる内容の本作は、R指定を通り越して20歳未満禁止のX指定になっていることにも納得だ。B級娯楽映画の面白さを遺憾なく発揮している点を高く評価したい。

【85点】

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