日本映画 ま行

モハメッド・アリ 黒い魂 STAND UP LIKE A MAN

伝説のボクサー=モハメド・アリの生き様に惚れ込んだ勝新太郎が製作したドキュメンタリー。アリを題材にした日本映画って、本作と『格闘技世界一 四角いジャングル』ぐらい。まぁ、『四角いジャングル』は、アノ有名なアントニオ猪木との一戦をチョイ紹介してる程度(笑)。

冒頭&ED前、燦々と煌くドデカい太陽をバックに突っ走るアリ。マジでカッコいいっすね!いぃ画になってるじゃないか~!!

とにかくアリの素晴らしい人間性にスポットを当てているのだ。黒人として生まれてきたことを誇りに思い、人種差別にもビクともしないアリ。黒人の子供たちに囲まれたアリは、黒人としての生き方をポジティブに捉えた自身の信条を熱心に語る。また、アリならではのユーモア溢れるビッグマウスぶりもク スッと笑わせてくれる。
アリは単に相手をブチのめすのではなく、人間としての尊厳をテーマに掲げ、あらゆる名勝負を繰り広げたのだ。徴兵を拒否すれば、「戦争や暴力は人を殺す手段だけど、ボクシングは殺し合いのためにやっているのではない!」と語る。立派な平和論者だ!だからこそ、多くの人々に愛され、支持されたんだな…。

当然、アリの名勝負もチラホラと紹介されてるぞっ!WBA・WBC統一世界ヘビー級王座を獲得したソニー・リストン戦をはじめ、日本武道館で開催されたマック・フォスター戦など、全7試合。まぁ、試合をじっくりと楽しみたい方には、チョイ物足りないと思うけど、モハメド・アリの人柄などに興味のファンの方に強くオススメしたいな。
勝新もアリの内側を多くの人に知らしめたいがために、本作の製作に乗り切ったハズだし…。
残念ながら、本作は失敗作だったがゆえに、勝新(厳密に言えば、勝プロダクション!)は負債を抱えるハメに…。

今までにVHSすらリリースされなかったため、今となっては貴重な作品だ!今は亡きアリの魅力を少しでも多くの人々に理解してもらいたいからこそ、本作と『アリ ザ・グレーテスト』(アリ自身が本人役を演じた自伝的ドラマ。猪木の入場曲「炎のファイター」の元ネタ曲「アリ・ボンバイエ」がジョージ・フォアマン戦で使用されるのが印象的!)のDVD&ブルーレイ化を希望する…。

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みな殺しの拳銃

後に日活ニューアクションの旗手として様々なアクション映画を世に送り出す長谷部安春の監督第二作目で、デビュー作『俺にさわると危ないぜ』以前から企画していたギャング映画を本作で完成させた。

赤沢興業の残虐非道なやり口に嫌気がさした幹部組員の黒田(宍戸錠)は、親分(神田隆)にバッジを返上。黒田の二人の弟(藤竜也&岡崎二朗)は縄張りを荒らしまわるが、その報復も酷くなっていく。最終的には、黒田は親友であった白沢(二谷英明)と組員連中が待つ競技場に単身で向い、最後の決着をつける…というお話。

全編モノクロ映像で、海外のギャング映画の影響をモロに受けたハードボイルド・タッチの作風が何よりも魅力的だ。クールかつスタイリッシュな映像は、この手のクライム・アクションには相応しく、今観てもカッコ良さを感じさせる。

ハードボイルド系のアクション映画を好演するようになった宍戸錠。彼は、本作でもニヒルなアウトローを眉間の皺から感じさせる男臭さを醸し出して見事に演じきった。また、藤竜也扮する次男が敵連中からメッタ撃ちの蜂の巣状態にされるシーンも印象深く、本作で描かれる残酷バイオレンスのレベルはこのシーンで一気にヒートアップしたのだ!!クライマックスの宍戸錠がライフル銃で敵連中を血祭りに上げていくシーンも迫力満点の銃撃戦ではないものの、緊張感のある仕上がりで見応えバツグン!!

ケン・サンダースがピアノを奏でながら歌う楽曲も作風にマッチしていて大いによろしい!!

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めくらのお市物語 真赤な流れ鳥

棚下照生の原作を松田定次監督が映像化した女版『座頭市』とも言われる時代劇アクションのシリーズ第一弾。主演は後に棚下の妻となり、現在でもボンカレーのイメージキャラクターとしてイメージが強い松山容子。

お市(松山容子)は7歳の頃に母親に捨てられると同時に落雷によって視力を失う。殺されたお市の親代わりの弥助の復讐と母探しを兼ねて流れ歩く…。

冒頭からキレ味バツグンの殺陣が観られる!!お市役の松山容子が魅せつける殺陣…とにかくシャープな動きで、数人の敵をキレイ見事に斬りつけて蹴散らすのだ!!

続いて、長門勇扮する浪人の浮田と出会ったお市は、剣術を徹底的に教え込まれるのだ!!浮田の厳しさの中にも愛情のある指導方法が好意的でよろしい。

他にもB級ムードを漂わせる荒井千津子扮するお文が釣独楽を振り回して敵を蹴散らし、お市が彼女らによるイカサマ博打を見破るシーンのケレン味を感じさせる演出も観る者の脳裏に焼きつくこと間違いなし!!お市とお文が対峙するシーンも観られるが、ここでしっかりと壮絶なバトルを描いていれば、70年代B級時代劇アクションらしい作風の大きな見せ場となっただろう。

タイトルもそうだが、劇中でも“めくら”の一言を中心に放送禁止用語連発だから、DVD及びブルーレイのソフト化はあり得ないと言い切れる。でも、CS放送ではしっかりと放映してくれたのだから、完全な封印作品の枠からは外れたのだ!!

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霧笛が俺を呼んでいる

赤木圭一郎が幼少期からの憧れであった船乗り=航海士に扮したサスペンス・アクションで、ストーリーは赤木が歌う同名主題歌に基づいたもの。監督は山崎徳次郎。また、吉永小百合(OPクレジットでは“新人”表記)の初々しい演技も今となっては貴重だ!!

久々に横浜に戻ってきた一等航海士の杉(赤木圭一郎)は、少年院時代からの親友・浜崎(葉山良二)を訪ねる。だが、浜崎は二週間前に突堤で溺死体となって発見され、自殺したということを知る。浜崎の死に疑問を抱いた杉は偶然知り合った浜崎の彼女・美也子(芦川いづみ)と事件の謎を探りだそうとする。実は浜崎は麻薬の売人で組織のボスとして生きていることを突き止めるが…。

序盤から中盤までにかけては赤木の殴る、蹴るといった暴れっぷりが観られる。その後は、謎解き風味のサスペンスの連続。クライマックスは拳銃を使った見せ場が用意されているが、銃撃戦というほどたいそうなモノではない。でも、浜崎役の葉山良二が高所からピンチに陥るシーンはハラハラドキドキを味わえ、アクションシーンなんかに比べるとこのシーンの方が明らかに印象深いのだ!!

赤木は石原裕次郎、小林旭に続く日活“第三の男”として期待されていた。それとは関係ないと思うが、本作は名作『第三の男』をかなり意識した作風だ!!

霧笛が俺を呼んでいる [DVD]

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無鉄砲大将

和田浩治主演の他愛のない青春アクション。監督は、鈴木清順。

高校で空手部に属している英次(和田浩治)は根っからのヤクザ嫌い。そんな純粋な正義感に燃える彼が学校の仲間たちとともに街の暴力団・新界興業に立ち向かうというお話。

タイトルバックでは、空手の練習に励む英次ら部員の姿をじっくりと見せる。和田歌唱の主題歌「純情愚連隊」と映像が実にマッチしている。和田の空手アクションが観られるのか思いきや、和田は千葉真一や倉田保昭と違って空手アクションスターではないため、当然の如く華麗なる空手技なんかは披露しない。だから、和田の格闘アクションは、ありきたりの殴る蹴るの大暴れ。それでも、高校生がヤクザ相手に威勢良く真っ向勝負を挑み、豪快にやってのけるものだから、観ていてゴキゲンなのだ。

英次を取り巻くキャラも印象深い。芦川いづみ扮する英次が姉のように慕う雪代、葉山良二扮する雪代の彼氏で英次が嫌う新海興業のヤクザ五郎、そして、菅井一郎扮する雪代の親父である酔いどれ医者!!他にも清水まゆみ扮する英次の恋人の京子、佐川満男(当時は、佐川ミツオ)扮する英次の友人でギターを弾いて歌う(「可愛いあの娘は拾と六」&「ゴンドラの唄」)森野も忘れられない。

クライマックスは、新界のボスと手下を相手に英次が大暴れ!!雪代と一緒になりたいと足を洗おうとする五郎、英次の校友たちも応援ヨロシク参戦する。よってこのアクションシーンは大いに盛り上がり、観ていて素直に楽しめるのだ。これぞまさに痛快活劇だ!!

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燃える雲

渡哲也、高橋英樹、二谷英明、宍戸錠の日活四大スター競演のスカイ・アクション。監督は野村孝。ちなみに脚色担当の藤井鷹史は、後にニューアクションを担う長谷部安春監督で本名名義で空中撮影も担当している。

ジェット機が飛行中に故障し、これを操縦する朝比奈は管制塔の指示を無視して強行着陸したことが原因でライセンスを剥奪されてしまう。ある日、建築現場のミキサー車ドライバーとして働いていた朝比奈は、宗方(二谷英明)に見込まれて航空検察官となった。早速、空港での射殺事件が起きる。この事件の背後には、所属ダンサーを娼婦として南ベトナムへ売り飛ばしている元暴力団関係者が経営する芸能事務所「エンゼル・プロ」が関わっていることがわかった。

渡、高橋、二谷、ジョー以外のキャストも魅力的だ。女検察官の冴子に十朱幸代、敵ボス林に大滝秀治、朝比奈のかつての良き理解者・福田機長に池部良、林が仕向けた中国人殺し屋の張に内田良平!!また、キャスティングに関しては刑事ドラマ好きもニヤリとさせる。まずは、主演の渡と同僚の秋山役の庄司永建は、『西部警察』の大門と二宮係長、二谷と大滝は、『特捜最前線』の神代と船村という具合に!!だが、二谷と大滝の絡みが劇中で一切観られないのがちょいと……。

航空検察官=空の刑事ということでストーリー展開も刑事ドラマそのもの。劇中では取り調べシーンも観られる。

アクション映画らしいシーンと言えば、序盤で観られる建築現場の食堂での殴って蹴って大乱闘とクライマックスの朝比奈と貝塚(高橋英樹)各々がジェット機を操縦し、林を乗せた黒田が操縦するジェット機を追跡するシーンぐらいだ。特に最後の見せ場は緊張感を漂わせてスリリングに描かれていて良いが、途中で渡、高橋、ジョーが無線をマイク代わりに童謡「赤とんぼ」を歌うシーンは、今観るとちょいと可笑しい!!感動を誘うシーンであることに違いはないが、なにしろ男臭いルックスで低音の三人が歌っているので……。でも、貴重なシーンであることに間違いない!!

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メキシコ無宿

危険屋稼業のジョー(宍戸錠)がメキシコから来た男・ペドロと友達になり、一緒に仕事をする。だが、ペドロは業務中に事故で死亡する。死に際にメキシコで土地を奪われた上に殺人の濡れ衣を着せられたことを告げられたジョーは、ペドロに代わってメキシコへ赴き、潔白を証明するべく村の悪党たちに挑戦する。

日活無国籍アクションである本作は、このジャンルの特色である西部劇テイストをさらに強調するためにメキシコで大ロケーションを敢行した。とにかくメキシコの街並の活写が何よりも魅力的である。射しかかる陽光、メキシコ革命記念日の盛大なパレード、いくつかのサボテンが立ち並ぶ乾いた大自然といった特色が随所に散りばめられており、メキシコの特徴をしっかりと押し出している。

肝心なアクションシーンは、内容やストーリー展開と相俟って西部劇らしく仕上がっており、ジョーが魅せつけるガンアクションが最大の見所である。

劇中で公用語のスペイン語で会話しているメキシコ人キャラ同士が途中で日本語(吹替え)で会話していたりというようなことが多く観られ、これが観る者を不自然に思わせ、興醒めさせてしまう。本作の決定的な痛手だと言い切れる。

本作は、荒唐無稽なイメージが強い日活無国籍アクション作品の中でも最も異色さを発揮した作品だと言える。

【45点】

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